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特別編-入れ替わりの夏-
第27話『お着替え-後編-』
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直人先輩や隼人さんと別れて、私達は女子更衣室に。
更衣室にはあまり人がいない。夏休みだけど、日曜日の午後ということもあってホテルをチェックインする人が少ないのかな。
今は遥香さんの体だから、遥香さんの水着を着ることに。あと、私の体の方が胸は大きいから、水着を交換したら遥香さんが苦しい想いをすることになると絢さんにこっそりと教えられた。何となく、自分の体よりも胸の辺りがいつもよりも軽いと思っていたんだけど……やっぱりそうだったんだ。
「何だか、自分がすぐ側にいる状況で着替えるなんて不思議ですね」
「そうですね」
遥香さんの言うように、確かに自分の姿が見えるところで着替えるのは不思議な気分。でも、今は遥香さんの体の影響なのか、絢さんの視線がどうしても気になってしまう。
服を脱いで、水着へと着替えようとする。
「あっ……」
そういえば、昨日の夜……直人先輩とイチャイチャしたから、体に変な痕とか残っていないよね。
遥香さんの方を見ると、彼女は私の方をちらちらと見ていた。
「もしかして、遥香さんも……?」
耳元でそう囁くと、遥香さんははにかみながら、
「……はい。昨晩、絢ちゃんと色々なことをして。あと……今朝、お腹が痛くなったのは、裸のままで眠っちゃったせいなのかなって思っていたんです」
「私と同じですね」
恋人と一緒に旅行に来ていると、夜に……色々なことしちゃうよね! 遥香さんの話を聞いたら昨日の夜のことを思い出してしまい、顔が熱くなってきた。
「あの、彩花さん。その……良ければ、お互いの体を確認しませんか? その……赤くなっている部分がないかどうかを」
「き、奇遇ですね。私も同じことを考えていたんです」
「じゃあ、まずはお互いに向かい合って前面の方を見ましょう」
「はい」
私と遥香さんは自分の体を見始める。裸になって自分の体を見るなんて。これ、鏡じゃないんだよね。
「きゃっ」
思わず、胸の所を指でつん、とやってみる。すると、温かくて柔らかな感触が。頬がちょっと赤くなっているのがちょっと可愛い。自分の顔なのにね。
「な、何をするんですか。彩花さん」
「……自分の体を見ていたら、つい」
「もう、彩花さんったら」
と、遥香さんは指で私の胸をつんとしてくる。
「んっ……あっ、声出ちゃいますね」
「突然されると驚くんですよ。でも、こうして触ってみると、イチャイチャしているときの絢ちゃんって、私のことをこういう風に感じているんだなって思います」
「私も……先輩が私のことを触るとこういう風に感じるんだなって分かりました」
昨日の夜も、直人先輩とイチャイチャしているとき……先輩はこういう風に感じだったのかな。
「……もっと触り合いましょうか」
「そうですね。確認のために」
そう言うと、遥香さんの方から両手で触り始める。
それに応えるように私も胸を両手で触る。私の胸ってこんなにも大きくて柔らかかったんだ。自分で触るよりも柔らかく思えるのはなぜなのか。
「2人とも、裸で寄り添い合ってどうしたの?」
『きゃああっ!』
絢さんの言葉で、瞬間的に私と遥香さんは体を離した。
振り返ると水着に着替え終わっていた絢さんがきょとんとした表情で立っていた。そうだった、ここには遥香さん以外にも人がいたんだった。恥ずかしいよ。
絢さんに見られたことがとても恥ずかしかったのか、遥香さんはその場でしゃがみ込んでしまった。
「えっと、その……自分の体が恋しくなっちゃって」
「そっか。体が入れ替わるとそう思うんだね。自分の体を触ったときの感触とか、温もりとか、匂いとか」
「そ、そうなんです」
適当に言ったけど、絢さんは今の私の言葉に信じてくれたみたい。にこっと笑う。
「ははっ、可愛いね。やっぱり、遥香の体よりも自分の体の方がいいかな?」
「……生まれてからずっと持っているものなので。そ、それよりも……じっと私のことを見ないでください。恥ずかしいですから……」
「あっ、ごめんね、彩花ちゃん」
絢さんは爽やかな笑みを見せると、私達に背中を向けた。
遥香さんの体の影響なのか、絢さんに裸を見られることが恥ずかしいと同時に、直人先輩に見られたときのようにキュンとしてしまった。
「彩花さん、軽くチェックして水着を着ましょう」
「そうですね」
私達は、お互いに全身を見て変な痕ががないかどうかをチェックする。私の体には……そういうものはなし。直人先輩、ありがとうございます。
「OKです、彩花さん」
「こっちも大丈夫です、遥香さん」
「じゃあ、水着を着ましょうか。彩花さんは私の水着でいいですか?」
「はい! 一度の旅行で2種類水着が着ることができるなんてお得な感じがしますし」
「……私も同じことを考えてました」
「そうですか」
体が入れ替わったのに、水着は同じっていうのはおかしい感じもするし。遥香さんと同じ考えで良かった。
私達はようやく水着を着ることに。昨日見たときも思ったけれど、遥香さんの水着も可愛いなぁ。
「あっ、昨日の自分がいますね」
「そうですね。何だか不思議ですよね」
私の目の前には、パレオ付きの赤いビキニを着た自分の姿が。昨日、直人先輩も私のことをこういう風に見えていたのかな。
「おっ、遥香も彩花さんも水着が似合っているね……って言って大丈夫なのかな」
「大丈夫だよ、絢ちゃん」
「体が入れ替わっていても、似合っていると言っていただけるととても嬉しいです」
絢さんは私の水着姿も、遥香さんの水着姿も似合っていると言った。今は遥香さんと入れ替わっているので、いつもの倍の嬉しさがある。
「絢ちゃんの言うとおり、2人とも似合っているね。私は水着を交換したバージョンが見たかったけれど、サイズとかが合わないかもしれないもんね。さっ、隼人と藍沢君が待っているだろうから行きましょう」
直人先輩、私の姿を見てどう思うかな。まあ、今は遥香さんの姿だし、昨日と同じ水着姿だからね。それよりも、今はすぐ側に水着姿の絢さんがいることの方が気になって、ドキドキして。私は直人先輩の彼女なんだから、そう思ってはいけないのに。
ということは、今……遥香さんは直人先輩に水着姿を見られてどう思われるかドキドキしているってことなのかな。自分の体の影響があるから仕方ない部分はあるけど。ううっ、気持ちがグチャグチャになっていく。
「彩花さん、顔色があまり良くなさそうに見えるけど大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
「そっか、ならいいけど。無理はしないでね。遥香の体になってまだそんなに時間も経っていないから」
「……ありがとうございます」
絢さんの優しい言葉が嬉しくて。優しい笑顔にキュンとなって。遥香さん、こういうところに惹かれたんだろうな。好きになるのが分かっちゃうな。
「もちろん、遥香も無理はしないでね」
「……分かってるよ」
遥香さんの方を見てみると、嬉しそうな笑みを浮かべている。
今のやり取りだけでも、私と話しているときよりも自然な感じがした。2人は付き合っているのだからそれは当たり前であることは分かっている。それでも、ちょっと嫉妬してしまうのであった。
更衣室にはあまり人がいない。夏休みだけど、日曜日の午後ということもあってホテルをチェックインする人が少ないのかな。
今は遥香さんの体だから、遥香さんの水着を着ることに。あと、私の体の方が胸は大きいから、水着を交換したら遥香さんが苦しい想いをすることになると絢さんにこっそりと教えられた。何となく、自分の体よりも胸の辺りがいつもよりも軽いと思っていたんだけど……やっぱりそうだったんだ。
「何だか、自分がすぐ側にいる状況で着替えるなんて不思議ですね」
「そうですね」
遥香さんの言うように、確かに自分の姿が見えるところで着替えるのは不思議な気分。でも、今は遥香さんの体の影響なのか、絢さんの視線がどうしても気になってしまう。
服を脱いで、水着へと着替えようとする。
「あっ……」
そういえば、昨日の夜……直人先輩とイチャイチャしたから、体に変な痕とか残っていないよね。
遥香さんの方を見ると、彼女は私の方をちらちらと見ていた。
「もしかして、遥香さんも……?」
耳元でそう囁くと、遥香さんははにかみながら、
「……はい。昨晩、絢ちゃんと色々なことをして。あと……今朝、お腹が痛くなったのは、裸のままで眠っちゃったせいなのかなって思っていたんです」
「私と同じですね」
恋人と一緒に旅行に来ていると、夜に……色々なことしちゃうよね! 遥香さんの話を聞いたら昨日の夜のことを思い出してしまい、顔が熱くなってきた。
「あの、彩花さん。その……良ければ、お互いの体を確認しませんか? その……赤くなっている部分がないかどうかを」
「き、奇遇ですね。私も同じことを考えていたんです」
「じゃあ、まずはお互いに向かい合って前面の方を見ましょう」
「はい」
私と遥香さんは自分の体を見始める。裸になって自分の体を見るなんて。これ、鏡じゃないんだよね。
「きゃっ」
思わず、胸の所を指でつん、とやってみる。すると、温かくて柔らかな感触が。頬がちょっと赤くなっているのがちょっと可愛い。自分の顔なのにね。
「な、何をするんですか。彩花さん」
「……自分の体を見ていたら、つい」
「もう、彩花さんったら」
と、遥香さんは指で私の胸をつんとしてくる。
「んっ……あっ、声出ちゃいますね」
