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2学期編2
第12話『旅行気分なお家デート-前編-』
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9月11日、水曜日。
今日も俺は結衣達と一緒に学校生活を送っていく。
昨日から引き続き、旅行中の芹花姉さんからメッセージや写真が何度か送られてくる。だから、授業の合間の10分休みや昼休みには、結衣達が姉さんから何か来ていないかと確認しに来るのが恒例になって。
芹花姉さんはサークルのみなさんと一緒に小樽の方へ観光しに行ったり、ソフトクリームなどのスイーツを楽しんだり、昼食には全員でジンギスカンを食べたりするなどして今日も旅行を満喫しているようだ。
今日は完全に俺と会えないけど、芹花姉さんが旅行を楽しめていると分かって嬉しい。それも一つの励みに、今日の授業を受けていった。
放課後。
今日は結衣も俺も部活やバイトなどの予定がないので、放課後デートをする予定になっている。
今週は結衣のいる班が教室の掃除当番なので、今は廊下で結衣のことを待っている。アルバムに保存した芹花姉さんの写真を見ながら。北海道のグルメとか観光地とかの写真もあるので、写真を見るだけでちょっとした旅行気分になれる。
「お待たせ、悠真君」
気付けば、俺のすぐ側にスクールバッグを持った結衣がいた。芹花姉さんからの写真を見るのに集中していたので、結衣の顔を見ると思わず「おっ!」と甲高い声が漏れてしまった。その反応が面白かったのか、結衣はクスッと笑う。
「ビックリしちゃった?」
「ちょっとな。昨日から送られてきてる姉さんからの写真を見るのに夢中になってて」
「ふふっ、そうだったんだ」
「芹花ちゃん、北海道へ旅行に行っているんだよね。結衣ちゃんから聞いたし、芹花ちゃんからもお土産買ってきますってメッセージが来たよ」
福王寺先生がそう言って俺達のところにやってくる。先生の顔には柔らかい笑みが浮かんでいて。先生は、2学期からは学校でも自然体で振る舞っていこうと決めた。今のところ、生徒達からの評判はかなりいい。
芹花姉さんは先生にお土産買ってくるとメッセージを送ったのか。プライベートでも親交があるし、夏休みには一緒に旅行に行った仲だからな。
「そうですか。友人中心にサークルのみなさんと一緒に旅行を満喫しているようです」
そう言い、俺は福王寺先生にアルバムに保存された写真を何枚か見せる。先生は笑顔で「へぇ~」と声を漏らす。そんな姿も可愛らしい。
「楽しそうね! あと、観光地の写真を見ると、大学時代に友達と北海道旅行に行ったのを思い出すよ」
「福王寺先生は北海道へ旅行されたことがあるんですか」
「うん。今くらいの時期に、友達と4人で数日間ね。レンタカーを借りて、交代しながら運転して、北海道にある色々な観光地に行ったり、グルメを楽しんだりしたわ」
「素敵ですね!」
「そうだな、結衣。北海道は広いですから、そういう旅の仕方も良さそうですね」
「そう言ってくれて嬉しいわ。楽しかったなぁ」
そのときのことを思い出しているのか、福王寺先生の笑顔が柔らかいものになる。学生時代の北海道旅行が本当に楽しかったのだと分かる。
芹花姉さんも今の福王寺先生のように、大人になったときに笑顔で「楽しかった」と言えるような旅行になるといいな。写真を見る限りではそうなる可能性は高そうだ。
「悠真君。そろそろ行こうか。私達、これからデートで」
「ふふっ、そうなの。いいわね。楽しんでらっしゃい。また明日ね」
「はいっ、また明日です!」
「また明日。さようなら、福王寺先生」
俺達は福王寺先生に軽く頭を下げ、手を繋いで昇降口へと向かい始める。
「結衣。今日のデートはどうしようか。どこか行きたい場所はある?」
「……私、お家デートしたいな。この前の週末は人がいっぱいいるドームタウンに遊園地デートしに行ったから、2人きりでゆっくりしたいなって。どうかな?」
「いいな。結衣と2人きりでいるの好きだし。じゃあ、お家デートしよう」
「ありがとう!」
自分のお願いが通ったからか、結衣は凄く嬉しそうにする。可愛いな。
