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四章
胃が痛い?
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「此処に居たのか、案外速くに見つかって良かった」
アリアがいなくなった後、僕達に声を掛けて来たのは、両親を連れたコンラッドのお兄さんだった。何時もはパーティー会場で見かけても、軽い会釈程度で僕達に話し掛けて来る事はなかった。それなのに、今日はどうしたんだろう?と僕が不思議に思っていると、そう思っていたのは僕だけじゃなかったようだ。
「今日は、どうしたんですか?」
コンラッドが不思議そうに訪ねると、お兄さんの後ろで心配そうな顔をしていたお父さんが、コンラッドの様子を伺うように声を掛けていた。
「今回、お前1人だけで先に行かせる形になって、すまなかった。一人で大丈夫だったか?」
「大丈夫だって親父さん!俺が一緒にいるんだから!」
「いや…あの…はい…そのですね…」
コンラッドに問い掛けたのに、バルドが変わりに答えたからなのか、何とも頼りなさそうな顔で暫く迷った後、頷きながら同意を返していた。
「それに、コンラッドは俺が連れ出したんだから、俺が責任持って守るぞ!!」
「そ、そうですね……それは何とも、頼もしい限りです…はい…」
バルドの言葉に、本当にそう思っているのか疑いたくなるような苦笑いを浮かべており、夫人の方も似たような顔をしていた。だけど、バルドの方は気にならないのか、1人、笑い声を上げていた。
「貴方が、私を連れ出さなきゃ良いだけなんですけどね…」
バルドの笑い声に混じりにながら、コンラットがボソリと小さく呟いた声が聞こえた。
「ゴ、ゴホン。えっと、今晩は一段と冷えますね」
コンラットが言った言葉をかき消すように、少しわざとらしい咳払いをすると、初めて会った時と同じような畏まった態度と言葉使いで話し掛けて来たけど、やっぱり何処か頼りない。
「寒いなら、何か飲み物でも頼むか?」
「いえ!そう言う意味で言った訳ではないので!それに、周囲の目がある場所をでそんな事させられません!」
バルドが給仕の人を呼ぼうとしたら、バルドの行動を必死に止めていた。
「俺は気にしないけど?」
「貴方はもう少し、周りの目を気にして下さい…」
バルドが何か言ったり、何かするたびに、少しずつ僕達から距離が離れて行っているような気がする。
「お2人方には何時も息子と親しくして頂き、本当に感謝の念が絶えません。今後も、この御縁を続けて頂けたら幸いです」
「何時も言うけど、俺は好きでコンラットと一緒にいるから、お礼なんか言わなくていいぞ」
「うん」
「いえ、こういった事は、しっかりとして起きませんと…」
「そんなもんか?」
「はい、後日、お礼を兼ねてご挨拶に伺いますと、グラディウス卿にお伝え下さい」
「分かった!何時が良い!?親父に、コンラットの屋敷に行くように言っておくからさ!」
「い、いえ!ご都合の宜しい日を教えて頂ければ、私共が合わせてお伺いしますので!」
仕切りに周囲の視線を気にするような素振りで話しながら、深く一礼していたけれど、バルドが口を開いた途端、慌てたように顔を上げて、必死な様子で断っていた。だけど、そんな事でバルドが引くわけがなかった。
「それだと二度でまだろ?俺が先に日付を伝えて親父がそれに合わせて行った方が速いだろ?」
「ただでさえお忙しい中時間を私共のために取って頂くのに、そんな事はさせられません!」
「確かに親父は忙しいけど、そこまで時間が取れないわけじゃないって!親父さんのためなら、母さんだって時間開けてくれると思うし!」
バルドが話す度に、どんどん顔色を悪くしながら、冷や汗を浮かべていた。
「それに、俺が何かやった時とか、何時も親父達が謝罪に行くから今更だろ?」
「そ…それは…そうなんですけと…」
何とも胃が痛そうな渋い顔で、何とか返事を返していると言った様子だった。それに、その様子を少し離れた場所で見ていたコンラット達も、若干の険しい顔を浮かべていた。
