18 / 267
本編
第17話『常連のお姉さん』
しおりを挟む
『そっか。今日はバイト中にそんなことがあったんだ。大変だったね』
バイトから帰り、夕食を食べ終わった後に俺はメッセンジャーを使って桐花さんとチャットしていた。
事前に今日の午後はバイトがあると伝えていたためか、今日の桐花さんの第一声は『バイトお疲れ様』だった。そこから、将野さんとのことを含め、今日のバイトでの話をしたのだ。
『トラブルがあると、いつもより疲れそう。体調は大丈夫?』
『大丈夫です。バイトの先輩や店長、俺に告白した女の子のおかげで、精神的にも何とかなりました』
『そうだったんだ。助けてくれる人が近くに何人もいて良かったね』
『心強くて幸せすら感じました。もちろん、桐花さんとこうして話すと気持ちが落ち着いたり、疲れが取れたりします。ありがとうございます』
曜日を問わず、夜にはこうして桐花さんとチャットする日が多いから。日常生活の一部と言ってもいいくらいだ。それをいつも通りにできるのは幸せだと思う。
『唐突にお礼を言われると照れちゃうな。私も低変人さんと話していると、一日の疲れが取れていくよ。だから、感謝してる。ありがとう。悩みとかあったら、遠慮なく言ってくれていいからね。チャットだから、たいした助言はできないかもしれないけど』
『ありがとうございます。桐花さんも俺に遠慮なく相談してくださいね』
チャットだけでの繋がりだけど、桐花さんも俺にとっては心強い存在だ。一番付き合いの長い友人だから。
明日は朝からバイトが入っているため、今夜は早めに眠るのであった。
5月12日、日曜日。
今日は朝9時からムーンバックスのバイト。もちろん、中野先輩も一緒だ。午後1時までシフトが入っている。
昨日は目覚めたら高嶺さんがいたけど、今日はそんな展開にならなかった。突撃するなと叱った効果がさっそく現れたか。良かった良かった。
ただ、今日はバイトの後に高嶺さんの家にお邪魔する予定だ。昨日、入浴後に高嶺さんからお誘いが来たので約束をした。高嶺さんの家や部屋に興味がないと言ったら嘘になるし、一度くらいは行ってもいいかと思ったのだ。
また、高嶺さんの作ったお昼ご飯をいただくことになっている。これまでにいただいた玉子焼きやたこさんウィンナーが美味しかったから期待している。
「悠真君、千佳先輩。今日も来ました!」
午前10時過ぎ。
今日も高嶺さんがムーンバックスに来店した。昨日とは違ってパンツスタイルだ。淡い水色のブラウスが爽やかで。美人でスタイルがいいからか、どんな服装でも様になる。
「いらっしゃいませ、高嶺さん」
「たくさん来てくれて嬉しいよ、高嶺ちゃん」
「このお店が大好きですからね。勉強や読書をするにもいいですし。悠真君や千佳先輩がバイトをしている姿を見ると元気が出ますから」
「そうか。あと、その服似合ってるな」
「ありがとう! 今日もアイスコーヒーのSサイズで。シロップ1つお願いできますか?」
「アイスコーヒーのSサイズで、シロップ1つですね。かしこまりました」
今日はシロップだけを入れてコーヒーに挑戦するのか。ちなみに、昨日はシロップとミルクを入れたら結構美味しく飲めたとのこと。自分のペースでコーヒーを好きになっていければいいんじゃないかと思う。
注文したアイスコーヒーを出すと、高嶺さんは昨日と同じように窓際のカウンター席へと向かった。高嶺さんに告白されてから、高嶺さんの姿が見える中でバイトをするのが普通になったな。色々な意味で有り難い。
その後も、俺は中野先輩や大垣店長などと一緒に仕事をしていく。昨日の将野さんの一件もあってか、今日はとても平和だなと思う。あと、接客していて思ったことがある。
「中野先輩。昨日と時間帯が違うからかもしれませんけど、今日はお持ち帰りのお客様が多い気がします。特にスイーツを……」
「今日は母の日だからね」
「……ああ、母の日でしたね」
そういえば、今日は5月の第2日曜日だったか。すっかりと忘れていた。
「うちのスイーツは評判がいいからね。だから、プレゼントに買う人が多いんだ……って、去年の母の日のバイトで先輩から聞いたの。あたしも去年はそうしたんだ。今年もバイト後にスイーツを買って帰ろうかなって思ってる」
「いいですね」
俺も母の日のプレゼントで何か買うか。ただ、バイトの後は高嶺さんの家に行くから、高嶺さんの家から帰る途中にでも。ここのスイーツをプレゼント候補にしておこう。
それからも仕事を続け、正午を過ぎた頃。
「いらっしゃいませ……えっ」
俺の目の前にいたのは、ベージュ色の縦セーター姿の華頂さん。そんな華頂さんの横には白いブラウス姿の、
「じょ、常連のお姉さん!」
そう、赤紫色のポニーテールがトレードマークである常連のお姉さんが立っていたのだ! 思わず大きな声が出てしまった。そのことに華頂さんと常連のお姉さんがクスクスと笑っている。
「このカウンターで何度も会ったことがあるもんね、低田君。私のことを覚えていてくれて嬉しいな」
「髪の色も赤紫と珍しいですからね。それにしても、どうして俺の名前を……って、名札がつけていますから分かりますよね」
「ふふっ。あと、胡桃が中学のときに、隣の席になった低田君の話をしていたし」
「お、お姉ちゃん!」
華頂さんは恥ずかしそうにそう言うと、右手で常連のお姉さんの口を押さえる。
「華頂さんのお姉さんなんですね」
俺がそう問いかけると、お姉さんは首肯する。すると、華頂さんはお姉さんの口から手を離す。
「胡桃の姉の華頂杏といいます。多摩中央大学経済学部経済学科に通う2年です。よろしくね、低田君」
「よろしくお願いします」
杏さんから手を差し出されたので、俺は杏さんと握手を交わした。
髪が赤紫色という珍しい色なのに、華頂さんと繋がりのある人だと全然気付かなかったな。ほんわかとした華頂さんとは違って、杏さんはクールな雰囲気な方だからかな。ただ、こうして並んで立っていると2人とも美人だし、似ているところはいくつもあると分かる。
「悠真君! バイト中に女性と握手しているけど、何かあったの……って、胡桃ちゃん。こんにちは。それに、悠真君と握手している方、前にここに来たときにいたような。それに、前に胡桃ちゃんが見せてくれた写真の女性に似ているような……」
慌ててカウンターにやってきた高嶺さんは、杏さんのことを凝視している。そんな高嶺さんを目の前にして、華頂姉妹は上品に笑う。
「こんにちは、結衣ちゃん。こちら、姉の杏です」
「初めまして。華頂杏といいます」
「ああ、そうだった! 連休前の部活で、胡桃ちゃんからお姉さんの写真を見せてもらったのを思い出しました。初めまして、高嶺結衣といいます。胡桃ちゃんと同じスイーツ部に入っています。よろしくお願いします」
「よろしくね、結衣ちゃん」
杏さんは俺から手を離して、高嶺さんと握手を交わす。
「胡桃ちゃんと杏さんもここでゆっくりと?」
「ううん。今日は母の日だから、プレゼントを買うためにコーヒー豆とスイーツを買いに来たの。お母さん、コーヒーもスイーツも大好きだから」
「そうなんだ。私も帰りにお母さんにスイーツを買おうかな」
「甘いもの好きならオススメだよ。ところで、結衣ちゃんはどうしてここに?」
「私はここでコーヒーを飲みながら宿題したり、漫画読んだりしてた。悠真君もバイトしているから、彼の姿も見たくて。悠真君はバイトが終わったら、私の家に来ることになっているの」
「……へ、へえ……そうなんだ。素敵な日曜日になりそうだね」
と、華頂さんは優しげな笑顔でそう言った。ただ、その笑顔はどこかぎこちなく感じられた。
「お買い中だったね、ごめん。私は向こうに戻るね」
「気にしないで。結衣ちゃんとも話せて良かった。また明日ね」
「うん、また明日」
高嶺さんは華頂さんに向かって手を振り、杏さんに軽く頭を下げると窓際のカウンター席へと戻っていった。
「胡桃は高校の部活で素敵な子と友達になったんだね。良かったね」
「うん!」
