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24:ヨハイドの目的と敗北

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「おお、おお。早速、男オメガが2人いるじゃあねぇか」

地を這うような低い声は、その体の大きさ故だろうか。彼の身長は優に2メートルは超えていそうだ。

「お前ら2人のどちらかで良い。国を魔物に襲わせるのをやめて欲しければ、大人しく魔国についてこい」
「ついて行ったら、僕たちはどうなるんですか」

俺が尋ねると、男はフンと鼻を鳴らした。

「聞かなくても分かるだろう。もちろん、死ぬまで魔族の共用孕み袋を努めてもらう」
「「っ」」

男の言葉に息を飲み、ギュンと尻がうずいた。

「「俺がいく!!」」

思わず叫んだ言葉は、なぜか隣にいたヨハイドと被った。
ヨハイドの方をみると、ヨハイドも驚きの瞳で俺を見ていて、俺たちはしばらくそうして固まった。

「よ、ヨハイド殿。ヨハイド殿はクライブ様とお幸せになってください。ここは俺がいくんで」
「ダメに決まってる。こんなチャンス逃すわけにはいかない。それに俺は別にクライブなんか好きじゃない」
「はい? あ、ちょっと、抜け駆けしないでください!」

男に向かって走り出そうとするヨハイドをなんとか押さえ込むと、ヨハイドは恨めしげに俺を見た。

「誰が好き好んでお前をいじめたと思ってんだ。お前、転生者だろう。クライブがバトラルを溺愛してるって聞いたから、俺はお前をいじめたんだ!! クライブから愛されてるバトラルをいじめたらバトラルの断罪エンドを俺が受けられると思ってな! お前もクライブとうまくいってんなら、ここで格好つけずに添い遂げろよ。俺は俺で魔国でムフフな人生過ごすから、邪魔するな!」
「はい……? は? え?」

衝撃が大きすぎて、ついていくのがやっとだったが、つまりは、ヨハイドもドMで、断罪エンドを狙っていたということか。そして、俺と同じで断罪エンドを目指すよりも手っ取り早く今ここで魔国の共用孕み袋になろうとしているわけだ。
ヨハイドを見る時、嫌悪感があると思ってはいたが、そりゃああるはずだ。あれは間違いなく同族嫌悪というやつだったんだ。

「俺は格好つけてるわけじゃない。ヨハイド、確認するけどヨハイドも転生者で、そして、ドMってこと?」
「そうだよ」
「そっか。でも、実は俺もドMなんだ。だから、簡単には譲れないよ」
「は!?」

鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしたヨハイドを置いて、俺が男の方に向かおうと走ると、今度はヨハイドから押さえ込まれ動けなくなった。そんな俺たちを静かに見ていた男が口を開いた。

「さっきから、何をごちゃごちゃやっている。ああ……、どちらが来るのか決まらないと言うのなら2人とも連れて行っても構わないんだぞ」

どうやら俺たちがどちらが行くのかを押し付け合っているとでも思っているのか、脅しのようにそう言って笑った。どちらかに決まるまで俺たちが争っているのを静かに待っていてくれたらしい。

「おい、聞いたか」

ヨハイドがそう言って俺に顔を向けた。

「聞いた。だけど、そんなのお断りだよね。魔族がどれだけの人数いるのか知らないけど、便器が自分以外にもいたら使ってもらえる回数が減るじゃんか。ボロッボロになるまで使い倒して貰わないと。魔族ってあの男の体からして多分みんなでかいでしょ? あそこもぶっといんだろうなぁ。もしかしてイボイボとかついてるかも。そんなのを2本とか3本とか同時に入れられるくらいに拡張されてさ。結腸とか無遠慮に突かれまくってさ。あ、乳首にピアス開けてもらいたいよね。そんでそこに家畜ナンバープレートを下げてもらって、あ、喉はこのくらいの深さまでくるかな? そうなると多分使われてる間、息はできないよね。無様にチン媚びダンスを踊らされたり、トイレ後のトイレットペーパー代わりにされたりね。あ、それと便器に休息は必要ない。とか言って、使わない間は何か他のものを突っ込んでくれているといいよね。まぁ、使わない時間なんてない方が良いんだけどさ、でもそればっかりは魔族の人数にもよるし」

俺が夢を語っている横で、ヨハイドはみるみるうちに顔を青ざめさせて、なぜか喉をひゅっと鳴らしドン引きの目で俺を見てきた。

「お、お前……、そこまでは流石に……。あ……なんて言うかその、悪い、俺の完敗だ。俺は今まで自分がドMだと思っていたことが恥ずかしい」
「え?」

ヨハイドはそのまま項垂れてしまった。まるで動こうとしない。何が何だかは分からないが、ヨハイドは負けだと言ったので、ここは俺が魔族についていくことが出来るということだ。
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