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プロローグ『告白と告白』
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『あなたを振った人とは正反対なあたしでも恋人にしてくれますか?』
「望月のことが好きです。俺と恋人として付き合ってくれますか?」
高校2年の4月。
俺・空岡遥翔は人生初の告白をした。
告白の相手は同級生の女子の望月沙樹。去年は同じクラスで、今年は別々のクラスだ。
高校に入学して同じクラスになった当初は、顔立ちや長い黒髪が綺麗で、スタイルが良く、大人しい雰囲気の女子だな……くらいにしか思わなかった。
それからは教室で挨拶したり、バイトしているファミレスでたまに接客したり。それでも、勉強する姿や読書する姿、趣味で小説を書く姿も様になっていると感じる程度だった。
ただ、2学期になって、席替えで初めて望月と隣同士の席になった。そのことで、彼女と話すことが増えて。他愛のない会話をする中で見せる柔和な笑顔や、可愛らしい笑い声、お淑やかで穏やかな性格などに段々惹かれていったのだ。
気づけば、望月に恋をしていた。それは俺にとって初めての恋だ。
半年ほど恋心を抱き続けているけど、今まで告白しようと踏み出せなかった。望月はこれまでたくさん告白されたけど、全て振っている。だから、俺も告白したらフラれるんじゃないかと怖くて。
告白できぬまま高校1年が終わり、2年に進級した。
しかし、望月とは別のクラスになってしまった。
隣同士のクラスだけど、望月と気持ち的にとても離れてしまった感じがしたのだ。
望月と一緒にいたい。
望月と一緒に笑い合いながら話したい。
そんな想いを強く抱くようになり、告白しようと決めたのだ。
そこからなかなか勇気が出ずにいたけど、決意してから1週間ほど経った今日、告白するに至った。
「どう……かな」
告白の言葉を言ったときよりもやや小さめの声で、望月にそう問いかける。
勇気を出して告白したから、全身が凄く熱い。きっと、顔が赤くなっているんだろうな。
心臓の鼓動もかなり激しくなっていて。望月に聞こえてしまうんじゃないかと思うくらいに、ドクンドクンと脈打つ。
望月は真剣な様子で俺の目を見ていたが、顔を少し下げてちらつかせる。顔を少し下げたとき、前髪に付けられている三日月のヘアピンがキラリと光った。俺から告白されて、彼女はどんな気持ちを抱いているのだろう。
俺達の中での無言の時間が少し続き、
「ごめんなさい」
そう言うと、望月は視線を再び俺の目に向ける。
「気持ちは嬉しいし、去年、一緒のクラスで話したり、ファミレスで接客してもらったりしていい人だとは思ってる。だけど、お付き合い……できません」
本当にごめんなさい、と望月は深く頭を下げた。そんな彼女を見て、それまで体を包んでいた強い熱が一瞬にして消え去っていき、激しかった鼓動も急激に弱くなっていくのが分かった。
――フラれたんだ、俺。
その現実を自覚した瞬間、とてつもなく辛くなって。望月に頭を下げさせてしまったこともあり、胸が凄く苦しくなる。
「……そっか。分かった」
言葉に出すと、フラれた辛さが増していく。
望月は顔をゆっくり上げる。俺を振ったからだろうか。彼女は申し訳なさそうな様子で俺を見つめている。
「俺の気持ちを聞いてくれて、返事をしてくれてありがとう」
「……うん」
望月の小さな返事を聞き、俺は彼女の元から立ち去る。ただ、その一歩一歩が物凄く重い。
こうして、俺の初恋は静かに終わった。
家に帰ろうと思ったけど、フラれたことで体から力が抜けてしまい、家まで歩く元気が出ない。なので、学校近くの公園のベンチで休むことに。
ベンチに腰を下ろすと、体がほんの少し楽になる。体力がある程度戻るまではここで休もう。
「フラれた……」
数分ほど前の事実を呟き、はああっ……と長くため息をつく。気づけば項垂れる体勢になっていた。
これまで、望月は全ての告白を振ってきた。その難攻不落ぶりは分かっていたので、告白が成功するのは難しいと覚悟していた。ただ、実際にフラれてしまうと本当にショックだ。
「……バイトなくて良かった」
こんな状態じゃ、接客の仕事なんてまともにできないだろうから。
――ガタン。
そんな音が聞こえたので周りを見ると、ベンチの近くにある自動販売機で小学生くらいの男の子がコーラを買っていた。
「コーヒーでも買うか」
缶コーヒーは好きだし、コーヒーの苦味で気持ちを落ち着かせよう。
男の子が立ち去ったのを確認して、俺は自動販売機へ。
自動販売機には俺の大好きなブラックのボトル缶コーヒーが売られている。俺はそれを購入し、ベンチに戻る。
ボトル缶コーヒーの蓋を開けると、コーヒーの芳醇な香りがしてくる。そのことでちょっと気分が落ち着く。コーヒーを一口飲む……のだが、
「……うわあっ、苦い」
苦味が強いのが好きで、このボトル缶コーヒーはよく飲んでいるのに。その苦味が今はやけに強く感じて、ちょっと嫌に思ってしまうほどだ。このまま飲み続けたら、この缶コーヒーを嫌いになってしまうかも。失恋のショックは自分の想像以上に深いようだ。
ボトル缶コーヒーをバッグに入れて、再び項垂れる体勢に。
好きなコーヒーの味が嫌だと思ってしまうなんて。目頭が熱くなってきたとき、
「空岡先輩」
すぐ近くから、女の子の可愛らしい声が聞こえた。俺の名前を呼ぶけど、こんな声の知り合いはいただろうか?
ゆっくり顔を上げると、俺の目の前には明るい茶髪のショートボブが印象的な女の子が立っていた。目がくりっとしていて、可愛らしい顔立ちの子だ。俺と目が合うと、女の子はニッコリ笑う。
落ち着いた茶色いジャケットに黒のチェック柄のスカート……ってことは、俺と同じ神奈川県立梨本高校の生徒か。ストライプ柄のネクタイの色が赤だから、彼女は1年生か。
そういえば、この子……今朝、昇降口前で男子に告白されていたな。ただ、学校以外でも最近どこかで見た気がする。
「俺に……何か? あと、君は……」
「あたし、1年7組の陽川香奈といいます」
「陽川……香奈……」
初めて聞く名前だ。学校の友達やバイト先の人から、陽川って名字も聞いたこともない。
「どうして、陽川は俺の名前を知っているんだ?」
「もう忘れてしまいましたか? 先週の土曜日、先輩がバイトしているザストで、あたしの財布を拾って渡してくれたじゃないですか」
「……思い出した」
最近、学校以外で見たことがあると思っていたけど、その理由はこれだったのか。
陽川がお店を出て行った直後、会計の近くで財布を拾った。10分くらい経って、お店に戻ってきた陽川に財布を渡したんだ。陽川はほっとした様子で俺にお礼を言ってくれたっけ。
ちなみに、ザストというのは俺がバイトしているファミリーレストランのことだ。
「あのときの子か。私服姿だったし、土曜日もたくさん接客していたから、すぐに思い出せなかったよ」
「そうでしたか。あのときはありがとうございました。お財布をなくしたことが分かったとき、凄く不安になって。落としたならザストだろうと思って戻ったら、そこにはお財布を拾っていた先輩がいまして。先輩がお財布を渡してくれたとき、本当に安心しました」
「それは良かった」
「ちなみに、財布を受け取ったときに名札を見たんです」
「なるほど」
バイトの制服の胸ポケットに、名字が書かれた名札を付けるからな。あと、俺の学校の制服のネクタイの色が青だから、陽川は俺が上級生だと分かったのだろう。ネクタイの色は学年で違うから。ちなみに、3年生は緑色。
陽川のおかげで、気持ちがちょっと軽くなった。
「陽川は俺が梨本高校の先輩だって分かったから、改めてお礼を言いにきてくれたのか? 財布は大切なものだし」
「それもありますけど……他にも空岡先輩に伝えたいことがありまして」
「他にも?」
「はい」
しっかり返事して、小さく頷く陽川。
一度、長めに息を吐くと、陽川は真剣な表情をして俺のことを見つめてくる。そんな彼女の頬がほんのり赤らんでいて。
「空岡先輩に対する想いです。あたし……空岡先輩のことが好きです」
「望月のことが好きです。俺と恋人として付き合ってくれますか?」
高校2年の4月。
俺・空岡遥翔は人生初の告白をした。
告白の相手は同級生の女子の望月沙樹。去年は同じクラスで、今年は別々のクラスだ。
高校に入学して同じクラスになった当初は、顔立ちや長い黒髪が綺麗で、スタイルが良く、大人しい雰囲気の女子だな……くらいにしか思わなかった。
それからは教室で挨拶したり、バイトしているファミレスでたまに接客したり。それでも、勉強する姿や読書する姿、趣味で小説を書く姿も様になっていると感じる程度だった。
ただ、2学期になって、席替えで初めて望月と隣同士の席になった。そのことで、彼女と話すことが増えて。他愛のない会話をする中で見せる柔和な笑顔や、可愛らしい笑い声、お淑やかで穏やかな性格などに段々惹かれていったのだ。
気づけば、望月に恋をしていた。それは俺にとって初めての恋だ。
半年ほど恋心を抱き続けているけど、今まで告白しようと踏み出せなかった。望月はこれまでたくさん告白されたけど、全て振っている。だから、俺も告白したらフラれるんじゃないかと怖くて。
告白できぬまま高校1年が終わり、2年に進級した。
しかし、望月とは別のクラスになってしまった。
隣同士のクラスだけど、望月と気持ち的にとても離れてしまった感じがしたのだ。
望月と一緒にいたい。
望月と一緒に笑い合いながら話したい。
そんな想いを強く抱くようになり、告白しようと決めたのだ。
そこからなかなか勇気が出ずにいたけど、決意してから1週間ほど経った今日、告白するに至った。
「どう……かな」
告白の言葉を言ったときよりもやや小さめの声で、望月にそう問いかける。
勇気を出して告白したから、全身が凄く熱い。きっと、顔が赤くなっているんだろうな。
心臓の鼓動もかなり激しくなっていて。望月に聞こえてしまうんじゃないかと思うくらいに、ドクンドクンと脈打つ。
望月は真剣な様子で俺の目を見ていたが、顔を少し下げてちらつかせる。顔を少し下げたとき、前髪に付けられている三日月のヘアピンがキラリと光った。俺から告白されて、彼女はどんな気持ちを抱いているのだろう。
俺達の中での無言の時間が少し続き、
「ごめんなさい」
そう言うと、望月は視線を再び俺の目に向ける。
「気持ちは嬉しいし、去年、一緒のクラスで話したり、ファミレスで接客してもらったりしていい人だとは思ってる。だけど、お付き合い……できません」
本当にごめんなさい、と望月は深く頭を下げた。そんな彼女を見て、それまで体を包んでいた強い熱が一瞬にして消え去っていき、激しかった鼓動も急激に弱くなっていくのが分かった。
――フラれたんだ、俺。
その現実を自覚した瞬間、とてつもなく辛くなって。望月に頭を下げさせてしまったこともあり、胸が凄く苦しくなる。
「……そっか。分かった」
言葉に出すと、フラれた辛さが増していく。
望月は顔をゆっくり上げる。俺を振ったからだろうか。彼女は申し訳なさそうな様子で俺を見つめている。
「俺の気持ちを聞いてくれて、返事をしてくれてありがとう」
「……うん」
望月の小さな返事を聞き、俺は彼女の元から立ち去る。ただ、その一歩一歩が物凄く重い。
こうして、俺の初恋は静かに終わった。
家に帰ろうと思ったけど、フラれたことで体から力が抜けてしまい、家まで歩く元気が出ない。なので、学校近くの公園のベンチで休むことに。
ベンチに腰を下ろすと、体がほんの少し楽になる。体力がある程度戻るまではここで休もう。
「フラれた……」
数分ほど前の事実を呟き、はああっ……と長くため息をつく。気づけば項垂れる体勢になっていた。
これまで、望月は全ての告白を振ってきた。その難攻不落ぶりは分かっていたので、告白が成功するのは難しいと覚悟していた。ただ、実際にフラれてしまうと本当にショックだ。
「……バイトなくて良かった」
こんな状態じゃ、接客の仕事なんてまともにできないだろうから。
――ガタン。
そんな音が聞こえたので周りを見ると、ベンチの近くにある自動販売機で小学生くらいの男の子がコーラを買っていた。
「コーヒーでも買うか」
缶コーヒーは好きだし、コーヒーの苦味で気持ちを落ち着かせよう。
男の子が立ち去ったのを確認して、俺は自動販売機へ。
自動販売機には俺の大好きなブラックのボトル缶コーヒーが売られている。俺はそれを購入し、ベンチに戻る。
ボトル缶コーヒーの蓋を開けると、コーヒーの芳醇な香りがしてくる。そのことでちょっと気分が落ち着く。コーヒーを一口飲む……のだが、
「……うわあっ、苦い」
苦味が強いのが好きで、このボトル缶コーヒーはよく飲んでいるのに。その苦味が今はやけに強く感じて、ちょっと嫌に思ってしまうほどだ。このまま飲み続けたら、この缶コーヒーを嫌いになってしまうかも。失恋のショックは自分の想像以上に深いようだ。
ボトル缶コーヒーをバッグに入れて、再び項垂れる体勢に。
好きなコーヒーの味が嫌だと思ってしまうなんて。目頭が熱くなってきたとき、
「空岡先輩」
すぐ近くから、女の子の可愛らしい声が聞こえた。俺の名前を呼ぶけど、こんな声の知り合いはいただろうか?
ゆっくり顔を上げると、俺の目の前には明るい茶髪のショートボブが印象的な女の子が立っていた。目がくりっとしていて、可愛らしい顔立ちの子だ。俺と目が合うと、女の子はニッコリ笑う。
落ち着いた茶色いジャケットに黒のチェック柄のスカート……ってことは、俺と同じ神奈川県立梨本高校の生徒か。ストライプ柄のネクタイの色が赤だから、彼女は1年生か。
そういえば、この子……今朝、昇降口前で男子に告白されていたな。ただ、学校以外でも最近どこかで見た気がする。
「俺に……何か? あと、君は……」
「あたし、1年7組の陽川香奈といいます」
「陽川……香奈……」
初めて聞く名前だ。学校の友達やバイト先の人から、陽川って名字も聞いたこともない。
「どうして、陽川は俺の名前を知っているんだ?」
「もう忘れてしまいましたか? 先週の土曜日、先輩がバイトしているザストで、あたしの財布を拾って渡してくれたじゃないですか」
「……思い出した」
最近、学校以外で見たことがあると思っていたけど、その理由はこれだったのか。
陽川がお店を出て行った直後、会計の近くで財布を拾った。10分くらい経って、お店に戻ってきた陽川に財布を渡したんだ。陽川はほっとした様子で俺にお礼を言ってくれたっけ。
ちなみに、ザストというのは俺がバイトしているファミリーレストランのことだ。
「あのときの子か。私服姿だったし、土曜日もたくさん接客していたから、すぐに思い出せなかったよ」
「そうでしたか。あのときはありがとうございました。お財布をなくしたことが分かったとき、凄く不安になって。落としたならザストだろうと思って戻ったら、そこにはお財布を拾っていた先輩がいまして。先輩がお財布を渡してくれたとき、本当に安心しました」
「それは良かった」
「ちなみに、財布を受け取ったときに名札を見たんです」
「なるほど」
バイトの制服の胸ポケットに、名字が書かれた名札を付けるからな。あと、俺の学校の制服のネクタイの色が青だから、陽川は俺が上級生だと分かったのだろう。ネクタイの色は学年で違うから。ちなみに、3年生は緑色。
陽川のおかげで、気持ちがちょっと軽くなった。
「陽川は俺が梨本高校の先輩だって分かったから、改めてお礼を言いにきてくれたのか? 財布は大切なものだし」
「それもありますけど……他にも空岡先輩に伝えたいことがありまして」
「他にも?」
「はい」
しっかり返事して、小さく頷く陽川。
一度、長めに息を吐くと、陽川は真剣な表情をして俺のことを見つめてくる。そんな彼女の頬がほんのり赤らんでいて。
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