ニッコリとした笑顔で頷く華頂さん。中学でクラスメイトになったときも、教室で今みたいな笑顔を見せることがあったっけ。そんな華頂さんに杏さんは優しい笑みを浮かべながら頭を撫でている。仲のいい姉妹なのだと分かる。
「……おっと。ここはカウンターだから、話ばかりしていないでお母さんへのプレゼントを買わないとね」
「そうだね。ごめん、低田君」
「いえいえ」
それから、華頂さんと杏さんは一緒にメニューを見て、ブレンドコーヒーの豆とチーズケーキを4つお持ち帰りで注文した。午後に家族4人で食べるそうだ。
「お待たせしました。ブレンドコーヒーの豆とチーズケーキ4つになります」
「ありがとう」
俺から紙袋を受け取った華頂さんは嬉しそうな様子だった。コーヒーとチーズケーキで、母の日の時間がより幸せなひとときになれば俺も嬉しいな。
「きっと、お母さんも喜ぶよ」
「そうだね! ひ、低田君。この後もバイト頑張ってね」
「ありがとう、華頂さん」
華頂さんと杏さんは俺に向かって小さく手を振りながら、お店を後にした。
「あの常連のお姉さん……悠真の知り合いのお姉さんだったのね」
「ええ。珍しい髪の色も同じだったのに、全然気付きませんでした」
「あははっ、そういうこともあるよね。さあ、残り1時間を切ったから頑張ろう」
「はい」
それからも、中野先輩達と一緒に仕事をしていく。
常連のお姉さんの正体が判明するような衝撃的な出来事もなく、バイトが終わる午後1時まで平和な時間になった。
バイトから帰り、夕食を食べ終わった後に俺はメッセンジャーを使って桐花さんとチャットしていた。
事前に今日の午後はバイトがあると伝えていたためか、今日の桐花さんの第一声は『バイトお疲れ様』だった。そこから、将野さんとのことを含め、今日のバイトでの話をしたのだ。
『トラブルがあると、いつもより疲れそう。体調は大丈夫?』
『大丈夫です。バイトの先輩や店長、俺に告白した女の子のおかげで、精神的にも何とかなりました』
『そうだったんだ。助けてくれる人が近くに何人もいて良かったね』
『心強くて幸せすら感じました。もちろん、桐花さんとこうして話すと気持ちが落ち着いたり、疲れが取れたりします。ありがとうございます』
曜日を問わず、夜にはこうして桐花さんとチャットする日が多いから。日常生活の一部と言ってもいいくらいだ。それをいつも通りにできるのは幸せだと思う。
『唐突にお礼を言われると照れちゃうな。私も低変人さんと話していると、一日の疲れが取れていくよ。だから、感謝してる。ありがとう。悩みとかあったら、遠慮なく言ってくれていいからね。チャットだから、たいした助言はできないかもしれないけど』
『ありがとうございます。桐花さんも俺に遠慮なく相談してくださいね』
チャットだけでの繋がりだけど、桐花さんも俺にとっては心強い存在だ。一番付き合いの長い友人だから。
明日は朝からバイトが入っているため、今夜は早めに眠るのであった。
5月12日、日曜日。
今日は朝9時からムーンバックスのバイト。もちろん、中野先輩も一緒だ。午後1時までシフトが入っている。
昨日は目覚めたら高嶺さんがいたけど、今日はそんな展開にならなかった。突撃するなと叱った効果がさっそく現れたか。良かった良かった。
ただ、今日はバイトの後に高嶺さんの家にお邪魔する予定だ。昨日、入浴後に高嶺さんからお誘いが来たので約束をした。高嶺さんの家や部屋に興味がないと言ったら嘘になるし、一度くらいは行ってもいいかと思ったのだ。
また、高嶺さんの作ったお昼ご飯をいただくことになっている。これまでにいただいた玉子焼きやたこさんウィンナーが美味しかったから期待している。
「悠真君、千佳先輩。今日も来ました!」
午前10時過ぎ。
今日も高嶺さんがムーンバックスに来店した。昨日とは違ってパンツスタイルだ。淡い水色のブラウスが爽やかで。美人でスタイルがいいからか、どんな服装でも様になる。
「いらっしゃいませ、高嶺さん」