「突然されると驚くんですよ。でも、こうして触ってみると、イチャイチャしているときの絢ちゃんって、私のことをこういう風に感じているんだなって思います」
「私も……先輩が私のことを触るとこういう風に感じるんだなって分かりました」
昨日の夜も、直人先輩とイチャイチャしているとき……先輩はこういう風に感じだったのかな。
「……もっと触り合いましょうか」
「そうですね。確認のために」
そう言うと、遥香さんの方から両手で触り始める。
それに応えるように私も胸を両手で触る。私の胸ってこんなにも大きくて柔らかかったんだ。自分で触るよりも柔らかく思えるのはなぜなのか。
「2人とも、裸で寄り添い合ってどうしたの?」
『きゃああっ!』
絢さんの言葉で、瞬間的に私と遥香さんは体を離した。
振り返ると水着に着替え終わっていた絢さんがきょとんとした表情で立っていた。そうだった、ここには遥香さん以外にも人がいたんだった。恥ずかしいよ。
絢さんに見られたことがとても恥ずかしかったのか、遥香さんはその場でしゃがみ込んでしまった。
「えっと、その……自分の体が恋しくなっちゃって」
「そっか。体が入れ替わるとそう思うんだね。自分の体を触ったときの感触とか、温もりとか、匂いとか」
「そ、そうなんです」
適当に言ったけど、絢さんは今の私の言葉に信じてくれたみたい。にこっと笑う。
「ははっ、可愛いね。やっぱり、遥香の体よりも自分の体の方がいいかな?」
「……生まれてからずっと持っているものなので。そ、それよりも……じっと私のことを見ないでください。恥ずかしいですから……」
「あっ、ごめんね、彩花ちゃん」
絢さんは爽やかな笑みを見せると、私達に背中を向けた。
遥香さんの体の影響なのか、絢さんに裸を見られることが恥ずかしいと同時に、直人先輩に見られたときのようにキュンとしてしまった。
「彩花さん、軽くチェックして水着を着ましょう」
「そうですね」
私達は、お互いに全身を見て変な痕ががないかどうかをチェックする。私の体には……そういうものはなし。直人先輩、ありがとうございます。
「OKです、彩花さん」
「こっちも大丈夫です、遥香さん」
「じゃあ、水着を着ましょうか。彩花さんは私の水着でいいですか?」
「はい! 一度の旅行で2種類水着が着ることができるなんてお得な感じがしますし」
「……私も同じことを考えてました」
「そうですか」
体が入れ替わったのに、水着は同じっていうのはおかしい感じもするし。遥香さんと同じ考えで良かった。
私達はようやく水着を着ることに。昨日見たときも思ったけれど、遥香さんの水着も可愛いなぁ。
「あっ、昨日の自分がいますね」
「そうですね。何だか不思議ですよね」
私の目の前には、パレオ付きの赤いビキニを着た自分の姿が。昨日、直人先輩も私のことをこういう風に見えていたのかな。
「おっ、遥香も彩花さんも水着が似合っているね……って言って大丈夫なのかな」
「大丈夫だよ、絢ちゃん」
「体が入れ替わっていても、似合っていると言っていただけるととても嬉しいです」
絢さんは私の水着姿も、遥香さんの水着姿も似合っていると言った。今は遥香さんと入れ替わっているので、いつもの倍の嬉しさがある。
「絢ちゃんの言うとおり、2人とも似合っているね。私は水着を交換したバージョンが見たかったけれど、サイズとかが合わないかもしれないもんね。さっ、隼人と藍沢君が待っているだろうから行きましょう」
直人先輩、私の姿を見てどう思うかな。まあ、今は遥香さんの姿だし、昨日と同じ水着姿だからね。それよりも、今はすぐ側に水着姿の絢さんがいることの方が気になって、ドキドキして。私は直人先輩の彼女なんだから、そう思ってはいけないのに。
ということは、今……遥香さんは直人先輩に水着姿を見られてどう思われるかドキドキしているってことなのかな。自分の体の影響があるから仕方ない部分はあるけど。ううっ、気持ちがグチャグチャになっていく。
「彩花さん、顔色があまり良くなさそうに見えるけど大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
「そっか、ならいいけど。無理はしないでね。遥香の体になってまだそんなに時間も経っていないから」
「……ありがとうございます」
絢さんの優しい言葉が嬉しくて。優しい笑顔にキュンとなって。遥香さん、こういうところに惹かれたんだろうな。好きになるのが分かっちゃうな。
「もちろん、遥香も無理はしないでね」
「……分かってるよ」
遥香さんの方を見てみると、嬉しそうな笑みを浮かべている。
今のやり取りだけでも、私と話しているときよりも自然な感じがした。2人は付き合っているのだからそれは当たり前であることは分かっている。それでも、ちょっと嫉妬してしまうのであった。
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