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第22話『香奈がベッドに』
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香奈のペースに合わせ、俺達はゆっくりとした歩みで自宅に向かう。
平日の午前11時半頃だからだろうか。自宅周辺の住宅街はかなり静かだ。普段の登下校でもこんなに静かなことはない。今日はいつもと違った時間を過ごしているのだと実感する。
「遥翔先輩、ごめんなさい。あたしの気分が優れないせいで予定が変更になっちゃって」
申し訳なさそうな様子で俺を見上げながら、香奈はそう言ってくる。
「気にしないでいいさ。量はそれほどじゃないけど血を抜かれたんだぜ? 俺も採血中にクラッときた。人によっては、気分が悪い状態が続くことはあるよ。あと、あのときは嘘ついたけど、レントゲンの列で俺が瀬谷に肩を貸していたのは、実は採血で気分が悪くなっていたからだったんだ。俺達はレントゲンの一つ前が採血だったし。あと、瀬谷も香奈と同じで注射が苦手なんだよ」
「そうだったんですね」
「瀬谷のように、2回目でも気分が悪くなる奴もいるんだ。気にするな。あと、予定は変更になったけど、放課後に香奈と一緒にいられることは変わらないじゃないか。俺のベッドで休んで、気分が良くなったら俺の作った昼ご飯を食べる。そんな俺の提案を香奈は喜んで受け入れてくれた。それが俺は嬉しいよ」
「……そう言ってくれて、あたしも嬉しいです」
香奈はニコッと笑ってくれる。いつもほどの元気さはないけど、笑顔の可愛らしさは健在だ。顔色も昇降口前で会ったときよりも少しは良くなってきているように見える。
当初の予定とは変わったけど、香奈と一緒に俺の家での時間を楽しもう。提案したとき、香奈は俺の家でまたお家デートしたいって言ってくれたし。
「ところで、今はお家に誰かいらっしゃるのですか?」
「誰もいないよ。父親は仕事、千晴は学校。母さんも11時からパートが入ってる。帰ってくるのは夕方だよ」
「そうなんですね。では、遥翔先輩と2人きりですか。ドキドキしてきますね……」
香奈の頬がほんのり赤くなる。これまでお互いの家でお家デートをして、お互いの部屋では2人きりの時間を過ごした。でも、親が在宅していた。家全体で考えても2人きりの状況は今回が初めて。ドキドキすると香奈が言うのも分かる。
香奈のドキドキが本当であると示すように、香奈の体から心臓の鼓動がはっきり伝わってくる。
そういえば、俺……香奈に左腕を抱きしめられているんだよな。気分が優れない香奈を支えるためだから、これまでは気にならなかったけど、俺の左腕……香奈の温もりに包まれている。制服越しだけど、独特の柔らかな感触も感じられて。俺もちょっとドキドキしてきた。
「もしかして、あたしと2人きりになれるのも、家に誘ってくれた理由の一つですか?」
「ちょっとあるかな。2人きりだから、前のお家デートとは少し違った雰囲気になりそうだし。あと、俺と2人きりなら、香奈もあまり気を遣わずにゆっくり休めるかなと思って」
「なるほどです。嬉しいですね」
やんわりとした笑みを浮かべながら香奈はそう話す。
それから程なくして、俺の家に到着した。普段よりもゆっくりとした歩みだけど、香奈と話していたから時間がかかった感覚はなかった。
鍵を開けて、自宅の中に入る。
「さあ、どうぞ」
「お邪魔しますっ」
俺の家に入ったからか、今の香奈の声が元気さを感じられた。
香奈を俺の部屋に連れて行く。香奈の気分が良くないし、前回のお家デートのときに「よほど汚くなければ大丈夫」と香奈が言っていたので、前回のように部屋の前で待ってもらうことはしない。
「やっぱりいいですねぇ、遥翔先輩のお部屋。ローテーブルの上に漫画やラノベ、勉強机の上にノートや参考書が置いてあるくらいで、部屋の中綺麗ですね。普段はこんな感じですか?」
「そうだな」
「そうなんですね。このくらいなら全然気にならないですよ」
「……そうか」
