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一章
僕と僕の家族
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鏡に映る姿は、自分の記憶の中の姿とは全く違っていた。それにこの姿は、この部屋に飾ってあった絵に描かれていた少年のようだ。
これは…俺じゃない…だって…俺は………あれ…?
俺は?
俺の名前は?
俺のなまえ……
おれのなまえ………
ぼくのなまえは…………?。
!!そうだ!!僕の名前はリュカ・レグリウスだ!!
自分の名前を思い出した途端、さっきまで霞がかった思考が晴れるように、リュカとしてこの身体で過ごしてきた記憶が、怒涛のように頭の中を駆け巡った。
僕はこのレグリウス家の大きな屋敷で、両親と兄、それと大勢の使用人と一緒に暮らしている貴族の1人だ。
僕の父様は、銀髪赤眼でとても端正な顔していて、何時も優しく笑っている。父様が、怒っている所なんて、今まで見た事がない。しかも、もうすぐ40歳になるというのに、20代の前半に見えるほどの若々しさだ。
母様は茶髪に青目で、顔はいたって普通の見た目をしているが、父様と同じように何時も優しくて、怒られた記憶はあんまりない。
父様の方が年上のはずなのに、両親が二人が並んで立っていると、何故か父様の方が年が若く見えた。不思議に思った僕は、母様に、母様の方が年上なの?と聞いてしまった事があった。だけど、その時に見た母様は、とても…怖かった……。
母様からも、女性に年齢を聞いてはいけないと、笑顔でキツく言われ、もう2度と、聞かないと思う……。
そんな両親達の仲はとても良く。父様が家にいる時などは、だいたい母様と一緒に過ごしているため、僕も一緒に過ごしていた。だから、そんな大好きな両親に似ている僕の容姿は、いつだって僕の自慢だった。
だけど、そんな両親は、どちらも過保護すぎるくらい僕に甘かった。
例えば僕が我儘を言ったとしても、両親はたいていの願いは叶えてくれる。たまに、断られたり、叱られたりする事はあるけど、その後はお詫びとして
、プレゼントを買ってくれたりと色々してくれるから、両親の対応はかなり甘いと言って良いと思う。そのため、今までの僕は、両親に甘えたい放題に過ごしてきた。
それに、屋敷に使えてくれている執事やメイドなどの使用人達も、僕によくお菓子をくれたり、一緒に遊んでくれるため、みんなも僕に甘かった。だから、そんなみんなの事が大好きだったけど、そんな中で、一番大好きだったのは、僕のお世話をしてくれているメイドのリタだった。
リタは、僕が2、3歳くらいの頃にこの屋敷にやってきた使用人だった。初めて会った時から、僕が彼女に懐いたため、それからは僕のお世話係としてそばにいてくれている。
リタは、少しうっかりしている所があって、たまに仕事を失敗したりする事もあるけれど、いつも明るくて優しいリタは、僕にとっては、実の姉のような存在だった。
そんな屋敷の中で、唯一、苦手に感じている存在がいた。それが、僕の兄様だ。
兄様と僕は、年が10才離れていた。容姿は、父様と同じ銀髪赤眼の姿をしているけれど、その雰囲気は父様とまったく違っていた。
父様は何時も笑顔でいるのに対して、兄様は全くと言っていいほど笑わなかった。それどころか、何処か不機嫌そうに眉間にシワを寄せては、睨んでくる事もあった。
それに、兄様は僕にも興味が無いようで、毎日、家族一緒に食事をしていても、僕達の会話に混ざってくる事は、ほとんどと言っていいほどなかった。
父様や母様などが、こちらから話かけた時などには、返事を返してくれるものの、それ以外は何も話さず、食事が終わるとすぐに、食堂から出て行ってしまっていた。
そのため、たまに兄様と廊下で会うことがあっても、何を話たらいいのか分からず、どうしても避けてしまう。それに、僕を無言で見つめてくる目も何だか怖くて、なおさら兄様を避けるようになっていった。だから、兄様とは、あまり会話をした事すらなかった。
そんな兄様に、使用人達も苦手意識を感じているのか、兄様は1人でいる姿を見る事の方が多かった。
僕の周りには、父様や母様、世話をしてくれる使用人達が普段から側にいるから、僕が一人になるという事はなかった。だから、幼かった僕は、兄様を怖がりながらも、なぜ、何時も一人でいるのかと不思議に思っていた。だから僕は、メイドの一人に聞いてみた事がある。
「ねぇ?なんでにぃしゃまは、いつもひとりでいるの?」
僕に尋ねられそのたメイドは、何処かためらうようにしながらも答えてくれた。
「オルフェ様は、他人が側にいて何かされるのがお嫌いらしく、何でもお一人でなされてしまう方なのです。私達も仕事ですので、どうすればよいかとドミニク様を通してご当主様にご相談した所。御本人の意思を尊重したいとの事で、今は最低限度の身の回りのお世話だけに留めさせて貰っているのです。私共、オルフェ様からお声がかかった際などにお世話させて頂いてますが、それ以外はなるべく近付かないようにしております」
「にいしゃま、なんでもひとりでしゅるの?にぃしゃまはしゅごいねぇ!」
その頃の僕は単純に、兄様は何でも1人で出来る凄いな人だな、くらいにしか思っていなかった。
これは…俺じゃない…だって…俺は………あれ…?
俺は?
俺の名前は?
俺のなまえ……
おれのなまえ………
ぼくのなまえは…………?。
!!そうだ!!僕の名前はリュカ・レグリウスだ!!
自分の名前を思い出した途端、さっきまで霞がかった思考が晴れるように、リュカとしてこの身体で過ごしてきた記憶が、怒涛のように頭の中を駆け巡った。
僕はこのレグリウス家の大きな屋敷で、両親と兄、それと大勢の使用人と一緒に暮らしている貴族の1人だ。
僕の父様は、銀髪赤眼でとても端正な顔していて、何時も優しく笑っている。父様が、怒っている所なんて、今まで見た事がない。しかも、もうすぐ40歳になるというのに、20代の前半に見えるほどの若々しさだ。
母様は茶髪に青目で、顔はいたって普通の見た目をしているが、父様と同じように何時も優しくて、怒られた記憶はあんまりない。
父様の方が年上のはずなのに、両親が二人が並んで立っていると、何故か父様の方が年が若く見えた。不思議に思った僕は、母様に、母様の方が年上なの?と聞いてしまった事があった。だけど、その時に見た母様は、とても…怖かった……。
母様からも、女性に年齢を聞いてはいけないと、笑顔でキツく言われ、もう2度と、聞かないと思う……。
そんな両親達の仲はとても良く。父様が家にいる時などは、だいたい母様と一緒に過ごしているため、僕も一緒に過ごしていた。だから、そんな大好きな両親に似ている僕の容姿は、いつだって僕の自慢だった。
だけど、そんな両親は、どちらも過保護すぎるくらい僕に甘かった。
例えば僕が我儘を言ったとしても、両親はたいていの願いは叶えてくれる。たまに、断られたり、叱られたりする事はあるけど、その後はお詫びとして
、プレゼントを買ってくれたりと色々してくれるから、両親の対応はかなり甘いと言って良いと思う。そのため、今までの僕は、両親に甘えたい放題に過ごしてきた。
それに、屋敷に使えてくれている執事やメイドなどの使用人達も、僕によくお菓子をくれたり、一緒に遊んでくれるため、みんなも僕に甘かった。だから、そんなみんなの事が大好きだったけど、そんな中で、一番大好きだったのは、僕のお世話をしてくれているメイドのリタだった。
リタは、僕が2、3歳くらいの頃にこの屋敷にやってきた使用人だった。初めて会った時から、僕が彼女に懐いたため、それからは僕のお世話係としてそばにいてくれている。
リタは、少しうっかりしている所があって、たまに仕事を失敗したりする事もあるけれど、いつも明るくて優しいリタは、僕にとっては、実の姉のような存在だった。
そんな屋敷の中で、唯一、苦手に感じている存在がいた。それが、僕の兄様だ。
兄様と僕は、年が10才離れていた。容姿は、父様と同じ銀髪赤眼の姿をしているけれど、その雰囲気は父様とまったく違っていた。
父様は何時も笑顔でいるのに対して、兄様は全くと言っていいほど笑わなかった。それどころか、何処か不機嫌そうに眉間にシワを寄せては、睨んでくる事もあった。
それに、兄様は僕にも興味が無いようで、毎日、家族一緒に食事をしていても、僕達の会話に混ざってくる事は、ほとんどと言っていいほどなかった。
父様や母様などが、こちらから話かけた時などには、返事を返してくれるものの、それ以外は何も話さず、食事が終わるとすぐに、食堂から出て行ってしまっていた。
そのため、たまに兄様と廊下で会うことがあっても、何を話たらいいのか分からず、どうしても避けてしまう。それに、僕を無言で見つめてくる目も何だか怖くて、なおさら兄様を避けるようになっていった。だから、兄様とは、あまり会話をした事すらなかった。
そんな兄様に、使用人達も苦手意識を感じているのか、兄様は1人でいる姿を見る事の方が多かった。
僕の周りには、父様や母様、世話をしてくれる使用人達が普段から側にいるから、僕が一人になるという事はなかった。だから、幼かった僕は、兄様を怖がりながらも、なぜ、何時も一人でいるのかと不思議に思っていた。だから僕は、メイドの一人に聞いてみた事がある。
「ねぇ?なんでにぃしゃまは、いつもひとりでいるの?」
僕に尋ねられそのたメイドは、何処かためらうようにしながらも答えてくれた。
「オルフェ様は、他人が側にいて何かされるのがお嫌いらしく、何でもお一人でなされてしまう方なのです。私達も仕事ですので、どうすればよいかとドミニク様を通してご当主様にご相談した所。御本人の意思を尊重したいとの事で、今は最低限度の身の回りのお世話だけに留めさせて貰っているのです。私共、オルフェ様からお声がかかった際などにお世話させて頂いてますが、それ以外はなるべく近付かないようにしております」
「にいしゃま、なんでもひとりでしゅるの?にぃしゃまはしゅごいねぇ!」
その頃の僕は単純に、兄様は何でも1人で出来る凄いな人だな、くらいにしか思っていなかった。
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