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第40話『いぶにんぐ』
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窓側の4人席に案内されたので、俺は麗奈先輩と隣り合うようにして座る。テーブルを介して正面に咲夜、その隣に紗衣が座る形となった。
母さんは各人の前にお水を置くと、お勘定をしたいというお客様がいたので入口近くの会計へと向かった。
「あぁ、制服姿の陽子さんに惚れ惚れしちゃうな」
「咲夜ちゃんの気持ち分かるなぁ。そんな彼女から颯人君が産まれたんだよね……」
「2人とも、陽子さんに魅了されてますね。確かに可愛いですけど」
うっとりとした様子の2人を見てふふっと笑い、紗衣はメニュー表を手に取る。小さい頃から母さんとは数え切れないほどに会って、ここの制服姿を見たことがあるからか、さすがに落ち着いているな。
俺も何を食べるかを考えよう。俺がメニュー表をテーブルに置いたからか、麗奈先輩は俺に寄り添う形で見てくる。
こうしていると、先輩の家に遊びに行って2人きりで過ごしたときのことを思い出すな。特にキスしたこととか。段々と体が熱くなってきた。冷たいお水を一口飲むと、とても美味しく感じられた。
ひさしぶりに来たけれど、食事のメニューが豊富だな。母さんは接客担当がほとんどだけど、これらの料理やスイーツを美味しく作ることができそうだ。
「私、決めたわ」
「あたしも決まりました。颯人君や紗衣ちゃんはどうかな?」
「私も……うん、今決まった」
「俺も決まりました。じゃあ、呼びましょうか。すみませーん」
「はーい!」
俺が呼んだからか、母さんは嬉しそうな様子でこちらにやってきた。制服姿だからか、せいぜい30歳前後にしか見えないな。新婚さんか幼い子がいるお母さんか。……母親を見て何考えているんだろうな、俺。
「ご注文をお伺いします」
「会長さんからどうぞ」
「分かったわ。オムライスをお願いします。セットの飲み物はアイスティーで」
「じゃあ……あたしが言おう。カルボナーラをお願いします。あたしもアイスティー」
「私はサンドイッチで、飲み物はアイスコーヒーをお願いします」
「俺は明太子パスタで、飲み物はアイスコーヒー」
「かしこまりました。……ところで、颯人。今日で1学期が終わりってことは、通知表を渡されたよね」
「ああ」
「じゃあ、お母さんに見せてくれるかな?」
「……分かった」
仕事中なのにそんなことをしていいのかどうか不安だが、俺は母さんに通知表を渡す。いい成績を取れたとは思うけど、親に見せるときは何故だか緊張してしまうな。
それにしても、学校帰りに昼食を食べるために立ち寄った喫茶店でパート中の母親に通知表を見せる夕立高校の生徒は俺くらいしかいないじゃないだろうか。
母さんはゆっくりと通知表を閉じると、笑顔になって俺の頭を撫でてきた。
「よく頑張ったわね、颯人。本当はぎゅっと抱きしめたいところだけれど、お店だから頭なでなでだけにしておくわ」
良かったよ、抱きしめられなくて。ただ、頭を撫でられるのも地味に恥ずかしいな。咲夜達や他のお客の目があるからだろうか。あと、咲夜。ニヤニヤしながらスマホをこちらに向けないでほしいな。
「きっと、みんなも1学期の学校生活を頑張ったと思うから、お母さんが特別サービスするわね」
そう言って、母さんは咲夜、紗衣、麗奈先輩の頭を優しく撫でる。そのことに咲夜と麗奈先輩はほんわかとした様子となり、紗衣も微笑んでいた。
頭なでなでの影響か、俺達の注文を伝えるために厨房へ向かう母さんの後ろ姿を、咲夜と麗奈先輩がじーっと見ていた。咲夜に至っては「いい匂いしたぁ」とニヤニヤしているし。母さん目当てに、今後はこのお店や俺の家に来ることが多くなりそうだな。
「ははっ、2人とも完全に陽子さんのファンになったね。……ところで、ここでお昼ご飯を食べたら何をしますか? お店に行って遊ぶか、それとも誰かの家に行くか」
「そうだね……ちなみに、昨日は早めに生徒会の仕事が終わったから、生徒会のみんなでゲームセンターへ遊びに行ったわ。クレーンゲームで猫のぬいぐるみの新作が出ていたから頑張って取った」
「そうだったんですか! 昨日、紗衣ちゃんがバイトあったから、3人でうどん屋さんでお昼ご飯を食べてそこで解散したよね」
「ああ」
家に帰って好きなアースティストの新作アルバムを聴いたり、ゆっくりとイラストを描いたりしたな。雨が降っていなかったので花畑の手入れをした。ひさしぶりに、平日に1人でゆっくりとした時間を過ごした気がする。
「なるほどね。今日はせっかく4人で遊べるから長く一緒にいたいな。……じゃあ、カラオケなんてどう?」
「いいですね!」
「4人でゆっくりもできますからね。ひさしぶりに歌うのも気持ち良さそうです。颯人はどう?」
「俺もカラオケに賛成です」
カラオケを最後に行ったのはいつだろう? 小学生の頃は家族や紗衣と一緒に何度か行ったことがあるけれど。中学生以降だと初めてじゃないだろうか。
あと、部屋に入れば周りの目を気にしなくていいから、カラオケは結構良さそうだ。
「じゃあ、カラオケに決まりだね!」
「ということは、帰りは夜になるのかしら、颯人」
気付けば、母さんが俺達の注文した飲み物を持ってきていた。他にもホール担当の店員さんはいるのに。息子達の接客は私がすると志願したのかな。
「カラオケにはフリータイムがあるからな。お店によるけど、夜になるのは確実だな。詳しい時間が分かったらメッセージで送るよ」
「分かったわ。……では、お先にセットの飲み物になります。同じものを1杯までは無料でおかわりできますよ」
そう言って、母さんはそれぞれの席の前に飲み物を置いていく。
さっそくアイスコーヒーを飲んで見ると、苦味がしっかりと利いていて俺好みだ。一度だけおかわりが無料らしいから、あとでおかわりしようかな。
「明日から夏休みなんだよね。あたし、バイトをしようかなと考えているんですけど、颯人君や会長さんはどうですか? でも、会長さんは生徒会の仕事があるんですよね」
「夏休みは生徒会の活動がある日は少ないから、単発か短期バイトをしようかなって考えてる」
「そうなんですか! 単発や短期のバイトから初めてみるのも良さそうですね。ちなみに、颯人君はどうかな?」
「俺もまずは夏休み中にできるバイトを始めようかなって考えてる。……ただ、5月の連休明けの時期に本屋とかのバイトに応募したけど、全部面接で落ちた。髪が白いからお店に合わないとか、目つきが鋭すぎるっていう理由で……」
思い出しただけでため息が出てくる。
本とか好きだから、そういったお店中心のバイトを応募したけど、接客もメインの業務の一つだったからな。俺が表に出てはまずいと思ったのかも。
「は、はやちゃん! 気を落とさないで! きっと、はやちゃんに合うバイトがあるよ!」
「そうよ! 例えば、こういう飲食店の厨房とか! 颯人君の料理、とっても美味しいし!」
麗奈先輩と咲夜はそう言ってくれる。慰めてくれることは嬉しいけれど、必死な感じも伝わってきて切ない気持ちになる。
「咲夜の言う通り、厨房での仕事は颯人に合っていそうだよ。この前の焼きそばも美味しかったし。準備から片付けまで楽しそうだった」
「確かに、料理はもちろんのこと家事全般好きだな」
そう考えると、裏方の業務がメインのバイトを探すのがいいかもしれないな。
「はーい、お待たせしました。オムライスにカルボナーラ、サンドイッチに明太子パスタになります」
「うわあっ、美味しそう!」
咲夜、紗衣、麗奈先輩は自分の頼んだ料理をスマホで撮影している。俺はそういうことは全然やらないが、思い出にもなりそうだし、イラストを描くときの参考にもなりそうだから撮っておくか。
「ふふっ、颯人がそういうことをするなんてね。それでは、ごゆっくり。もしよければ、小さい頃みたいに颯人に食べさせてあげてもいいんだけどね」
「家ならともかく、ここはパート先だ。仕事しろ」
「……はぁい」
ちょっと残念そうな様子で母さんは俺達のテーブルを後にした。小雪にそういう反応をされるのは可愛くていいけれど、母親にそんな反応をされると何とも言えない。明日くらいに食事中に食べさせられそうで恐い。
「料理も来ましたし、さっそく食べましょうか。いただきます」
『いただきまーす』
俺達はさっそく自分の注文したものを食べ始める。……おっ、この明太子パスタ、結構美味しいな。
「オムライス美味しい!」
「カルボナーラも美味しいですよ!」
「サンドイッチも美味しいです」
「明太子パスタも美味しいです」
みんなが頼んだ料理も美味しいのか。
ここには久しく来ていなかったけれど、たまにはこのお店に来てもいいかもしれないな。ただ、母さんのシフトが入っていないときに来た方がよりゆっくりできそうだ。
「みんな、オムライスを一口食べてみる?」
「食べてみたいです! お礼にあたしのカルボナーラも一口食べてみてください!」
「じゃあ、みんなで一口交換しましょうか。私も……このサンドイッチは2つありますし。颯人もそれでいい?」
「咲夜や紗衣とは一口交換したことがあるからいいけれど、麗奈先輩はどうですか?」
「……か、間接キスくらい全然OKだよ! だって、はやちゃんだもん」
麗奈先輩は頬をほんのりと赤くしながらそう言ってくる。まあ、キスをしたこともあるし、間接キスくらいはどうってことないか。むしろ、ウェルカムって感じかも。
ちなみに、先週末に麗奈先輩の家に遊びに行ったことを咲夜と紗衣に話したけど、キスしたことまでは話していない。恥ずかしくて。咲夜や紗衣にキスのことを訊かれていないので、麗奈先輩もきっと話していないだろう。
キスのことを思い出したら顔中心に熱くなってきた。麗奈先輩もあのときのことを思い出しているのか、どんどんと顔の赤みが強くなっていた。
それから、俺達は互いに注文したものを一口ずつ交換した。3人が注文した料理はどれも美味しかった。自分で作ったわけじゃないけれど、俺の注文した明太子パスタも3人が美味しそうに食べてくれて嬉しくなったのであった。
母さんは各人の前にお水を置くと、お勘定をしたいというお客様がいたので入口近くの会計へと向かった。
「あぁ、制服姿の陽子さんに惚れ惚れしちゃうな」
「咲夜ちゃんの気持ち分かるなぁ。そんな彼女から颯人君が産まれたんだよね……」
「2人とも、陽子さんに魅了されてますね。確かに可愛いですけど」
うっとりとした様子の2人を見てふふっと笑い、紗衣はメニュー表を手に取る。小さい頃から母さんとは数え切れないほどに会って、ここの制服姿を見たことがあるからか、さすがに落ち着いているな。
俺も何を食べるかを考えよう。俺がメニュー表をテーブルに置いたからか、麗奈先輩は俺に寄り添う形で見てくる。
こうしていると、先輩の家に遊びに行って2人きりで過ごしたときのことを思い出すな。特にキスしたこととか。段々と体が熱くなってきた。冷たいお水を一口飲むと、とても美味しく感じられた。
ひさしぶりに来たけれど、食事のメニューが豊富だな。母さんは接客担当がほとんどだけど、これらの料理やスイーツを美味しく作ることができそうだ。
「私、決めたわ」
「あたしも決まりました。颯人君や紗衣ちゃんはどうかな?」
「私も……うん、今決まった」
「俺も決まりました。じゃあ、呼びましょうか。すみませーん」
「はーい!」
俺が呼んだからか、母さんは嬉しそうな様子でこちらにやってきた。制服姿だからか、せいぜい30歳前後にしか見えないな。新婚さんか幼い子がいるお母さんか。……母親を見て何考えているんだろうな、俺。
「ご注文をお伺いします」
「会長さんからどうぞ」
「分かったわ。オムライスをお願いします。セットの飲み物はアイスティーで」
「じゃあ……あたしが言おう。カルボナーラをお願いします。あたしもアイスティー」
「私はサンドイッチで、飲み物はアイスコーヒーをお願いします」
「俺は明太子パスタで、飲み物はアイスコーヒー」
「かしこまりました。……ところで、颯人。今日で1学期が終わりってことは、通知表を渡されたよね」
「ああ」
「じゃあ、お母さんに見せてくれるかな?」
「……分かった」
仕事中なのにそんなことをしていいのかどうか不安だが、俺は母さんに通知表を渡す。いい成績を取れたとは思うけど、親に見せるときは何故だか緊張してしまうな。
それにしても、学校帰りに昼食を食べるために立ち寄った喫茶店でパート中の母親に通知表を見せる夕立高校の生徒は俺くらいしかいないじゃないだろうか。
母さんはゆっくりと通知表を閉じると、笑顔になって俺の頭を撫でてきた。
「よく頑張ったわね、颯人。本当はぎゅっと抱きしめたいところだけれど、お店だから頭なでなでだけにしておくわ」
良かったよ、抱きしめられなくて。ただ、頭を撫でられるのも地味に恥ずかしいな。咲夜達や他のお客の目があるからだろうか。あと、咲夜。ニヤニヤしながらスマホをこちらに向けないでほしいな。
「きっと、みんなも1学期の学校生活を頑張ったと思うから、お母さんが特別サービスするわね」
そう言って、母さんは咲夜、紗衣、麗奈先輩の頭を優しく撫でる。そのことに咲夜と麗奈先輩はほんわかとした様子となり、紗衣も微笑んでいた。
頭なでなでの影響か、俺達の注文を伝えるために厨房へ向かう母さんの後ろ姿を、咲夜と麗奈先輩がじーっと見ていた。咲夜に至っては「いい匂いしたぁ」とニヤニヤしているし。母さん目当てに、今後はこのお店や俺の家に来ることが多くなりそうだな。
「ははっ、2人とも完全に陽子さんのファンになったね。……ところで、ここでお昼ご飯を食べたら何をしますか? お店に行って遊ぶか、それとも誰かの家に行くか」
「そうだね……ちなみに、昨日は早めに生徒会の仕事が終わったから、生徒会のみんなでゲームセンターへ遊びに行ったわ。クレーンゲームで猫のぬいぐるみの新作が出ていたから頑張って取った」
「そうだったんですか! 昨日、紗衣ちゃんがバイトあったから、3人でうどん屋さんでお昼ご飯を食べてそこで解散したよね」
「ああ」
家に帰って好きなアースティストの新作アルバムを聴いたり、ゆっくりとイラストを描いたりしたな。雨が降っていなかったので花畑の手入れをした。ひさしぶりに、平日に1人でゆっくりとした時間を過ごした気がする。
「なるほどね。今日はせっかく4人で遊べるから長く一緒にいたいな。……じゃあ、カラオケなんてどう?」
「いいですね!」
「4人でゆっくりもできますからね。ひさしぶりに歌うのも気持ち良さそうです。颯人はどう?」
「俺もカラオケに賛成です」
カラオケを最後に行ったのはいつだろう? 小学生の頃は家族や紗衣と一緒に何度か行ったことがあるけれど。中学生以降だと初めてじゃないだろうか。
あと、部屋に入れば周りの目を気にしなくていいから、カラオケは結構良さそうだ。
「じゃあ、カラオケに決まりだね!」
「ということは、帰りは夜になるのかしら、颯人」
気付けば、母さんが俺達の注文した飲み物を持ってきていた。他にもホール担当の店員さんはいるのに。息子達の接客は私がすると志願したのかな。
「カラオケにはフリータイムがあるからな。お店によるけど、夜になるのは確実だな。詳しい時間が分かったらメッセージで送るよ」
「分かったわ。……では、お先にセットの飲み物になります。同じものを1杯までは無料でおかわりできますよ」
そう言って、母さんはそれぞれの席の前に飲み物を置いていく。
さっそくアイスコーヒーを飲んで見ると、苦味がしっかりと利いていて俺好みだ。一度だけおかわりが無料らしいから、あとでおかわりしようかな。
「明日から夏休みなんだよね。あたし、バイトをしようかなと考えているんですけど、颯人君や会長さんはどうですか? でも、会長さんは生徒会の仕事があるんですよね」
「夏休みは生徒会の活動がある日は少ないから、単発か短期バイトをしようかなって考えてる」