それなら、次からも部屋の前で待ってもらう必要はないかな。
「軽くベッドメイクするから、ちょっと待ってて。荷物は適当な場所に置いてくれていいから」
「はい、分かりました」
俺はスクールバッグを勉強机の上に置き、ベッドメイクをする。シーツのしわを伸ばしたり、ぐちゃぐちゃになっている掛け布団をちゃんと敷き直したり。
「……よし、これでいいかな。香奈、寝ていいよ」
「ありがとうございます」
そう言う香奈はスカートとブラウス姿になっていた。ブラウスは第2ボタンまで外しており、裾はスカートから出している。ネクタイも外してある。
「どうしたんですか? あたしのことをじっと見て」
「今の姿の香奈が新鮮でいいなって」
「そういうことですか。このくらいの方がゆったりできるかなと思いまして」
「なるほどね。確かに、きちんと制服を着たままじゃ、横になってもあまりリラックスできないか」
「ふふっ。先輩さえ良ければ、今の私をスマホで撮ってもいいですよ?」
「……ありがとう。じゃあ、一枚。こんな状況だから」
俺はスマートフォンでブラウス姿の香奈の写真を撮影し、香奈をベッドで横にさせる。
香奈は仰向けの状態でベッドに横になる。俺が掛け布団を胸元まで掛けると「あぁ」と可愛らしい声を漏らす。
「遥翔先輩のベッド……ふかふかで気持ちいいです。先輩の匂いもしますし。最高ですっ」
「それは良かった」
「こうして横になっていれば、より早く気分が良くなりそうです」
「そうか。そう言ってくれると、提案した甲斐があったよ」
「ふふっ。ありがとうございます」
香奈は可愛らしい笑顔を見せてそう言ってくれる。少なくとも、精神的には普段と変わりないくらいに元気になっていそうだ。
俺はベッドの側で膝立ちし、香奈の頭を優しく撫でる。そのことで、シャンプーの甘い香りがふんわり香ってくる。
「遥翔先輩のベッドで横になって、先輩に頭を撫でられるなんて。幸せすぎて夢を見ているみたいです」
香奈は言葉通りに幸せな表情を見せてくれる。今の香奈を見ていると、風邪を引いて学校を休んだ千晴のように思えてくる。千晴もこうして頭を撫でると嬉しそうに笑ってくれるから。
「あっ、でも……夢じゃ嫌ですね。また採血しなきゃいけないかもしれないですし」
「それほどに嫌だったか」
「ええ。彩実に後ろにいてもらって、遥翔先輩の写真を表示させたスマホを見続けたので何とか乗り越えられました」
「そうだったんだ」
その状況が容易に想像できるな。
香奈は俺の方に体を向けて、それまで頭を撫でていた俺の左手を両手でそっと掴む。
「採血するまでにメッセージをくれましたし、採血を受けられたのは先輩のおかげでもあります。ありがとうございました」
「いえいえ。少しでも香奈の支えになって嬉しいよ」
「きっと、来年も先輩には支えてもらうことになるでしょうね」
そう言ってくれる香奈の笑みは大人っぽくて。また、ブラウスの第2ボタンまで開けているため、その隙間から、彼女の白くて綺麗なデコルテと胸の谷間がチラッと見えて。自分のベッドで横になっている状況もあり、いつもより艶やかさを感じられた。後輩だけど、年上の女性のように見える。
「あぁ、ベッド気持ちいいです。あと、遥翔先輩の匂いがするベッドで寝ていると、先輩の家に泊まったり、同棲したり、結婚生活を送ったりしている気分になります」
「結婚生活までいくか」
「だって、それほどに先輩のことが好きなんですもん」
俺のことを見つめながら香奈はそう言ってくる。
これまで、香奈は何度も「好き」を表明してきた。ただ、俺のベッドで寝ていて、俺の手を握られながらなので、今の「好き」には結構ドキッとして。体が熱くなっていくのが分かる。
「いつかは本当に一緒に住んで、同じベッドで遥翔先輩と一緒に寝たいですね」
「……そうか」
「ええ。ベッドも温かくて気持ちいいですけど、遥翔先輩の手も温かくて気持ちいいです。少しの間、握り続けてもいいですか?」
「もちろんさ」
「ありがとうございます」
嬉しそうにお礼を言うと、香奈は俺の左手を握る力を少し強くする。そのことで、香奈の両手の温もりがさらにはっきり伝わってきて。
