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例えばこんな来世でも貴方は私を再び三度

33-5

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~33-5~

 思い返せば最初に握ったのは今しがた取り落とした愛用のルガーではなくこの豆鉄砲だった。その場に自身が居合わせた事を君は覚えてやしまいが。

 腰回りに走っていた石膏板で横薙ぎに殴られた様な衝撃が徐々に収まっていく。ふと、視界の端を流れる液体を認め恨めしい気分が湧いてきた。現状を打破する切っ掛けにこそなったが、それにしてもとんだ品を掴まされたものだ。

~3-3-2~

 「…緩衝材ってのはどんな素材なんだ?」
 年寄りの蘊蓄披露に付き合わされるのは御免被りたいに違いはないが、正体の分からない代物に頼るのも気分は良くない。

 「聞いて驚け…まぁ驚く程の知識も無かろうが」
 ぶっ飛ばすぞ。

 「リキッドアーマー、要は流体の作用で運動エネルギーを減衰させる仕組みだ」
 聞けば上体を覆うように液状化したポリエチレンの一種が詰まっているらしい。

 「道理で、尻に敷くと妙に硬いと思った」
 座面から引き出したコートを揺すってみる。

 「軽いだろう、まだ未完成の技術だけに色々試行錯誤されてるらしい」
 確かに言われる様な液体の存在を思わせる程の重量は無い。実用に適さなかった代物を押し付けられたのではあるまいかと疑う程だ。

 「それでも至近で45口径までは貫通を防ぐ程度には仕上がってるそうだ…まぁとは言え問題が無いでもないんだが」
 散々にセールスポイントを上げつらって最後にそれかと、文句は一度呑み込んで言葉の続きを待つ。

 「流体を保持している容器の耐久性がな、一発食らうと外圧に負けて穴が開く」
 想定していた以上に致命的な欠陥だった。

 「大丈夫だ!流体は緩衝に必要な粘性を失わない程度に血液に酷似した着色がされていて偽装になる!」
 要は一発撃たれたら死体の真似をしてやり過ごせと言う事らしい。大人しく下に防弾チョッキを着ておこうと心に誓った。
 
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