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二章
週の初めは憂鬱…
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バルドは、その日の午前中にあった剣術の授業のおかげで、気を持ち直したようだったが、僕は逆に気力が無くなった…。
体を動かす事嫌いじゃないけど、体力強化の走り込みもや素振りは、楽しくないから嫌いだ。そもそも、着替えを持って来ていたとしても、朝から汗なんてかきたくない。
剣術など、服が汚れたりする授業の時は、更衣室で稽古着に着替えてから行っている。入学時に、制服と稽古着を2枚ずつ無料で支給されるらしいが、僕のクラスは自身に合わせたオーダーメイドのを使っていた。
「疲れた…。帰りたい…」
「リュカ。そう言う事は、思っていても言わないで下さい…」
更衣室で制服に着換えながら愚痴っていたら、コンラットに覇気のない声で言われた。
「素振りとかしてると、気晴らしになるぞ!」
「絶対に嫌…」
僕は、バルドの提案を即座に切り捨てた。拒否されて不思議そうにしているけれど、周りのクラスメイトを見ても、元気そうにしているのなんて数人だ。
「体力は、いざという時のためにもあった方が良い」
数人の中に入っている1人が、僕に正論を言ってきた。
「それは、分かってるんだけど…。なんでネアは、普通にしてられるの?」
主席で入学するほど頭も良いなのに、体力もあるなんてズルくない?
「これくらい普通だろう?」
周りで、グッタリしているクラスメイトにでも聞かれたら、間違いなく敵に回すよ?まあ、疲れてて聞こえてないだろうけど…。
「2人は、体力がなさ過ぎるんだよな」
「僕達の方が普通だから…」
「私は、少しでも座って休みたいので、先に戻ります」
コンラットは、手早く着替え終わると、更衣室を出て行った。僕は、コンラットの後を追うために、急いで着替えると、汗などで汚れた服をまとめて袋に入れて、更衣室の外にいる学院の用務員の人に渡す。
学院では、有料で色々なサービスを利用する事が出来る。寮で暮らしている人は、一日分をまとめて出したりもするが、そうでない者はその都度、依頼して利用している。汚れ物を持ち歩かなくていいし、自宅まで洗濯して届けてくれたりもするから便利で、クラスのみんなも利用していた。
「コンラット!一緒に行こう!」
急いで追い掛けたおかげで、すぐに追い付く事が出来た。
「この後は昼休みですし、追いかけて来る必要もないと思いますが?」
「いや…。次の授業で、やる部分を教えて欲しくて…」
「ああ、午後の最初は歴史でしたね」
「そうなんだよ…。だから、お願い!」
歴史の授業があるため、昼の間に少しでも予習しておかないと、授業を乗り越えられなさそう。
「私の予習にもなるので、良いですよ」
「ありがとう!!」
軽く昼食を食べた後、少しだけ勉強を見てもらって授業に挑んだけれど…。
「ここは、先週の授業で破ったと思うが?復習とかはしていないのか?」
復習はしてなくても、予習はしたんだけどな…。ネアに、答えを教えて貰おうと横目で隣を伺えば
「隣に教えて貰うような事をしないように」
すかさず先生に、釘を刺されてしまった…。
「はぁ…。座っていい…」
ため息を付きながら言うのは、止めて欲しい…。僕の後に、当てられた子も答えられていなかったのに
「座っていい」
僕には、小言とため息がワンセットなのに、他の子は答えられなくても許されるっておかしくない?兄様は、公平で真面目って言っていたけど、僕にだけやっぱり厳しいと思うんだよね…。
僕は、そう思いながら、授業を続ける先生の様子を教科書越しに伺った。
水色の目に、白に近いグレーの髪はくせ毛もなく、風にサラサラと揺れていた。それだけなら儚げな印象を持つが、つり上がった眉と細い目がその印象をすべて台無しにしていた。
もう少し優しい態度と表情なら、生徒からも人気が出ると思うのに…まったく、リオ先生の優しさを見習って欲しいものだ…。そんな事を思いながら見ていたら、先生と目があった。
「随分と余裕そうだな?なら、建国時に行った改革も言えるな?」
余計な事を考えたせいで、その後の授業で当てられる回数と小言が増えた。僕は、余計な事を考えると酷い目に合うという事を学んだ…。
その日の夕食の席では、父様の様子も元に戻っていて、僕も気にする気力もなくなっていた事もあり、もう気にしない事にした…。
体を動かす事嫌いじゃないけど、体力強化の走り込みもや素振りは、楽しくないから嫌いだ。そもそも、着替えを持って来ていたとしても、朝から汗なんてかきたくない。
剣術など、服が汚れたりする授業の時は、更衣室で稽古着に着替えてから行っている。入学時に、制服と稽古着を2枚ずつ無料で支給されるらしいが、僕のクラスは自身に合わせたオーダーメイドのを使っていた。
「疲れた…。帰りたい…」
「リュカ。そう言う事は、思っていても言わないで下さい…」
更衣室で制服に着換えながら愚痴っていたら、コンラットに覇気のない声で言われた。
「素振りとかしてると、気晴らしになるぞ!」
「絶対に嫌…」
僕は、バルドの提案を即座に切り捨てた。拒否されて不思議そうにしているけれど、周りのクラスメイトを見ても、元気そうにしているのなんて数人だ。
「体力は、いざという時のためにもあった方が良い」
数人の中に入っている1人が、僕に正論を言ってきた。
「それは、分かってるんだけど…。なんでネアは、普通にしてられるの?」
主席で入学するほど頭も良いなのに、体力もあるなんてズルくない?
「これくらい普通だろう?」
周りで、グッタリしているクラスメイトにでも聞かれたら、間違いなく敵に回すよ?まあ、疲れてて聞こえてないだろうけど…。
「2人は、体力がなさ過ぎるんだよな」
「僕達の方が普通だから…」
「私は、少しでも座って休みたいので、先に戻ります」
コンラットは、手早く着替え終わると、更衣室を出て行った。僕は、コンラットの後を追うために、急いで着替えると、汗などで汚れた服をまとめて袋に入れて、更衣室の外にいる学院の用務員の人に渡す。
学院では、有料で色々なサービスを利用する事が出来る。寮で暮らしている人は、一日分をまとめて出したりもするが、そうでない者はその都度、依頼して利用している。汚れ物を持ち歩かなくていいし、自宅まで洗濯して届けてくれたりもするから便利で、クラスのみんなも利用していた。
「コンラット!一緒に行こう!」
急いで追い掛けたおかげで、すぐに追い付く事が出来た。
「この後は昼休みですし、追いかけて来る必要もないと思いますが?」
「いや…。次の授業で、やる部分を教えて欲しくて…」
「ああ、午後の最初は歴史でしたね」
「そうなんだよ…。だから、お願い!」
歴史の授業があるため、昼の間に少しでも予習しておかないと、授業を乗り越えられなさそう。
「私の予習にもなるので、良いですよ」
「ありがとう!!」
軽く昼食を食べた後、少しだけ勉強を見てもらって授業に挑んだけれど…。
「ここは、先週の授業で破ったと思うが?復習とかはしていないのか?」
復習はしてなくても、予習はしたんだけどな…。ネアに、答えを教えて貰おうと横目で隣を伺えば
「隣に教えて貰うような事をしないように」
すかさず先生に、釘を刺されてしまった…。
「はぁ…。座っていい…」
ため息を付きながら言うのは、止めて欲しい…。僕の後に、当てられた子も答えられていなかったのに
「座っていい」
僕には、小言とため息がワンセットなのに、他の子は答えられなくても許されるっておかしくない?兄様は、公平で真面目って言っていたけど、僕にだけやっぱり厳しいと思うんだよね…。
僕は、そう思いながら、授業を続ける先生の様子を教科書越しに伺った。
水色の目に、白に近いグレーの髪はくせ毛もなく、風にサラサラと揺れていた。それだけなら儚げな印象を持つが、つり上がった眉と細い目がその印象をすべて台無しにしていた。
もう少し優しい態度と表情なら、生徒からも人気が出ると思うのに…まったく、リオ先生の優しさを見習って欲しいものだ…。そんな事を思いながら見ていたら、先生と目があった。
「随分と余裕そうだな?なら、建国時に行った改革も言えるな?」
余計な事を考えたせいで、その後の授業で当てられる回数と小言が増えた。僕は、余計な事を考えると酷い目に合うという事を学んだ…。
その日の夕食の席では、父様の様子も元に戻っていて、僕も気にする気力もなくなっていた事もあり、もう気にしない事にした…。
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