「そうなんですか! 単発や短期のバイトから初めてみるのも良さそうですね。ちなみに、颯人君はどうかな?」
「俺もまずは夏休み中にできるバイトを始めようかなって考えてる。……ただ、5月の連休明けの時期に本屋とかのバイトに応募したけど、全部面接で落ちた。髪が白いからお店に合わないとか、目つきが鋭すぎるっていう理由で……」
思い出しただけでため息が出てくる。
本とか好きだから、そういったお店中心のバイトを応募したけど、接客もメインの業務の一つだったからな。俺が表に出てはまずいと思ったのかも。
「は、はやちゃん! 気を落とさないで! きっと、はやちゃんに合うバイトがあるよ!」
「そうよ! 例えば、こういう飲食店の厨房とか! 颯人君の料理、とっても美味しいし!」
麗奈先輩と咲夜はそう言ってくれる。慰めてくれることは嬉しいけれど、必死な感じも伝わってきて切ない気持ちになる。
「咲夜の言う通り、厨房での仕事は颯人に合っていそうだよ。この前の焼きそばも美味しかったし。準備から片付けまで楽しそうだった」
「確かに、料理はもちろんのこと家事全般好きだな」
そう考えると、裏方の業務がメインのバイトを探すのがいいかもしれないな。
「はーい、お待たせしました。オムライスにカルボナーラ、サンドイッチに明太子パスタになります」
「うわあっ、美味しそう!」
咲夜、紗衣、麗奈先輩は自分の頼んだ料理をスマホで撮影している。俺はそういうことは全然やらないが、思い出にもなりそうだし、イラストを描くときの参考にもなりそうだから撮っておくか。
「ふふっ、颯人がそういうことをするなんてね。それでは、ごゆっくり。もしよければ、小さい頃みたいに颯人に食べさせてあげてもいいんだけどね」
「家ならともかく、ここはパート先だ。仕事しろ」
「……はぁい」
ちょっと残念そうな様子で母さんは俺達のテーブルを後にした。小雪にそういう反応をされるのは可愛くていいけれど、母親にそんな反応をされると何とも言えない。明日くらいに食事中に食べさせられそうで恐い。
「料理も来ましたし、さっそく食べましょうか。いただきます」
『いただきまーす』
俺達はさっそく自分の注文したものを食べ始める。……おっ、この明太子パスタ、結構美味しいな。
「オムライス美味しい!」
「カルボナーラも美味しいですよ!」
「サンドイッチも美味しいです」
「明太子パスタも美味しいです」
みんなが頼んだ料理も美味しいのか。
ここには久しく来ていなかったけれど、たまにはこのお店に来てもいいかもしれないな。ただ、母さんのシフトが入っていないときに来た方がよりゆっくりできそうだ。
「みんな、オムライスを一口食べてみる?」
「食べてみたいです! お礼にあたしのカルボナーラも一口食べてみてください!」
「じゃあ、みんなで一口交換しましょうか。私も……このサンドイッチは2つありますし。颯人もそれでいい?」
「咲夜や紗衣とは一口交換したことがあるからいいけれど、麗奈先輩はどうですか?」
「……か、間接キスくらい全然OKだよ! だって、はやちゃんだもん」
麗奈先輩は頬をほんのりと赤くしながらそう言ってくる。まあ、キスをしたこともあるし、間接キスくらいはどうってことないか。むしろ、ウェルカムって感じかも。
ちなみに、先週末に麗奈先輩の家に遊びに行ったことを咲夜と紗衣に話したけど、キスしたことまでは話していない。恥ずかしくて。咲夜や紗衣にキスのことを訊かれていないので、麗奈先輩もきっと話していないだろう。
キスのことを思い出したら顔中心に熱くなってきた。麗奈先輩もあのときのことを思い出しているのか、どんどんと顔の赤みが強くなっていた。
それから、俺達は互いに注文したものを一口ずつ交換した。3人が注文した料理はどれも美味しかった。自分で作ったわけじゃないけれど、俺の注文した明太子パスタも3人が美味しそうに食べてくれて嬉しくなったのであった。
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