「たくさん来てくれて嬉しいよ、高嶺ちゃん」
「このお店が大好きですからね。勉強や読書をするにもいいですし。悠真君や千佳先輩がバイトをしている姿を見ると元気が出ますから」
「そうか。あと、その服似合ってるな」
「ありがとう! 今日もアイスコーヒーのSサイズで。シロップ1つお願いできますか?」
「アイスコーヒーのSサイズで、シロップ1つですね。かしこまりました」
今日はシロップだけを入れてコーヒーに挑戦するのか。ちなみに、昨日はシロップとミルクを入れたら結構美味しく飲めたとのこと。自分のペースでコーヒーを好きになっていければいいんじゃないかと思う。
注文したアイスコーヒーを出すと、高嶺さんは昨日と同じように窓際のカウンター席へと向かった。高嶺さんに告白されてから、高嶺さんの姿が見える中でバイトをするのが普通になったな。色々な意味で有り難い。
その後も、俺は中野先輩や大垣店長などと一緒に仕事をしていく。昨日の将野さんの一件もあってか、今日はとても平和だなと思う。あと、接客していて思ったことがある。
「中野先輩。昨日と時間帯が違うからかもしれませんけど、今日はお持ち帰りのお客様が多い気がします。特にスイーツを……」
「今日は母の日だからね」
「……ああ、母の日でしたね」
そういえば、今日は5月の第2日曜日だったか。すっかりと忘れていた。
「うちのスイーツは評判がいいからね。だから、プレゼントに買う人が多いんだ……って、去年の母の日のバイトで先輩から聞いたの。あたしも去年はそうしたんだ。今年もバイト後にスイーツを買って帰ろうかなって思ってる」
「いいですね」
俺も母の日のプレゼントで何か買うか。ただ、バイトの後は高嶺さんの家に行くから、高嶺さんの家から帰る途中にでも。ここのスイーツをプレゼント候補にしておこう。
それからも仕事を続け、正午を過ぎた頃。
「いらっしゃいませ……えっ」
俺の目の前にいたのは、ベージュ色の縦セーター姿の華頂さん。そんな華頂さんの横には白いブラウス姿の、
「じょ、常連のお姉さん!」
そう、赤紫色のポニーテールがトレードマークである常連のお姉さんが立っていたのだ! 思わず大きな声が出てしまった。そのことに華頂さんと常連のお姉さんがクスクスと笑っている。
「このカウンターで何度も会ったことがあるもんね、低田君。私のことを覚えていてくれて嬉しいな」
「髪の色も赤紫と珍しいですからね。それにしても、どうして俺の名前を……って、名札がつけていますから分かりますよね」
「ふふっ。あと、胡桃が中学のときに、隣の席になった低田君の話をしていたし」
「お、お姉ちゃん!」
華頂さんは恥ずかしそうにそう言うと、右手で常連のお姉さんの口を押さえる。
「華頂さんのお姉さんなんですね」
俺がそう問いかけると、お姉さんは首肯する。すると、華頂さんはお姉さんの口から手を離す。
「胡桃の姉の華頂杏といいます。多摩中央大学経済学部経済学科に通う2年です。よろしくね、低田君」
「よろしくお願いします」
杏さんから手を差し出されたので、俺は杏さんと握手を交わした。
髪が赤紫色という珍しい色なのに、華頂さんと繋がりのある人だと全然気付かなかったな。ほんわかとした華頂さんとは違って、杏さんはクールな雰囲気な方だからかな。ただ、こうして並んで立っていると2人とも美人だし、似ているところはいくつもあると分かる。
「悠真君! バイト中に女性と握手しているけど、何かあったの……って、胡桃ちゃん。こんにちは。それに、悠真君と握手している方、前にここに来たときにいたような。それに、前に胡桃ちゃんが見せてくれた写真の女性に似ているような……」
慌ててカウンターにやってきた高嶺さんは、杏さんのことを凝視している。そんな高嶺さんを目の前にして、華頂姉妹は上品に笑う。
「こんにちは、結衣ちゃん。こちら、姉の杏です」
「初めまして。華頂杏といいます」
「ああ、そうだった! 連休前の部活で、胡桃ちゃんからお姉さんの写真を見せてもらったのを思い出しました。初めまして、高嶺結衣といいます。胡桃ちゃんと同じスイーツ部に入っています。よろしくお願いします」
「よろしくね、結衣ちゃん」
杏さんは俺から手を離して、高嶺さんと握手を交わす。
「胡桃ちゃんと杏さんもここでゆっくりと?」
「ううん。今日は母の日だから、プレゼントを買うためにコーヒー豆とスイーツを買いに来たの。お母さん、コーヒーもスイーツも大好きだから」
「そうなんだ。私も帰りにお母さんにスイーツを買おうかな」
「甘いもの好きならオススメだよ。ところで、結衣ちゃんはどうしてここに?」
「私はここでコーヒーを飲みながら宿題したり、漫画読んだりしてた。悠真君もバイトしているから、彼の姿も見たくて。悠真君はバイトが終わったら、私の家に来ることになっているの」
「……へ、へえ……そうなんだ。素敵な日曜日になりそうだね」
と、華頂さんは優しげな笑顔でそう言った。ただ、その笑顔はどこかぎこちなく感じられた。
「お買い中だったね、ごめん。私は向こうに戻るね」
「気にしないで。結衣ちゃんとも話せて良かった。また明日ね」
「うん、また明日」
高嶺さんは華頂さんに向かって手を振り、杏さんに軽く頭を下げると窓際のカウンター席へと戻っていった。
「胡桃は高校の部活で素敵な子と友達になったんだね。良かったね」
「うん!」
ニッコリとした笑顔で頷く華頂さん。中学でクラスメイトになったときも、教室で今みたいな笑顔を見せることがあったっけ。そんな華頂さんに杏さんは優しい笑みを浮かべながら頭を撫でている。仲のいい姉妹なのだと分かる。
「……おっと。ここはカウンターだから、話ばかりしていないでお母さんへのプレゼントを買わないとね」
「そうだね。ごめん、低田君」
「いえいえ」
それから、華頂さんと杏さんは一緒にメニューを見て、ブレンドコーヒーの豆とチーズケーキを4つお持ち帰りで注文した。午後に家族4人で食べるそうだ。
「お待たせしました。ブレンドコーヒーの豆とチーズケーキ4つになります」
「ありがとう」
俺から紙袋を受け取った華頂さんは嬉しそうな様子だった。コーヒーとチーズケーキで、母の日の時間がより幸せなひとときになれば俺も嬉しいな。
「きっと、お母さんも喜ぶよ」
「そうだね! ひ、低田君。この後もバイト頑張ってね」
「ありがとう、華頂さん」
華頂さんと杏さんは俺に向かって小さく手を振りながら、お店を後にした。
「あの常連のお姉さん……悠真の知り合いのお姉さんだったのね」
「ええ。珍しい髪の色も同じだったのに、全然気付きませんでした」
「あははっ、そういうこともあるよね。さあ、残り1時間を切ったから頑張ろう」
「はい」
それからも、中野先輩達と一緒に仕事をしていく。
常連のお姉さんの正体が判明するような衝撃的な出来事もなく、バイトが終わる午後1時まで平和な時間になった。
0
お気に入りに追加
127
あなたにおすすめの小説
サクラブストーリー
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の速水大輝には、桜井文香という同い年の幼馴染の女の子がいる。美人でクールなので、高校では人気のある生徒だ。幼稚園のときからよく遊んだり、お互いの家に泊まったりする仲。大輝は小学生のときからずっと文香に好意を抱いている。
しかし、中学2年生のときに友人からかわれた際に放った言葉で文香を傷つけ、彼女とは疎遠になってしまう。高校生になった今、挨拶したり、軽く話したりするようになったが、かつてのような関係には戻れていなかった。
桜も咲く1年生の修了式の日、大輝は文香が親の転勤を理由に、翌日に自分の家に引っ越してくることを知る。そのことに驚く大輝だが、同居をきっかけに文香と仲直りし、恋人として付き合えるように頑張ろうと決意する。大好物を作ってくれたり、バイトから帰るとおかえりと言ってくれたりと、同居生活を送る中で文香との距離を少しずつ縮めていく。甘くて温かな春の同居&学園青春ラブストーリー。
