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一章
宿を抜けて(オルフェ視点)
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新年祭も無事に終わった次の日、私達は家族で旅行へと出掛けた。
馬車で目的地であるラクスを目指す間に、母からリュカとの事に付いて聞かれた。
「リュカとは最近どうなの?」
「…避けられなくは…なりました」
「昔は、泣かれてばかりいたけれど、オルフェが頑張ったから、もう泣かれなくもなったものね」
「……そうですね」
泣かれない変わりに、避けられるようになりましたけど…。
「オルフェは、難しい事もそつなくこなせるのに、人に対しては、本当に不器用よね。この旅行を期に、もう少しリュカに対して素直になってみたら?」
「素直に…」
それが出来出来るのならば、何も苦労はしていないのですよ…。
ラクスには、予定通りの時間に到着した。自分の部屋に荷物を運び終わり、一息付くと私は、家族が待つ下へと向った。
夕食を食べている間も、リュカは楽しそうにしていた。途中、飲み物を持って来た奴がいたが、私の前にもジュースを置いていった。
別にジュースでもかまわなかったのだが、リュカの前で飲むのは何か躊躇われたので、父上が代わりを頼んだ時に、私の分の飲み物も一緒に交換して貰った。
リュカは、ここまでの移動で疲れていたのか、夕食の途中から眠そうにしていた。だが、母上も一緒になって眠そうにしているのは珍しい。前の日が、新年祭だったから疲れていたんだろうか?
部屋に戻ってしばらくすると、誰かが部屋から出てくる気配がした。窓の外を見ていれば、父上が湖の方へと向かう姿が見えた。
私も、宿から抜け出す機会を伺っていたので、父上が出掛けているうちに、私の用事も済ませてしまう事にした。私は、部屋を出ると町の外の方へと向かった。
レグリウス家に手を出す者は誰もいないだろうが、二人だけを宿に残しているのは、少し不安もあったため、急いで宿に戻って来るつもりだ。
「…ここならいいだろう」
町から少し離れた人気のない森に入ると、私はアイツらを呼ぶために魔力を練った。
「来い、アクア、イグニス」
2つの魔法陣が光を放ち森を照らす、その光が大きくなり消えた後に、青い龍と赤い龍の2体の龍が姿を現した。どちらも色以外は似ていて、5メートルくらいの大きさがあった。森という視界が遮られた空間で見ると、さらに2体の存在感が増していた。
2体の龍は、鋭い爪を持ち頭にはそれぞれ2本角があった。そして、背中には巨体に見合うだけの大きな翼が生えていた。尻尾まで覆われた鱗も、1枚1枚が月の光を反射するように煌めいていて、全体的に神秘的な雰囲気を醸し出していた。
久しぶりにあったが、やはり無駄にでかいな…。他人から見れば、見ごたえはあるのだろうが、見慣れている私には、特に感じる所もない。それに、コイツラの中身を知っていればなおさらだ…。
早々に要件を済ませようと2体に向き合えば、イグニスが私の方に突撃して来るのが見えた。私が、避けてかわすと、イグニスはそのまま頭から地面に激突していた。
「突っ込んで来るな、体格差を考えろ」
自分の召喚獣ではあるものの、考えずに行動する所が、レオンに似ていてため息を付きたくなる。
イグニスは、赤い鱗を持ち炎を得意とする炎龍だが、感情や思い付きで行動する事が多く、真っ先になにかしらの問題を起こすのがコイツだ。
アクアは、青い鱗を持った水を得意とする水龍で、イグニスよりも冷静ではあるが、結局は一緒になって騒いでいるので頭が痛い…。
屋敷にいた頃は、あちこちで遊び回っては、何か物を壊していた。だから、リュカが動き回るようになってからは、リュカが怪我をしたら大変だと思い、なるべく私の部屋から出ないように2体には言っておいた。
学院から帰って来てた後、2体の様子を見るために部屋に行くと、飾り棚に置いていた小物が全て全滅していた…。私は、あまりの怒りに魔力が暴走し、気が付いた時には部屋が半壊していた…。もちろん、原因である2体も吹っ飛んでいたが、その後何気ない顔をして戻って来たので、もう1度吹っ飛ばしておいた。
そんな事があったので、部屋から2体を裏庭へと追い出した。すると今度は、裏庭をめちゃめちゃにしながら、裏庭にいる小動物を追い掛けて遊んでいたので、山で魔物でも狩るようにと王都の外に追い出した。その後も順調に、大きさを増していく2体の様子を、王都の外まで定期的に見に行っていたが、先月は色々あって行けていなかった。
「はぁ…お前達には今後、リュカの護衛などを頼む事が出てくると思う…。だが、絶対に!絶対に問題を起こすなよ!」
龍だからなのか、何でも力技でその場を何とかしようとする癖があり、そのせいで小さな事も大事にする事が多々あった。私がいる時ならばそれでも良いが、リュカしか側にいない時に問題を起こされては困る。私は、その後も2体に問題を起こさないように釘を差していたら、宿に戻るのが少し遅くなってしまった。
宿へと戻ろうと道を急いでいた時に、町の中に何か不穏な空気を感じた。私は、あたりを警戒しながら宿へと足を速める。私が、宿へと付く頃そいつらは現れた。
馬車で目的地であるラクスを目指す間に、母からリュカとの事に付いて聞かれた。
「リュカとは最近どうなの?」
「…避けられなくは…なりました」
「昔は、泣かれてばかりいたけれど、オルフェが頑張ったから、もう泣かれなくもなったものね」
「……そうですね」
泣かれない変わりに、避けられるようになりましたけど…。
「オルフェは、難しい事もそつなくこなせるのに、人に対しては、本当に不器用よね。この旅行を期に、もう少しリュカに対して素直になってみたら?」
「素直に…」
それが出来出来るのならば、何も苦労はしていないのですよ…。
ラクスには、予定通りの時間に到着した。自分の部屋に荷物を運び終わり、一息付くと私は、家族が待つ下へと向った。
夕食を食べている間も、リュカは楽しそうにしていた。途中、飲み物を持って来た奴がいたが、私の前にもジュースを置いていった。
別にジュースでもかまわなかったのだが、リュカの前で飲むのは何か躊躇われたので、父上が代わりを頼んだ時に、私の分の飲み物も一緒に交換して貰った。
リュカは、ここまでの移動で疲れていたのか、夕食の途中から眠そうにしていた。だが、母上も一緒になって眠そうにしているのは珍しい。前の日が、新年祭だったから疲れていたんだろうか?
