148 / 226
Fragrance 7-ナツノカオリ-
エピローグ『真夏』
しおりを挟む
インターハイが終わってから、絢ちゃんと一緒にいる時間が格段に増えた。ようやく絢ちゃんとの夏休みが始まった感じ。
「遥香、ここ分かんない……」
「ええと、ここはね……」
私と絢ちゃんは互いの家に行き来して、一緒に夏休みの宿題をやっている。お盆過ぎに旅行に行く予定なので、その時期にはほとんど終わらせるのが目標。
「ああ、なるほどね! こうやって解くんだった。すっかり忘れてた」
「……2学期になって困らないように、夏休み中にしっかりと勉強しようね」
期末試験の勉強では赤点を取らないように、付け焼き刃でもいいから暗記物はとりあえず覚えさせて、数学や物理は公式を使って簡単な問題を解かせていた。だから、夏休みが始まってから2週間くらい経った今だともう忘れちゃうよね。
「遥香は頭いいなぁ」
「……ありがとう」
絢ちゃんに丁寧に教えていけば自然と覚えていくだけで。そういえば、中学生の時はお兄ちゃんによく勉強を教えてもらっていたっけ。
お兄ちゃんは前期の期末試験が終わってようやく夏休みに入ったらしい。お盆前には奈央ちゃんや大学のお友達と一緒に、東京の有明で開催される漫画やアニメのイベントに行くのだとか。
「ねえ、遥香。インターハイが終わってから、宿題ばかりやっているような気がするんだけれど、もしかして旅行に行くまでずっとこんな感じなの?」
「……絢ちゃんの頑張り次第かな?」
「よし、頑張ろう。終わったら遥香と一緒に海に行ったり、プールに行ったり、温泉に行ったり……ふふっ」
どうして、水関係の場所ばかりに行きたがるんだろう。夏だからかな。でも、やる気になってくれたのは嬉しい。
「じゃあ、頑張って早く宿題を終わらせて、色んな所に遊びに行こうね!」
「そうだね! じゃあ、全部教えて! むしろ写させて!」
「それはだめっ!」
まったく、絢ちゃんったら。これは厳しく教えていかないとダメだね。アメとムチをしっかりと使い分けないといけない。
「ほら、早くこの問題解きなさい!」
「何だか厳しくなってない!?」
「あとでご褒美をあげるから、今はしっかりと宿題をやりなさーい!」
「わ、分かった!」
さて、どうなることやら。
甘やかしちゃいけない。厳しくしていかないと……と思っていても、結局は甘くなってしまうかもしれない。心を鬼にしないと。
「遥香、ここ分かんないよぉ……」
涙目でこっちを見ないでくれるかな、絢ちゃん。私の手を掴まないでくれるかな。
「……しょうがないなぁ。教えるからしっかりと理解しようね」
これ以上、絢ちゃんにスキンシップをされたら勉強どころではなくなる。絢ちゃんはそれを狙っているのかもしれないけれど。
しっかりと課題をやって、しっかりと遊んで……楽しい夏休みにしていこう。
Fragrance 7-ナツノカオリ- おわり
次の話からFragrance 8-タビノカオリ-になります。
「遥香、ここ分かんない……」
「ええと、ここはね……」
私と絢ちゃんは互いの家に行き来して、一緒に夏休みの宿題をやっている。お盆過ぎに旅行に行く予定なので、その時期にはほとんど終わらせるのが目標。
「ああ、なるほどね! こうやって解くんだった。すっかり忘れてた」
「……2学期になって困らないように、夏休み中にしっかりと勉強しようね」
期末試験の勉強では赤点を取らないように、付け焼き刃でもいいから暗記物はとりあえず覚えさせて、数学や物理は公式を使って簡単な問題を解かせていた。だから、夏休みが始まってから2週間くらい経った今だともう忘れちゃうよね。
「遥香は頭いいなぁ」
「……ありがとう」
絢ちゃんに丁寧に教えていけば自然と覚えていくだけで。そういえば、中学生の時はお兄ちゃんによく勉強を教えてもらっていたっけ。
お兄ちゃんは前期の期末試験が終わってようやく夏休みに入ったらしい。お盆前には奈央ちゃんや大学のお友達と一緒に、東京の有明で開催される漫画やアニメのイベントに行くのだとか。
「ねえ、遥香。インターハイが終わってから、宿題ばかりやっているような気がするんだけれど、もしかして旅行に行くまでずっとこんな感じなの?」
「……絢ちゃんの頑張り次第かな?」
「よし、頑張ろう。終わったら遥香と一緒に海に行ったり、プールに行ったり、温泉に行ったり……ふふっ」
どうして、水関係の場所ばかりに行きたがるんだろう。夏だからかな。でも、やる気になってくれたのは嬉しい。
「じゃあ、頑張って早く宿題を終わらせて、色んな所に遊びに行こうね!」
「そうだね! じゃあ、全部教えて! むしろ写させて!」
「それはだめっ!」
まったく、絢ちゃんったら。これは厳しく教えていかないとダメだね。アメとムチをしっかりと使い分けないといけない。
「ほら、早くこの問題解きなさい!」
「何だか厳しくなってない!?」
「あとでご褒美をあげるから、今はしっかりと宿題をやりなさーい!」
「わ、分かった!」
さて、どうなることやら。
甘やかしちゃいけない。厳しくしていかないと……と思っていても、結局は甘くなってしまうかもしれない。心を鬼にしないと。
「遥香、ここ分かんないよぉ……」
涙目でこっちを見ないでくれるかな、絢ちゃん。私の手を掴まないでくれるかな。
「……しょうがないなぁ。教えるからしっかりと理解しようね」
これ以上、絢ちゃんにスキンシップをされたら勉強どころではなくなる。絢ちゃんはそれを狙っているのかもしれないけれど。
しっかりと課題をやって、しっかりと遊んで……楽しい夏休みにしていこう。
Fragrance 7-ナツノカオリ- おわり
次の話からFragrance 8-タビノカオリ-になります。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
ダメな君のそばには私
蓮水千夜
恋愛
ダメ男より私と付き合えばいいじゃない!
友人はダメ男ばかり引き寄せるダメ男ホイホイだった!?
職場の同僚で友人の陽奈と一緒にカフェに来ていた雪乃は、恋愛経験ゼロなのに何故か恋愛相談を持ちかけられて──!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる