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第4話『初めての食事』
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「さてと、そろそろ夕ご飯を作ろうかなと思います。エリカさんはアレルギーや、どうしても嫌いで食べられないものはありますか? 地球の食材で作りますけど」
エリカさんやルーシーさんと色々なことを話していたからか、夕食のことをすっかりと忘れていた。小さい頃から親の手伝いはしていて、何年も一人暮らしをしているので料理はそれなりにできる。
ダイマ王星の食文化は地球とどう違うのだろうか。ただ、地球の調査をする中で、食文化がダイマ王星で広まってあまり変わりないかもしれない。
「アレルギーっていうのは確か……」
「食べたら体調が悪くなってしまう食べ物のことです」
ただ、異星人ということもあって、地球の食べ物全部が体に合わない可能性もある。もしそうだとしたら何か対策を考えないといけないな。
「嫌いなものや具合が悪くなってしまう食べ物は特にないよ。もちろん、食べたことのない地球の食べ物はあるけど、挑戦してみたい。好きなものはお肉!」
「分かりました」
「そういえば、宇宙船が到着した場所の近くにあったお食事処で、お蕎麦というものを食べたけど美味しかったな」
「そうですか……って、ちょっと待ってください。ちゃんとそのときはお金を払いましたよね?」
「当たり前だよ! 地球に行く前に、宇宙銀行でちゃんと日本円を含めた地球のお金に両替したし、地球で使えるカードも発行してもらったもん」
「そうでしたか」
宇宙銀行なんていう金融機関があったとは。日本で使えるお金を持っていると知って一安心だな。
「食費とか、私が住むことで増える費用はしっかりと出すから安心してね。たくさん両替したし、カードなら日本円で億単位で持っているから」
「さすがは王女様。金銭面での心配はなさそうで安心しました。ただ、エリカさんのお金に頼りすぎないように気を付けます」
「ふふっ、宏斗さんは真面目ね」
エリカさんがたくさんお金を持っているからといって、変に浪費してしまわないように気を付けないと。
さてと、まだスーツのままだから着替えないと。
「夕飯を作る前に、寝室に行って部屋着に着替えてきますね」
「分かった。ええと……ついていっていい?」
「いいですよ」
俺がどんなところで寝ているのか気になるのかな。
俺はエリカさんと一緒に寝室へと向かう。
「ここが宏斗さんの寝室なんだ」
「ええ。もちろん寝るだけではなくて、ベッドで横になりながら本を読んだり、音楽を聴いたり。そこにあるパソコンで動画やBlu-rayを観たりすることもあります。あと、最近はあまりやりませんけど、ペンタブで絵を描くこともあります」
「寝室といっても、色々なことをしているんだね。あと、このパソコンっていう機械に似たものはダイマ王星にもあるよ。仕事で使ったりするの」
「そうなんですか」
宇宙船を作るほどの技術力がある星だ。普段の仕事でパソコンを使うか。
俺はエリカさんの前で部屋着に着替えていく。実家にいる頃、2人の妹が俺の部屋でくつろいでいる中で着替えていたことが多かったので、相手さえ良ければ女性の前で着替えることに何の抵抗もない。
「ねえ、宏斗さん」
「何ですか?」
「……脱いだその白い服を渡してくれる?」
「ワイシャツのことですね。はい、どうぞ」
俺が今日着ていたワイシャツに興味でもあるのかな。もしかして、ダイマ王星にこういう服はないのだろうか。
エリカさんにワイシャツを渡すと、彼女はすぐに匂いを嗅ぎ始めた。
「ああ、宏斗さんの匂い……幸せ」
エリカはうっとりとした様子でそう言うと、俺のワイシャツを顔に押しつける。しっぽを振っていて可愛いけれど、
「エリカさんって、もしかして変態なんですか?」
「そんなことないよ! こういうことをするのは宏斗さんだからであって……」
「……な、なるほど。可愛いですね。ただ、そういうことをするのは家の中だけにしておいた方がいいかと思います」
「さすがにこういうことを外ではしない……よ」
今の間は何だったのだろうか。若干の不安はあるけれど、エリカさんのことを信じることにしよう。それに、好きだと言ってくれたエリカさんに服の匂いを嗅がれることに悪い気はしない。今のところは。
夕ご飯を作るために台所に向かうと、俺が料理を作る姿を見たいということでエリカさんもついてきた。
