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第67話『愛し合う夜』

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 お風呂から出た後は優奈の部屋に行き、入浴後にいつもしていることをする。
 俺はドライヤーで髪を乾かすことくらいだけど、優奈はスキンケアや軽いストレッチをしていた。それらをしている姿を見るのは初めてなので新鮮だった。ストレッチして体を伸ばしている姿は色気も感じられて。

「これで、ストレッチも終わりですね」
「お疲れ様。入浴後はいつもこういうことをしているんだな」
「はい。小学校の高学年のあたりからしています」
「そうなんだ」

 そういった習慣が、優奈の肌が綺麗であったり、スタイルが良かったりする理由の一つなのだろう。

「さてと、私の方も入浴後に習慣にしていることが終わりました。……これから何をしましょうか?」
「そうだな……」

 好き合う夫婦になったし、大好きなお嫁さんと一緒に過ごす夜にしたいことは……ある。キスより先とか肌を重ねるとか最後までするとか、俺達は夫婦だから営みとかとも呼ばれる行為を。優奈に好意を自覚した頃から意識し始めていた。キスしたり、一緒に入浴したりすることで、優奈としたい想いが膨らんで。
 さっき、一緒にお風呂に入ろうと誘うことはできた。ただ、キスより先のことをしようと誘うのは……個人的にはハードルが高い。勇気がなかなか出ない。そういったことを考えているから、体が熱くなってくる。
 優奈の方を見てみると……優奈は頬を赤くして視線がちらついている。初めて一緒に入浴したからだろうか。それとも、俺と同じで優奈もキスより先のことを考えているのだろうか。理由は何にせよ、こういう優奈も可愛くてドキドキしてくる。

「……あっ。あと5分ほどで10時ですか。和真君も私も観ているアニメが放送されますから、リアルタイムで観ませんか?」
「そ、そうだな。録画予約してあるけど、リアルタイムで観るのもいいよな。観よう」
「ですねっ。冷たい麦茶を持ってきますね」
「ありがとう」
「では、いってきます」

 優奈は部屋を後にする。
 夜のそこまで遅くない時間だと、優奈とリアルタイムでアニメを観ることがある。2人とも観ているアニメがもうすぐ始まるし、まずはそのアニメを楽しむのがいいだろう。
 それからすぐに、優奈が麦茶の入ったグラスを乗せたトレーを持って戻ってきた。
 麦茶をさっそく一口飲むと……冷たくてとても美味しい。ドキドキして体が結構熱くなっていたのでクールダウンできた。
 午後10時になり、俺達はアニメを観始める。優奈と寄り添って。
 このアニメは日常系アニメで、4コマ漫画が原作。美少女キャラクターがたくさん出てくるほのぼのとした内容だ。
 優奈も俺も漫画を持っているので、キャラクターのことを中心に語り合って。それが楽しくて。優奈も楽しそうで。だから、アニメを観ていくうちに、俺達を取り巻く空気がいつもと同じような感じになった。

「今週も楽しかったですね!」
「楽しかったな。週末にこのほのぼのとしたアニメを観られるのっていいな」
「ですねっ」

 優奈はニッコリとした笑顔になる。この笑顔を見ると、優奈の笑顔が本当に好きだと改めて思う。
 優奈とアニメを観るのは本当に楽しくて。いいなって思える時間をこの後も優奈と一緒に過ごしていきたい。できれば、イチャイチャする形で。

「……あのさ、優奈」
「何でしょう?」

 優奈は笑顔のまま俺のことを見つめてくる。
 アニメを観て和やかな雰囲気にはなったけど、いざ、キスよりも先のことをしたいと言おうとすると……凄く緊張する。頬を中心に顔が熱くなって。きっと、赤くなっているんだろうな。
 緊張するけど……言おう。優奈に好きだと告白したときのように。
 俺は両手を優奈の肩に置いて、

「優奈と……したいんだ。キスよりも先のことを。最後まで。俺達は夫婦だから、夫婦の営みとも言えるかな。優奈としたいです」

 優奈のことをしっかりと見つめながらそう言った。
 俺が言った内容が内容なだけに、優奈の顔は見る見るうちに赤くなっていく。告白したときよりも顔が赤くなっているように見える。恥ずかしいのか、俺に向けていた優奈の視線もちらつき始めて。優奈は俺と……最後までしたいだろうか。
 少しして、散漫になっていた優奈の視線が俺の方に定まる。

「……したいです。和真君と夫婦の営みを。えっち……したいです」

 優奈は柔らかい笑顔でそう言ってくれた。

「和真君と好きだと自覚したときから、キスだけでなくて、えっちしたい気持ちもあって。和真君をもっと感じたいですから。好き合う夫婦になって、キスしたらえっちしたい思いが膨らんで。さっきお風呂に入って、和真君の素敵な体を見たらもっと膨らんで。アニメを観る前、えっちしたいと言おうと思ったんですけど、緊張して言う勇気が出なかったんです」
「そっか。アニメを観ないかって提案されたとき、優奈の頬が赤いと思っていたけど、それは俺としたいって考えていたからだったんだな」
「ええ。放送するタイミングでしたし、和真君と一緒にアニメを観るのは楽しいですから、アニメをリアルタイムで観ようと提案したんです」
「そうだったんだ」

 一緒に楽しくアニメを観れば、緊張が解けると思ったのかもしれない。

「和真君からえっちしたいと誘ってくれて嬉しいです」

 優奈は言葉通りの嬉しそうな笑顔でそう言ってくれる。そのことがとても嬉しい。勇気を出して言ってみて良かった。

「えっちもして、イチャイチャとした週末を過ごしましょう」
「ああ、そうしよう。……俺がつけるものはちゃんと買ってきたから。今日の帰りに」

 優奈と肌を重ねたい想いが膨らみ、イチャイチャした週末を過ごしたいと考えて。だから、今日のバイトが終わって家に買ってくる間にドラッグストアで買ったのだ。
 それに、俺達は夫婦だけど、まだ高校生だ。子供ができたら色々と大変だし。万が一のときは、夫としてできることを精一杯するけども。

「ちゃんと準備していたんですね。嬉しいです。私も火曜日の放課後に買いました。そのときはまだ、好き合う夫婦になる前でしたが。和真君を好きだと自覚していましたし、一人になる時間があったので」
「そうだったんだな」

 火曜日の放課後は……俺はバイトがあったな。夫婦とはいえ、俺がいる中で買うのは恥ずかしかったり、緊張したりして買えないか。それに、火曜日の段階では好き合う夫婦になる前だし。俺も優奈がいたら買えなかったかもしれない。

「今まで経験がないので、上手にできるか分かりませんが……よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ。俺も未経験だから。優奈が気持ち良くなれるように頑張るよ。よろしくお願いします」
「はいっ」

 優奈は弾んだ声で返事すると、ニコッと笑ってキスしてきた。



 それからは、優奈のベッドの中で俺達は肌を重ねた。
 お互いに全身の素肌を晒して。肌を触れ合わせ、体の距離をゼロにして。心身共に気持ち良さを感じる中で、優奈への好意がどんどん膨らんでいき、優奈を求めていく。優奈が笑顔を見せ、優奈の体がとても綺麗でスタイルも抜群だから尚更に。
 次第に優奈も積極的になっていき、優奈がリードすることもあって。普段は穏やかな優奈の新しい一面をまた一つ見られた気がする。
 肌を重ねる中で、互いに「好き」とか「気持ちいい」などとたくさん想いを伝え合って、唇を中心にたくさんキスし合って。だから、とても幸せな時間になった。



「たくさんしましたね、和真君」
「ああ。凄く気持ち良かったから、いっぱいしたな」
「そうですね。とても気持ち良かったです」

 裸のまま、俺達はベッドで横になりながら言葉を交わす。裸だけど、たくさん肌を重ねた後だし、優奈が俺の左腕を抱きしめているので寒さは全く感じない。むしろ、優しい温もりに包まれて心地いいくらいだ。
 また、「気持ち良かった」と言うだけあって、優奈はとても幸せそうな笑顔になる。その笑顔を見て俺も幸せな気持ちに。

「和真君とは体の相性もいいのだと分かりました」
「そうだな。優奈の体……とても良かったよ」
「ありがとうございますっ。私も和真君の体がとても良かったです」

 えへへっ、と嬉しそうに笑いながら、俺の左肩のあたりに頭をスリスリしてくる。素肌に優奈の柔らかい髪が直接当たってくるので気持ちがいい。

「好きだと自覚してからしたいと思っていた和真君とのえっちができて。体中で和真君を感じられて。それがとても気持ち良くて。和真君も気持ち良くなってくれて。とても幸せです」
「俺も幸せだよ。優奈と肌を重ねて、優奈を感じて、一緒に気持ち良くなれて。優奈のことがもっと好きになったよ」
「私もですっ! 和真君のことがより好きになりました。改めて、これからもずっとお嫁さんとしてよろしくお願いします」
「こちらこそ、これからもずっと旦那さんとしてよろしくお願いします」

 肌を重ねたことで、優奈とずっと一緒にいたい気持ちがより強くなった。
 俺は優奈にキスする。
 肌を重ねる中で俺からも、優奈からもたくさんキスした。それでも、唇を重ねることで感じられる柔らかい感触や優しい温もりはとてもいいなって思う。飽きる気配がない。そう思えるのは、優奈のことが大好きだからなのだと思う。
 数秒ほどして、俺から唇を離すと、優奈はとても可愛らしい笑顔を見せてくれる。そのおかげで、俺の心は多幸感に満たされる。

「これからもえっちしていきましょうね、和真君」
「ああ、そうだな」

 これからも何度も肌を重ねていって、俺達の愛情を深めていきたい。

「ふああっ」

 優奈は可愛らしいあくびをする。俺の前であくびをしたからか、優奈ははにかむ。その一連の言動もとても可愛くて、愛おしい。

「たくさん体を動かしたからでしょうか。眠くなってきちゃいました」
「積極的に動くときもあったもんな。俺も眠くなってきた」
「和真君もですか。では、そろそろ寝ましょうか」
「ああ、そうしよう」
「では、おやすみのキスを」

 静かな口調でそう言うと、優奈は俺におやすみのキスをしてきた。自分からするキスもいいけど、優奈からされるキスもいいな。
 2、3秒ほどで優奈から唇を離す。

「おやすみなさい、和真君」
「おやすみ、優奈」

 夜の挨拶を交わすと、優奈はゆっくりと目を閉じた。
 目を閉じてから数秒ほどで、優奈は可愛い寝息を立て始める。あくびをするほどだったから、結構な眠気があったのかもしれない。気持ち良さそうに眠る優奈の寝顔はとても可愛い。

「優奈、おやすみ」

 優奈が目を覚ましてしまわないように、頬に軽くキスして、ベッドライトを消した。
 目を瞑ると、途端に強い眠気が襲ってくる。ふわふわとした心地良い感覚に包まれて。優奈と肌をたくさん重ねて、今も優奈の温もりや甘い匂い、体の柔らかさを感じているからだろう。幸せな気持ちの中ですぐに眠りについた。
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