それから少しの間、香奈に手を握られたまま今日の健康診断のことを中心に談笑するのであった。
平日の午前11時半頃だからだろうか。自宅周辺の住宅街はかなり静かだ。普段の登下校でもこんなに静かなことはない。今日はいつもと違った時間を過ごしているのだと実感する。
「遥翔先輩、ごめんなさい。あたしの気分が優れないせいで予定が変更になっちゃって」
申し訳なさそうな様子で俺を見上げながら、香奈はそう言ってくる。
「気にしないでいいさ。量はそれほどじゃないけど血を抜かれたんだぜ? 俺も採血中にクラッときた。人によっては、気分が悪い状態が続くことはあるよ。あと、あのときは嘘ついたけど、レントゲンの列で俺が瀬谷に肩を貸していたのは、実は採血で気分が悪くなっていたからだったんだ。俺達はレントゲンの一つ前が採血だったし。あと、瀬谷も香奈と同じで注射が苦手なんだよ」
「そうだったんですね」
「瀬谷のように、2回目でも気分が悪くなる奴もいるんだ。気にするな。あと、予定は変更になったけど、放課後に香奈と一緒にいられることは変わらないじゃないか。俺のベッドで休んで、気分が良くなったら俺の作った昼ご飯を食べる。そんな俺の提案を香奈は喜んで受け入れてくれた。それが俺は嬉しいよ」
「……そう言ってくれて、あたしも嬉しいです」
香奈はニコッと笑ってくれる。いつもほどの元気さはないけど、笑顔の可愛らしさは健在だ。顔色も昇降口前で会ったときよりも少しは良くなってきているように見える。
当初の予定とは変わったけど、香奈と一緒に俺の家での時間を楽しもう。提案したとき、香奈は俺の家でまたお家デートしたいって言ってくれたし。
「ところで、今はお家に誰かいらっしゃるのですか?」
「誰もいないよ。父親は仕事、千晴は学校。母さんも11時からパートが入ってる。帰ってくるのは夕方だよ」
「そうなんですね。では、遥翔先輩と2人きりですか。ドキドキしてきますね……」
香奈の頬がほんのり赤くなる。これまでお互いの家でお家デートをして、お互いの部屋では2人きりの時間を過ごした。でも、親が在宅していた。家全体で考えても2人きりの状況は今回が初めて。ドキドキすると香奈が言うのも分かる。
香奈のドキドキが本当であると示すように、香奈の体から心臓の鼓動がはっきり伝わってくる。
そういえば、俺……香奈に左腕を抱きしめられているんだよな。気分が優れない香奈を支えるためだから、これまでは気にならなかったけど、俺の左腕……香奈の温もりに包まれている。制服越しだけど、独特の柔らかな感触も感じられて。俺もちょっとドキドキしてきた。
「もしかして、あたしと2人きりになれるのも、家に誘ってくれた理由の一つですか?」
「ちょっとあるかな。2人きりだから、前のお家デートとは少し違った雰囲気になりそうだし。あと、俺と2人きりなら、香奈もあまり気を遣わずにゆっくり休めるかなと思って」
「なるほどです。嬉しいですね」
やんわりとした笑みを浮かべながら香奈はそう話す。
それから程なくして、俺の家に到着した。普段よりもゆっくりとした歩みだけど、香奈と話していたから時間がかかった感覚はなかった。
鍵を開けて、自宅の中に入る。
「さあ、どうぞ」
「お邪魔しますっ」
俺の家に入ったからか、今の香奈の声が元気さを感じられた。
香奈を俺の部屋に連れて行く。香奈の気分が良くないし、前回のお家デートのときに「よほど汚くなければ大丈夫」と香奈が言っていたので、前回のように部屋の前で待ってもらうことはしない。
「やっぱりいいですねぇ、遥翔先輩のお部屋。ローテーブルの上に漫画やラノベ、勉強机の上にノートや参考書が置いてあるくらいで、部屋の中綺麗ですね。普段はこんな感じですか?」
「そうだな」
「そうなんですね。このくらいなら全然気にならないですよ」
「……そうか」
それなら、次からも部屋の前で待ってもらう必要はないかな。
「軽くベッドメイクするから、ちょっと待ってて。荷物は適当な場所に置いてくれていいから」
「はい、分かりました」
俺はスクールバッグを勉強机の上に置き、ベッドメイクをする。シーツのしわを伸ばしたり、ぐちゃぐちゃになっている掛け布団をちゃんと敷き直したり。
「……よし、これでいいかな。香奈、寝ていいよ」
「ありがとうございます」
そう言う香奈はスカートとブラウス姿になっていた。ブラウスは第2ボタンまで外しており、裾はスカートから出している。ネクタイも外してある。
「どうしたんですか? あたしのことをじっと見て」
「今の姿の香奈が新鮮でいいなって」
「そういうことですか。このくらいの方がゆったりできるかなと思いまして」
「なるほどね。確かに、きちんと制服を着たままじゃ、横になってもあまりリラックスできないか」
「ふふっ。先輩さえ良ければ、今の私をスマホで撮ってもいいですよ?」
「……ありがとう。じゃあ、一枚。こんな状況だから」
俺はスマートフォンでブラウス姿の香奈の写真を撮影し、香奈をベッドで横にさせる。
香奈は仰向けの状態でベッドに横になる。俺が掛け布団を胸元まで掛けると「あぁ」と可愛らしい声を漏らす。
「遥翔先輩のベッド……ふかふかで気持ちいいです。先輩の匂いもしますし。最高ですっ」
「それは良かった」
「こうして横になっていれば、より早く気分が良くなりそうです」
「そうか。そう言ってくれると、提案した甲斐があったよ」
「ふふっ。ありがとうございます」
香奈は可愛らしい笑顔を見せてそう言ってくれる。少なくとも、精神的には普段と変わりないくらいに元気になっていそうだ。
俺はベッドの側で膝立ちし、香奈の頭を優しく撫でる。そのことで、シャンプーの甘い香りがふんわり香ってくる。
「遥翔先輩のベッドで横になって、先輩に頭を撫でられるなんて。幸せすぎて夢を見ているみたいです」
香奈は言葉通りに幸せな表情を見せてくれる。今の香奈を見ていると、風邪を引いて学校を休んだ千晴のように思えてくる。千晴もこうして頭を撫でると嬉しそうに笑ってくれるから。
「あっ、でも……夢じゃ嫌ですね。また採血しなきゃいけないかもしれないですし」
「それほどに嫌だったか」
「ええ。彩実に後ろにいてもらって、遥翔先輩の写真を表示させたスマホを見続けたので何とか乗り越えられました」
「そうだったんだ」
その状況が容易に想像できるな。
香奈は俺の方に体を向けて、それまで頭を撫でていた俺の左手を両手でそっと掴む。
「採血するまでにメッセージをくれましたし、採血を受けられたのは先輩のおかげでもあります。ありがとうございました」
「いえいえ。少しでも香奈の支えになって嬉しいよ」
「きっと、来年も先輩には支えてもらうことになるでしょうね」
そう言ってくれる香奈の笑みは大人っぽくて。また、ブラウスの第2ボタンまで開けているため、その隙間から、彼女の白くて綺麗なデコルテと胸の谷間がチラッと見えて。自分のベッドで横になっている状況もあり、いつもより艶やかさを感じられた。後輩だけど、年上の女性のように見える。
「あぁ、ベッド気持ちいいです。あと、遥翔先輩の匂いがするベッドで寝ていると、先輩の家に泊まったり、同棲したり、結婚生活を送ったりしている気分になります」
「結婚生活までいくか」
「だって、それほどに先輩のことが好きなんですもん」
俺のことを見つめながら香奈はそう言ってくる。
これまで、香奈は何度も「好き」を表明してきた。ただ、俺のベッドで寝ていて、俺の手を握られながらなので、今の「好き」には結構ドキッとして。体が熱くなっていくのが分かる。
「いつかは本当に一緒に住んで、同じベッドで遥翔先輩と一緒に寝たいですね」
「……そうか」
「ええ。ベッドも温かくて気持ちいいですけど、遥翔先輩の手も温かくて気持ちいいです。少しの間、握り続けてもいいですか?」
「もちろんさ」
「ありがとうございます」
嬉しそうにお礼を言うと、香奈は俺の左手を握る力を少し強くする。そのことで、香奈の両手の温もりがさらにはっきり伝わってきて。
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