「何を作るの?」
「この冷蔵庫という家電の中に残っている食材によりますね」
「あぁ、涼しいですね。ダイマ王星にも食料保存のために、こういった涼しい箱型の機械がありますよ」
「そうなんですね。きっと、ダイマ王星には地球の機械に似たものがたくさんあるんでしょうね」
ええと、冷蔵庫の中に残っているのは、卵と焼き豚、キャベツやもやし、玉ねぎなどいくつかの野菜か。あとはラーメンやうどん。冷凍食品もある。炊飯器の中にご飯もあるから、
「では、チャーハンという料理を作りましょう」
「ダイマ王星にいるときに聞いたことのある地球料理だ。食べたことはないけど」
「地球料理……新鮮な響きですね。中華料理ですが、日本でもポピュラーです」
「そうなんだ。そういえば、お蕎麦を食べたお店の近くに『チャーハン』という文字を見かけたな。一緒に『ラーメン』という文字も」
「ラーメンも人気のある料理です。ラーメンもあるので、近いうちに食べましょうか」
「うん!」
俺はエリカさんが見ている中でチャーハンを作り始める。家族ならまだしも、エリカさんに見られると少し緊張するな。美味しいと思ってもらえるようにしっかり作らないと。
「宏斗さん、手慣れている感じがする」
「何年も一人暮らししていますからね。実家に住んでいた頃も、ご飯とか妹のおやつをたまに作っていました」
「そうなんだ。偉いなぁ。27歳で」
「そう言ってくれるのは嬉しいですね。ただ、俺よりも料理する人はたくさんいますよ。料理をすることを仕事にしている方もいっぱいいます。ところで、エリカさんは料理をするんですか? 王族というと、普段はメイドの方やお料理専門の方が食事を作っているイメージがありますが」
「普段はメイドのリサが作ってくれることが多いね。ただ、リサにお料理やデザート作りを教えてもらって、私もそれなりにできるよ。地球に行くってことが決まってからは、地球の料理やデザート作りの練習もしたし。だから、これからは私も食事を作るね」
「ありがとうございます。そのときを楽しみにしています」
俺は仕事があるし、これからはエリカさんに食事を作ってもらうこともあるだろうな。でも、メイドのリサさんがいるから、そういうことはあまりないのかも。
さあ、材料も全て準備したし、後は思いっきり炒めるだけだ。
「おおっ! さすがに男の人だけあって迫力ある!」
「できるだけパラパラとしたチャーハンにしたいですからね」
「これも一つのテクニックなんだね。こんな感じで料理している人は初めて見た! 地球人半端ない!」
「俺程度で半端ないって言っていたら、仕事でチャーハンを作っている人を見たら超半端ないって思いますよ」
ただ、そんな地球人よりも、魔法を使うことができたり、地球まで行く宇宙船を作ったりできるダイマ星人の方が、遥かに半端ないと思うけれど。
「さあ、できましたよ」
「美味しそう。いい匂いもするし。これが宏斗さんの初めての手料理」
「リビングに運んでさっそく食べましょう」
「うん!」
俺は2人分のチャーハンと麦茶をリビングへと持っていく。
そういえば、こうやって家で女性と2人きりで食事をするのは初めてか。まさか、その相手が異星人の王女様だとは思わなかった。
「それでは、いただきます」
「いただきます」
エリカさんはさっそく俺の作ったチャーハンを一口食べる。
「あぁ、美味しい……」
エリカさんは幸せそうな笑みを浮かべながらそう言ってくれた。こんなに嬉しそうに自分の作ったものを食べてくれるのは妹以来だ。作って良かったなって思える。1人のときには味わえなかった感覚なんだろうな。
「……美味しい」
いつもよりも美味しくできたような感じがする。
それにしても、エリカさんは俺の作ったチャーハンをモリモリと食べてくれるな。好みだったのか。それとも食べること自体が大好きなのか。
「本当に美味しそうに食べてくれますね。嬉しいです」
「実際に美味しいんだもん。ダイマ王星の方に報告するために、後でしっかりとまとめておこう。実際に地球で暮らしてみて、地球人のことや、地球での生活や文化などについて王国に報告するのも任務だからね。ダイマ王星の発展に繋がるきっかけになればいいなって」
「なるほど」
そういう任務もあるから、20年間眠り続けたことにルーシーさんはあんなに怒っていたんだな。ただ、あの叱責だけでよく済んだとも思う。きっと、母としての温情もあったんじゃないだろうか。
その後も笑みを絶やすことなく、エリカさんはチャーハンを食べてくれた。
「ごちそうさまでした。美味しかったです、宏斗さん」
「それは良かったです。ごちそうさまでした」
エリカさんと食事を楽しくできたのだから、きっとこれから何とか一緒に生活できるだろう。そんなことを考えながら、食事の後片付けをするのであった。
エリカさんやルーシーさんと色々なことを話していたからか、夕食のことをすっかりと忘れていた。小さい頃から親の手伝いはしていて、何年も一人暮らしをしているので料理はそれなりにできる。
ダイマ王星の食文化は地球とどう違うのだろうか。ただ、地球の調査をする中で、食文化がダイマ王星で広まってあまり変わりないかもしれない。
「アレルギーっていうのは確か……」
「食べたら体調が悪くなってしまう食べ物のことです」
ただ、異星人ということもあって、地球の食べ物全部が体に合わない可能性もある。もしそうだとしたら何か対策を考えないといけないな。
「嫌いなものや具合が悪くなってしまう食べ物は特にないよ。もちろん、食べたことのない地球の食べ物はあるけど、挑戦してみたい。好きなものはお肉!」
「分かりました」
「そういえば、宇宙船が到着した場所の近くにあったお食事処で、お蕎麦というものを食べたけど美味しかったな」
「そうですか……って、ちょっと待ってください。ちゃんとそのときはお金を払いましたよね?」
「当たり前だよ! 地球に行く前に、宇宙銀行でちゃんと日本円を含めた地球のお金に両替したし、地球で使えるカードも発行してもらったもん」
「そうでしたか」
宇宙銀行なんていう金融機関があったとは。日本で使えるお金を持っていると知って一安心だな。
「食費とか、私が住むことで増える費用はしっかりと出すから安心してね。たくさん両替したし、カードなら日本円で億単位で持っているから」
「さすがは王女様。金銭面での心配はなさそうで安心しました。ただ、エリカさんのお金に頼りすぎないように気を付けます」
「ふふっ、宏斗さんは真面目ね」
エリカさんがたくさんお金を持っているからといって、変に浪費してしまわないように気を付けないと。
さてと、まだスーツのままだから着替えないと。
「夕飯を作る前に、寝室に行って部屋着に着替えてきますね」
「分かった。ええと……ついていっていい?」
「いいですよ」
俺がどんなところで寝ているのか気になるのかな。
俺はエリカさんと一緒に寝室へと向かう。
「ここが宏斗さんの寝室なんだ」
「ええ。もちろん寝るだけではなくて、ベッドで横になりながら本を読んだり、音楽を聴いたり。そこにあるパソコンで動画やBlu-rayを観たりすることもあります。あと、最近はあまりやりませんけど、ペンタブで絵を描くこともあります」
「寝室といっても、色々なことをしているんだね。あと、このパソコンっていう機械に似たものはダイマ王星にもあるよ。仕事で使ったりするの」
「そうなんですか」
宇宙船を作るほどの技術力がある星だ。普段の仕事でパソコンを使うか。
俺はエリカさんの前で部屋着に着替えていく。実家にいる頃、2人の妹が俺の部屋でくつろいでいる中で着替えていたことが多かったので、相手さえ良ければ女性の前で着替えることに何の抵抗もない。
「ねえ、宏斗さん」
「何ですか?」
「……脱いだその白い服を渡してくれる?」
「ワイシャツのことですね。はい、どうぞ」
俺が今日着ていたワイシャツに興味でもあるのかな。もしかして、ダイマ王星にこういう服はないのだろうか。
エリカさんにワイシャツを渡すと、彼女はすぐに匂いを嗅ぎ始めた。
「ああ、宏斗さんの匂い……幸せ」
エリカはうっとりとした様子でそう言うと、俺のワイシャツを顔に押しつける。しっぽを振っていて可愛いけれど、
「エリカさんって、もしかして変態なんですか?」
「そんなことないよ! こういうことをするのは宏斗さんだからであって……」
「……な、なるほど。可愛いですね。ただ、そういうことをするのは家の中だけにしておいた方がいいかと思います」
「さすがにこういうことを外ではしない……よ」
今の間は何だったのだろうか。若干の不安はあるけれど、エリカさんのことを信じることにしよう。それに、好きだと言ってくれたエリカさんに服の匂いを嗅がれることに悪い気はしない。今のところは。
夕ご飯を作るために台所に向かうと、俺が料理を作る姿を見たいということでエリカさんもついてきた。
「何を作るの?」
「この冷蔵庫という家電の中に残っている食材によりますね」
「あぁ、涼しいですね。ダイマ王星にも食料保存のために、こういった涼しい箱型の機械がありますよ」
