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特別編
第6話『中間試験の順位』
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6月6日、火曜日。
今日も起きたときからよく晴れている。なので、昨日と同様に、優奈と一緒に家を出発して、マンションを出るとなかなか暑く感じる。
ただ、朝食後に見た週間予報によると、今週末頃から雨マークが続く予報になっている。もうそろそろ関東地方も梅雨入りだろうか。雨が降って空気がジメッとする梅雨の時期はあまり好きではない。そう思うと、青空の下で照り付けているこの強い日差しもいくらかはマシに思えてくる。
昨日の放課後デートのことや昨日観たアニメについて話しながら、高校に向かって歩いていく。
優奈と話すのが楽しいから、高校に到着するまであっという間だ。実家に住んでいた頃は徒歩だけで学校に行けていいなって思っていたけど、優奈と一緒に住み始めてからはもうちょっと遠くてもいいなと思うときがある。
校門に入ると……いつもと違って、第1教室棟と第2教室棟の間にある屋外の掲示板に多くの生徒が集まっている。
「何かあったのかな? 掲示板の前にいっぱい生徒が集まっているけど」
「この時期に掲示板といいますと……中間試験の上位者の一覧が貼り出されたのかもしれません。試験が終わってから1週間ほどが経ちましたし」
「中間試験の順位発表か。そういえば、毎回、定期試験が終わって少し経ったら、順位表があの掲示板に貼られてたな」
思い返すと、登校したときに今のような光景を見たことが何度かあったっけ。あの掲示板に貼り出しているのは、屋外にあって、学年問わず多くの生徒の目に留まりやすいからなのだろう。特に、今の俺達のように校門を入ったときには。
中間試験が明けてから、優奈が風邪を引いたり、告白して好き合う夫婦になったり、週末には優奈と最後までするようになったりと盛りだくさんだったから、試験が遠い昔のことのように感じる。
「和真君。見に行きますか? 私は毎回見に行っています」
「俺も見に行くことが多いよ。行こうか」
「はいっ」
俺達は生徒達が集まっているところまで向かう。
掲示板を見ると……白い紙が貼られており、『1学期中間試験成績上位者一覧』という文字が見える。ただ、掲示板のすぐ近くまで生徒がいるのもあり、生徒の名前までは見えない。
「優奈の推理通り、中間試験の上位者一覧だな」
「ええ。でも、名前までは見えませんね」
「ああ。ただ、優奈の名前は確実にあるな。全ての教科で100点だったし」
「そうですね」
「なかったら大事件だな」
俺がそう言うと、優奈は「ふふっ」と上品に笑う。
「優奈は凄いよな。入学してからずっと学年1位だし。だから、一覧を見たときは優奈の名前があって。尊敬するよ。俺は……順位表に名前が載ったときもあれば、載らないときもあるって感じだから」
「ありがとうございます。日々の勉強と、先生方の教え方が分かりやすいおかげだと思います。ただ、和真君も凄いと思います。順位表に載るのは上位30位までです。学年で350人以上いるので、一覧表に載るということは上位1割に入るということですから」
「ありがとう。優奈にそう言われると……凄いのかなって思えてくるよ。ちなみに、1年の頃から、だいたい20位台後半から30位台をうろついていたよ」
「そうでしたか」
今回は最低でもそのあたりの順位は取ろうと考え、中間試験の勉強をしてきた。だから、順位表に名前があったら、最低限の目標は達成したと言えるだろう。
「……あっ、でも……3年生は文系クラスと理系クラスに分かれるよな。習う教科もいくつも違うし……文系理系でそれぞれ順位が付けられるのかな」
「卒業した部活の先輩が、3年生になると順位は文系クラスと理系クラスに分かれると言っていました。一覧者に載る人数はそれぞれ15名ずつとのことです」
「そうなのか。文系クラスと理系クラスはそれぞれ5クラスずつだから、載る人数が15人ずつになるんだろうな」
「そうでしょうね。15人ですから、順位表に名前が載れば、文系クラスの上位1割に入ったと言えるでしょう」
「そうだな」
文系理系と分かれるけど、順位表に載れば最低限の目標は達成できたと言えるのは変わりなさそうか。
俺達は集まっている生徒達の中に入り、少しずつ掲示板に近づいていく。掲示板を見て、校舎の方に向かう生徒もいるので、順位表に書かれている名前が見られる場所まで難なく行くことができた。
3年生は優奈が教えてくれた通り、文系クラスと理系クラスで分かれている。俺達は文系クラスなので、文系の方を見ると、
『1位:長瀬優奈 (3-2) 900点』
と、1位に優奈の名前があった。4月の終わり頃に結婚したので、順位表に『長瀬優奈』と書かれるのは初めてだ。こういうところからも、優奈は俺と結婚したのだと実感する。
中間試験が実施された科目は9つで、全て100点満点だから900点。本当に凄いな。ちなみに、優奈以外にオール満点を取った生徒はおらず、優奈の単独1位だ。
「1位だな、優奈。おめでとう!」
「ありがとうございます、和真君! 今回も1位でしたが、和真君とも一緒に試験勉強をしたからでしょうか。今までで一番嬉しいです! あと、私の名前が『長瀬優奈』って書かれていることも嬉しいです」
優奈はニッコリと笑いながら俺にそう言う。そんな優奈の笑顔は頬を中心にほんのりと赤くなっていて。長瀬優奈表記になっているのも嬉しいと言ってくれることが嬉しい。
「俺と結婚して、『長瀬優奈』になったって届け出たもんな。そう言ってくれて嬉しいよ」
「ふふっ。では、2位以下を見ていきましょう」
「ああ。今回は調子良かったし、15以内に入っているといいな」
文系科目を中心にかなり点数が良かったし、15位以内に入っていると信じたい。
視線を下げて、2位、3位……と成績上位者の名前を見ていく。そして、
『7位:長瀬和真 (3-2) 826点』
7位に俺の名前があった!
「ありましたね、和真君! 7位ですよ、7位! おめでとうございます!」
「ありがとう!」
順位表に俺の名前があったことはもちろん嬉しい。ただ、それよりも俺の隣で優奈がとても喜んでくれることの方が嬉しくて。優奈を見ていると、優奈や西山達と一緒に試験勉強を頑張って、それが結果に繋がって良かったなって思える。
「7位か。まあ、文系理系で違う科目が多いけど、単純計算をすると学年全体で15位相当になるのか。こんなにいい順位になったのは初めてだよ」
「そうですか」
「これも優奈達と一緒に試験勉強をしたおかげだよ。優奈が普段の課題で分からないところを教えてくれるし。ありがとう、優奈」
「いえいえ。私は和真君の分からないところを教えただけですから。一番は和真君が普段から勉強を頑張っていたからだと思います」
優奈は持ち前の優しい笑顔でそう言ってくれる。
試験勉強だけでなく、普段から課題の他に予習復習を欠かさずにしている。そこを褒めてくれるのはとても嬉しい気持ちになる。これからも勉強を頑張ろうとやる気に繋がっていく。
「そう言ってくれて嬉しいよ。ありがとう。3年だし、定期試験を受けるのは残り少ないけど、これからも優奈と夫婦一緒に名前が乗れるように頑張るよ」
それに、定期試験の結果は成績に大きく影響する。つまり、常盤学院大学への内部進学にも影響するのだ。内部進学できる学部学科を一つでも多くするためにも、いい成績を維持していきたい。
「私も頑張ります。……一緒に載りましたので、写真を撮っておきましょう」
そう言うと、優奈はスクールバッグからスマホを取り出し、3年生の文系クラスの順位表を撮影する。その写真はLIMEで俺に送ってくれた。こうして写真で俺と優奈の名前が一緒に載っているのを見ると……これはこれで嬉しい気持ちになる。
また、15位まで名前を見たけど……西山、井上さん、佐伯さんの名前はなかった。まあ、15位の生徒の合計点数も高いし、井上さんは平均点程度の教科が、西山と佐伯さんは平均点未満で中には赤点を免れてほっとしたと言える教科がいくつかあったからな。みんな得意科目ではかなりいい点数を取っていたけど。
その後、俺達は教室に行くと、西山と井上さん、佐伯さんから順位表に名前があったことに「おめでとう!」と祝ってくれた。そのことに俺達は再び嬉しい気持ちになった。
今日も起きたときからよく晴れている。なので、昨日と同様に、優奈と一緒に家を出発して、マンションを出るとなかなか暑く感じる。
ただ、朝食後に見た週間予報によると、今週末頃から雨マークが続く予報になっている。もうそろそろ関東地方も梅雨入りだろうか。雨が降って空気がジメッとする梅雨の時期はあまり好きではない。そう思うと、青空の下で照り付けているこの強い日差しもいくらかはマシに思えてくる。
昨日の放課後デートのことや昨日観たアニメについて話しながら、高校に向かって歩いていく。
優奈と話すのが楽しいから、高校に到着するまであっという間だ。実家に住んでいた頃は徒歩だけで学校に行けていいなって思っていたけど、優奈と一緒に住み始めてからはもうちょっと遠くてもいいなと思うときがある。
校門に入ると……いつもと違って、第1教室棟と第2教室棟の間にある屋外の掲示板に多くの生徒が集まっている。
「何かあったのかな? 掲示板の前にいっぱい生徒が集まっているけど」
「この時期に掲示板といいますと……中間試験の上位者の一覧が貼り出されたのかもしれません。試験が終わってから1週間ほどが経ちましたし」
「中間試験の順位発表か。そういえば、毎回、定期試験が終わって少し経ったら、順位表があの掲示板に貼られてたな」
思い返すと、登校したときに今のような光景を見たことが何度かあったっけ。あの掲示板に貼り出しているのは、屋外にあって、学年問わず多くの生徒の目に留まりやすいからなのだろう。特に、今の俺達のように校門を入ったときには。
中間試験が明けてから、優奈が風邪を引いたり、告白して好き合う夫婦になったり、週末には優奈と最後までするようになったりと盛りだくさんだったから、試験が遠い昔のことのように感じる。
「和真君。見に行きますか? 私は毎回見に行っています」
「俺も見に行くことが多いよ。行こうか」
「はいっ」
俺達は生徒達が集まっているところまで向かう。
掲示板を見ると……白い紙が貼られており、『1学期中間試験成績上位者一覧』という文字が見える。ただ、掲示板のすぐ近くまで生徒がいるのもあり、生徒の名前までは見えない。
「優奈の推理通り、中間試験の上位者一覧だな」
「ええ。でも、名前までは見えませんね」
「ああ。ただ、優奈の名前は確実にあるな。全ての教科で100点だったし」
「そうですね」
「なかったら大事件だな」
俺がそう言うと、優奈は「ふふっ」と上品に笑う。
「優奈は凄いよな。入学してからずっと学年1位だし。だから、一覧を見たときは優奈の名前があって。尊敬するよ。俺は……順位表に名前が載ったときもあれば、載らないときもあるって感じだから」
「ありがとうございます。日々の勉強と、先生方の教え方が分かりやすいおかげだと思います。ただ、和真君も凄いと思います。順位表に載るのは上位30位までです。学年で350人以上いるので、一覧表に載るということは上位1割に入るということですから」
「ありがとう。優奈にそう言われると……凄いのかなって思えてくるよ。ちなみに、1年の頃から、だいたい20位台後半から30位台をうろついていたよ」
「そうでしたか」
今回は最低でもそのあたりの順位は取ろうと考え、中間試験の勉強をしてきた。だから、順位表に名前があったら、最低限の目標は達成したと言えるだろう。
「……あっ、でも……3年生は文系クラスと理系クラスに分かれるよな。習う教科もいくつも違うし……文系理系でそれぞれ順位が付けられるのかな」
「卒業した部活の先輩が、3年生になると順位は文系クラスと理系クラスに分かれると言っていました。一覧者に載る人数はそれぞれ15名ずつとのことです」
「そうなのか。文系クラスと理系クラスはそれぞれ5クラスずつだから、載る人数が15人ずつになるんだろうな」
「そうでしょうね。15人ですから、順位表に名前が載れば、文系クラスの上位1割に入ったと言えるでしょう」
「そうだな」
文系理系と分かれるけど、順位表に載れば最低限の目標は達成できたと言えるのは変わりなさそうか。
俺達は集まっている生徒達の中に入り、少しずつ掲示板に近づいていく。掲示板を見て、校舎の方に向かう生徒もいるので、順位表に書かれている名前が見られる場所まで難なく行くことができた。
3年生は優奈が教えてくれた通り、文系クラスと理系クラスで分かれている。俺達は文系クラスなので、文系の方を見ると、
『1位:長瀬優奈 (3-2) 900点』
と、1位に優奈の名前があった。4月の終わり頃に結婚したので、順位表に『長瀬優奈』と書かれるのは初めてだ。こういうところからも、優奈は俺と結婚したのだと実感する。
中間試験が実施された科目は9つで、全て100点満点だから900点。本当に凄いな。ちなみに、優奈以外にオール満点を取った生徒はおらず、優奈の単独1位だ。
「1位だな、優奈。おめでとう!」
「ありがとうございます、和真君! 今回も1位でしたが、和真君とも一緒に試験勉強をしたからでしょうか。今までで一番嬉しいです! あと、私の名前が『長瀬優奈』って書かれていることも嬉しいです」
優奈はニッコリと笑いながら俺にそう言う。そんな優奈の笑顔は頬を中心にほんのりと赤くなっていて。長瀬優奈表記になっているのも嬉しいと言ってくれることが嬉しい。
「俺と結婚して、『長瀬優奈』になったって届け出たもんな。そう言ってくれて嬉しいよ」
「ふふっ。では、2位以下を見ていきましょう」
「ああ。今回は調子良かったし、15以内に入っているといいな」
文系科目を中心にかなり点数が良かったし、15位以内に入っていると信じたい。
視線を下げて、2位、3位……と成績上位者の名前を見ていく。そして、
『7位:長瀬和真 (3-2) 826点』
7位に俺の名前があった!
「ありましたね、和真君! 7位ですよ、7位! おめでとうございます!」
「ありがとう!」
順位表に俺の名前があったことはもちろん嬉しい。ただ、それよりも俺の隣で優奈がとても喜んでくれることの方が嬉しくて。優奈を見ていると、優奈や西山達と一緒に試験勉強を頑張って、それが結果に繋がって良かったなって思える。
「7位か。まあ、文系理系で違う科目が多いけど、単純計算をすると学年全体で15位相当になるのか。こんなにいい順位になったのは初めてだよ」
「そうですか」
「これも優奈達と一緒に試験勉強をしたおかげだよ。優奈が普段の課題で分からないところを教えてくれるし。ありがとう、優奈」
「いえいえ。私は和真君の分からないところを教えただけですから。一番は和真君が普段から勉強を頑張っていたからだと思います」
優奈は持ち前の優しい笑顔でそう言ってくれる。
試験勉強だけでなく、普段から課題の他に予習復習を欠かさずにしている。そこを褒めてくれるのはとても嬉しい気持ちになる。これからも勉強を頑張ろうとやる気に繋がっていく。
「そう言ってくれて嬉しいよ。ありがとう。3年だし、定期試験を受けるのは残り少ないけど、これからも優奈と夫婦一緒に名前が乗れるように頑張るよ」
それに、定期試験の結果は成績に大きく影響する。つまり、常盤学院大学への内部進学にも影響するのだ。内部進学できる学部学科を一つでも多くするためにも、いい成績を維持していきたい。
「私も頑張ります。……一緒に載りましたので、写真を撮っておきましょう」
そう言うと、優奈はスクールバッグからスマホを取り出し、3年生の文系クラスの順位表を撮影する。その写真はLIMEで俺に送ってくれた。こうして写真で俺と優奈の名前が一緒に載っているのを見ると……これはこれで嬉しい気持ちになる。
また、15位まで名前を見たけど……西山、井上さん、佐伯さんの名前はなかった。まあ、15位の生徒の合計点数も高いし、井上さんは平均点程度の教科が、西山と佐伯さんは平均点未満で中には赤点を免れてほっとしたと言える教科がいくつかあったからな。みんな得意科目ではかなりいい点数を取っていたけど。
その後、俺達は教室に行くと、西山と井上さん、佐伯さんから順位表に名前があったことに「おめでとう!」と祝ってくれた。そのことに俺達は再び嬉しい気持ちになった。
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