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元バトラル視点4
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僕は、黒川さんにいつのまにか恋をしていた。
けれども僕は、誰かに愛される運命にはない。
黒川さんが僕を友人として側に置いてくれてるというだけで、感謝しなければいけないと分かっているけど、恋心というものは理性でどうにかできるものではなく、黒川さんに会うたびに想いは募っていくばかりだった。
僕が圭吾になりたかったのは、圭吾のように家のことや身分や性別に囚われずに自由に生きたかったからだし、その願いは黒川さんに助けられて叶っているけど、なんだか無性に寂しさを覚えた。
「黒川さんって、ゲイなの?」
「ん? なんだいきなり」
「だって、前に俺の性癖には付き合えないけど、友人では居たいみたいなこと言ってたけど、それって、そもそもSじゃないからなのか、ノンケだからなのか気になってさ」
僕が質問すると、黒川さんは真剣な顔をして顎を親指と人差し指で挟んだ。
「んー。俺は相手の性別がどうのって感じじゃないな。好きになった人が好きな人だ。だから、彼女が居た時もあったし、彼氏が居た時もあった。まぁ、圭吾の質問に答えるなら、俺がSじゃないからってのが答えだな」
黒川さんに好きになってもらえるもらえる人が羨ましくて、そんな人に、僕はなれないから勝手に傷ついた。ズキズキと痛む胸に気がついてるのに、やめたほうが良いと分かっているのに自分で自分を止めることができなくて、またポロリと質問していた。
「へぇ。じゃあ今まで付き合った人は何か共通点があったりした?」
「どうしたんだ。今までそんなこと興味持たなかっただろう?」
「そうかな。でも、気になるんだ」
「まぁ……そうだな。特に共通点という感じのものはなかったが、一生懸命な人に惚れる気がするな」
「……ふぅん」
「自分から聞いてきたくせに興味なさそうだな」
黒川さんは、胡乱げな顔で僕を見た。
「そんなことない。面白いよ」
「本当か? なら、圭吾はどうなんだ」
「どうって?」
「今まで付き合ったやつに共通点はあるのか?」
「……付き合ったことないから、分からないかな」
かつて僕には婚約者がいたことがあった。けれど、それは恋人とは違う。好きになってもらいたかったし、愛されたかったけど、僕自身、誰のことも好きにはなってなかったのだと、今になって思う。愛されたいと願うくせに、自分からは誰も愛することはできなかった。そんなことに気づかせてくれたのは、やっぱり黒川さんだ。黒川さんを好きだと思う気持ちが、自然とそのことに気がつかせてくれた。
もしも叶うことのない恋だとしても、とても大きな発見だと思えた。
けれども僕は、誰かに愛される運命にはない。
黒川さんが僕を友人として側に置いてくれてるというだけで、感謝しなければいけないと分かっているけど、恋心というものは理性でどうにかできるものではなく、黒川さんに会うたびに想いは募っていくばかりだった。
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「黒川さんって、ゲイなの?」
「ん? なんだいきなり」
「だって、前に俺の性癖には付き合えないけど、友人では居たいみたいなこと言ってたけど、それって、そもそもSじゃないからなのか、ノンケだからなのか気になってさ」
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黒川さんに好きになってもらえるもらえる人が羨ましくて、そんな人に、僕はなれないから勝手に傷ついた。ズキズキと痛む胸に気がついてるのに、やめたほうが良いと分かっているのに自分で自分を止めることができなくて、またポロリと質問していた。
「へぇ。じゃあ今まで付き合った人は何か共通点があったりした?」
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「そうかな。でも、気になるんだ」
「まぁ……そうだな。特に共通点という感じのものはなかったが、一生懸命な人に惚れる気がするな」
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もしも叶うことのない恋だとしても、とても大きな発見だと思えた。
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