「2人きりでゆっくりしたいなら、俺の家にするか? 姉さんは旅行中だし、父さんは仕事、母さんは6時までパートだから。お家デートは部屋で2人になれるけど、家の人がいない方がより2人きりになれるから」
「そうだねっ。じゃあ、悠真君の家でお家デート決定!」
持ち前の明るくニッコリとした笑顔で結衣はそう言った。今日のお家デートも結衣と一緒に楽しい時間を過ごしたい。
それから程なくして昇降口に到着し、俺達は上履きからローファーに履き替える。
校舎を出て、俺は結衣と一緒に帰路に就く。
9月も中旬になったけど、日差しを直接浴びるとまだまだ暑いな。半袖のワイシャツを着てもいい夏服期間で良かった。
「午後だけど、晴れているから結構暑いね」
「そうだな。今日の最高気温は30度予想だし。姉さんが行っている北海道は涼しいんだろうなぁ」
「涼しそうだよね。ちょっと調べてみよっと」
結衣はバッグからスマホを取り出して、北海道の今日の最高気温を調べていく。
「札幌の最高気温は21度だって」
「21度か。過ごしやすい気温だな」
「いいよね。夏休みシーズンが終わったのもあるけど、過ごしやすさもあってお姉様のいるサークルは旅先を北海道にしたかもね。学生時代の杏樹先生も」
「そうかもな」
いつか、俺達が北海道を旅行するときには9月に行くのがいいかもしれない。ただ、9月だと高校生のうちや社会人になってからはお休みを取るのが難しいから、長期休暇になっている大学生のときに行くのが良さそうだ。
「ねえ、悠真君。暑いから、コンビニでアイスクリームかソフトクリームを買わない?」
「おっ、いいな」
「うんっ。それに、お姉様もソフトクリームを食べたそうだし、ちょっと北海道旅行気分に浸りたいのもあって」
「ははっ、そっか。じゃあ、家の近くにあるコンビニに寄るか」
「うんっ!」
それから、俺達は自宅の方に向かって歩いていく。
途中、自宅に一番近いコンビニで立ち寄り、俺はチョコレートソフトクリーム、結衣はバニラミルクソフトクリームを購入する。ちなみに、どちらも北海道産の牛乳を使っているので、これを食べれば北海道旅行の気分になれそうだ。
コンビニを後にして、俺は結衣と一緒に帰宅する。
家には誰もいないので、家の中はとても静かだ。ただ、俺の家で2人きりだからか、結衣は結構嬉しそうで。
結衣と一緒に2階にある俺の部屋に行く。晴れていて部屋の中が暑くなっているので、エアコンをかける。
「結衣、荷物は適当な場所に置いておいてくれ」
「うん、分かった」
「何か飲み物でも持ってくるか?」
「ソフトクリームがあるからいいや。ありがとう」
「いえいえ。じゃあ、溶けないうちに、さっそくソフトクリームを食べるか」
「うんっ、そうしよう!」
俺はスクールバッグを勉強机の上に置き、ローテーブルの周りに置かれているクッションに座る。結衣と隣同士で、体が軽く触れるくらいに寄り添って。
チョコソフトクリームのカップの蓋を開けると……美味しそうだ。結衣のソフトクリームも。
結衣の提案で、ソフトクリームを食べる前に、結衣のスマホでソフトクリームを持つ俺達の自撮り写真を撮った。その写真はLIMEで送ってもらった。
「写真ありがとう」
「いえいえ。これも思い出の一つってことで。じゃあ、食べようか」
「ああ。いただきます」
「いただきまーす!」
俺はチョコソフトクリームを一口食べる。
チョコソフトが口の中に入った瞬間、冷たさと一緒にミルクとチョコの濃厚な甘みが口の中に広がっていって。チョコは苦みもちょっとあるから、さっぱりとしている。ソフトクリームとしては少し固めだけど、それが満足感に繋がる。
「うん、美味しい」
「良かったね! ソフトクリームも甘くて美味しいよ!」
明るい笑顔でそう言うと、結衣はソフトクリームをもう一口。美味しいのか「ん~っ!」と可愛らしい声を漏らして。本当に可愛いなぁ。
結衣を見ながらチョコソフトクリームを食べると、一口目よりも甘みが強く感じられた。
「ほんと美味しい。北海道の牛乳を使ってるから、北海道旅行気分になれるよ」
「そうだな。部屋も涼しくなってきたし」
「ふふっ、そうだね」
「あと、コンビニで買ったものを部屋で食べてることでも旅行気分になれるなぁ」
「そうだねっ。夏休みに行った伊豆旅行では、旅館の近くのコンビニで買ったお菓子を部屋で食べたもんね」
「そうだな。ああいうときに食べたり飲んだりするものって美味しいよな。もちろん、今食べているソフトクリームも美味しいけど」
「旅行中っていう非日常とか特別感があるからかな」
「それは言えてるかもな」
とても美味しくさせるスパイスなのかもしれない。旅行中に飲んだ缶コーヒーは今までも飲んだことがあるものだったけど、あのときは特に美味しかったことを覚えている。
「悠真君。私のソフトクリーム一口食べる?」
「おっ、ありがとう。いただくよ。じゃあ、俺のチョコソフトも一口あげるよ」
「ありがとう! じゃあ、同時に食べさせようか」
「ああ」
違うソフトクリームを買ったから、一口交換する展開になったか。もう恒例と言っていいかな。
俺達は自分の持っているソフトクリームを相手の口元までもっていく。
「はい、悠真君。あ~ん」
「結衣もあーん」
「あ~ん」
俺達は自分のソフトクリームを食べさせ合う。
結衣のバニラミルクソフトクリームを一口食べる。チョコソフトがさっぱりしていたのもあって、結構甘く感じる。ただ、ミルクの濃厚な甘みとバニラの香りが良く、こちらのソフトクリームもとても美味しい。
チョコソフトクリームも美味しいのか、結衣は笑顔でモグモグと食べている。食べさせたのもあってとても可愛く見える。
「チョコソフトも美味しいね! チョコの苦みがあるからさっぱりしてて」
「美味いよな。バニラミルクソフトも美味しいな。チョコソフトを食べた後だから結構甘く感じるよ」
「ふふっ、そっか。甘くて美味しいよね。チョコソフトありがとう」
「こちらこそありがとう」
その後はソフトクリームやアイスクリームのこと、芹花姉さんが旅行中なのもあり、これまで旅先で食べたスイーツのことを話しながらソフトクリームを食べていった。
今はお互いに制服姿だから、修学旅行の旅先でスイーツを楽しんでいる感覚にもなって。実際に2年生のときに行く修学旅行では、結衣達と一緒にスイーツを楽しみたい。ソフトクリームを美味しそうにモグモグ食べている結衣を見ながらそう思った。
今日も俺は結衣達と一緒に学校生活を送っていく。
昨日から引き続き、旅行中の芹花姉さんからメッセージや写真が何度か送られてくる。だから、授業の合間の10分休みや昼休みには、結衣達が姉さんから何か来ていないかと確認しに来るのが恒例になって。
芹花姉さんはサークルのみなさんと一緒に小樽の方へ観光しに行ったり、ソフトクリームなどのスイーツを楽しんだり、昼食には全員でジンギスカンを食べたりするなどして今日も旅行を満喫しているようだ。
今日は完全に俺と会えないけど、芹花姉さんが旅行を楽しめていると分かって嬉しい。それも一つの励みに、今日の授業を受けていった。
放課後。
今日は結衣も俺も部活やバイトなどの予定がないので、放課後デートをする予定になっている。
今週は結衣のいる班が教室の掃除当番なので、今は廊下で結衣のことを待っている。アルバムに保存した芹花姉さんの写真を見ながら。北海道のグルメとか観光地とかの写真もあるので、写真を見るだけでちょっとした旅行気分になれる。
「お待たせ、悠真君」
気付けば、俺のすぐ側にスクールバッグを持った結衣がいた。芹花姉さんからの写真を見るのに集中していたので、結衣の顔を見ると思わず「おっ!」と甲高い声が漏れてしまった。その反応が面白かったのか、結衣はクスッと笑う。
「ビックリしちゃった?」
「ちょっとな。昨日から送られてきてる姉さんからの写真を見るのに夢中になってて」
「ふふっ、そうだったんだ」
「芹花ちゃん、北海道へ旅行に行っているんだよね。結衣ちゃんから聞いたし、芹花ちゃんからもお土産買ってきますってメッセージが来たよ」
福王寺先生がそう言って俺達のところにやってくる。先生の顔には柔らかい笑みが浮かんでいて。先生は、2学期からは学校でも自然体で振る舞っていこうと決めた。今のところ、生徒達からの評判はかなりいい。
芹花姉さんは先生にお土産買ってくるとメッセージを送ったのか。プライベートでも親交があるし、夏休みには一緒に旅行に行った仲だからな。
