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二章
揉め事
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週明けに、ルーン文字を少し教えて貰ったが、文字じゃなくて、模様にしか見えなかった。
兄様には、覚えるのは1文字ずつで良いと言われていたが、寝むる前にも陣を眺めて過ごしていた。
そうしたら、夢見が悪かったのか、何時もより起きるのが遅くなってしまい、何時もよりも学院に付くのも、遅れてしまった。
少し急ぎなら教室の前まで来ると、中から言い争うような声が聞こえて来た。僕は、恐る恐る教室の扉を開けると、ネアの隣で、バルドが誰かと揉めているようだった。よく見ると、初日にリオ先生に質問していた赤茶色の髪の子だと分かった。
僕は、開けた扉の隙間から教室内を見渡しながら、コンラッドの姿を探す。そうすると、前の教卓の近くに立っているのが見えたので、こっそり教室に入ると、コンラッドの所まで向かった。
「コンラッド、いったいどうしたの?」
僕は、周りに聞こえないように、声を押し殺しながら尋ねる。
「やっと来たんですか…。聞いての通り、ネアが入学試験で不正をしたと、言い掛かりを付けられているんです。初日にも、ネアの言葉使いで揉めていたんですが、貴方と一緒に教室に戻って来た事で、誰もそれを言わなくなったんです。それでも、ネアに対する不満が消えた訳ではないですから…」
僕も、問題が起こりそうな口調だなとは、合った時にも思っていた。
「そもそも、この学院で不正なんて、出来る訳がないんです。それなのに、誰からの投書なのかも分からない物で言い掛かりを付けるなんて!」
バルド達が口論しているのを聞きながら、やけに感情をむき出しにして、コンラッドが怒っていた。
「コンラットは、止めに行かないの?」
揉め事の仲裁をするなら、バルドよりもコンラットの方が良いと思う。
「相手は、貴族主義の考えのようなので、同じ爵位である私の話しなど聞きこうとしませんでした。今も、爵位が上のバルドだがら、辛うじて話しを聞いているだけです。なので、ネアが口を開いていないのは、ある意味正解ですね」
確かに、ネアは面倒くさそうにしてはいても、一言も言葉を発していなかった。
「だから!ネアは、そんな事する奴じゃないって!!」
「なら、私の机に入っていたこの紙は何だ!?そもそも、私は最初から怪しいと思っていたんだ!!平民風情が、貴族を差し置いて、首席なんて取れる訳がない!どうせ、汚い手でも使ったんだろう!これだから、平民は嫌なんだ!」
最初は、彼もバルドに敬語を使っていたが、口論が激しくなって行くに連れて、段々と敬語がなくなって来ていた。喧嘩を止めたいとも思うし、ネアを助けたいとも思うが、互いに興奮していて、今にも殴り合いになりそうな場所に行く勇気は、僕にはない。
打つ手が思いつかない僕達は、並んで物事の行方を見守っていた。そうしたら、バルドもこちらに気付いたようだった。
「あっ!リュカ!!良い所に!」
え!!何!?
僕は、急に声を掛けられたため、驚き過ぎて声が出なかった。
「リュカからも言ってくれ!友達のネアが、そんな事をする訳がないって!」
「友達の頼みだから、公爵家の力を使ったんですか?家の名前を勝手に使って不正をした事を、レグリウス家の当主もご存知何でしょうかね?」
彼は、僕が家の名前を使って、不正をしたと決めつけているような口振りだ。でも、僕が来た事で、少し冷静さを取り戻したようだった。
「もちろん!リュカの父親だって、ネアの事は知っているに決まっているだろう!」
「「え!?」」
バルドの言葉に、僕も彼と一緒に驚きの声が出た。
「そ、それは、本当何ですか…?」
「ああ!一昨日、リュカの屋敷に行った時、リュカの友達なら力になるって、ネアに言ってたぞ!つまり、レグリウス家公認だって事だ!!」
「違うよ!!」
父様が言っていたのは、そういう事じゃないよ!!それに、そんな言い方だと、父様が不正をしたようじゃないか!!
「ぐっ!ど、どうやって、平民が公爵家に取り入ったかは知らないが、何時までも大きい顔が出来ると思うなよ」
彼は、バルドの言葉にたじろいだ後、ネアに捨て台詞のような言葉を吐き捨てると、僕が訂正する間もなく、教室の外へと行ってしまった。
「ふぅー。何とかなったな、リュカが良い所で来てくれて助かった」
「助かったじゃないよ!!父様が不正したみたいに言わないでよ!!」
「そうですよ!!アルノルド様が、不正をする訳がないでしょう!!」
言葉を失って立ちすくんでいたコンラッドと一緒に、バルドに詰め寄りながら僕は抗議した。
「えっ!!?俺!そんな事言ってないぞ!!」
「言ってなくても、肯定していたような物だよ!」
バルドに任せきりにして見ていた僕達も悪かったけど!だけど!!
「リュカ。悪いな」
「そう思ってるなら、言葉使いに気を付けて…」
揉め事が合ったのに、ネアから何事もなかったような態度で言われると、僕は驚きを通り過ぎて呆れる。
「本当にそうですよ。そもそも、こんな紙切れがなければ、何も起こらなかったんです…」
さっきの彼が、さり際に落として行った紙を、何処か憎々しげに見つめながら、コンラットが呟いた。
ネアはその紙を拾うと、僕へと手渡して来た。
「これは、リュカが持って行け。報告する時に、物証があった方がいいだろう」
確かに、今の出来事を、父様に黙っている訳には行かないか…。僕が少し、屋敷に帰るのが憂鬱に思っていると、コンラッドがそっと僕に近付いて来た。
「それで、週末、私達が帰った後はどうでしたか?」
揉め事が起こっても、一昨日の約束は、忘れていなかったようで、父様に報告する前に、コンラッドに報告する事になった。
兄様には、覚えるのは1文字ずつで良いと言われていたが、寝むる前にも陣を眺めて過ごしていた。
そうしたら、夢見が悪かったのか、何時もより起きるのが遅くなってしまい、何時もよりも学院に付くのも、遅れてしまった。
少し急ぎなら教室の前まで来ると、中から言い争うような声が聞こえて来た。僕は、恐る恐る教室の扉を開けると、ネアの隣で、バルドが誰かと揉めているようだった。よく見ると、初日にリオ先生に質問していた赤茶色の髪の子だと分かった。
僕は、開けた扉の隙間から教室内を見渡しながら、コンラッドの姿を探す。そうすると、前の教卓の近くに立っているのが見えたので、こっそり教室に入ると、コンラッドの所まで向かった。
「コンラッド、いったいどうしたの?」
僕は、周りに聞こえないように、声を押し殺しながら尋ねる。
「やっと来たんですか…。聞いての通り、ネアが入学試験で不正をしたと、言い掛かりを付けられているんです。初日にも、ネアの言葉使いで揉めていたんですが、貴方と一緒に教室に戻って来た事で、誰もそれを言わなくなったんです。それでも、ネアに対する不満が消えた訳ではないですから…」
僕も、問題が起こりそうな口調だなとは、合った時にも思っていた。
「そもそも、この学院で不正なんて、出来る訳がないんです。それなのに、誰からの投書なのかも分からない物で言い掛かりを付けるなんて!」
バルド達が口論しているのを聞きながら、やけに感情をむき出しにして、コンラッドが怒っていた。
「コンラットは、止めに行かないの?」
揉め事の仲裁をするなら、バルドよりもコンラットの方が良いと思う。
「相手は、貴族主義の考えのようなので、同じ爵位である私の話しなど聞きこうとしませんでした。今も、爵位が上のバルドだがら、辛うじて話しを聞いているだけです。なので、ネアが口を開いていないのは、ある意味正解ですね」
確かに、ネアは面倒くさそうにしてはいても、一言も言葉を発していなかった。
「だから!ネアは、そんな事する奴じゃないって!!」
「なら、私の机に入っていたこの紙は何だ!?そもそも、私は最初から怪しいと思っていたんだ!!平民風情が、貴族を差し置いて、首席なんて取れる訳がない!どうせ、汚い手でも使ったんだろう!これだから、平民は嫌なんだ!」
最初は、彼もバルドに敬語を使っていたが、口論が激しくなって行くに連れて、段々と敬語がなくなって来ていた。喧嘩を止めたいとも思うし、ネアを助けたいとも思うが、互いに興奮していて、今にも殴り合いになりそうな場所に行く勇気は、僕にはない。
打つ手が思いつかない僕達は、並んで物事の行方を見守っていた。そうしたら、バルドもこちらに気付いたようだった。
「あっ!リュカ!!良い所に!」
え!!何!?
僕は、急に声を掛けられたため、驚き過ぎて声が出なかった。
「リュカからも言ってくれ!友達のネアが、そんな事をする訳がないって!」
「友達の頼みだから、公爵家の力を使ったんですか?家の名前を勝手に使って不正をした事を、レグリウス家の当主もご存知何でしょうかね?」
彼は、僕が家の名前を使って、不正をしたと決めつけているような口振りだ。でも、僕が来た事で、少し冷静さを取り戻したようだった。
「もちろん!リュカの父親だって、ネアの事は知っているに決まっているだろう!」
「「え!?」」
バルドの言葉に、僕も彼と一緒に驚きの声が出た。
「そ、それは、本当何ですか…?」
「ああ!一昨日、リュカの屋敷に行った時、リュカの友達なら力になるって、ネアに言ってたぞ!つまり、レグリウス家公認だって事だ!!」
「違うよ!!」
父様が言っていたのは、そういう事じゃないよ!!それに、そんな言い方だと、父様が不正をしたようじゃないか!!
「ぐっ!ど、どうやって、平民が公爵家に取り入ったかは知らないが、何時までも大きい顔が出来ると思うなよ」
彼は、バルドの言葉にたじろいだ後、ネアに捨て台詞のような言葉を吐き捨てると、僕が訂正する間もなく、教室の外へと行ってしまった。
「ふぅー。何とかなったな、リュカが良い所で来てくれて助かった」
「助かったじゃないよ!!父様が不正したみたいに言わないでよ!!」
「そうですよ!!アルノルド様が、不正をする訳がないでしょう!!」
言葉を失って立ちすくんでいたコンラッドと一緒に、バルドに詰め寄りながら僕は抗議した。
「えっ!!?俺!そんな事言ってないぞ!!」
「言ってなくても、肯定していたような物だよ!」
バルドに任せきりにして見ていた僕達も悪かったけど!だけど!!
「リュカ。悪いな」
「そう思ってるなら、言葉使いに気を付けて…」
揉め事が合ったのに、ネアから何事もなかったような態度で言われると、僕は驚きを通り過ぎて呆れる。
「本当にそうですよ。そもそも、こんな紙切れがなければ、何も起こらなかったんです…」
さっきの彼が、さり際に落として行った紙を、何処か憎々しげに見つめながら、コンラットが呟いた。
ネアはその紙を拾うと、僕へと手渡して来た。
「これは、リュカが持って行け。報告する時に、物証があった方がいいだろう」
確かに、今の出来事を、父様に黙っている訳には行かないか…。僕が少し、屋敷に帰るのが憂鬱に思っていると、コンラッドがそっと僕に近付いて来た。
「それで、週末、私達が帰った後はどうでしたか?」
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