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着々と進められていたこと

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 私に促されて、陛下は式典に戻りしっかりと新年の大一番を終えてきた。

 そう、終わってすぐに後宮に戻ってきましたよ、あの人は……。

 「これが、この国のトップ……。これで本当に大丈夫なのかと心配になるのは私だけなの? どうなの?」

 私のぼそぼそとしたつぶやきに鈴香はにこやかに微笑んで言った。

 「お妃さまの一人も大切にできない人よりはよろしいかと……」

 鈴香、あなたもなかなか言うわね。 可愛い顔して、結構サクッとモノを言うのよね。
 そんなはっきりしたところが私も気に入っているのだけれど。

 「春麗、無事に終わらせてきたぞ。そして、式典でそなたを皇妃として迎えると宣言したので安心して準備に入ってくれ」

 いきなり爆弾かましてきたよ、このアホ陛下……。

 私の胡乱な目つきとあきれた表情で陛下も私の言いたいことを察知したらしい。
 そこらへんもここ一年の付き合いで、だいぶお互いが分かってきたと言ったところか……。

 「言っておくが根回しは十分済んでいるし、満場一致で皇妃を迎えることになったからな? 俺の皇妃は春麗だけだし、側妃は置かないと宣言している」

 私は表情を変えぬままに、そばに控えていた泰然さんに目線を向けると彼は肩をすくめて言った。

 「陛下の後宮にはもう春麗様しかおりませんし、それが陛下のご意志となれば臣下はなにも言えませんよ。ただし、春麗様にはお子をいち早く授かっていただくことが臣下一同の願いです」


 はい、この人も綺麗なお顔でいろいろぶっちゃけちゃったー!!

 もう、ここに回避の道はなく私は皇妃に収まるしかないらしい……。

 こんな機織りだけが特技の田舎娘なのに、皇妃なんて柄じゃないのにね……。
 都に送り出した父も、こんなことになるとは思わなかっただろうな。

 つい、遠い目で故郷の父を考えていると陛下はさらに爆弾を落とした。

 「春麗も心配であろうから、父上には都に工場を移し生活してもらうことにしたから安心だろう?」


 この、どこまでも用意周到な陛下には私なんて足元にも及ばないので流されるほうが賢明なんだろう。
 いろいろ納得いかないことも多々あるけれど、これもそれもなんだかんだ陛下は私のことも考えて準備してきたのであろうことはここまでの話と陛下の表情から分かるので。

 「それで、私はいつから皇妃扱いになるのでしょう?」

 ここまでの説明で私にされてないのはここだ。
 いつから立場が明確に変わるのか。

 「ん? この新年での発表を機に今日から春麗が皇妃だ」

 やっぱり、ちょっとこの流れに乗るの早まったかもしれないと思いつつ、私は大きく気を吐き出してどうにもならないがらに一つだけ文句を言った。

 「今日からだって言うなら、もう少し早く私に教えておきましょうね!」

 私のこれでもかという笑顔での言葉に陛下が一瞬びくついた後に、ごめんなさいをする羽目になったのは言うまでもない。

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