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あるカタストロフィ 〜ニゲル・前編〜

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 リアちゃんが兵たちに地下牢へと連れて行かれた後、俺はすぐに帰って兄さんに連絡した。すると兄さんは仕事中でもテレポート魔法ですぐに帰ってきて、今すぐにでも世界を滅ぼすくらいの勢いで俺達やリアちゃんの所属するギルド、春の暁ウェールアウローラへ向かった。そこで事情を話してみんなで嘆願書を書くらしい。俺はリウィア嬢をはじめとする友人達と協力してリアちゃんが無実であることの証拠と署名を集める事にした。…大変なことになった。まさか、こんな事になるだなんて…。そんなシナリオゲームにはなかったのに…!!

 ここが俺がプレイしていたゲームの世界だと気づいたのは、まだ初等学校に入ったばかりの頃だった。このゲームは学園もののRPGで、プレイヤーは男女どちらも選択可能だった。男性プレイヤーを選ぶと自分が勇者で、パーティーには魔導師のお姫様とその他ヒーラーなどのメンバーがついてくる。女性プレイヤーにすると自分は魔導師で、勇者の王子様とその他男女共通のメンバー達と共に魔王を討伐する事になる。シナリオとしては魔王討伐パーティーとして共に数々の試練を突破し絆を深めたヒーローとヒロインがエンディングで結ばれてめでたしめでたしで終わる、というものだった。パーティーには兄さん…、マリウスも凄腕ヒーラーとして出てくるが、男女どちらの場合もマリウスはプレイヤーの幼馴染のお兄さんという立場でそれ以上でもそれ以下でもなかった。ついでに言うとプレイヤー、つまりリアちゃんが王国一のギルドマスターの子どもだなんて設定もなかった。
 バッドエンドは魔王に勝てず殺されることだけだったから、魔王を倒した後は何もないだろうって完全に油断してた。まさかリアちゃんが流行りの悪役令嬢ものみたいに濡れ衣を着せられて断罪されるだなんて思ってもみなかった。だってもうそれ別のゲームじゃん。魔王を倒して王子様と幸せに暮しましたとさ、めでたしで終わるはずだったじゃん。まじでどうなってるんだよ…!…いや、考えても仕方ない。とにかくできる事をしないと…!
 殿下はともかくとして、ヌーブラエ卿やルボル侯爵令嬢の様子がどう考えてもおかしかった。恐らくゲームに出てきた魅了の状態異常になっているか、洗脳されているかのどちらかだろう。どちらも“呪術”という禁忌の魔法に指定されているものだが、前世のゲーム内ではとあるお店で魅了や洗脳できるアイテムが売っていた。これを使うと敵の攻撃を1ターン止められるのだが、もうここは現実だ。恐らく相手を意のままに操れるだろう。ゲームでは敵から魅了状態や洗脳状態にされる事もあり、それを解除するアイテムもちゃんとあった。そしてそれは実際うちでも作れるものだ。とりあえず弱体解除の薬を作りまくって、行動不能状態の人達に飲ませて正気に戻すしかない。

 そして翌日、俺とリウィア嬢、兄さん、そして王弟殿下であるルキウス兄さんの4人で朝一に王宮に向かいリアちゃんの釈放を求めた。もちろんそんな簡単には行かず、役人とルキウス兄さんが喧嘩していたがリウィア嬢が口を開いた。

「陛下が毒で苦しんでいらっしゃるのでしたらなぜマリウスさんに治癒を依頼しなかったのですか?マリウスさんは勇者パーティーにも抜擢された、王国内一と言っても良いほどの優秀な治癒師です。真っ先に呼ぶべきだったのではございませんこと?」
「確かに…。」
「その通りだな、リウィア嬢。マリウスに兄上を治してもらって兄上に判断してもらえば良い話だ。よし、行くぞ。」

そう言ってルキウス兄さんはサクッと陛下の寝室の目の前まで転移してしまった。陛下を守る護衛騎士達は驚いてこちらに槍を向ける。ルキウス兄さんは両手を上げる。

「待て俺だ、ルキウスだ。陛下を治してもらおうとマリウス・オルドーを連れてきたんだ。」
「ルキウス殿下!これは失礼いたしました。」
「なるほど、マリウス殿なら陛下もすぐに良くなる事でしょう。」

騎士達はそう言って一応身分を確認してから喜んで通してくれた。どうやらこの騎士達はリアちゃんの騒動を知らないらしい。…まぁそりゃそうか、知ってたら陛下の耳にも入るだろうから全力でバレないようにしてるんだろうな。

「兄上、具合はいかがですか?」
「ルキウスか…。…情けないことに不覚をとってしまった…。」
「ご安心を、マリウスを連れてきたのですぐ良くなりますよ。…な、マリウス。」
「えぇ、10秒で終わらせます。」

兄さんはそう言うと本当に10秒で解毒してしまった。本来解毒するというのは毒の解析と無毒化という工程があり、どんなに早くても30秒近くかかるものなのだが。

「さっすがマリウス。お前ほんとに天才だな。」
「んな事はどうでも良い、それよりエミリアだ。」
「エミリア殿に何かあったのか?」
「あー、病み上がりのところで申し訳ないんだが…。」

ルキウス兄さんが今回の騒動の事を話すと陛下は頭を抱えた。俺とリウィア嬢が恐る恐る書類を差し出すと、サッと目を通して盛大にため息をついた。

「…彼女はどこに?」
「地下牢へ連れて行かれました。」
「そうか、では今すぐ行くぞ。」

そう言って陛下は魔法で一瞬で着替え、部屋を出た。ルキウス兄さん曰く大事な式典やらで使う正装なようで、陛下と仲良しのルキウス兄さんも少し緊張していた。
 地下牢に着くとどこにもリアちゃんの姿はなく、軽く掃除と片付けをしているヌーブラエ卿の姿があった。ヌーブラエ卿は陛下に気づくと慌てて跪く。

「陛下!お身体の方は…」
「マリウス殿のおかげで回復した。…エミリア殿はどうした?」
「は、彼女には国家反逆罪の容疑が…」
「そんな事は良い。」
「っ!」

ヌーブラエ卿の言葉を遮る陛下の威圧感に俺達も圧倒されそうになる。
(…ニゲル、薬。)
兄さんに耳打ちされ、我に返る。そして俺はそっと徹夜で用意してきた薬を1つ取り出した。

「彼女はどこにいるのかと聞いている。」
「は…、先程殿下が処刑を命じられ神殿へ向かいました。」
「「「!!!!!」」」
「何だと…?」

陛下は更に低い声で言った。怖…、これが一国の主…!

「…ですが陛下、あの者は陛下に毒を盛り…むぐっ⁉︎」

俺はヌーブラエ卿の顎を掴み薬を口に突っ込み、飲み込ませた。

「ぐぁぁっ、うっ…!!!」
「…遮ってしまい申し訳ございません、陛下。」
「何をした?」
「精神異常を治す薬を飲ませました。恐らくヌーブラエ卿やルボル侯爵令嬢は魅了か洗脳の呪術にかかっています。そうでなければ聡明なヌーブラエ卿があんな杜撰な証拠を堂々と提示するはずがありません。」

俺が答えると陛下は頷いた。そして一応怪しいものではないと証明するために同じものを後で鑑定してもらうために1つ渡しておいた。

「…あれ、僕は一体何を…。」
「もう一度聞く。お前達、彼女に何をした?」
「彼女は国家反逆を…。…、いやそんなはずあるか⁉︎エミリア嬢にできる訳がない!!」
「うむ、正気に戻ったようだな。話は後ほどたっぷり聞くとする。…神殿へ急ぐぞ。」
「あぁ、僕はなんて事を…!」

陛下を先頭に、俺達は顔面蒼白なヌーブラエ卿も伴って神殿へ走った。中へ通そうとしない騎士を陛下が黙らせ中に押し入ると、壮大な神の像の前で血まみれのリアちゃんが跪いていた。リアちゃんの体は眩い光に包まれていて、まるで太陽のようだった。

「…!エミリア!」

兄さんが全力で駆け出す。止めようとする騎士をルキウス兄さんとヌーブラエ卿とで押さえる。そして振り返ったリアちゃんを見て、…息が止まった。ーーなんだ、あれは。あれはどう見ても拷問された後じゃん。ふらりと倒れたリウィア嬢をなんとか支えるが、正直俺も立っているのがやっとだ。どうしようもない怒りが噴き出してきて、震えが止まらない。…なのに、それなのに。1番辛くて怒っているはずの彼女は、いつものようにニコッと笑った。


「…じゃあね、マリウス。」
「リア!!!!!!!」


兄さんの悲痛な叫びも虚しくリアちゃんの体から光がふっと消え、ふらりと傾いた。

「ヒール!!!」

兄さんはありったけの魔力を込めてリアちゃんに回復魔法をかけるが、たぶん、もう…。
倒れ込んだリアちゃんの体を抱きとめ、兄さんは何度も彼女に呼びかけ治癒魔法陣を何重にも展開する。…俺がもっと早くに気づけていれば…。

「一体どうするんだ、あの伝承が本当だったなんて…!」
「神の加護があれば更なる発展が見込めたのに…!」
「いい加減にしろ!彼女はまだ子どもだぞ⁉︎子どもの命をなんだと思って…、っ⁉︎」

気付くと辺りは一面凍り付いており、貴族や殿下達の下半身は完全に動かなくなっていた。

「…さっきからうるせぇんだよ。リアはてめぇらの人形じゃねえ、1人の人間だ。そんな事も分からねえのか?」
「…マリウス。」

凍り付いた神殿を、陛下とルキウス兄さんは器用に進んで行った。俺もリウィア嬢に肩を貸し、2人で何とか前に進む。

「…マリウス、もう諦めろ。賢いお前ならもう分かってるだろ?」
「…。」
「…エミリアは、もう帰ってこない。」

ルキウス兄さんが優しく、それでいて悔しそうに兄さんを諭す。すると、普段は無愛想で冷静で、ツンとしている兄さんの瞳からは堰を切ったように涙が溢れ出してきた。兄さんは縋るようにリアちゃんを抱きしめた。

「リア、どうしてお前はいつも先に行くんだよ。なんで俺を置いて行くんだよ。どうせ迷って俺が探しに行く羽目になるんだからせめて一緒に連れて行けよ、馬鹿…!」
「…殿下…、エミリアの綺麗な目はどこにやったのですか?アメジストのように輝いていた、あの瞳はどこへ行ったのですか…⁉︎」

リウィア嬢はそう言って泣き崩れた。ラベンダー色の優しい瞳も、数々の魔法陣を描いていた左腕も見当たらない。リアちゃんの属性にぴったりな光を反射してキラキラと輝く綺麗な髪も、埃や血で汚れてくすんでしまっていた。そして何より…、もうリアちゃんと話すことは二度と叶わない。俺は今すぐにでも殴ってやりたいのを我慢して、強引にエランス卿の口に薬を突っ込んだ。

「…あ、れ…?俺は一体何を…?」
「いかがですか、エランス卿。罪のない女の子を拷問して殺した気分は。…興奮しましたか?」
「っ…!!!」

鼻で笑いながら尋ねるとエランス卿は息を呑んだ。自分が何をしたのか思い出したらしい。

「…3人とも、ステータス見てみろ。」

ルキウス兄さんは突然そう言い、俺達は不思議に思いつつも素直に従う。すると、ステータスには新たな項目が追加されていた。

「エミリアの願い…⁉︎」
「そんな、エミリア…!!」

俺達はボロボロと涙を零し、ルキウス兄さんも上を向いて涙を堪えているようだった。呆然としていると陛下はリアちゃんのすぐ横に膝をつき、じっとこちらを見つめた。

「…皆、すまなかった。」
「⁉︎」
「陛下、何をしておいでですか!!」
「父上、その女はオクタウィアをいじめた挙句父上を殺そうとしたのですよ!!」
「黙れ。」
「「「っ…!!」」」

陛下の一言で騒がしかった外野はしんと静まり返った。陛下はこちらに視線を戻す。

「余が不覚を取ったばかりに罪のないエミリア殿の命を奪うこととなってしまった。…本当に、申し訳なかった。」

一国の主が頭を下げるだなんて、そんな事は本来起こり得ないはずだ。しかし今、陛下はこうして俺達に謝罪している。…やはり陛下は、良い王様だ。

「…兄上。俺は、平民を軽んじる貴族が少なくない事はよく分かってる。…けど、これはあんまりだ。エミリアは何も悪くないのに、むしろ魔王を倒した英雄なのに、なんでこんな死に方をしなきゃいけなかったんだ…!」
「…あぁ。」
「陛下。エミリアは、本当に…、本当に、優しくて可愛らしい、わたくしの大好きなお友達でした…!エミリアは、わたくし達とは違って平民です。政略結婚なんて、する必要はなかったのです。エミリアは、愛する人と一緒に、大好きな冒険をしながら自由に生きていくべきだったのです…!!」
「あぁ、そうだな。そうあるべきだった。」
「リアちゃんはずっと、冒険者になるために頑張っていたんですよ。」
「殿下と結婚したら冒険者になれないとリアはずっと悩んでいました。けど、平民に王族からの打診を断る事なんてできる訳がない。…殿下、あなたはそれを分かってますか?」
「…っ。」

殿下は口を噤んだ。陛下はため息を吐いた。

「今回の件で、我が国の貴族達が如何に欲深いかがよく分かった。一度人員を見直す事としよう。」

それはつまり、今回の首謀者達は首を切られるという事だろう。それくらいはして当然だ。

「…それから、フレデリクス。」

陛下は立ち上がって殿下の方へツカツカと歩み寄った。まだ兄さんの氷は消えずに残っている。

「エミリア殿は無実である。にも関わらずお前は彼女を甚振り、死に至らしめた。仮にお前が直接手を出したわけでなくとも、お前が命じたのだろう?ならばそれはお前の責である。」
「…。」
「よって、お前は廃嫡とする。」
「なっ…⁉︎」

殿下も驚いていたが、俺達も予想外で目を見開いた。まさかそこまでするとは…。陛下も今回の事は本気で重く受け止めているようだ。

「何故か分からない、と言いたげだな。それがお前の1番の問題だ。お前の何が悪かったのか、よく考えろ。それが分かるようになればその時は、余も再び考えてやろう。」
「…っ、はい…。」

あぁ、陛下が正装で来たのはこのためだったのか…。頷くしかなかった殿下を見て、俺は少し納得していた。

「貴卿らは後程詳しく話を聞き、追って沙汰を出す。ヌーブラエ卿、エランス卿、卿らは呪術により操られていたとは言え罪は消えぬ。捜査に尽力せよ。」
「「御意。」」
「…さて、もうここにはいたくないだろう。早くエミリア殿を暖かい場所で休ませてあげると良い。」

陛下は優しく気遣わしげな口調で言った。兄さん以外は頷いて立ち上がった。

「…マリウス。」

ルキウス兄さんはポン、と兄さんの肩を叩く。俺も兄さんに帰ろう、と声をかけた。

「…、あぁ。帰ろう、リア。」

兄さんはリアちゃんの瞼にそっと口付け、魔法で彼女に付いていた汚れを落とした。神殿の窓から差し込む光がリアちゃんの髪をキラキラと輝かせた。兄さんはヒョイと彼女を抱き上げる。

「…それじゃあ兄上、何かあったらいつでも言ってくれ。暫くは俺も王都にいるから。」
「…あぁ。」

ルキウス兄さんは陛下が頷くのを見届けて、俺達みんなをテレポート魔法でギルドまで転移させた。帰って来た俺達にギルドのみんなは一瞬喜んだが、兄さんの腕の中で眠るリアを見て呆然としてしまった。

「…リウィア嬢。帰りはどうする?」
「迎えを頼もうかと。」
「そっか、じゃあ途中まで送るよ。…ここは荒れそうだから。」

俺が言うと彼女は頷いた。
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