「そうなんですね。きっと、ダイマ王星には地球の機械に似たものがたくさんあるんでしょうね」
ええと、冷蔵庫の中に残っているのは、卵と焼き豚、キャベツやもやし、玉ねぎなどいくつかの野菜か。あとはラーメンやうどん。冷凍食品もある。炊飯器の中にご飯もあるから、
「では、チャーハンという料理を作りましょう」
「ダイマ王星にいるときに聞いたことのある地球料理だ。食べたことはないけど」
「地球料理……新鮮な響きですね。中華料理ですが、日本でもポピュラーです」
「そうなんだ。そういえば、お蕎麦を食べたお店の近くに『チャーハン』という文字を見かけたな。一緒に『ラーメン』という文字も」
「ラーメンも人気のある料理です。ラーメンもあるので、近いうちに食べましょうか」
「うん!」
俺はエリカさんが見ている中でチャーハンを作り始める。家族ならまだしも、エリカさんに見られると少し緊張するな。美味しいと思ってもらえるようにしっかり作らないと。
「宏斗さん、手慣れている感じがする」
「何年も一人暮らししていますからね。実家に住んでいた頃も、ご飯とか妹のおやつをたまに作っていました」
「そうなんだ。偉いなぁ。27歳で」
「そう言ってくれるのは嬉しいですね。ただ、俺よりも料理する人はたくさんいますよ。料理をすることを仕事にしている方もいっぱいいます。ところで、エリカさんは料理をするんですか? 王族というと、普段はメイドの方やお料理専門の方が食事を作っているイメージがありますが」
「普段はメイドのリサが作ってくれることが多いね。ただ、リサにお料理やデザート作りを教えてもらって、私もそれなりにできるよ。地球に行くってことが決まってからは、地球の料理やデザート作りの練習もしたし。だから、これからは私も食事を作るね」
「ありがとうございます。そのときを楽しみにしています」
俺は仕事があるし、これからはエリカさんに食事を作ってもらうこともあるだろうな。でも、メイドのリサさんがいるから、そういうことはあまりないのかも。
さあ、材料も全て準備したし、後は思いっきり炒めるだけだ。
「おおっ! さすがに男の人だけあって迫力ある!」
「できるだけパラパラとしたチャーハンにしたいですからね」
「これも一つのテクニックなんだね。こんな感じで料理している人は初めて見た! 地球人半端ない!」
「俺程度で半端ないって言っていたら、仕事でチャーハンを作っている人を見たら超半端ないって思いますよ」
ただ、そんな地球人よりも、魔法を使うことができたり、地球まで行く宇宙船を作ったりできるダイマ星人の方が、遥かに半端ないと思うけれど。
「さあ、できましたよ」
「美味しそう。いい匂いもするし。これが宏斗さんの初めての手料理」
「リビングに運んでさっそく食べましょう」
「うん!」
俺は2人分のチャーハンと麦茶をリビングへと持っていく。
そういえば、こうやって家で女性と2人きりで食事をするのは初めてか。まさか、その相手が異星人の王女様だとは思わなかった。
「それでは、いただきます」
「いただきます」
エリカさんはさっそく俺の作ったチャーハンを一口食べる。
「あぁ、美味しい……」
エリカさんは幸せそうな笑みを浮かべながらそう言ってくれた。こんなに嬉しそうに自分の作ったものを食べてくれるのは妹以来だ。作って良かったなって思える。1人のときには味わえなかった感覚なんだろうな。
「……美味しい」
いつもよりも美味しくできたような感じがする。
それにしても、エリカさんは俺の作ったチャーハンをモリモリと食べてくれるな。好みだったのか。それとも食べること自体が大好きなのか。
「本当に美味しそうに食べてくれますね。嬉しいです」
「実際に美味しいんだもん。ダイマ王星の方に報告するために、後でしっかりとまとめておこう。実際に地球で暮らしてみて、地球人のことや、地球での生活や文化などについて王国に報告するのも任務だからね。ダイマ王星の発展に繋がるきっかけになればいいなって」
「なるほど」
そういう任務もあるから、20年間眠り続けたことにルーシーさんはあんなに怒っていたんだな。ただ、あの叱責だけでよく済んだとも思う。きっと、母としての温情もあったんじゃないだろうか。
その後も笑みを絶やすことなく、エリカさんはチャーハンを食べてくれた。
「ごちそうさまでした。美味しかったです、宏斗さん」
「それは良かったです。ごちそうさまでした」
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