「そうですか。友人中心にサークルのみなさんと一緒に旅行を満喫しているようです」
そう言い、俺は福王寺先生にアルバムに保存された写真を何枚か見せる。先生は笑顔で「へぇ~」と声を漏らす。そんな姿も可愛らしい。
「楽しそうね! あと、観光地の写真を見ると、大学時代に友達と北海道旅行に行ったのを思い出すよ」
「福王寺先生は北海道へ旅行されたことがあるんですか」
「うん。今くらいの時期に、友達と4人で数日間ね。レンタカーを借りて、交代しながら運転して、北海道にある色々な観光地に行ったり、グルメを楽しんだりしたわ」
「素敵ですね!」
「そうだな、結衣。北海道は広いですから、そういう旅の仕方も良さそうですね」
「そう言ってくれて嬉しいわ。楽しかったなぁ」
そのときのことを思い出しているのか、福王寺先生の笑顔が柔らかいものになる。学生時代の北海道旅行が本当に楽しかったのだと分かる。
芹花姉さんも今の福王寺先生のように、大人になったときに笑顔で「楽しかった」と言えるような旅行になるといいな。写真を見る限りではそうなる可能性は高そうだ。
「悠真君。そろそろ行こうか。私達、これからデートで」
「ふふっ、そうなの。いいわね。楽しんでらっしゃい。また明日ね」
「はいっ、また明日です!」
「また明日。さようなら、福王寺先生」
俺達は福王寺先生に軽く頭を下げ、手を繋いで昇降口へと向かい始める。
「結衣。今日のデートはどうしようか。どこか行きたい場所はある?」
「……私、お家デートしたいな。この前の週末は人がいっぱいいるドームタウンに遊園地デートしに行ったから、2人きりでゆっくりしたいなって。どうかな?」
「いいな。結衣と2人きりでいるの好きだし。じゃあ、お家デートしよう」
「ありがとう!」
自分のお願いが通ったからか、結衣は凄く嬉しそうにする。可愛いな。
「2人きりでゆっくりしたいなら、俺の家にするか? 姉さんは旅行中だし、父さんは仕事、母さんは6時までパートだから。お家デートは部屋で2人になれるけど、家の人がいない方がより2人きりになれるから」
「そうだねっ。じゃあ、悠真君の家でお家デート決定!」
持ち前の明るくニッコリとした笑顔で結衣はそう言った。今日のお家デートも結衣と一緒に楽しい時間を過ごしたい。
それから程なくして昇降口に到着し、俺達は上履きからローファーに履き替える。
校舎を出て、俺は結衣と一緒に帰路に就く。
9月も中旬になったけど、日差しを直接浴びるとまだまだ暑いな。半袖のワイシャツを着てもいい夏服期間で良かった。
「午後だけど、晴れているから結構暑いね」
「そうだな。今日の最高気温は30度予想だし。姉さんが行っている北海道は涼しいんだろうなぁ」
「涼しそうだよね。ちょっと調べてみよっと」
結衣はバッグからスマホを取り出して、北海道の今日の最高気温を調べていく。
「札幌の最高気温は21度だって」
「21度か。過ごしやすい気温だな」
「いいよね。夏休みシーズンが終わったのもあるけど、過ごしやすさもあってお姉様のいるサークルは旅先を北海道にしたかもね。学生時代の杏樹先生も」
「そうかもな」
いつか、俺達が北海道を旅行するときには9月に行くのがいいかもしれない。ただ、9月だと高校生のうちや社会人になってからはお休みを取るのが難しいから、長期休暇になっている大学生のときに行くのが良さそうだ。
「ねえ、悠真君。暑いから、コンビニでアイスクリームかソフトクリームを買わない?」
「おっ、いいな」
「うんっ。それに、お姉様もソフトクリームを食べたそうだし、ちょっと北海道旅行気分に浸りたいのもあって」
「ははっ、そっか。じゃあ、家の近くにあるコンビニに寄るか」
「うんっ!」
それから、俺達は自宅の方に向かって歩いていく。
途中、自宅に一番近いコンビニで立ち寄り、俺はチョコレートソフトクリーム、結衣はバニラミルクソフトクリームを購入する。ちなみに、どちらも北海道産の牛乳を使っているので、これを食べれば北海道旅行の気分になれそうだ。
コンビニを後にして、俺は結衣と一緒に帰宅する。
家には誰もいないので、家の中はとても静かだ。ただ、俺の家で2人きりだからか、結衣は結構嬉しそうで。
