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一波乱

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デート中にまさか仕事関係の人間に声を掛けられるとは思わなかった。

雰囲気からしてカップルでデート中だと分かるはずなのに。


相手を見ると確かに仕事関係者で前から俺に度々アピールしてきていた女性だった。

彼女が一瞬とはいえキツく鋭い視線を綾乃に向けたのには気づいていた。
しかしそれでも俺は綾乃と手を繋いだまま表面上は穏やかに答えた。

すると彼女はあからさまに綾乃を無視して仕事の話を始めた。

その時点で俺としては彼女や彼女の所属する会社と取引する気は皆無になった。

自国であればプライベートな時には挨拶程度で互いにプライベートを尊重するのが慣わしであり、気遣いだ。

彼女は明らかにこちらのプライベートを侵害している。
ましてや俺の大切な綾乃に対する態度は大人としても仕事をしている社会人としてもまず無い。

しかし、綾乃はこの状況を察して俺の手を離し自分の気になるショップを覗いてくると言って離れていった。

綾乃はどう思っていたかは分からないが、俺は離された手を見つめて軽く凹んだ。

そして、綾乃が離れたのを気に表情は穏やかから一変し、シビアな経営者の顔になる。

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