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第49話『カラオケ』
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クレーンゲームで三毛猫のぬいぐるみを取った後は、エアホッケーと太鼓のリズムゲームを遊んだ。
エアホッケーは、優奈が運動神経のいい佐伯さんとこれまでに何度も遊んでいたのもあって、五分五分の展開。
太鼓のリズムゲームは、好きな曲を交互に選んで数回プレイした。俺はこれまで一番多くプレイしたことのある曲でしか勝てなかった。ただ、優奈が終始楽しそうにプレイしていたので、悔しさは全然なかった。
太鼓のリズムゲームを遊び終えた後、ゲームセンターを後にして、カラオケボックスへ向かうことに。高野駅周辺はいくつもあるけど、優奈も俺も何度も行ったことがある北口近くのカラオケボックスへ行くことにした。
「ゲームセンター、とても楽しかったです! クレーンゲームでは和真君がぬいぐるみを取ってくれましたし、エアホッケーと太鼓のゲームでは和真君と楽しく勝負できましたから」
「良かった。俺も楽しかったよ。有言実行で猫のぬいぐるみを取れたし。エアホッケーと太鼓のゲームも楽しかったから」
「良かったです」
優奈は俺に笑顔を向けながら言ってくれた。
たまに、優奈はゲームセンターの大きなビニール袋に入っている三毛猫のぬいぐるみを嬉しそうに見ている。そんな優奈を見ていると、ゲットできて良かったと思う。
「ゲームセンターが楽しかったので、カラオケも和真君と一緒に楽しめそうな気がします」
「俺もそんな気がするよ。共通して好きな曲とかアーティストとかが結構あるし。それに、誕生日ケーキを食べる前に一緒に歌ったのが楽しかったから」
「そうですね。一緒に楽しみましょう」
「ああ。楽しもう」
カラオケも楽しい時間になったらいいな。
ゲームセンターから数分ほど歩いて、カラオケボックスに到着した。
ゲームセンターと同様に、フロントにはうちの高校を含め制服姿の人がちらほらと。カラオケも中高生が遊ぶ場所の定番だからなぁ。
受付に行き、ドリンクバー付きのフリータイムの料金を支払う。ちなみに、フリータイムとは午後6時まで利用可能なプランだ。今は午後2時過ぎなので4時間弱利用できる。
受付にいるスタッフの女性から、俺達が利用する部屋も番号が印字されたレシートと、2人分のグラスを受け取る。
ちなみに、部屋番号は203号室。なので、2階に上がることに。
階段で2階に上がると、すぐのところにドリンクバーが設けられている。ジュースはもちろん、お茶、コーヒー、紅茶など様々な種類のドリンクが用意されている。
「いっぱいあるなぁ」
「こんなにたくさんあると迷っちゃいますよね」
「そうだな。ドリンクバーだから飲み放題だけど、それでも迷うことってあるよな」
「分かります。あと、友達の中には頻繁に飲み物を取りに行く子がいますね」
「いるいる。俺の友達には『せっかく飲み放題プランにしたんだから』って、ジュース全種類飲んだ奴がいたよ」
「私の方も『甘い系は制覇したい』と言って、実際に制覇した友達がいましたね」
これだけたくさんの種類があったら、色々な飲み物を飲んだり、制覇したりしてみたくなるのも分かる。
ちなみに、俺は好きなものや普段はあまり飲まないものを中心に、グラスの半分から6、7割ほど注ぐことが多い。フリータイムで時間が長いので、数回ほどドリンクを取りに行く。
「最初だし、好きな飲み物にしようかな」
「私もそうしましょう」
俺はアイスコーヒーをグラス6割ほど、優奈はアイスティーを俺と同じくらいの量をグラスに注いだ。また、優奈はガムシロップを一つ取っていた。
それぞれドリンクを用意したので、俺達は確保した部屋である203号室へ向かう。
「203号室……ここか」
そう言って、俺が203号室の扉を開ける。
「おおっ」
「結構広いですね!」
扉を開けるとまず、正面にある大きなモニターが目に入る。画面には人気女性アーティストが「カラオケで是非歌ってみてくださいね」とコメントしていた。
部屋の中央にある長いテーブルを挟んで、左右にソファーが置かれている。それぞれ3人くらいは座れそうな大きさだ。
「2人で使うって考えると結構広いな」
「ですね。とりあえずは座りましょうか」
「ああ」
俺は向かって左側のソファーに行き、腰を下ろした。レストランを後にしてからずっと立っていたので、こうして座ると体が休まる。
俺が座った直後、優奈は俺の隣に腰を下ろす。俺と目が合うと優奈はやんわりとした笑顔を向けてくる。
「ソファーが2つありますけど、家ではソファーで隣同士に座っていますし、それが良くて。隣に座りたいです。いいですか?」
「もちろんだよ。隣に優奈が座っているといいなって思うし」
「ありがとうございます」
優奈は嬉しそうな笑顔でお礼を言った。
優奈は部屋が結構広いと喜んでいたし、ソファーも2つあるから、ゆったりと過ごすためにも俺と向かい合って座るかもしれないと思っていた。だから、俺の隣がいいからと、隣に座ってくれることが嬉しい。
優奈と話し、一つのソファーに並んで座り、もう一つのソファーは荷物置き場にすることにした。バッグを向かい側のソファーに置き、俺達は再びソファーに隣同士に座る。体が触れるかどうかの近さで。
優奈はアイスティーにガムシロップを入れて、ストローでかき混ぜる。
「……あのさ、優奈。飲む前に乾杯する? 試験終わりに友達と来たときは、最初に『試験お疲れ』って言って乾杯して飲むからさ」
「そうなんですか。乾杯すると、より美味しくなりそうですね。やりましょうか」
「ああ」
俺達はそれぞれグラスを持つ。
「優奈。3年初の中間試験お疲れ様」
「お疲れ様でした!」
「無事に終わったことを祝して……乾杯!」
「乾杯!」
俺は優奈が持っているグラスに軽く当てて、アイスコーヒーを一口飲む。
「うん、コーヒー美味いな!」
「アイスティーも美味しいです! 乾杯したのでとても美味しいです!」
ニッコリとした笑顔で優奈はそう言う。乾杯しようと言ってみて良かったな。
優奈はアイスティーをもう一口。両手でグラスを持ち、ちゅー、とストローでアイスティーを吸っている姿がとても可愛らしい。ずっと見ていられる。そう思いながらアイスコーヒーを飲むと……さっきよりも美味しく感じられた。
「では、そろそろ歌っていきましょうか」
「そうだな。どっちから歌う? もし、歌いたい曲が決まっているなら、優奈から入れてくれていいよ」
「では、決まっているので、お言葉に甘えて。和真君と一緒に観ているアニメのオープニングテーマです。大好きな曲なんですけど、先月リリースされたばかりで一度も歌ったことがなくて。ですから、歌ってみたかったんですよね」
「そうなんだ。楽しみだな」
現在放送されており、優奈と一緒に観ているアニメは何作もある。どのアニメのオープニングなのか楽しみだ。
優奈が電子リモコンを操作している間に、俺はマイクを用意し、優奈の前に置く。
「入れました」
優奈はそう言うと、マイクを持ってソファーから立ち上がり、モニターの近くまで移動する。
画面には、優奈が入れた曲の曲名とアーティストが表示される。その曲は現在、最も勢いのある若手の男女ユニットの曲で、様々な音楽チャートで何週も連続で1位を獲得している大ヒット曲だ。
イントロのない曲なので、カウントされた後、優奈は曲に合わせて歌い始める。
優奈の歌声はとても綺麗だ。伸びもあって。音程も安定しておりとても上手だ。アップテンポな曲で、途中でラップパートもあるけど、優奈は歌詞を間違えずに歌っていて。初めて歌うのが信じられないほど上手い。大好きな曲と言っていたし、きっとたくさん聴いたんだろうな。
アップテンポの曲だし、俺も知っている曲なので自然と気持ちが上がっていく。
大好きな曲だからか、優奈は笑顔で歌っていて。俺の方を見て歌ってくれるし、身振り手振りも可愛いから、優奈に見入る。こんなにも歌うのが上手で、歌う姿が素敵な人は見たことない。
「ありがとうございました!」
歌に聴き入り、姿に見入っていたので、あっという間に優奈は歌を歌い終わった。それに合わせて、俺は優奈に大きく拍手を送る。
「凄く良かったよ! 初めてなのが嘘じゃないかと思えるくらいに上手だった」
「ありがとうございます!」
満面の笑顔で、優奈はマイク越しにお礼を言ってくれる。その姿はさながらアイドルのようだ。もし、優奈がアイドルになったら、可愛さや歌の上手さで凄く人気が出そう。
「大好きな曲ですし、アップテンポの曲ですから、歌ってとても気持ち良かったです」
「そっか。この曲、本当にいいよな。優奈の歌が良かったからずっと聴いていたいよ」
「ふふっ、褒めてくれて嬉しいです。ただ、和真君の歌声も聴いてみたいです」
「分かった。俺もまずは一曲歌おう」
「楽しみですっ!」
優奈はニコッと笑いながらそう言うと、俺の前にマイクを置き、ソファーに座った。
電子リモコンで、これから歌う曲を入力する。
マイクを持ってソファーから立ち上がると、俺が入力した曲のイントロが流れ始める。
「あっ、この曲ですか!」
イントロが流れ始めた瞬間、優奈は弾んだ声でそう言う。
俺が歌う曲は、俺達が生まれる前から絶大な人気を誇る男性ロックユニットの代表曲。俺もの好きな曲だし、アップテンポでノリが良く、みんなで盛り上がれる。だから、カラオケに行ったら必ずと言っていいほどに歌う一曲だ。
優奈は俺のことを見ながら笑顔で手を叩いている。途中で「ハイ!」と叫ぶ箇所があり、そこでは俺と一緒に叫んで。このロックユニットは優奈も好きなので、きっと楽しんでくれると思っていた。優奈を見ると気持ちがさらに盛り上がり、とてもいい気持ちの中で歌うことができた。
「ありがとうございました」
「とても上手でした! 男性が歌うとかっこいいですね!」
興奮した様子でそう言うと、優奈はとても嬉しそうに拍手した。お嫁さんからかっこいいと言われて凄く嬉しい。アイスコーヒーを一口飲むととても美味しく感じられた。
「ありがとう。この曲は好きだし、盛り上がれるからよく歌うんだ。優奈もこのユニットは好きだって前に話していたし」
「そうですか! この曲いいですよね。男性の曲ですが、私も友達と行くと歌ったり、歌う友達がいたりします」
「そうなんだ」
だから、男性が歌うとかっこいいと優奈は言ったんだな。
「さあ、和真君。たくさん歌いましょう!」
「そうだな! 一曲歌ったら、色々な曲を歌いたくなってきた。優奈の好きそうな曲もいっぱいあるから」
「私もですっ!」
優奈はとても楽しそうな様子でそう言った。
フリータイムプランにしたから。長時間利用できる。優奈と一緒に、たくさん歌って、カラオケの時間を大いに満喫しよう。
エアホッケーは、優奈が運動神経のいい佐伯さんとこれまでに何度も遊んでいたのもあって、五分五分の展開。
太鼓のリズムゲームは、好きな曲を交互に選んで数回プレイした。俺はこれまで一番多くプレイしたことのある曲でしか勝てなかった。ただ、優奈が終始楽しそうにプレイしていたので、悔しさは全然なかった。
太鼓のリズムゲームを遊び終えた後、ゲームセンターを後にして、カラオケボックスへ向かうことに。高野駅周辺はいくつもあるけど、優奈も俺も何度も行ったことがある北口近くのカラオケボックスへ行くことにした。
「ゲームセンター、とても楽しかったです! クレーンゲームでは和真君がぬいぐるみを取ってくれましたし、エアホッケーと太鼓のゲームでは和真君と楽しく勝負できましたから」
「良かった。俺も楽しかったよ。有言実行で猫のぬいぐるみを取れたし。エアホッケーと太鼓のゲームも楽しかったから」
「良かったです」
優奈は俺に笑顔を向けながら言ってくれた。
たまに、優奈はゲームセンターの大きなビニール袋に入っている三毛猫のぬいぐるみを嬉しそうに見ている。そんな優奈を見ていると、ゲットできて良かったと思う。
「ゲームセンターが楽しかったので、カラオケも和真君と一緒に楽しめそうな気がします」
「俺もそんな気がするよ。共通して好きな曲とかアーティストとかが結構あるし。それに、誕生日ケーキを食べる前に一緒に歌ったのが楽しかったから」
「そうですね。一緒に楽しみましょう」
「ああ。楽しもう」
カラオケも楽しい時間になったらいいな。
ゲームセンターから数分ほど歩いて、カラオケボックスに到着した。
ゲームセンターと同様に、フロントにはうちの高校を含め制服姿の人がちらほらと。カラオケも中高生が遊ぶ場所の定番だからなぁ。
受付に行き、ドリンクバー付きのフリータイムの料金を支払う。ちなみに、フリータイムとは午後6時まで利用可能なプランだ。今は午後2時過ぎなので4時間弱利用できる。
受付にいるスタッフの女性から、俺達が利用する部屋も番号が印字されたレシートと、2人分のグラスを受け取る。
ちなみに、部屋番号は203号室。なので、2階に上がることに。
階段で2階に上がると、すぐのところにドリンクバーが設けられている。ジュースはもちろん、お茶、コーヒー、紅茶など様々な種類のドリンクが用意されている。
「いっぱいあるなぁ」
「こんなにたくさんあると迷っちゃいますよね」
「そうだな。ドリンクバーだから飲み放題だけど、それでも迷うことってあるよな」
「分かります。あと、友達の中には頻繁に飲み物を取りに行く子がいますね」
「いるいる。俺の友達には『せっかく飲み放題プランにしたんだから』って、ジュース全種類飲んだ奴がいたよ」
「私の方も『甘い系は制覇したい』と言って、実際に制覇した友達がいましたね」
これだけたくさんの種類があったら、色々な飲み物を飲んだり、制覇したりしてみたくなるのも分かる。
ちなみに、俺は好きなものや普段はあまり飲まないものを中心に、グラスの半分から6、7割ほど注ぐことが多い。フリータイムで時間が長いので、数回ほどドリンクを取りに行く。
「最初だし、好きな飲み物にしようかな」
「私もそうしましょう」
俺はアイスコーヒーをグラス6割ほど、優奈はアイスティーを俺と同じくらいの量をグラスに注いだ。また、優奈はガムシロップを一つ取っていた。
それぞれドリンクを用意したので、俺達は確保した部屋である203号室へ向かう。
「203号室……ここか」
そう言って、俺が203号室の扉を開ける。
「おおっ」
「結構広いですね!」
扉を開けるとまず、正面にある大きなモニターが目に入る。画面には人気女性アーティストが「カラオケで是非歌ってみてくださいね」とコメントしていた。
部屋の中央にある長いテーブルを挟んで、左右にソファーが置かれている。それぞれ3人くらいは座れそうな大きさだ。
「2人で使うって考えると結構広いな」
「ですね。とりあえずは座りましょうか」
「ああ」
俺は向かって左側のソファーに行き、腰を下ろした。レストランを後にしてからずっと立っていたので、こうして座ると体が休まる。
俺が座った直後、優奈は俺の隣に腰を下ろす。俺と目が合うと優奈はやんわりとした笑顔を向けてくる。
「ソファーが2つありますけど、家ではソファーで隣同士に座っていますし、それが良くて。隣に座りたいです。いいですか?」
「もちろんだよ。隣に優奈が座っているといいなって思うし」
「ありがとうございます」
優奈は嬉しそうな笑顔でお礼を言った。
優奈は部屋が結構広いと喜んでいたし、ソファーも2つあるから、ゆったりと過ごすためにも俺と向かい合って座るかもしれないと思っていた。だから、俺の隣がいいからと、隣に座ってくれることが嬉しい。
優奈と話し、一つのソファーに並んで座り、もう一つのソファーは荷物置き場にすることにした。バッグを向かい側のソファーに置き、俺達は再びソファーに隣同士に座る。体が触れるかどうかの近さで。
優奈はアイスティーにガムシロップを入れて、ストローでかき混ぜる。
「……あのさ、優奈。飲む前に乾杯する? 試験終わりに友達と来たときは、最初に『試験お疲れ』って言って乾杯して飲むからさ」
「そうなんですか。乾杯すると、より美味しくなりそうですね。やりましょうか」
「ああ」
俺達はそれぞれグラスを持つ。
「優奈。3年初の中間試験お疲れ様」
「お疲れ様でした!」
「無事に終わったことを祝して……乾杯!」
「乾杯!」
俺は優奈が持っているグラスに軽く当てて、アイスコーヒーを一口飲む。
「うん、コーヒー美味いな!」
「アイスティーも美味しいです! 乾杯したのでとても美味しいです!」
ニッコリとした笑顔で優奈はそう言う。乾杯しようと言ってみて良かったな。
優奈はアイスティーをもう一口。両手でグラスを持ち、ちゅー、とストローでアイスティーを吸っている姿がとても可愛らしい。ずっと見ていられる。そう思いながらアイスコーヒーを飲むと……さっきよりも美味しく感じられた。
「では、そろそろ歌っていきましょうか」
「そうだな。どっちから歌う? もし、歌いたい曲が決まっているなら、優奈から入れてくれていいよ」
「では、決まっているので、お言葉に甘えて。和真君と一緒に観ているアニメのオープニングテーマです。大好きな曲なんですけど、先月リリースされたばかりで一度も歌ったことがなくて。ですから、歌ってみたかったんですよね」
「そうなんだ。楽しみだな」
現在放送されており、優奈と一緒に観ているアニメは何作もある。どのアニメのオープニングなのか楽しみだ。
優奈が電子リモコンを操作している間に、俺はマイクを用意し、優奈の前に置く。
「入れました」
優奈はそう言うと、マイクを持ってソファーから立ち上がり、モニターの近くまで移動する。
画面には、優奈が入れた曲の曲名とアーティストが表示される。その曲は現在、最も勢いのある若手の男女ユニットの曲で、様々な音楽チャートで何週も連続で1位を獲得している大ヒット曲だ。
イントロのない曲なので、カウントされた後、優奈は曲に合わせて歌い始める。
優奈の歌声はとても綺麗だ。伸びもあって。音程も安定しておりとても上手だ。アップテンポな曲で、途中でラップパートもあるけど、優奈は歌詞を間違えずに歌っていて。初めて歌うのが信じられないほど上手い。大好きな曲と言っていたし、きっとたくさん聴いたんだろうな。
アップテンポの曲だし、俺も知っている曲なので自然と気持ちが上がっていく。
大好きな曲だからか、優奈は笑顔で歌っていて。俺の方を見て歌ってくれるし、身振り手振りも可愛いから、優奈に見入る。こんなにも歌うのが上手で、歌う姿が素敵な人は見たことない。
「ありがとうございました!」
歌に聴き入り、姿に見入っていたので、あっという間に優奈は歌を歌い終わった。それに合わせて、俺は優奈に大きく拍手を送る。
「凄く良かったよ! 初めてなのが嘘じゃないかと思えるくらいに上手だった」
「ありがとうございます!」
満面の笑顔で、優奈はマイク越しにお礼を言ってくれる。その姿はさながらアイドルのようだ。もし、優奈がアイドルになったら、可愛さや歌の上手さで凄く人気が出そう。
「大好きな曲ですし、アップテンポの曲ですから、歌ってとても気持ち良かったです」
「そっか。この曲、本当にいいよな。優奈の歌が良かったからずっと聴いていたいよ」
「ふふっ、褒めてくれて嬉しいです。ただ、和真君の歌声も聴いてみたいです」
「分かった。俺もまずは一曲歌おう」
「楽しみですっ!」
優奈はニコッと笑いながらそう言うと、俺の前にマイクを置き、ソファーに座った。
電子リモコンで、これから歌う曲を入力する。
マイクを持ってソファーから立ち上がると、俺が入力した曲のイントロが流れ始める。
「あっ、この曲ですか!」
イントロが流れ始めた瞬間、優奈は弾んだ声でそう言う。
俺が歌う曲は、俺達が生まれる前から絶大な人気を誇る男性ロックユニットの代表曲。俺もの好きな曲だし、アップテンポでノリが良く、みんなで盛り上がれる。だから、カラオケに行ったら必ずと言っていいほどに歌う一曲だ。
優奈は俺のことを見ながら笑顔で手を叩いている。途中で「ハイ!」と叫ぶ箇所があり、そこでは俺と一緒に叫んで。このロックユニットは優奈も好きなので、きっと楽しんでくれると思っていた。優奈を見ると気持ちがさらに盛り上がり、とてもいい気持ちの中で歌うことができた。
「ありがとうございました」
「とても上手でした! 男性が歌うとかっこいいですね!」
興奮した様子でそう言うと、優奈はとても嬉しそうに拍手した。お嫁さんからかっこいいと言われて凄く嬉しい。アイスコーヒーを一口飲むととても美味しく感じられた。
「ありがとう。この曲は好きだし、盛り上がれるからよく歌うんだ。優奈もこのユニットは好きだって前に話していたし」
「そうですか! この曲いいですよね。男性の曲ですが、私も友達と行くと歌ったり、歌う友達がいたりします」
「そうなんだ」
だから、男性が歌うとかっこいいと優奈は言ったんだな。
「さあ、和真君。たくさん歌いましょう!」
「そうだな! 一曲歌ったら、色々な曲を歌いたくなってきた。優奈の好きそうな曲もいっぱいあるから」
「私もですっ!」
優奈はとても楽しそうな様子でそう言った。
フリータイムプランにしたから。長時間利用できる。優奈と一緒に、たくさん歌って、カラオケの時間を大いに満喫しよう。
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