※特別編7-球技大会と夏休みの始まり編-が完結しました!(2024.5.30)
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2024.8.29)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
恋人、はじめました。
桜庭かなめ
恋愛
紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。
明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」
明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!
※特別編8が完結しました!(2024.7.19)
※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想などお待ちしています。
10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ
桜庭かなめ
恋愛
高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。
あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。
3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。
出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!
※特別編4が完結しました!(2024.8.2)
※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
管理人さんといっしょ。
桜庭かなめ
恋愛
桐生由弦は高校進学のために、学校近くのアパート「あけぼの荘」に引っ越すことに。
しかし、あけぼの荘に向かう途中、由弦と同じく進学のために引っ越す姫宮風花と二重契約になっており、既に引っ越しの作業が始まっているという連絡が来る。
風花に部屋を譲ったが、あけぼの荘に空き部屋はなく、由弦の希望する物件が近くには一切ないので、新しい住まいがなかなか見つからない。そんなとき、
「責任を取らせてください! 私と一緒に暮らしましょう」
高校2年生の管理人・白鳥美優からのそんな提案を受け、由弦と彼女と一緒に同居すると決める。こうして由弦は1学年上の女子高生との共同生活が始まった。
ご飯を食べるときも、寝るときも、家では美少女な管理人さんといつもいっしょ。優しくて温かい同居&学園ラブコメディ!
※特別編10が完結しました!(2024.6.21)
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
アリア
桜庭かなめ
恋愛
10年前、中学生だった氷室智也は遊園地で迷子になっていた朝比奈美来のことを助ける。自分を助けてくれた智也のことが好きになった美来は智也にプロポーズをする。しかし、智也は美来が結婚できる年齢になったらまた考えようと答えた。
それ以来、2人は会っていなかったが、10年経ったある春の日、結婚できる年齢である16歳となった美来が突然現れ、智也は再びプロポーズをされる。そのことをきっかけに智也は週末を中心に美来と一緒の時間を過ごしていく。しかし、会社の1年先輩である月村有紗も智也のことが好きであると告白する。
様々なことが降りかかる中、智也、美来、有紗の三角関係はどうなっていくのか。2度のプロポーズから始まるラブストーリーシリーズ。
※完結しました!(2020.9.24)
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる