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特別編7-球技大会と夏休みの始まり編-
エピローグ『海水浴からの帰り』
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みんなで海で遊んだり、サクラと一緒にフロートマットで横になってみたり、俺と羽柴が首から下まで砂で埋められたり、海の家でキンキンに冷えたラムネを買って飲んだりするなどして楽しい時間を過ごしていく。
ただ、楽しい時間はあっという間に過ぎていくもの。
サクラと一紗と二乃ちゃんと一緒にレジャーシートで休んでいると、防災チャイムと思われる童謡のメロディーが聞こえてきた。俺の住んでいる四鷹市では午後5時にチャイムが鳴るけど、この海水浴場がある自治体では何時に鳴るのだろうか。日も少し傾いてきているし、暑さも多少は和らいでいるから午後5時くらいな気がする。
バッグに入っている俺のスマホで時刻を確認すると……午後5時か。
「5時か。帰りのことを考えると、そろそろ帰る方がいいかな。みんな、どうだろう?」
俺はレジャーシートの中にいる3人にそう問いかける。
今は夏休み中で日も長いけど、海水浴場の最寄り駅から四鷹駅までは1時間半くらいかかるし、帰りの支度をすることも考えたら、そろそろ帰った方がいいだろう。
「そうだね、ダイちゃん。私は帰るのに賛成」
サクラが最初に賛同の意を示してくれる。それが何だか嬉しい。一紗と二乃ちゃんも賛成してくれた。
ビーチボールで遊んでいた杏奈、小泉さん、羽柴にもうそろそろ帰るかどうか訊くと、3人も賛成。よって、帰ることにした。
レジャーシートやビーチパラソルを片付け、荷物を持って更衣室へと向かい始める。
海水浴場を見渡すと、人が一番多かったお昼頃に比べるとだいぶ少なくなっている。夏休みシーズンだけど、今日は日曜日。明日は仕事があるからもう帰った人が結構いるのかもしれない。
「午前中からずっといたから、ここから離れるのはちょっと寂しいね」
サクラは俺の顔を見ながら、静かな口調でそう言う。サクラは笑みこそ浮かべているものの、寂しいと言うだけあってその笑顔は寂しげで。そんなサクラを見ていると、ゴールデンウィークに遊園地デートから帰るときのことを思い出す。あのときも、サクラは寂しい気分になると言っていたから。
「そうだな。俺もちょっと寂しい。みんなと色々なことをして遊んだし、楽しかったもんな」
「うん。寂しいって思えるのは、それだけ楽しかった証拠なんだろうね」
「俺もそう思う。だから、寂しいって思える気持ちは大切にしたいな」
「そうだね」
サクラは俺の目を見つめながらそう言った。ただ、サクラの笑顔はさっきの寂しそうなものとは違って、優しくて温かいものになっていた。
それから程なくして更衣室前に到着。午前中に水着に着替えたときと同じく、更衣室の前で待ち合わせをすることに決めた。
俺は羽柴と一緒に男子更衣室の中に入る。
夕方になったから帰ろうと考える人は結構いるようで、更衣室の中はなかなかの人の多さだ。
更衣室の中にはシャワーが設置されている。そのため、少し待ってから、俺はシャワーで全身の汚れを洗い流していく。シャワーの水は温水だ。今日は暑かったけど、海水はちょっと冷たさを感じられたので、シャワーの水の温かさが気持ち良く感じられた。
シャワーで全身を綺麗にして、タオルで拭いた後、今日着てきた私服に着替えた。
羽柴も着替え終わったので、更衣室を出ると……まだ、サクラ達の姿はなかった。
「さすがにサクラ達はまだいないか」
「そうだな。まあ、気長に待っていようぜ」
「ああ」
シャワーで洗い流していたり、肌や髪のケアをしていたりしているかもしれないし。
羽柴と一緒に、夕陽に照らされる海を見なが、今日の海水浴のことや現在放送されている深夜アニメのことなどで雑談する。羽柴とアニメについて話すことはしょっちゅうあるけど、海を見ながら話すことは全然ないから特別感があった。
「ダイちゃん、羽柴君、お待たせ。待ったかな」
サクラのそんな声が聞こえたので、更衣室の方を見ると……そこには私服姿に着替え終わったサクラ達女子5人がいた。午前中にここに来てからずっと水着姿だったので、私服姿が新鮮に感じられる。