部屋に戻ってしばらくすると、誰かが部屋から出てくる気配がした。窓の外を見ていれば、父上が湖の方へと向かう姿が見えた。
私も、宿から抜け出す機会を伺っていたので、父上が出掛けているうちに、私の用事も済ませてしまう事にした。私は、部屋を出ると町の外の方へと向かった。
レグリウス家に手を出す者は誰もいないだろうが、二人だけを宿に残しているのは、少し不安もあったため、急いで宿に戻って来るつもりだ。
「…ここならいいだろう」
町から少し離れた人気のない森に入ると、私はアイツらを呼ぶために魔力を練った。
「来い、アクア、イグニス」
2つの魔法陣が光を放ち森を照らす、その光が大きくなり消えた後に、青い龍と赤い龍の2体の龍が姿を現した。どちらも色以外は似ていて、5メートルくらいの大きさがあった。森という視界が遮られた空間で見ると、さらに2体の存在感が増していた。
2体の龍は、鋭い爪を持ち頭にはそれぞれ2本角があった。そして、背中には巨体に見合うだけの大きな翼が生えていた。尻尾まで覆われた鱗も、1枚1枚が月の光を反射するように煌めいていて、全体的に神秘的な雰囲気を醸し出していた。
久しぶりにあったが、やはり無駄にでかいな…。他人から見れば、見ごたえはあるのだろうが、見慣れている私には、特に感じる所もない。それに、コイツラの中身を知っていればなおさらだ…。
早々に要件を済ませようと2体に向き合えば、イグニスが私の方に突撃して来るのが見えた。私が、避けてかわすと、イグニスはそのまま頭から地面に激突していた。
「突っ込んで来るな、体格差を考えろ」
自分の召喚獣ではあるものの、考えずに行動する所が、レオンに似ていてため息を付きたくなる。
イグニスは、赤い鱗を持ち炎を得意とする炎龍だが、感情や思い付きで行動する事が多く、真っ先になにかしらの問題を起こすのがコイツだ。
アクアは、青い鱗を持った水を得意とする水龍で、イグニスよりも冷静ではあるが、結局は一緒になって騒いでいるので頭が痛い…。
屋敷にいた頃は、あちこちで遊び回っては、何か物を壊していた。だから、リュカが動き回るようになってからは、リュカが怪我をしたら大変だと思い、なるべく私の部屋から出ないように2体には言っておいた。
学院から帰って来てた後、2体の様子を見るために部屋に行くと、飾り棚に置いていた小物が全て全滅していた…。私は、あまりの怒りに魔力が暴走し、気が付いた時には部屋が半壊していた…。もちろん、原因である2体も吹っ飛んでいたが、その後何気ない顔をして戻って来たので、もう1度吹っ飛ばしておいた。
そんな事があったので、部屋から2体を裏庭へと追い出した。すると今度は、裏庭をめちゃめちゃにしながら、裏庭にいる小動物を追い掛けて遊んでいたので、山で魔物でも狩るようにと王都の外に追い出した。その後も順調に、大きさを増していく2体の様子を、王都の外まで定期的に見に行っていたが、先月は色々あって行けていなかった。
「はぁ…お前達には今後、リュカの護衛などを頼む事が出てくると思う…。だが、絶対に!絶対に問題を起こすなよ!」
龍だからなのか、何でも力技でその場を何とかしようとする癖があり、そのせいで小さな事も大事にする事が多々あった。私がいる時ならばそれでも良いが、リュカしか側にいない時に問題を起こされては困る。私は、その後も2体に問題を起こさないように釘を差していたら、宿に戻るのが少し遅くなってしまった。
宿へと戻ろうと道を急いでいた時に、町の中に何か不穏な空気を感じた。私は、あたりを警戒しながら宿へと足を速める。私が、宿へと付く頃そいつらは現れた。
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