「お願いですから、言動に気を付けて下さい…」
「本当に、そうして下さい…」
「コンラットだけじゃなくて、お兄さんまでそれを言うのか!」
周囲を気にはしても、家が隣同士で頻繁に会っているからなのか、仕切りに恐縮したようなご両親と違って、お兄さんの方は少し砕けた話し方だった。だけど、まるで他人の振りでもするように距離は少し遠い。
「そういえば、挨拶周りはもう終わったんですか?」
「あぁ、もう終わった」
「俺を無視するな!」
まるで、僕達とは関わりがないような態度でお兄さんに話し掛けたコンラットだったけど、バルドの一言で台無しになっていた。
「あぁ…途中でお見かけしたからグラディウス卿にはご挨拶をしたが…そうなるとレグリウス公にご挨拶しないと言うのは…」
「父様なら、あっちにいるよ」
2人の会話を聞いて、コンラットのお父さんは僕がいる事なんか忘れたように、申し訳なそうで、それでいて所在なさげに小さく呟いていたから、僕は父様がいた方を指差しながら声を掛けた。
「い、いえ!さすがに…あの方々の間に割って入るのは…」
僕が話し掛けると、僕に今気付いたように驚きながら振り向いて、気不味そうにある方向へと視線を戻した。僕も一緒になって視線の先を追うと、少し嫌そうな顔をしながら陛下と話している父様の姿が見えた。
「後日、お手紙だけでご挨拶しては失礼に当たりそうですし、かと言ってお屋敷にお邪魔するのも…」
何やらまたブツブツと小さく呟き、お腹を仕切りに擦りながら悩んでいる様子だった。また驚かせるかと思って、その様子を黙って見ていたら、僕の後ろに誰かが立つ気配を感じた。
「これはスクトール伯、久しぶりだな」
「レグリウス公!!は、はい!お久しぶりです!!」
僕と一緒で父様が来ている事気付いてなかったのか、下を向きながら抱えていた頭を上げ、父様に向かってもの凄く畏まった様子で再び頭を下げていた。
「父様?父様は、コンラッドのお父さんと会った事あったっけ?」
まるで知っている人かのように話し掛けていたけど、父様と話している姿なんてパーティーでも見た事がなかったし、コンラットからもそんな話しを聞いた事がなかった。
僕はが不思議に思いながら父様を見上げていたら、パーティで見せるような顔じゃなく、たまに僕達に見せるような笑顔を浮かべた。
「少し前になるが、一緒に仕事をした事があるんだよ」
「仕事?」
「詳しい内容までは言えないけれど、悪い奴を捕まえるために手を貸して貰ったんだよ」
「ふぅ~ん?」
仕事だからなのか、詳しくは教えて貰えなかった。だけど、前に何の仕事をしているのかとコンラットに訪ねたら、下の方のお役所仕事をしていると言っていたのを覚えている。それなのに、何でそんな危ない仕事を依頼したんだろうと内心首を傾げていると、そう思っているのは僕だけじゃなかったようだ。
「貴方、それは本当なの?」
「あ、あぁ…」
こっそりと戻って来た夫人が、耳打ちするように問い掛ければ、何処か視線を逸らしながらも、肯定の返事を返していた。
「コンラット。そんなの話し、父上から聞いていたか?」
「いえ、全く…」
家族でさえも知らなかったのか、お兄さんと2人、コンラット
も驚いた顔を向けていた。
正直、コンラッドのお父さんは夫人と一緒で温和そうな外見だから、あまり強そうには見えない。だけど、父様達も同じように強そうには見えなくても本当は強いらしいから、人は見かけに寄らないのかも知れない。
「それで…何か私に御用でしょうか…?」
僕が認識を改めていると、顔色が少し青白くなっており、覇気もなく、恐る恐るといった様子で父様に声を掛けていた。
「何、息子とだけでなく、私とも顔見知りだと周囲に認識させておいた方が良いかと思ってね」
「と…言いますと…」
「私達2人を相手に事を構えようなんて考える連中は、そうそういないからね。君も、有象無象に振り回されたくはないだろう?」
「はっ、ははっ…お気遣い頂きありがとうございます…」
笑顔で言う父様の言葉に乾いた笑いを溢してながら、先程よりも胃が痛そうな様子で胃の辺りを擦っていた。
アリアがいなくなった後、僕達に声を掛けて来たのは、両親を連れたコンラッドのお兄さんだった。何時もはパーティー会場で見かけても、軽い会釈程度で僕達に話し掛けて来る事はなかった。それなのに、今日はどうしたんだろう?と僕が不思議に思っていると、そう思っていたのは僕だけじゃなかったようだ。
「今日は、どうしたんですか?」
コンラッドが不思議そうに訪ねると、お兄さんの後ろで心配そうな顔をしていたお父さんが、コンラッドの様子を伺うように声を掛けていた。
「今回、お前1人だけで先に行かせる形になって、すまなかった。一人で大丈夫だったか?」
「大丈夫だって親父さん!俺が一緒にいるんだから!」
「いや…あの…はい…そのですね…」
コンラッドに問い掛けたのに、バルドが変わりに答えたからなのか、何とも頼りなさそうな顔で暫く迷った後、頷きながら同意を返していた。
「それに、コンラッドは俺が連れ出したんだから、俺が責任持って守るぞ!!」
「そ、そうですね……それは何とも、頼もしい限りです…はい…」
バルドの言葉に、本当にそう思っているのか疑いたくなるような苦笑いを浮かべており、夫人の方も似たような顔をしていた。だけど、バルドの方は気にならないのか、1人、笑い声を上げていた。
「貴方が、私を連れ出さなきゃ良いだけなんですけどね…」
バルドの笑い声に混じりにながら、コンラットがボソリと小さく呟いた声が聞こえた。
「ゴ、ゴホン。えっと、今晩は一段と冷えますね」
コンラットが言った言葉をかき消すように、少しわざとらしい咳払いをすると、初めて会った時と同じような畏まった態度と言葉使いで話し掛けて来たけど、やっぱり何処か頼りない。
「寒いなら、何か飲み物でも頼むか?」
「いえ!そう言う意味で言った訳ではないので!それに、周囲の目がある場所をでそんな事させられません!」
バルドが給仕の人を呼ぼうとしたら、バルドの行動を必死に止めていた。
「俺は気にしないけど?」
「貴方はもう少し、周りの目を気にして下さい…」
バルドが何か言ったり、何かするたびに、少しずつ僕達から距離が離れて行っているような気がする。
「お2人方には何時も息子と親しくして頂き、本当に感謝の念が絶えません。今後も、この御縁を続けて頂けたら幸いです」
「何時も言うけど、俺は好きでコンラットと一緒にいるから、お礼なんか言わなくていいぞ」
「うん」
「いえ、こういった事は、しっかりとして起きませんと…」
「そんなもんか?」
「はい、後日、お礼を兼ねてご挨拶に伺いますと、グラディウス卿にお伝え下さい」
「分かった!何時が良い!?親父に、コンラットの屋敷に行くように言っておくからさ!」
「い、いえ!ご都合の宜しい日を教えて頂ければ、私共が合わせてお伺いしますので!」
仕切りに周囲の視線を気にするような素振りで話しながら、深く一礼していたけれど、バルドが口を開いた途端、慌てたように顔を上げて、必死な様子で断っていた。だけど、そんな事でバルドが引くわけがなかった。
「それだと二度でまだろ?俺が先に日付を伝えて親父がそれに合わせて行った方が速いだろ?」
「ただでさえお忙しい中時間を私共のために取って頂くのに、そんな事はさせられません!」
「確かに親父は忙しいけど、そこまで時間が取れないわけじゃないって!親父さんのためなら、母さんだって時間開けてくれると思うし!」
バルドが話す度に、どんどん顔色を悪くしながら、冷や汗を浮かべていた。
「それに、俺が何かやった時とか、何時も親父達が謝罪に行くから今更だろ?」
「そ…それは…そうなんですけと…」
何とも胃が痛そうな渋い顔で、何とか返事を返していると言った様子だった。それに、その様子を少し離れた場所で見ていたコンラット達も、若干の険しい顔を浮かべていた。
「お願いですから、言動に気を付けて下さい…」
「本当に、そうして下さい…」
「コンラットだけじゃなくて、お兄さんまでそれを言うのか!」
周囲を気にはしても、家が隣同士で頻繁に会っているからなのか、仕切りに恐縮したようなご両親と違って、お兄さんの方は少し砕けた話し方だった。だけど、まるで他人の振りでもするように距離は少し遠い。
「そういえば、挨拶周りはもう終わったんですか?」
「あぁ、もう終わった」
「俺を無視するな!」
まるで、僕達とは関わりがないような態度でお兄さんに話し掛けたコンラットだったけど、バルドの一言で台無しになっていた。
「あぁ…途中でお見かけしたからグラディウス卿にはご挨拶をしたが…そうなるとレグリウス公にご挨拶しないと言うのは…」
「父様なら、あっちにいるよ」
2人の会話を聞いて、コンラットのお父さんは僕がいる事なんか忘れたように、申し訳なそうで、それでいて所在なさげに小さく呟いていたから、僕は父様がいた方を指差しながら声を掛けた。
「い、いえ!さすがに…あの方々の間に割って入るのは…」
僕が話し掛けると、僕に今気付いたように驚きながら振り向いて、気不味そうにある方向へと視線を戻した。僕も一緒になって視線の先を追うと、少し嫌そうな顔をしながら陛下と話している父様の姿が見えた。
「後日、お手紙だけでご挨拶しては失礼に当たりそうですし、かと言ってお屋敷にお邪魔するのも…」
何やらまたブツブツと小さく呟き、お腹を仕切りに擦りながら悩んでいる様子だった。また驚かせるかと思って、その様子を黙って見ていたら、僕の後ろに誰かが立つ気配を感じた。
「これはスクトール伯、久しぶりだな」
「レグリウス公!!は、はい!お久しぶりです!!」
僕と一緒で父様が来ている事気付いてなかったのか、下を向きながら抱えていた頭を上げ、父様に向かってもの凄く畏まった様子で再び頭を下げていた。
「父様?父様は、コンラッドのお父さんと会った事あったっけ?」
まるで知っている人かのように話し掛けていたけど、父様と話している姿なんてパーティーでも見た事がなかったし、コンラットからもそんな話しを聞いた事がなかった。
僕はが不思議に思いながら父様を見上げていたら、パーティで見せるような顔じゃなく、たまに僕達に見せるような笑顔を浮かべた。
「少し前になるが、一緒に仕事をした事があるんだよ」
「仕事?」
「詳しい内容までは言えないけれど、悪い奴を捕まえるために手を貸して貰ったんだよ」
「ふぅ~ん?」
仕事だからなのか、詳しくは教えて貰えなかった。だけど、前に何の仕事をしているのかとコンラットに訪ねたら、下の方のお役所仕事をしていると言っていたのを覚えている。それなのに、何でそんな危ない仕事を依頼したんだろうと内心首を傾げていると、そう思っているのは僕だけじゃなかったようだ。
「貴方、それは本当なの?」
「あ、あぁ…」
こっそりと戻って来た夫人が、耳打ちするように問い掛ければ、何処か視線を逸らしながらも、肯定の返事を返していた。
「コンラット。そんなの話し、父上から聞いていたか?」
「いえ、全く…」
家族でさえも知らなかったのか、お兄さんと2人、コンラット
も驚いた顔を向けていた。
正直、コンラッドのお父さんは夫人と一緒で温和そうな外見だから、あまり強そうには見えない。だけど、父様達も同じように強そうには見えなくても本当は強いらしいから、人は見かけに寄らないのかも知れない。
「それで…何か私に御用でしょうか…?」
僕が認識を改めていると、顔色が少し青白くなっており、覇気もなく、恐る恐るといった様子で父様に声を掛けていた。
「何、息子とだけでなく、私とも顔見知りだと周囲に認識させておいた方が良いかと思ってね」
「と…言いますと…」
「私達2人を相手に事を構えようなんて考える連中は、そうそういないからね。君も、有象無象に振り回されたくはないだろう?」
「はっ、ははっ…お気遣い頂きありがとうございます…」
笑顔で言う父様の言葉に乾いた笑いを溢してながら、先程よりも胃が痛そうな様子で胃の辺りを擦っていた。
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