7 / 86
7:お風呂
しおりを挟む
「で……殿下っ。なぜお風呂に!?」
我に返った俺は、広い浴槽の中で、少し動けば肩が触れ合いそうになる距離にいる皇太子から勢いよく飛び退いた。
「なぜって、それはバトラルがご令嬢のスカーフを取りに池に飛び込んで……」
「そ、そうじゃなくて、お風呂はその、流石にビショビショで寒かったんでありがたいですけど、殿下まで入る必要はなかったんじゃないかなって」
「バトラルは私と風呂に入るのは嫌なのか?」
しょんぼりというような表情をされて、流石に言葉に詰まった。
「いえ、僕が嫌とか嫌じゃないとかじゃなくて、殿下はこの国の皇太子様ですから、僕のようなものと一緒にお風呂に入られるのはちょっと」
「ちょっと何?」
皇太子はそう言って俺の言葉を待つように首を傾げた。まだまだ幼さの残る美少年のその仕草はやはりあざとい可愛さを持っているが、屈強な男たちに凌辱されたい願望を持つ俺を前に、そのような可愛らしさは無意味なのである。
「ちょっと……、そうですね。僕も男とはいえ、アルファ性の殿下と結婚することのできるオメガ性なのです。もしも僕たちが婚約していたとしても一緒に風呂に入るのはどうかと思いますが、婚約もしていない殿下と僕が一緒にお風呂に入るのは、世間一般的に見ておかしな状況なのです」
俺の言葉を聞き終わると、皇太子はふふふと不敵に笑った。
「ああ、それなら大丈夫だな。先ほど私の婚約者にバトラルを指名してきた。今頃陛下からアール伯爵閣下に連絡が行っている頃だろう」
「僕が殿下の婚約者に? そ、そうですか」
「不満か?」
「いえ。滅相もありません。僕を選んでいただき嬉しいです。ありがとうございます」
あのお茶会で俺が皇太子に婚約者として選ばれるような出来事も起こらなかったし、むしろ貴族令息として落ち着きがないと言われてもおかしくないようなことをしでかしたし、話した内容も趣味などの当たり障りのないような内容だったにも関わらず皇太子はバトラルを婚約者に選んだのだ。やっぱりゲーム通りに進むんだと思うと、本気で嬉しさがこみ上げてくる。父親から打ってもらえる事はなくなったけれど、俺には絶対に最高のエンディングが待っているのだと思えば、ワクワクしてくる。俺がどのエンドに行くのかは、16歳で入学するボートルニア帝国貴族学園に入学後、ヒロインのコリンが選ぶルートによって変わってくるわけだけど、どのエンドもバトラルの扱いは俺好みなわけだし、楽しみすぎて胸のドキドキが抑えられない。
俺が妄想を楽しんでいると、皇太子が俺を見てクスクスと笑った。
「本当に嬉しそうだな。その百面相の間にバトラルが一体何を考えているのか頭の中を覗いてみたい。バトラルといればこれからの人生、死ぬまでずっと楽しい生活を送れそうだ」
皇太子が俺の頭を覗くことができた時には、きっと覗いたことを後悔することだろう。
「期待に応えられるように頑張ります」
そして話終わって十分に温まってから皇太子と共に風呂を出ると、何とバスタオルを構えた父親が待ち構えていた。
我に返った俺は、広い浴槽の中で、少し動けば肩が触れ合いそうになる距離にいる皇太子から勢いよく飛び退いた。
「なぜって、それはバトラルがご令嬢のスカーフを取りに池に飛び込んで……」
「そ、そうじゃなくて、お風呂はその、流石にビショビショで寒かったんでありがたいですけど、殿下まで入る必要はなかったんじゃないかなって」
「バトラルは私と風呂に入るのは嫌なのか?」
しょんぼりというような表情をされて、流石に言葉に詰まった。
「いえ、僕が嫌とか嫌じゃないとかじゃなくて、殿下はこの国の皇太子様ですから、僕のようなものと一緒にお風呂に入られるのはちょっと」
「ちょっと何?」
皇太子はそう言って俺の言葉を待つように首を傾げた。まだまだ幼さの残る美少年のその仕草はやはりあざとい可愛さを持っているが、屈強な男たちに凌辱されたい願望を持つ俺を前に、そのような可愛らしさは無意味なのである。
「ちょっと……、そうですね。僕も男とはいえ、アルファ性の殿下と結婚することのできるオメガ性なのです。もしも僕たちが婚約していたとしても一緒に風呂に入るのはどうかと思いますが、婚約もしていない殿下と僕が一緒にお風呂に入るのは、世間一般的に見ておかしな状況なのです」
俺の言葉を聞き終わると、皇太子はふふふと不敵に笑った。
「ああ、それなら大丈夫だな。先ほど私の婚約者にバトラルを指名してきた。今頃陛下からアール伯爵閣下に連絡が行っている頃だろう」
「僕が殿下の婚約者に? そ、そうですか」
「不満か?」
「いえ。滅相もありません。僕を選んでいただき嬉しいです。ありがとうございます」
あのお茶会で俺が皇太子に婚約者として選ばれるような出来事も起こらなかったし、むしろ貴族令息として落ち着きがないと言われてもおかしくないようなことをしでかしたし、話した内容も趣味などの当たり障りのないような内容だったにも関わらず皇太子はバトラルを婚約者に選んだのだ。やっぱりゲーム通りに進むんだと思うと、本気で嬉しさがこみ上げてくる。父親から打ってもらえる事はなくなったけれど、俺には絶対に最高のエンディングが待っているのだと思えば、ワクワクしてくる。俺がどのエンドに行くのかは、16歳で入学するボートルニア帝国貴族学園に入学後、ヒロインのコリンが選ぶルートによって変わってくるわけだけど、どのエンドもバトラルの扱いは俺好みなわけだし、楽しみすぎて胸のドキドキが抑えられない。
俺が妄想を楽しんでいると、皇太子が俺を見てクスクスと笑った。
「本当に嬉しそうだな。その百面相の間にバトラルが一体何を考えているのか頭の中を覗いてみたい。バトラルといればこれからの人生、死ぬまでずっと楽しい生活を送れそうだ」
皇太子が俺の頭を覗くことができた時には、きっと覗いたことを後悔することだろう。
「期待に応えられるように頑張ります」
そして話終わって十分に温まってから皇太子と共に風呂を出ると、何とバスタオルを構えた父親が待ち構えていた。
133
お気に入りに追加
2,261
あなたにおすすめの小説
異世界で性奴隷として生きてイクことになりました♂
あさきりゆうた
BL
【あらすじ】
●第一章
性奴隷を軸とした異世界ファンタジーが開幕した! 世界は性奴隷の不遇な扱いを当たり前とするものだった。
ある時、現世の不運な死により転生した少年は助けた戦士の性奴隷となってしまった!?
●第二章
性奴隷を扱う施設、「性奴隷の家」内で、脱退の意思を示した男が監禁されることになった。その友人に課せられた命令は愛と狂気の入り交じった性的な拷問であった!
●第三章
義賊とよばれる盗賊は性奴隷の家から一人の性奴隷候補の子を誘拐した。その子はダークエルフの男の子だった。その子のあまりにも生意気な態度に、盗賊はハードプレイでお仕置きをすることにした。
※変態度の非常に高い作品となっております
【近況報告】
20.02.21
なんか待たせてしまってすいませんでした(土下座!)
第三章は本編を絡めながら、ショタのダークエルフに変態的なプレイをする作者の欲望を表現するだけのおはなしです。
20.02.22
「大人しくしていれば可愛いな」を投稿します。一応シリアスめな展開になります。
20.02.23
「助けた礼は体で支払ってもらうぞ」を投稿します。引き続きシリアスな展開。そしてR18を書きたい。
20.02.24
試しに出版申請しました。まあ昔やって書籍化せんかったから期待はしていませんが……。
「欲望に任せたら子作りしてしまった」を投稿します。つい鬼畜にR18を書いてしまった。
あと、各章に名称つけました。
ついでに第一章の没シナリオを7話分のボリュームでのっけました。このシナリオ大不評でした(汗)
ディープ層向けな内容です。
20.02.25
「束の間の握手だ」を投稿します。本編が進みます。
20.02.26
「妊夫さんですがHしたくなっちゃいました」を投稿します。
久々に第一章のお話書きました。そして妊婦さんならぬ妊夫さんとのHな話が書きたかったです。
20.02.27
「世話の焼けるガキだ」を投稿します。
話書いたのわしですが、酷い設定持たせてすまんなエルトくん。
20.02.28
「死んだなこりゃあ」を投稿します。展開上、まだR18を書けないですが、書きてえ。やらしいことを!
20.02.29
「性欲のまま暴れて犯るか」を投稿します。R18回です。この二人はどうも男よりの性格しているのでラブシーンの表現苦戦しますね・・・。
20.03.01
「お前と一緒に歩む」を投稿しました。第三章、良い最終回だった…としたいところですが、もっとR18なお話を書く予定です。
後、第四章あたりで物語を終結させようかと考えています。
20.03.05
職場がキツくて鬱になりました。しばらくは執筆できないかもしれないです。またいつか再開できたらなと思っています。
特殊な学園でペット扱いされてる男子高校生の話
みき
BL
BL R-18 特殊な学園でペット扱いされてる男子高校生が、無理矢理エロいことされちゃう話。
愛なし鬼畜→微甘 貞操帯 射精管理 無理矢理 SM 口淫 媚薬
※受けが可哀想でも平気な方向け。
高校生×高校生
※表紙は「キミの世界メーカー」よりお借りしました。
凪に顎クイされてる奏多イメージ
媚薬盛られました。クラスメイトにやらしく介抱されました。
みき
BL
媚薬盛られた男子高校生が、クラスメイトにえっちなことされる話。
BL R-18 ほぼエロです。感想頂けるととても嬉しいです。
登場キャラクター名
桐島明×東郷廉
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
過労死で異世界転生したのですがサキュバス好きを神様に勘違いされ総受けインキュバスにされてしまいました
ムーン
BL
ブラック企業に勤めていた俺はある日突然死んでしまった。女神様に転生させてもらえたところまでは良かったのだが、その内容が問題だった。
女神はサキュバスもののエロ本を買っていた俺の好みを曲解し、男版のサキュバス……インキュバスに転生させた。しかも女神様の心付けで男にモテるように、 いわゆる総受け体質にされてしまった。
そのせいでモンスターに性的な意味で襲われるようになったけれど、ヤンデレ気味の弟やドSな勇者様、術や道具を使って落とそうとしてくる精霊使いにいきなり求婚してきた優しいオーガ……彼らに前世では経験できなかった愛情と快楽を与えられ、俺は過酷な世界で生きることを決めた。
人間の女性を襲えないから男から精液をもらうしかないと言い訳して、淫乱になっていくのは俺の流されやすい性格ではなくインキュバスの身体のせいだと言い訳して、抱かれる悦びに溺れていく。
────
──────
※暴力・流血・凌辱表現注意
※攻めが複数居る。主人公が嫌がっても痛がっても犯されることがある。などが苦手な方は避けてください。
※なんでもいいよ! 酷い目に遭う子が好きだよ! という趣味がないなら避けてください。
※別投稿の作品と同世界の物語ですが、キャラ・ストーリー共にほぼリンクしないので気にしないでください自己満足です。
【完結】勇者様の思い通り~魔王や魔族たちに何故か溺愛されてます
浅葱
BL
【12/18 完結後番外編を上げました】
「私と結婚してこの魔の国を治めてはくれぬか?」
妖艶な美女の姿をした魔王にそう言われ、勇者は泣いた。
「なんで女性ばっかなんだよおおおーーー!」と。
勇者の恋愛対象は男性なのに、見目よし、実力ありのせいか勇者パーティーは全員女性だった。
魔王城に辿り着くまで、パーティーの女性たちに毎晩夜這いをかけられて女性不信マックスになっていた勇者。
これはもう魔王に殺してもらうしかないとまで思いつめて魔王城に着いたら、魔王まで女性でしかも勇者に求婚してくる始末。
勇者は絶望したが、魔王の元の姿は男性型で、しかも変化が得意と知って?
元の姿は背が低めの少年魔王(変化が得意。アレはでかい)+魔族とか魔物×顔はイケメンだけどムキムキマッチョな童貞処女ビッチ勇者。
魔族や魔物は強い者が好きで、その者に従う傾向がある。勇者は妄想をこじらせ過ぎていろんな男性に愛されたいと強く願っていたから、魔王、魔族、魔物にめちゃくちゃ愛されるようになる。
超テンプレ。誰もが書いてる設定での安定のハッピーエンドです。
魔王とのらぶえち(変化あり)あり、魔族や魔物とのらぶえちもあり。小スカとか二輪挿しもあるし、ありえないところからの出産もあるよ(ぉぃ
公開セッ/総受け/巨根攻め/結腸責め/複数攻め/尿道責め/小スカ/拡張/二輪挿し/乳首責め/触手責め/駅弁/出産あり
注:勇者以外がされる描写もあります。そちらには注意書きを改めて入れます~
9/2 表紙のイラストはNEOZONE様に描いていただきました! 魔王(エリーアス)と勇者(クルト)と侍従長(イオール)です! 美麗イラストめちゃくちゃ嬉しいです!!
12/1 fujossyの「第三回 fujossy小説大賞」に参加します! 修正更新していきますのでよろしくー
https://fujossy.jp/books/25823
買われた悪役令息は攻略対象に異常なくらい愛でられてます
瑳来
BL
元は純日本人の俺は不慮な事故にあい死んでしまった。そんな俺の第2の人生は死ぬ前に姉がやっていた乙女ゲームの悪役令息だった。悪役令息の役割を全うしていた俺はついに天罰がくらい捕らえられて人身売買のオークションに出品されていた。
そこで俺を落札したのは俺を破滅へと追い込んだ王家の第1王子でありゲームの攻略対象だった。
そんな落ちぶれた俺と俺を買った何考えてるかわかんない王子との生活がはじまった。
「陛下を誑かしたのはこの身体か!」って言われてエッチなポーズを沢山とらされました。もうお婿にいけないから責任を取って下さい!
うずみどり
BL
突発的に異世界転移をした男子高校生がバスローブ姿で縛られて近衛隊長にあちこち弄られていいようにされちゃう話です。
ほぼ全編エロで言葉責め。
無理矢理だけど痛くはないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる