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「千景、私の家に行こう」

僕の体を、病院の人が安置室に運ぶ横で、フェルレントが嬉々とした声でそう言うのが、何だか面白くて笑った。

「ふふふ」
「何が面白いんだい?」
「ふふ、だって、僕もフェルレントと会えて嬉しいんだけど、フェルレントもすごく嬉しそうだし、はしゃいでるように見えて」
「はしゃいでるよ。私はずっとずっと千景とこうやって目を合わせて話せたらどれだけ幸せだろうと思っていたんだから」

フェルレントが僕の体をギュッと抱き寄せると、次の瞬間には大きい門の前に立っていた。

「えっ」
「ここが私の家だよ」
「すごい……。瞬間移動だ」
「ふふ、千景は可愛らしいね。練習すれば千景もきっと出来るようになるよ」
「本当?」
「もちろん」
「やったぁ。それにしても、もしかしてフェルレントってすごくお金持ちなんじゃ」

大きい門の奥にそびえるのは、お城のような大きな建物だった。

「そんなことはないよ。大きなお金の動きはあるけれど、私の自由になるお金は少ない」
「そうなんだ。何だか迷子になっちゃいそうな大きなお城だったから」
「……」
「フェルレント?」
「……はぁ。もう、可愛らしいんだから本当」

フェルレントは空気をたっぷり肺に溜め込んで、それをゆっくり吐き出しているみたいな声で言った。

「へへ。何だか分からないけど、フェルレントに可愛らしいって言ってもらえるのは……嬉しい……わっ」

言い終わらないうちにガバリと抱きつかれ横抱きにされた。

「んぁっ……」

荒い口づけをされて、僕の舌をまるで犯すように口の中で暴れまわるのは、フェルレントの姿が見えなかった時から同じで、苦しいけれど少し嬉しくなる。

「はぁ、やっぱり千景は口の中も甘い、どこもかしこも甘い。もう少しも我慢できる気がしない」

フェルレントはそう言いながら、僕を横抱きのまま歩いて門をくぐり、城の前に立った。
軍服みたいな服を着た男の人が2人現れて、城のドアを開けてくれる。

「ここは、千景のそばにいる間あまり帰ってなかったけど、掃除はさせているから」
「あっ、ふぇる……」

やっぱり金持ちじゃないか。だって掃除してくれる人もドアを開けてくれる人までいる。
だけどそんなことを思っても、フェルレントの森林の匂いが強くなってくると、フェルレントのこと以外何も考えられなくなってくる。

「ああ、ヒートになってくれたんだね」
「ぁっう、フェルレントっ……あついっ、んん」

2階に上がり1つの部屋の中に入ったフェルレントはポスっと僕を下ろした。
少しひんやりした布の質感で、サラサラ、ふわふわしていて、それが上質なベットであることが分かる。
フェルレントの手がそろりとうなじを撫でると、ビビッと電気が走ったような衝撃があって、僕の脳はそれを快感だと認識する。

「あぁっ」
「ここを……噛むよ」

早く噛んで欲しくてコクコクと必死にうなずくと、フェルレントは僕の服を脱がしていった。
早く噛んでくれればいいのに、早くフェルレントのものにしてくれればいいのにと、体がもどかしくていっぱいになる。

「ぁ、んっ、フェルレントっ……ん、早くっ」
「もう少し。2人が気持ち良くなってるときに、番になろう」
「あ、ぁ、あ」

体を撫でられて、ぞわりぞわりと毛が逆立つ。
フェルレントの手は熱くて、手が触れてる箇所は気持ち良くて仕方がない。

指の先、指の又の部分、拳の骨のでっぱり……、フェルレントは僕を焦らすつもりでやってるのか、そうじゃないのか、とにかく一箇所一箇所、舐め尽くしてくる。
他の人と経験がなくても分かる、普通こんなに舐めたりしないだろう。フェルレントは変態だ。
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