「そんなことないよ。羽柴と一緒に海を見ながら色々喋ってたし」
「あっという間だったよな」
「そうだな」
「そっか。良かった。じゃあ、帰ろっか」
サクラがそう言い、今日一日遊んだ海水浴場を後にして、最寄り駅に向かって歩いていく。
「今日はみんなと海水浴をして楽しかったよ! みんなはどうだった?」
小泉さんは俺達に向かって元気良く問いかけてくる。今日の海水浴は、終業式の日に小泉さんが海水浴に行かないかと誘ったことが発端だ。だから、海水浴がどうだったのか気になるのだろう。
「楽しかったよ。サクラとひさしぶりに行けたのが嬉しかったし、サクラと羽柴以外とは初めてだったから。サクラとはもちろん、みんなとも楽しい思い出を作れたからな。海が気持ち良かったし、サクラの膝枕で昼寝したのも気持ち良かったな」
「ふふっ、良かった。……私も楽しかったよ。私もダイちゃんと恋人になってから初めて来られたのが嬉しかったし、ダイちゃんと青葉ちゃん以外とは初めてだったけど、色々なことをして楽しく過ごせたから。海もとても気持ち良かったし」
楽しそうな笑顔でそう言うと、サクラは俺にニコッと笑いかけてくれる。サクラと楽しい気持ちが重なって嬉しいな。
「私も楽しかったわ。みんなの素敵な水着姿を見られたし。それに、大輝君に日焼け止めを塗ってもらったり、彼氏のフリをしてナンパから助けてもらったりしたし。最高な海水浴だったわ!」
「良かったね、お姉ちゃん。あたしも楽しかったです! 海も気持ち良かったですし、青葉さんや羽柴さんを中心にビーチボールでいっぱい遊びましたし! あと、お昼ご飯を食べているときに百花さんと和奏さんとお話しできたことも楽しかったです」
「あたしも楽しかったです! 海が気持ち良くて。ビーチボールで遊んだのが楽しくて。磯では転びそうになりましたけど、大輝先輩に助けてもらえたのでそれもいい思い出です。女子5人で水着を買いに行ったのも楽しかったですね」
「俺も楽しかったぜ。速水以外とは初めてだけど、二乃ちゃん以外は学校で一緒にいることも多かったからかな。泳いだり、ビーチボールで遊んだり、速水とイソガニ取ったりして楽しかった」
一紗や杏奈達もみんな楽しそうな笑顔で今日の海水浴の感想を言った。
「良かった。みんなが海水浴を楽しんでくれて。嬉しいよ!」
小泉さんは持ち前の明るく快活な笑顔でそう言った。俺もみんなが今日の海水浴が楽しかったと分かって嬉しいよ。
「青葉ちゃん。終業式の日に、みんなで海水浴に行こうって誘ってくれてありがとう」
サクラはニコッとした笑顔で小泉さんに向けてお礼を言った。
「青葉さんがきっかけだったんですね。青葉さん、ありがとうございました!」
「ありがとうございます、青葉先輩!」
「青葉さん、ありがとう」
「ありがとう、小泉さん」
「ありがとな、小泉」
「……いえいえ」
6人全員からお礼を言われたからか、小泉さんはちょっと照れくさそうに笑う。そんな小泉さんがとても可愛く思えた。そう思うのは俺だけでなく、サクラ達女子4人は「可愛い」と言っていた。
「また、一緒に海水浴に行こうね!」
頬を中心に赤らんでいる顔に明るい笑みを浮かべて、小泉さんは元気良く言った。もちろん、俺達は「そうだね」って返事した。こうして海水浴に行くのがこれからの定番になっていくことだろう。
数分ほど歩いて最寄り駅に到着する。
次の電車は今から5分後に出発する快速急行。なので、その電車に乗って帰ることに。
この駅は始発駅。そのため、5分後に出発する駅は既にホームに停車している。
7人一緒に座りたいので、端の車両に乗車すると……狙い通りまだまだ空いており、1人も座っていないロングシートもある。なので、そのシートに座ることに。ちなみに、座り方は俺、サクラ、小泉さん、杏奈、一紗、二乃ちゃん、羽柴だ。
「あぁ、快適だね、ダイちゃん」
「そうだな。座れたし、扉は開いているけど外に比べれば車内は涼しいもんな」
今日は暑い中、屋外でたくさん遊んだから、こうして涼しい場所で座るだけでかなり快適だ。この電車には終点まで乗るけどあっという間な気がする。
「そうだね、ダイちゃん」
そう言うと、サクラはそっと体を俺に寄せてきて、頭を肩に乗せてくる。
「こうするともっと快適」