結衣と一緒に2階にある俺の部屋に行く。晴れていて部屋の中が暑くなっているので、エアコンをかける。
「結衣、荷物は適当な場所に置いておいてくれ」
「うん、分かった」
「何か飲み物でも持ってくるか?」
「ソフトクリームがあるからいいや。ありがとう」
「いえいえ。じゃあ、溶けないうちに、さっそくソフトクリームを食べるか」
「うんっ、そうしよう!」
俺はスクールバッグを勉強机の上に置き、ローテーブルの周りに置かれているクッションに座る。結衣と隣同士で、体が軽く触れるくらいに寄り添って。
チョコソフトクリームのカップの蓋を開けると……美味しそうだ。結衣のソフトクリームも。
結衣の提案で、ソフトクリームを食べる前に、結衣のスマホでソフトクリームを持つ俺達の自撮り写真を撮った。その写真はLIMEで送ってもらった。
「写真ありがとう」
「いえいえ。これも思い出の一つってことで。じゃあ、食べようか」
「ああ。いただきます」
「いただきまーす!」
俺はチョコソフトクリームを一口食べる。
チョコソフトが口の中に入った瞬間、冷たさと一緒にミルクとチョコの濃厚な甘みが口の中に広がっていって。チョコは苦みもちょっとあるから、さっぱりとしている。ソフトクリームとしては少し固めだけど、それが満足感に繋がる。
「うん、美味しい」
「良かったね! ソフトクリームも甘くて美味しいよ!」
明るい笑顔でそう言うと、結衣はソフトクリームをもう一口。美味しいのか「ん~っ!」と可愛らしい声を漏らして。本当に可愛いなぁ。
結衣を見ながらチョコソフトクリームを食べると、一口目よりも甘みが強く感じられた。
「ほんと美味しい。北海道の牛乳を使ってるから、北海道旅行気分になれるよ」
「そうだな。部屋も涼しくなってきたし」
「ふふっ、そうだね」
「あと、コンビニで買ったものを部屋で食べてることでも旅行気分になれるなぁ」
「そうだねっ。夏休みに行った伊豆旅行では、旅館の近くのコンビニで買ったお菓子を部屋で食べたもんね」
「そうだな。ああいうときに食べたり飲んだりするものって美味しいよな。もちろん、今食べているソフトクリームも美味しいけど」
「旅行中っていう非日常とか特別感があるからかな」
「それは言えてるかもな」
とても美味しくさせるスパイスなのかもしれない。旅行中に飲んだ缶コーヒーは今までも飲んだことがあるものだったけど、あのときは特に美味しかったことを覚えている。
「悠真君。私のソフトクリーム一口食べる?」
「おっ、ありがとう。いただくよ。じゃあ、俺のチョコソフトも一口あげるよ」
「ありがとう! じゃあ、同時に食べさせようか」
「ああ」
違うソフトクリームを買ったから、一口交換する展開になったか。もう恒例と言っていいかな。
俺達は自分の持っているソフトクリームを相手の口元までもっていく。
「はい、悠真君。あ~ん」
「結衣もあーん」
「あ~ん」
俺達は自分のソフトクリームを食べさせ合う。
結衣のバニラミルクソフトクリームを一口食べる。チョコソフトがさっぱりしていたのもあって、結構甘く感じる。ただ、ミルクの濃厚な甘みとバニラの香りが良く、こちらのソフトクリームもとても美味しい。
チョコソフトクリームも美味しいのか、結衣は笑顔でモグモグと食べている。食べさせたのもあってとても可愛く見える。
「チョコソフトも美味しいね! チョコの苦みがあるからさっぱりしてて」
「美味いよな。バニラミルクソフトも美味しいな。チョコソフトを食べた後だから結構甘く感じるよ」
「ふふっ、そっか。甘くて美味しいよね。チョコソフトありがとう」
「こちらこそありがとう」
その後はソフトクリームやアイスクリームのこと、芹花姉さんが旅行中なのもあり、これまで旅先で食べたスイーツのことを話しながらソフトクリームを食べていった。
今はお互いに制服姿だから、修学旅行の旅先でスイーツを楽しんでいる感覚にもなって。実際に2年生のときに行く修学旅行では、結衣達と一緒にスイーツを楽しみたい。ソフトクリームを美味しそうにモグモグ食べている結衣を見ながらそう思った。
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