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一章
授業開始!
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「リュカ様…大丈夫ですか……?」
僕の授業をするために、何時もと同じ時間にフェリコ先生が、僕の部屋へとやって来ていた。
僕は、つまみ食いがばれてドミニクに叱られたうえ、お菓子禁止令まで出たせいで落ち込んでいた……。
「うん…。しばらく…お菓子がなくなった…だけだから……」
「そ、そうですか…。今日は、算術とマナーとなってますが…本当に大丈夫ですか?今日は、お休みにしますか?倒れられたとも聞いたので……」
昨日、僕が倒れた事を両親に聞いていたのか、不安そうに僕に聞いて来た。だけど、お菓子を禁止されたくらいで、授業を休むわけにはない!
「だ、大丈夫です!」
「もし、途中で具合が悪くなったら、ちゃんと言ってくださいね?」
「分かりました!」
「……隠そうとしてもわかりますからね」
「!!?」
もし、途中で体調を崩したとしても、隠して授業を受けようと思っていた。なのに、何故かすぐにばれてしまった!。お菓子の事もそうだけど、何ですぐにばれるのか?。
「リュカ様は、何を考えているのか、すぐ顔に出るので分かります。それに、リュカ様の教育係として側にいるので、顔に出さないようにしても態度で分かります」
フェリコ先生は、何処か困った子供を見るような顔で、僕の事を見ていた。
「もし、体調を崩した事を隠そうとしたら、それも含めてアルノルド様に報告させていただきますよ?」
「……はい…分かりました」
フェリコ先生は、僕の返事に満足したのか、机の上に荷物を広げ始めた。内心、納得はしていなかったが、両親にこの事が知られたら、ただでさえも、少なかった授業を更に減らされそうなので、僕には頷く事しか出来なかった…。
午前中の算術の授業は、問題なく終える事が出来た。
前までの僕は、一桁の足し算も間違える事があったけど、前世の記憶のおかげか、難なく問題を解くことが出来た。途中、フェリコ先生から、こちらを伺うような視線を感じたが、それには、気づかない振りをしておいた。
しかし、足し算だけでは簡単過ぎて物足りない。フェリコ先生に引き算はやらないのか聞いても、初日から無理はしないようにと言われただけだった……。なので、今日の午前中は、ひたすら足し算の練習をするだけだった……。
お昼の休憩を兼ねて、母様と朝食を食べた時に、食後のデザートを譲ってくれようとしたけど、つまみ食いをしたのは自分なので我慢して断った。すごく…食べたかったけど……。
午後からは、食事マナーの授業をやった。最初は、違う授業の予定だったけど、フェリコ先生に頼んで内容を変えて貰った。マナーは、前の世界とだいたい同じだったし、普段からやっているので問題はなかった。問題は…。
カチャン
「リュカ様。怪我だけはしないよう、気を付けて下さい」
「……はい」
大人用の食器は、子供の手には、大きくて重いために上手く持つ事が出来なかった。音を出さないように注意すれば、今度は上手く食べれずに、口から溢れてしまう……。
普段の食事では、特注で作ってもらった小さめの食器を使っていた。だから、僕だけ皆と違う食器を使って毎日食事をしていた。だけど、僕にはそれがずっと不満だった。
それに、今後、学院に入学すれば、他の人と食事する事も増えていくだろう。そうなれば、周りの大人達とだって食事する事もある。だから、フェリコ先生に大人用の食器を使ってみたいと頼んでみたけど、結果は散々だった。フェリコ先生は今も隣で、怪我をしないか不安そうに僕の事を見ていた。
「はぁ…」
僕の口からは、自然とため息が溢れた。
せめて、家族には恥をかかせないように、マナーだけは身につけたかったんだけどな……。ただでさえ、落ちこぼれているのに、こんな簡単な事すら出来ないなんて、自分自身の駄目さに嫌気がさしてくる。
「リュカ様。マナーは普段からしっかり出来ているので大丈夫です。だから、落ち込まないで下さい……」
フェリコ先生が慰めの言葉をかけてくれる。でも、今の僕には何処か白々しい言葉にしか聞こえなかった。そんな気持ちが伝わったのか、フェリコ先生は少し困ったような顔をしていた。
「えっと……病み上がりなので、今日の授業はここまでにしましょう…」
「……はい」
初日の授業は、予定よりも速くお開きになった…。
僕の授業をするために、何時もと同じ時間にフェリコ先生が、僕の部屋へとやって来ていた。
僕は、つまみ食いがばれてドミニクに叱られたうえ、お菓子禁止令まで出たせいで落ち込んでいた……。
「うん…。しばらく…お菓子がなくなった…だけだから……」
「そ、そうですか…。今日は、算術とマナーとなってますが…本当に大丈夫ですか?今日は、お休みにしますか?倒れられたとも聞いたので……」
昨日、僕が倒れた事を両親に聞いていたのか、不安そうに僕に聞いて来た。だけど、お菓子を禁止されたくらいで、授業を休むわけにはない!
「だ、大丈夫です!」
「もし、途中で具合が悪くなったら、ちゃんと言ってくださいね?」
「分かりました!」
「……隠そうとしてもわかりますからね」
「!!?」
もし、途中で体調を崩したとしても、隠して授業を受けようと思っていた。なのに、何故かすぐにばれてしまった!。お菓子の事もそうだけど、何ですぐにばれるのか?。
「リュカ様は、何を考えているのか、すぐ顔に出るので分かります。それに、リュカ様の教育係として側にいるので、顔に出さないようにしても態度で分かります」
フェリコ先生は、何処か困った子供を見るような顔で、僕の事を見ていた。
「もし、体調を崩した事を隠そうとしたら、それも含めてアルノルド様に報告させていただきますよ?」
「……はい…分かりました」
フェリコ先生は、僕の返事に満足したのか、机の上に荷物を広げ始めた。内心、納得はしていなかったが、両親にこの事が知られたら、ただでさえも、少なかった授業を更に減らされそうなので、僕には頷く事しか出来なかった…。
午前中の算術の授業は、問題なく終える事が出来た。
前までの僕は、一桁の足し算も間違える事があったけど、前世の記憶のおかげか、難なく問題を解くことが出来た。途中、フェリコ先生から、こちらを伺うような視線を感じたが、それには、気づかない振りをしておいた。
しかし、足し算だけでは簡単過ぎて物足りない。フェリコ先生に引き算はやらないのか聞いても、初日から無理はしないようにと言われただけだった……。なので、今日の午前中は、ひたすら足し算の練習をするだけだった……。
お昼の休憩を兼ねて、母様と朝食を食べた時に、食後のデザートを譲ってくれようとしたけど、つまみ食いをしたのは自分なので我慢して断った。すごく…食べたかったけど……。
午後からは、食事マナーの授業をやった。最初は、違う授業の予定だったけど、フェリコ先生に頼んで内容を変えて貰った。マナーは、前の世界とだいたい同じだったし、普段からやっているので問題はなかった。問題は…。
カチャン
「リュカ様。怪我だけはしないよう、気を付けて下さい」
「……はい」
大人用の食器は、子供の手には、大きくて重いために上手く持つ事が出来なかった。音を出さないように注意すれば、今度は上手く食べれずに、口から溢れてしまう……。
普段の食事では、特注で作ってもらった小さめの食器を使っていた。だから、僕だけ皆と違う食器を使って毎日食事をしていた。だけど、僕にはそれがずっと不満だった。
それに、今後、学院に入学すれば、他の人と食事する事も増えていくだろう。そうなれば、周りの大人達とだって食事する事もある。だから、フェリコ先生に大人用の食器を使ってみたいと頼んでみたけど、結果は散々だった。フェリコ先生は今も隣で、怪我をしないか不安そうに僕の事を見ていた。
「はぁ…」
僕の口からは、自然とため息が溢れた。
せめて、家族には恥をかかせないように、マナーだけは身につけたかったんだけどな……。ただでさえ、落ちこぼれているのに、こんな簡単な事すら出来ないなんて、自分自身の駄目さに嫌気がさしてくる。
「リュカ様。マナーは普段からしっかり出来ているので大丈夫です。だから、落ち込まないで下さい……」
フェリコ先生が慰めの言葉をかけてくれる。でも、今の僕には何処か白々しい言葉にしか聞こえなかった。そんな気持ちが伝わったのか、フェリコ先生は少し困ったような顔をしていた。
「えっと……病み上がりなので、今日の授業はここまでにしましょう…」
「……はい」
初日の授業は、予定よりも速くお開きになった…。
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