俺を見つめながら小さな声でそう言うと、サクラは「えへへっ」と笑った。可愛すぎるだろ、俺の彼女。何だか、こうしてサクラと身を寄せているだけで、海水浴での疲れが取れていく気がするよ。
「終点までこうしてていい?」
甘い声でそう問いかけてくるサクラ。上目遣いで問いかけてくることがまた可愛い。
「いいよ、サクラ」
「ありがとうっ」
嬉しそうな笑顔でお礼を言うと、サクラは頬に「ちゅっ」とキスした。
「帰りまでラブラブですなぁ」
サクラの隣に座る小泉さんがニヤニヤしながら俺達にそう言ってきた。小泉さんの後ろからは杏奈達が微笑みながら見ていて。だから、ちょっと照れくさくて、体がほんのりと熱くなって。ただ、その感覚も悪くない。
サクラも照れくさいのだろうか。頬がほんのりと赤くなっている。ただ、そんなサクラの顔には可愛い笑みが浮かんでいて。
「だって、ダイちゃんの側にいられて嬉しいんだもん。あと、帰ってからもラブラブだよ」
サクラは小泉さん達のことを見ながらそう言った。そして、俺にニコッと笑いかける。
帰ってからもラブラブか。一緒に住んでいるからこそ言える言葉だろう。サクラがそう言ってくれることがとても嬉しい。
「そうだな。帰ってからもラブラブだな」
「うんっ」
「あははっ。2人らしいね。ラブラブで何より」
小泉さんが快活な笑顔でそう言うと、杏奈達は笑顔で頷いていた。一紗はちょっと羨ましそうにしていたけど。
それから程なくして、俺達の乗る電車が出発する。
楽しい時間を過ごして、たくさんの思い出ができた海水浴場から離れていく。そのことに寂しさを覚える。ただ、帰る場所がサクラと同じで、帰ってからもサクラと一緒にいられると思うと嬉しい気持ちになれる。
スマホで撮った写真を見ながら、7人で今日の海水浴のことを雑談していく。海水浴場では色々なことがあったなぁと実感する。
夏休みが始まってから1週間ほど。サクラと恋人になって一緒に暮らしているし、一紗や杏奈達とも遊んでいるから去年よりもかなり楽しい。今までで一番かもしれない。この楽し日々が続くように、サクラとラブラブとした時間を過ごして、みんなと仲良く過ごしていこう。
特別編7-球技大会と夏休みの始まり編- おわり
□後書き□
これにて、この特別編は終わりです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
ただ、楽しい時間はあっという間に過ぎていくもの。
サクラと一紗と二乃ちゃんと一緒にレジャーシートで休んでいると、防災チャイムと思われる童謡のメロディーが聞こえてきた。俺の住んでいる四鷹市では午後5時にチャイムが鳴るけど、この海水浴場がある自治体では何時に鳴るのだろうか。日も少し傾いてきているし、暑さも多少は和らいでいるから午後5時くらいな気がする。
バッグに入っている俺のスマホで時刻を確認すると……午後5時か。
「5時か。帰りのことを考えると、そろそろ帰る方がいいかな。みんな、どうだろう?」
俺はレジャーシートの中にいる3人にそう問いかける。
今は夏休み中で日も長いけど、海水浴場の最寄り駅から四鷹駅までは1時間半くらいかかるし、帰りの支度をすることも考えたら、そろそろ帰った方がいいだろう。
「そうだね、ダイちゃん。私は帰るのに賛成」
サクラが最初に賛同の意を示してくれる。それが何だか嬉しい。一紗と二乃ちゃんも賛成してくれた。
ビーチボールで遊んでいた杏奈、小泉さん、羽柴にもうそろそろ帰るかどうか訊くと、3人も賛成。よって、帰ることにした。
レジャーシートやビーチパラソルを片付け、荷物を持って更衣室へと向かい始める。
海水浴場を見渡すと、人が一番多かったお昼頃に比べるとだいぶ少なくなっている。夏休みシーズンだけど、今日は日曜日。明日は仕事があるからもう帰った人が結構いるのかもしれない。
「午前中からずっといたから、ここから離れるのはちょっと寂しいね」
サクラは俺の顔を見ながら、静かな口調でそう言う。サクラは笑みこそ浮かべているものの、寂しいと言うだけあってその笑顔は寂しげで。そんなサクラを見ていると、ゴールデンウィークに遊園地デートから帰るときのことを思い出す。あのときも、サクラは寂しい気分になると言っていたから。
「そうだな。俺もちょっと寂しい。みんなと色々なことをして遊んだし、楽しかったもんな」
「うん。寂しいって思えるのは、それだけ楽しかった証拠なんだろうね」
「俺もそう思う。だから、寂しいって思える気持ちは大切にしたいな」
「そうだね」
サクラは俺の目を見つめながらそう言った。ただ、サクラの笑顔はさっきの寂しそうなものとは違って、優しくて温かいものになっていた。
それから程なくして更衣室前に到着。午前中に水着に着替えたときと同じく、更衣室の前で待ち合わせをすることに決めた。
俺は羽柴と一緒に男子更衣室の中に入る。
夕方になったから帰ろうと考える人は結構いるようで、更衣室の中はなかなかの人の多さだ。
更衣室の中にはシャワーが設置されている。そのため、少し待ってから、俺はシャワーで全身の汚れを洗い流していく。シャワーの水は温水だ。今日は暑かったけど、海水はちょっと冷たさを感じられたので、シャワーの水の温かさが気持ち良く感じられた。
シャワーで全身を綺麗にして、タオルで拭いた後、今日着てきた私服に着替えた。
羽柴も着替え終わったので、更衣室を出ると……まだ、サクラ達の姿はなかった。
「さすがにサクラ達はまだいないか」
「そうだな。まあ、気長に待っていようぜ」
「ああ」
シャワーで洗い流していたり、肌や髪のケアをしていたりしているかもしれないし。
羽柴と一緒に、夕陽に照らされる海を見なが、今日の海水浴のことや現在放送されている深夜アニメのことなどで雑談する。羽柴とアニメについて話すことはしょっちゅうあるけど、海を見ながら話すことは全然ないから特別感があった。
「ダイちゃん、羽柴君、お待たせ。待ったかな」
サクラのそんな声が聞こえたので、更衣室の方を見ると……そこには私服姿に着替え終わったサクラ達女子5人がいた。午前中にここに来てからずっと水着姿だったので、私服姿が新鮮に感じられる。
「そんなことないよ。羽柴と一緒に海を見ながら色々喋ってたし」
「あっという間だったよな」
「そうだな」
「そっか。良かった。じゃあ、帰ろっか」
サクラがそう言い、今日一日遊んだ海水浴場を後にして、最寄り駅に向かって歩いていく。
「今日はみんなと海水浴をして楽しかったよ! みんなはどうだった?」
小泉さんは俺達に向かって元気良く問いかけてくる。今日の海水浴は、終業式の日に小泉さんが海水浴に行かないかと誘ったことが発端だ。だから、海水浴がどうだったのか気になるのだろう。
「楽しかったよ。サクラとひさしぶりに行けたのが嬉しかったし、サクラと羽柴以外とは初めてだったから。サクラとはもちろん、みんなとも楽しい思い出を作れたからな。海が気持ち良かったし、サクラの膝枕で昼寝したのも気持ち良かったな」
「ふふっ、良かった。……私も楽しかったよ。私もダイちゃんと恋人になってから初めて来られたのが嬉しかったし、ダイちゃんと青葉ちゃん以外とは初めてだったけど、色々なことをして楽しく過ごせたから。海もとても気持ち良かったし」
楽しそうな笑顔でそう言うと、サクラは俺にニコッと笑いかけてくれる。サクラと楽しい気持ちが重なって嬉しいな。
「私も楽しかったわ。みんなの素敵な水着姿を見られたし。それに、大輝君に日焼け止めを塗ってもらったり、彼氏のフリをしてナンパから助けてもらったりしたし。最高な海水浴だったわ!」
「良かったね、お姉ちゃん。あたしも楽しかったです! 海も気持ち良かったですし、青葉さんや羽柴さんを中心にビーチボールでいっぱい遊びましたし! あと、お昼ご飯を食べているときに百花さんと和奏さんとお話しできたことも楽しかったです」
「あたしも楽しかったです! 海が気持ち良くて。ビーチボールで遊んだのが楽しくて。磯では転びそうになりましたけど、大輝先輩に助けてもらえたのでそれもいい思い出です。女子5人で水着を買いに行ったのも楽しかったですね」
「俺も楽しかったぜ。速水以外とは初めてだけど、二乃ちゃん以外は学校で一緒にいることも多かったからかな。泳いだり、ビーチボールで遊んだり、速水とイソガニ取ったりして楽しかった」
一紗や杏奈達もみんな楽しそうな笑顔で今日の海水浴の感想を言った。
「良かった。みんなが海水浴を楽しんでくれて。嬉しいよ!」
小泉さんは持ち前の明るく快活な笑顔でそう言った。俺もみんなが今日の海水浴が楽しかったと分かって嬉しいよ。
「青葉ちゃん。終業式の日に、みんなで海水浴に行こうって誘ってくれてありがとう」
サクラはニコッとした笑顔で小泉さんに向けてお礼を言った。
「青葉さんがきっかけだったんですね。青葉さん、ありがとうございました!」
「ありがとうございます、青葉先輩!」
「青葉さん、ありがとう」
「ありがとう、小泉さん」
「ありがとな、小泉」
「……いえいえ」
6人全員からお礼を言われたからか、小泉さんはちょっと照れくさそうに笑う。そんな小泉さんがとても可愛く思えた。そう思うのは俺だけでなく、サクラ達女子4人は「可愛い」と言っていた。
「また、一緒に海水浴に行こうね!」
頬を中心に赤らんでいる顔に明るい笑みを浮かべて、小泉さんは元気良く言った。もちろん、俺達は「そうだね」って返事した。こうして海水浴に行くのがこれからの定番になっていくことだろう。
数分ほど歩いて最寄り駅に到着する。
次の電車は今から5分後に出発する快速急行。なので、その電車に乗って帰ることに。
この駅は始発駅。そのため、5分後に出発する駅は既にホームに停車している。
7人一緒に座りたいので、端の車両に乗車すると……狙い通りまだまだ空いており、1人も座っていないロングシートもある。なので、そのシートに座ることに。ちなみに、座り方は俺、サクラ、小泉さん、杏奈、一紗、二乃ちゃん、羽柴だ。
「あぁ、快適だね、ダイちゃん」
「そうだな。座れたし、扉は開いているけど外に比べれば車内は涼しいもんな」
今日は暑い中、屋外でたくさん遊んだから、こうして涼しい場所で座るだけでかなり快適だ。この電車には終点まで乗るけどあっという間な気がする。
「そうだね、ダイちゃん」
そう言うと、サクラはそっと体を俺に寄せてきて、頭を肩に乗せてくる。
「こうするともっと快適」
俺を見つめながら小さな声でそう言うと、サクラは「えへへっ」と笑った。可愛すぎるだろ、俺の彼女。何だか、こうしてサクラと身を寄せているだけで、海水浴での疲れが取れていく気がするよ。
「終点までこうしてていい?」
甘い声でそう問いかけてくるサクラ。上目遣いで問いかけてくることがまた可愛い。
「いいよ、サクラ」
「ありがとうっ」
嬉しそうな笑顔でお礼を言うと、サクラは頬に「ちゅっ」とキスした。
「帰りまでラブラブですなぁ」
サクラの隣に座る小泉さんがニヤニヤしながら俺達にそう言ってきた。小泉さんの後ろからは杏奈達が微笑みながら見ていて。だから、ちょっと照れくさくて、体がほんのりと熱くなって。ただ、その感覚も悪くない。
サクラも照れくさいのだろうか。頬がほんのりと赤くなっている。ただ、そんなサクラの顔には可愛い笑みが浮かんでいて。
「だって、ダイちゃんの側にいられて嬉しいんだもん。あと、帰ってからもラブラブだよ」
サクラは小泉さん達のことを見ながらそう言った。そして、俺にニコッと笑いかける。
帰ってからもラブラブか。一緒に住んでいるからこそ言える言葉だろう。サクラがそう言ってくれることがとても嬉しい。
「そうだな。帰ってからもラブラブだな」
「うんっ」
「あははっ。2人らしいね。ラブラブで何より」
小泉さんが快活な笑顔でそう言うと、杏奈達は笑顔で頷いていた。一紗はちょっと羨ましそうにしていたけど。
それから程なくして、俺達の乗る電車が出発する。
楽しい時間を過ごして、たくさんの思い出ができた海水浴場から離れていく。そのことに寂しさを覚える。ただ、帰る場所がサクラと同じで、帰ってからもサクラと一緒にいられると思うと嬉しい気持ちになれる。
スマホで撮った写真を見ながら、7人で今日の海水浴のことを雑談していく。海水浴場では色々なことがあったなぁと実感する。
夏休みが始まってから1週間ほど。サクラと恋人になって一緒に暮らしているし、一紗や杏奈達とも遊んでいるから去年よりもかなり楽しい。今までで一番かもしれない。この楽し日々が続くように、サクラとラブラブとした時間を過ごして、みんなと仲良く過ごしていこう。
特別編7-球技大会と夏休みの始まり編- おわり
□後書き□
これにて、この特別編は終わりです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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