64 / 116
第63話『おめでとう』
しおりを挟む
「幸せです。和真君と好き合う夫婦になれて。いっぱいキスできて……」
何度かキスしながら甘い時間を過ごした後、優奈は言葉通りの幸せそうな笑顔で言った。そんな優奈の笑顔を見ていると、胸に抱いている幸せな気持ちが膨らんでいく。
「俺も幸せだよ。優奈への好意を自覚して、告白することを考えたら緊張したけど……ちゃんと好きだって言葉にできて良かった」
「本当にありがとうございます、和真君」
「いえいえ。好きだって思わせてくれる優奈のおかげだよ。こちらこそありがとう」
「……嬉しいです」
優奈は言葉通りの嬉しそうな笑顔になると、俺の胸に頭を埋めてくる。頭をスリスリしてきて可愛いな。優奈の頭を優しく撫でる。
俺に頭を撫でられるのが好きだからだろうか。優奈は俺を見上げて「ふふっ」と声に出して笑う。……可愛すぎるんですけど、俺のお嫁さん。
「大好きな和真君に抱きしめられながら頭を撫でてもらえて幸せです」
「良かった」
「ふふっ。……あの、和真君。好き合う夫婦になれましたから、そのことを家族や友達に報告しましょうか」
「そうだな。結婚の話をしたとき、優奈は俺と好き合える夫婦になりたいって言っていたもんな。友達だと……西山と井上さんと佐伯さんかな。話すのは」
「ですね。3人は特に関わりがありますし、私達が好き合う夫婦になるのを目指しているのを知っていますから」
「そうだな。じゃあ、両家の家族と、西山と井上さんと佐伯さんに報告しようか」
「はいっ。あと、夏実先生と美咲先生にも送りましょう」
「分かった」
好き合う夫婦になったと報告したら、みんなどんな反応をするだろう? おじいさんと陽葵ちゃん、真央姉さんは物凄く喜びそうな気がする。特におじいさん。
報告する人数が多いので、LIMEのグループトークに報告のメッセージを送ることにした。そのため、一旦、俺は自分の部屋にスマホを取りに行った。
優奈の部屋に戻り、俺は優奈と隣同士でクッションに座る。その際、優奈は俺の腕にちゃんと触れるくらいに近づいてきて。これまで、アニメを観る際に隣同士に座ったときは腕が触れるかどうかだった。こういうところからも、優奈と好き合う夫婦になれたのだと実感する。
「まずは両家の家族にメッセージを送りましょうか」
「そうだな。メッセージの文章は……『好き合う夫婦になれました』でいいかな」
「いいと思います。シンプルで」
「分かった。じゃあ……両家の家族がメンバーになっているグループトークに送るか」
「そうしましょう」
LIMEのグループには結婚の話をした場にいた9人がメンバーのグループがある。両家に関わることだし、9人いる場で優奈は『好き合う夫婦になりたい』と言っていた。なので、このグループのトークに報告メッセージを送るのが一番いいだろう。
『先ほど、好きな想いを伝え合って、優奈と俺は好き合う夫婦になれました』
『これからも、和真君と一緒に仲良く過ごしていきたいと思います』
というメッセージを両家のグループのトークに送った。
「これでOKだな」
「ええ。みなさんからの返事を待ちましょう」
「ああ」
と、トーク画面を見ていると、俺の送ったメッセージが『既読2』となっている。優奈以外に一人、さっそくメッセージを見た人がいるんだな。……あっ、『既読4』になったぞ。
『おぉ、そうかそうか! めでたいのぅ! おめでとう! 孫夫婦がラブラブになって、おじいちゃんはとっても嬉しいぞ!! ばあさんには私から報告しておくよ』
おじいさんからそういった祝福メッセージが送られる。やはり、メッセージを見た一人はおじいさんだったか。最初にメッセージを送ってくれるところもおじいさんらしい。おじいさんの嬉しそうな笑顔が目に浮かぶよ。おじいさんのことだから、お祝いのお酒でも呑みそうだ。
『お姉ちゃん、和真さん、おめでとうございます! お姉ちゃんは和真さんと好き合う夫婦になりたいって言っていたもんね!』
『好き合う夫婦になれたんだ! カズ君、優奈ちゃん、おめでとう! 良かったね! ラブラブな結婚生活を過ごしてね!』
続いて、陽葵ちゃんと真央姉さんが祝福メッセージを送ってくれた。陽葵ちゃんは白猫が『祝!』という垂れ幕が入ったくす玉を割ったイラストスタンプも。陽葵ちゃんに影響されてか、姉さんは嬉しそうにバンザイする寝間着姿の自分の写真を送ってきた。そのことに優奈は「ふふっ」と楽しそうに笑っていた。
それから程なくして、既読のカウント数が最大の『8』まで増加する。
『お互いに好きになったのね。おめでとう!』
『好き合う夫婦になれたんだな。おめでとう。長瀬君、優奈をこれからもよろしくお願いします』
『母の日に会ったときもいい雰囲気だったけど、好き合う夫婦になったのね。おめでとう!』
『和真、優奈さん、おめでとう。好きな気持ちを大切に、これからも一緒に仲良く結婚生活を送っていってね』
優奈の御両親と俺の両親からもそれぞれ祝福のメッセージが届いた。これで、両家の家族全員からメッセージが届いたことになる。全員『おめでとう』と言ってくれてとても嬉しい気持ちになる。
「両家のみなさんから、おめでとうと言ってもらえて嬉しいですね!」
その言葉が本心からだと示すように、優奈はとても嬉しそうな笑顔で言ってくる。優奈の笑顔を見ると、胸に抱く嬉しい気持ちが膨らんでいくよ。
「そうだな。俺も嬉しいよ」
優奈を見つめながら俺はそう言った。そのことで優奈の口角がさらに上がる。
両家の家族からみんな『おめでとう』と言ってもらえた。その想いや言葉を裏切ることがないように、優奈の笑顔を守って、優奈と一緒に幸せになっていこう。
俺達は『ありがとうございます』とお礼のメッセージを送った。
その後、俺達は一緒にいることが多い西山、井上さん、佐伯さんがメンバーになっているグループのトーク画面に、先ほどと同じような報告メッセージを送信する。
そんなに遅い時間ではないし、みんな起きているのだろうか。送信したメッセージの既読数がすぐに最大値の『4』まで上がり、
『優奈、長瀬君、おめでとう! 最近は特にいい雰囲気だったものね。おめでとう!』
『好き合う夫婦になれて良かったね! 2人ともおめでとう! いつまでもラブラブでいてね!』
『良かったな。おめでとう! 明日からはより仲のいい2人を見られそうで嬉しいぞ』
井上さん、佐伯さん、西山から祝福のメッセージが届く。こんなにも早く『おめでとう』と言ってくれるなんて。みんな本当にいい友達だ。とても嬉しい。
優奈は嬉しそうな笑顔でスマホの画面を見ている。そのことに口角が上がっていくのが分かる。きっと、今の俺の顔は優奈と同じような笑みを浮かべているのだろう。
最後に、渡辺先生と百瀬先生にも同様のメッセージを送ると、
『おめでとう! いつまでも仲のいい夫婦でいてね!』
『部活に来たとき、2人はとてもいい雰囲気だったものね。おめでとう!』
と、先生方からも祝福のメッセージをいただけた。
「萌音ちゃん達や先生方からもおめでとうって言ってもらえて嬉しいです」
「そうだな。みんながおめでとうって言ってくれて嬉しいな。俺達が夫婦になって良かったと思ってもらえるように、これからも一緒に過ごしていこう」
「そうですね」
可愛い笑顔でそう言うと、優奈は目を瞑って唇を少し突き出してくる。約束ですよ、という意味でキスしてほしいのだろうか。可愛いな。
俺は優奈にキスをする。さっきまで何度もキスしていたからか、優奈の唇は湿っていて柔らかく感じられた。それがとても気持ち良かった。
それからは優奈の部屋のテレビで、優奈も俺も好きな美少女キャラがたくさん出てくる日常系アニメを観る。みんなに報告メッセージを送ったときのように、腕がしっかり触れるくらいの近さで隣同士に座って。だからドキドキして。
このアニメは2人とも原作漫画を購読している。なので、アニメが始まって少し経つと、これまでと同じようにキャラクターのことなどを話しながら楽しく観ることができた。
「あっ、もうこんな時間なんですね」
2話分観終わったとき、優奈はそんなことを言った。
時間と言っていたので壁に掛かっている時計を見ると、針は午後11時過ぎを指していた。翌日に学校がある日はもうそろそろ寝る時間だ。
「11時過ぎか。……そろそろ寝るか?」
「そうですね。明日も学校がありますし。……告白してくれてから、私の部屋でずっと過ごしていますし、今夜は私の部屋で一緒に寝たいです。いいですか?」
「もちろんさ」
すぐに快諾すると、優奈はニッコリとした笑顔を見せる。
「ありがとうございます! では、私の部屋で一緒に寝ましょう!」
「ああ」
その後、歯を磨いたり、お手洗いを済ませたりして寝る準備をする。また、俺は自分の部屋から枕を持ってきて、優奈の枕の隣に置いた。
準備ができ、俺達はベッドライトを点けた状態で優奈のベッドに入って横になる。これまで通り、優奈が壁側、俺は床側に。
優奈のベッドだから、優奈に掛け布団を掛けてもらった。その瞬間、優奈の温もりと甘い匂いに包まれた感覚に。それがとても幸せで。
「和真君と好き合う夫婦になって、一緒に寝られて嬉しいです」
「そうだな。これからは毎日、基本的にどっちかの部屋で一緒に寝ようか」
「いいですね! 一日の終わりと始まりを和真君と一緒にいたいですから」
「俺もだ」
俺の提案を優奈が快く受け入れてくれて嬉しいな。
「あの、和真君。これまでは手を繋いで寝ていましたが、今日は腕を抱きしめて寝てもいいですか?」
「いいぞ」
「ありがとうございますっ」
嬉しそうにお礼を言うと、優奈は俺に近づいてきて、優奈側にある俺の左腕をそっと抱きしめた。
俺の左腕は優奈の温もりと柔らかさに包まれて。一部分は特に柔らかく感じて。これは……胸だろうか。左腕がとても気持ち良く感じる。
「和真君の腕……温かくて抱き心地がいいです。和真君はどうですか? 痛くはありませんか?」
「全然痛くないよ。温かくて、柔らかくて気持ちいい」
「良かったです」
優奈はニコッと笑う。手を繋いで寝たときよりも顔が近いからドキッとする。こんなに優奈と顔が近づけた状態で眠れるのか。幸せだ。
「和真君に告白してもらえて。私も好きだと伝えられて。家族や友達や先生からおめでとうと言ってもらえて。とても嬉しくて幸せな一日になりました」
「俺もだよ。告白に緊張したけど、勇気を出して優奈に好きだって言えて良かった」
「ふふっ。……和真君と好き合う夫婦になって。みんなにおめでとうと言ってもらえたからでしょうか。いつか……結婚式を挙げたいなって思います」
「そうだな。家族や友達やお世話になった人達を招待して。……優奈のウェディングドレス姿、凄く綺麗だろうな」
純白のウェディングドレスに身を包んだ優奈を妄想する。優奈はとても可愛くて美人だから、凄く似合うと思う。
「和真君のタキシード姿も凄く素敵でしょうね。和真君、とてもかっこいいですから……」
優奈はそう言うと、恍惚とした表情になる。もしかしたら、俺のタキシード姿を想像しているのかもしれない。結婚式をするのがいつになるかは分からないけど、優奈がいいと思えるタキシード姿になれるように今の体型を維持しておかないと。
ふああっ、と優奈は可愛らしいあくびをする。
「あくび出ちゃいました。和真君の温かい腕を抱きしめるのが気持ち良くて……」
「ははっ、そっか。じゃあ、今日は寝ようか」
「はい」
「ただ、寝る前にキスしたいな」
「いいですねっ。では、おやすみのキスをしましょう」
そう言い、優奈は目を閉じる。キス待ちをする優奈が可愛いなと思いながらキスする。
何度キスしても、優奈の唇の感触は心地いい。
2、3秒ほどで唇を離すと、優奈はゆっくりと目を開け、可愛い笑顔を見せてくれる。
「おやすみなさい、和真君」
「ああ。おやすみ、優奈」
俺がベッドライトを消すと、優奈はゆっくりと目を閉じた。あくびをしていただけあって、すぐに可愛い寝息を立て始める。
昨日よりも優奈の寝顔が近くにあって腕を抱きしめられているから、昨日よりも優奈のことを感じられる。だから、ドキドキして。でも、好きだという気持ちを伝え合って、好き合う夫婦になれたから、このドキドキが心地良く感じられる。だから、俺も段々と眠くなってきて。
「おやすみ、優奈」
優奈の額に軽くキスをして、俺は目を瞑る。
優奈の温もりや柔らかさ、甘い匂いを感じながら一日を終えられることがとても嬉しくて、幸せだ。これからもずっと、こういう形で一日を終わらせたい。そう思いながら眠りについた。
何度かキスしながら甘い時間を過ごした後、優奈は言葉通りの幸せそうな笑顔で言った。そんな優奈の笑顔を見ていると、胸に抱いている幸せな気持ちが膨らんでいく。
「俺も幸せだよ。優奈への好意を自覚して、告白することを考えたら緊張したけど……ちゃんと好きだって言葉にできて良かった」
「本当にありがとうございます、和真君」
「いえいえ。好きだって思わせてくれる優奈のおかげだよ。こちらこそありがとう」
「……嬉しいです」
優奈は言葉通りの嬉しそうな笑顔になると、俺の胸に頭を埋めてくる。頭をスリスリしてきて可愛いな。優奈の頭を優しく撫でる。
俺に頭を撫でられるのが好きだからだろうか。優奈は俺を見上げて「ふふっ」と声に出して笑う。……可愛すぎるんですけど、俺のお嫁さん。
「大好きな和真君に抱きしめられながら頭を撫でてもらえて幸せです」
「良かった」
「ふふっ。……あの、和真君。好き合う夫婦になれましたから、そのことを家族や友達に報告しましょうか」
「そうだな。結婚の話をしたとき、優奈は俺と好き合える夫婦になりたいって言っていたもんな。友達だと……西山と井上さんと佐伯さんかな。話すのは」
「ですね。3人は特に関わりがありますし、私達が好き合う夫婦になるのを目指しているのを知っていますから」
「そうだな。じゃあ、両家の家族と、西山と井上さんと佐伯さんに報告しようか」
「はいっ。あと、夏実先生と美咲先生にも送りましょう」
「分かった」
好き合う夫婦になったと報告したら、みんなどんな反応をするだろう? おじいさんと陽葵ちゃん、真央姉さんは物凄く喜びそうな気がする。特におじいさん。
報告する人数が多いので、LIMEのグループトークに報告のメッセージを送ることにした。そのため、一旦、俺は自分の部屋にスマホを取りに行った。
優奈の部屋に戻り、俺は優奈と隣同士でクッションに座る。その際、優奈は俺の腕にちゃんと触れるくらいに近づいてきて。これまで、アニメを観る際に隣同士に座ったときは腕が触れるかどうかだった。こういうところからも、優奈と好き合う夫婦になれたのだと実感する。
「まずは両家の家族にメッセージを送りましょうか」
「そうだな。メッセージの文章は……『好き合う夫婦になれました』でいいかな」
「いいと思います。シンプルで」
「分かった。じゃあ……両家の家族がメンバーになっているグループトークに送るか」
「そうしましょう」
LIMEのグループには結婚の話をした場にいた9人がメンバーのグループがある。両家に関わることだし、9人いる場で優奈は『好き合う夫婦になりたい』と言っていた。なので、このグループのトークに報告メッセージを送るのが一番いいだろう。
『先ほど、好きな想いを伝え合って、優奈と俺は好き合う夫婦になれました』
『これからも、和真君と一緒に仲良く過ごしていきたいと思います』
というメッセージを両家のグループのトークに送った。
「これでOKだな」
「ええ。みなさんからの返事を待ちましょう」
「ああ」
と、トーク画面を見ていると、俺の送ったメッセージが『既読2』となっている。優奈以外に一人、さっそくメッセージを見た人がいるんだな。……あっ、『既読4』になったぞ。
『おぉ、そうかそうか! めでたいのぅ! おめでとう! 孫夫婦がラブラブになって、おじいちゃんはとっても嬉しいぞ!! ばあさんには私から報告しておくよ』
おじいさんからそういった祝福メッセージが送られる。やはり、メッセージを見た一人はおじいさんだったか。最初にメッセージを送ってくれるところもおじいさんらしい。おじいさんの嬉しそうな笑顔が目に浮かぶよ。おじいさんのことだから、お祝いのお酒でも呑みそうだ。
『お姉ちゃん、和真さん、おめでとうございます! お姉ちゃんは和真さんと好き合う夫婦になりたいって言っていたもんね!』
『好き合う夫婦になれたんだ! カズ君、優奈ちゃん、おめでとう! 良かったね! ラブラブな結婚生活を過ごしてね!』
続いて、陽葵ちゃんと真央姉さんが祝福メッセージを送ってくれた。陽葵ちゃんは白猫が『祝!』という垂れ幕が入ったくす玉を割ったイラストスタンプも。陽葵ちゃんに影響されてか、姉さんは嬉しそうにバンザイする寝間着姿の自分の写真を送ってきた。そのことに優奈は「ふふっ」と楽しそうに笑っていた。
それから程なくして、既読のカウント数が最大の『8』まで増加する。
『お互いに好きになったのね。おめでとう!』
『好き合う夫婦になれたんだな。おめでとう。長瀬君、優奈をこれからもよろしくお願いします』
『母の日に会ったときもいい雰囲気だったけど、好き合う夫婦になったのね。おめでとう!』
『和真、優奈さん、おめでとう。好きな気持ちを大切に、これからも一緒に仲良く結婚生活を送っていってね』
優奈の御両親と俺の両親からもそれぞれ祝福のメッセージが届いた。これで、両家の家族全員からメッセージが届いたことになる。全員『おめでとう』と言ってくれてとても嬉しい気持ちになる。
「両家のみなさんから、おめでとうと言ってもらえて嬉しいですね!」
その言葉が本心からだと示すように、優奈はとても嬉しそうな笑顔で言ってくる。優奈の笑顔を見ると、胸に抱く嬉しい気持ちが膨らんでいくよ。
「そうだな。俺も嬉しいよ」
優奈を見つめながら俺はそう言った。そのことで優奈の口角がさらに上がる。
両家の家族からみんな『おめでとう』と言ってもらえた。その想いや言葉を裏切ることがないように、優奈の笑顔を守って、優奈と一緒に幸せになっていこう。
俺達は『ありがとうございます』とお礼のメッセージを送った。
その後、俺達は一緒にいることが多い西山、井上さん、佐伯さんがメンバーになっているグループのトーク画面に、先ほどと同じような報告メッセージを送信する。
そんなに遅い時間ではないし、みんな起きているのだろうか。送信したメッセージの既読数がすぐに最大値の『4』まで上がり、
『優奈、長瀬君、おめでとう! 最近は特にいい雰囲気だったものね。おめでとう!』
『好き合う夫婦になれて良かったね! 2人ともおめでとう! いつまでもラブラブでいてね!』
『良かったな。おめでとう! 明日からはより仲のいい2人を見られそうで嬉しいぞ』
井上さん、佐伯さん、西山から祝福のメッセージが届く。こんなにも早く『おめでとう』と言ってくれるなんて。みんな本当にいい友達だ。とても嬉しい。
優奈は嬉しそうな笑顔でスマホの画面を見ている。そのことに口角が上がっていくのが分かる。きっと、今の俺の顔は優奈と同じような笑みを浮かべているのだろう。
最後に、渡辺先生と百瀬先生にも同様のメッセージを送ると、
『おめでとう! いつまでも仲のいい夫婦でいてね!』
『部活に来たとき、2人はとてもいい雰囲気だったものね。おめでとう!』
と、先生方からも祝福のメッセージをいただけた。
「萌音ちゃん達や先生方からもおめでとうって言ってもらえて嬉しいです」
「そうだな。みんながおめでとうって言ってくれて嬉しいな。俺達が夫婦になって良かったと思ってもらえるように、これからも一緒に過ごしていこう」
「そうですね」
可愛い笑顔でそう言うと、優奈は目を瞑って唇を少し突き出してくる。約束ですよ、という意味でキスしてほしいのだろうか。可愛いな。
俺は優奈にキスをする。さっきまで何度もキスしていたからか、優奈の唇は湿っていて柔らかく感じられた。それがとても気持ち良かった。
それからは優奈の部屋のテレビで、優奈も俺も好きな美少女キャラがたくさん出てくる日常系アニメを観る。みんなに報告メッセージを送ったときのように、腕がしっかり触れるくらいの近さで隣同士に座って。だからドキドキして。
このアニメは2人とも原作漫画を購読している。なので、アニメが始まって少し経つと、これまでと同じようにキャラクターのことなどを話しながら楽しく観ることができた。
「あっ、もうこんな時間なんですね」
2話分観終わったとき、優奈はそんなことを言った。
時間と言っていたので壁に掛かっている時計を見ると、針は午後11時過ぎを指していた。翌日に学校がある日はもうそろそろ寝る時間だ。
「11時過ぎか。……そろそろ寝るか?」
「そうですね。明日も学校がありますし。……告白してくれてから、私の部屋でずっと過ごしていますし、今夜は私の部屋で一緒に寝たいです。いいですか?」
「もちろんさ」
すぐに快諾すると、優奈はニッコリとした笑顔を見せる。
「ありがとうございます! では、私の部屋で一緒に寝ましょう!」
「ああ」
その後、歯を磨いたり、お手洗いを済ませたりして寝る準備をする。また、俺は自分の部屋から枕を持ってきて、優奈の枕の隣に置いた。
準備ができ、俺達はベッドライトを点けた状態で優奈のベッドに入って横になる。これまで通り、優奈が壁側、俺は床側に。
優奈のベッドだから、優奈に掛け布団を掛けてもらった。その瞬間、優奈の温もりと甘い匂いに包まれた感覚に。それがとても幸せで。
「和真君と好き合う夫婦になって、一緒に寝られて嬉しいです」
「そうだな。これからは毎日、基本的にどっちかの部屋で一緒に寝ようか」
「いいですね! 一日の終わりと始まりを和真君と一緒にいたいですから」
「俺もだ」
俺の提案を優奈が快く受け入れてくれて嬉しいな。
「あの、和真君。これまでは手を繋いで寝ていましたが、今日は腕を抱きしめて寝てもいいですか?」
「いいぞ」
「ありがとうございますっ」
嬉しそうにお礼を言うと、優奈は俺に近づいてきて、優奈側にある俺の左腕をそっと抱きしめた。
俺の左腕は優奈の温もりと柔らかさに包まれて。一部分は特に柔らかく感じて。これは……胸だろうか。左腕がとても気持ち良く感じる。
「和真君の腕……温かくて抱き心地がいいです。和真君はどうですか? 痛くはありませんか?」
「全然痛くないよ。温かくて、柔らかくて気持ちいい」
「良かったです」
優奈はニコッと笑う。手を繋いで寝たときよりも顔が近いからドキッとする。こんなに優奈と顔が近づけた状態で眠れるのか。幸せだ。
「和真君に告白してもらえて。私も好きだと伝えられて。家族や友達や先生からおめでとうと言ってもらえて。とても嬉しくて幸せな一日になりました」
「俺もだよ。告白に緊張したけど、勇気を出して優奈に好きだって言えて良かった」
「ふふっ。……和真君と好き合う夫婦になって。みんなにおめでとうと言ってもらえたからでしょうか。いつか……結婚式を挙げたいなって思います」
「そうだな。家族や友達やお世話になった人達を招待して。……優奈のウェディングドレス姿、凄く綺麗だろうな」
純白のウェディングドレスに身を包んだ優奈を妄想する。優奈はとても可愛くて美人だから、凄く似合うと思う。
「和真君のタキシード姿も凄く素敵でしょうね。和真君、とてもかっこいいですから……」
優奈はそう言うと、恍惚とした表情になる。もしかしたら、俺のタキシード姿を想像しているのかもしれない。結婚式をするのがいつになるかは分からないけど、優奈がいいと思えるタキシード姿になれるように今の体型を維持しておかないと。
ふああっ、と優奈は可愛らしいあくびをする。
「あくび出ちゃいました。和真君の温かい腕を抱きしめるのが気持ち良くて……」
「ははっ、そっか。じゃあ、今日は寝ようか」
「はい」
「ただ、寝る前にキスしたいな」
「いいですねっ。では、おやすみのキスをしましょう」
そう言い、優奈は目を閉じる。キス待ちをする優奈が可愛いなと思いながらキスする。
何度キスしても、優奈の唇の感触は心地いい。
2、3秒ほどで唇を離すと、優奈はゆっくりと目を開け、可愛い笑顔を見せてくれる。
「おやすみなさい、和真君」
「ああ。おやすみ、優奈」
俺がベッドライトを消すと、優奈はゆっくりと目を閉じた。あくびをしていただけあって、すぐに可愛い寝息を立て始める。
昨日よりも優奈の寝顔が近くにあって腕を抱きしめられているから、昨日よりも優奈のことを感じられる。だから、ドキドキして。でも、好きだという気持ちを伝え合って、好き合う夫婦になれたから、このドキドキが心地良く感じられる。だから、俺も段々と眠くなってきて。
「おやすみ、優奈」
優奈の額に軽くキスをして、俺は目を瞑る。
優奈の温もりや柔らかさ、甘い匂いを感じながら一日を終えられることがとても嬉しくて、幸せだ。これからもずっと、こういう形で一日を終わらせたい。そう思いながら眠りについた。
0
お気に入りに追加
198
あなたにおすすめの小説
高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の低田悠真のクラスには『高嶺の花』と呼ばれるほどの人気がある高嶺結衣という女子生徒がいる。容姿端麗、頭脳明晰、品行方正な高嶺さんは男女問わずに告白されているが全て振っていた。彼女には好きな人がいるらしい。
ゴールデンウィーク明け。放課後にハンカチを落としたことに気付いた悠真は教室に戻ると、自分のハンカチの匂いを嗅いで悶える高嶺さんを見つける。その場で、悠真は高嶺さんに好きだと告白されるが、付き合いたいと思うほど好きではないという理由で振る。
しかし、高嶺さんも諦めない。悠真に恋人も好きな人もいないと知り、
「絶対、私に惚れさせてみせるからね!」
と高らかに宣言したのだ。この告白をきっかけに、悠真は高嶺さんと友達になり、高校生活が変化し始めていく。
大好きなおかずを作ってきてくれたり、バイト先に来てくれたり、放課後デートをしたり、朝起きたら笑顔で見つめられていたり。高嶺の花の高嶺さんとの甘くてドキドキな青春学園ラブコメディ!
※2学期編3が完結しました!(2024.11.13)
※お気に入り登録や感想、いいねなどお待ちしております。
10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ
桜庭かなめ
恋愛
高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。
あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。
3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。
出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!
※特別編4が完結しました!(2024.8.2)
※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
恋人、はじめました。
桜庭かなめ
恋愛
紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。
明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」
明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!
※特別編8が完結しました!(2024.7.19)
※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想などお待ちしています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
クラスの双子と家族になりました。~俺のタメにハーレム作るとか言ってるんだがどうすればいい?~
いーじーしっくす
恋愛
ハーレムなんて物語の中の事。自分なんかには関係ないと思っていた──。
橋本悠聖は普通のちょっとポジティブな陰キャ。彼女は欲しいけど自ら動くことはなかった。だがある日、一人の美少女からの告白で今まで自分が想定した人生とは大きくかわっていく事になった。 悠聖に告白してきた美少女である【中村雪花】。彼女がした告白は嘘のもので、父親の再婚を止めるために付き合っているフリをしているだけの約束…の、はずだった。だが、だんだん彼に心惹かれて付き合ってるフリだけじゃ我慢できなくなっていく。
互いに近づく二人の心の距離。更には過去に接点のあった雪花の双子の姉である【中村紗雪】の急接近。冷たかったハズの実の妹の【奈々】の危険な誘惑。幼い頃に結婚の約束をした従姉妹でもある【睦月】も強引に迫り、デパートで助けた銀髪の少女【エレナ】までもが好意を示し始める。
そんな彼女達の歪んだ共通点はただ1つ。
手段を問わず彼を幸せにすること。
その為だけに彼女達は周りの事など気にせずに自分の全てをかけてぶつかっていく!
選べなければ全員受け入れちゃえばいいじゃない!
真のハーレムストーリー開幕!
この作品はカクヨム等でも公開しております。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
別にいいんじゃないんですか? 上手くならなくても——。
後輩マネージャーのその一言が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
だから、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると思っていたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。
しかし、そこに香奈が現れる。
成り行きで香奈を家に上げた巧だが、なぜか彼女はその後も彼の家を訪れるようになって——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
甘酸っぱくて、爽やかで、焦れったくて、クスッと笑えて……
オレンジジュース(のような青春)が好きな人必見の現代ラブコメ、ここに開幕!
※これより下では今後のストーリーの大まかな流れについて記載しています。
「話のなんとなくの流れや雰囲気を抑えておきたい」「ざまぁ展開がいつになるのか知りたい!」という方のみご一読ください。
【今後の大まかな流れ】
第1話、第2話でざまぁの伏線が作られます。
第1話はざまぁへの伏線というよりはラブコメ要素が強いので、「早くざまぁ展開見たい!」という方はサラッと読んでいただいて構いません!
本格的なざまぁが行われるのは第15話前後を予定しています。どうかお楽しみに!
また、特に第4話からは基本的にラブコメ展開が続きます。シリアス展開はないので、ほっこりしつつ甘さも補充できます!
※最初のざまぁが行われた後も基本はラブコメしつつ、ちょくちょくざまぁ要素も入れていこうかなと思っています。
少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思った方は、ざっと内容を把握しつつ第20話、いえ第2話くらいまでお読みいただけると嬉しいです!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる