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サイボーグ部長が溺愛!?~肉食男子の本領発揮~

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社食に行くと、珍しく同期の美咲と出くわした。

「あら、千波久しぶりね」
「ほんと、久しぶりだね、美咲。同じ社内にいるのに、フロアが違うと全然会わないね」

同期の大口美咲は秘書課勤務だ。
なので重役の執務室のあるフロアに秘書室もあるのでなかなか社内で会うことはない。
しかし、しょっちゅう愚痴を言い合うために飲みに行く仲なので、かなり仲が良い。
彼女は所謂カワイイ系の容姿をしているが、その中身は毒舌サバサバ系女子。
つまり、似たもの同士である。
私は毒舌ではないにしろ同じくサバサバ系である。

お互いに社員証をかざして食券機で券を買う。
社食は社員証をかざすだけでご飯が食べられ、料金はリーズナブルな上に給与から天引きされる仕組みだ。
財布を持たずにご飯が食べられるとなかなか好評。

さすが、総合商社。
新しいものは続々試して売りに行かせる。
そういう感じの柔軟性のある企業だ。

美咲とお互いに今日のオススメレディース定食を頼み、トレーを持って窓際の二人がけの席に着いた。

「さて、先週彼氏に振られたってやさぐれまくったと噂の千波さんよ?その首筋のは何かな?ん?言ってみ?」

まさかの追求に驚くとともに、私はそこのキスマークに気づかなかったなんて、間抜けすぎる。
指摘されて、頭を抱えると

「送別会の日、木島部長が送ってたとか、聞いたわよ?あのサイボーグに送ってもらったなんて凄いわね」

そう言うと、ニヤニヤした顔をして

「つまり、これの犯人って…」

「黙秘権を行使します!!」

そう言うと、もぐもぐとご飯を食べて会話をストップさせた。

「えぇぇ!めずらしく会えたからすぐに聞けると思って楽しみにしてたのに!」

そう文句をいうので

「多分、美咲の読みで間違ってない。で、私はやや逃げ腰。現在進行形で逃げてる最中、以上」

そう言うと

「社内一の出世株で、実は社長の親戚との噂もある木島部長よ?仕事はサイボーグだし、無表情だけど美形だから人気あるのよ?」

「下で働いてみなさい。仕事の振り方本当に鬼だから」

ぼそっと言うと

「そういや、千波はついこの間まで直属の上司だったわね」
「そうよ。そんな間柄でどうしろっていうのよ?直属じゃなくっても現在も上司だしね?」

そう返せば

「なかなか大変そうね。ま、でも何事も自分に正直なのが一番よ?」

そう美咲に返され

「確かにね。でも、なかなかに難しいわ」

苦笑と共に言えば

「これは、部長が気長に待つしかないわね。頑張れ部長!」
「あんた、私の味方じゃないのね?」
「私は面白くなる方の味方!」

そう言ってクスッと笑う美咲は小悪魔的な微笑みを浮かべた。
そういう表情が良く似合う女子だ。
ほんと、美形ってお得だなと見つめて、軽くため息をついたのだった。

さぁ、気の乗らない約束はあるが仕方ない。
とりあえずその約束に間に合うように午後も仕事を進めるべく、食後のお皿を返却口に下げて、自分のデスクへと戻った。

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