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新婚旅行に行こう4

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 エスポワ領に行く最短の街道を通り、隣国の景色と食べ物を堪能してます。

 シェルエント公爵領の隣は、隣国ですが、特に変わった食べ物はありませんでした。

 でも、市場には変わった野菜を度々見ました。野菜を買っても鮮度が悪くなるので、屋台でその野菜を使った食べ物がないかと探してます。

 どこの市でも、屋台は肉が中心ですね。野菜はないみたいです。あれ、くんくんこの匂いは、レイモンドの手を掴んで早足で歩きます。

「ディア、慌てなくても大丈夫ですよ」
 
 この匂いを探さないと、ありましたよ。
 肉巻おにぎりと焼きおにぎりですね。多分、この焼きおにぎりの匂い、味噌?おにぎりだから、米です。よく見ると長細い米ですね。

「レイ、あの焼きおにぎりを買って下さい。レイには肉巻きおにぎりが美味しいと思います。せっかくなので、護衛の皆さんの分も」

 美味しい、モッチリしたご飯ではないけど、お米が食べれただけでも、嬉しい。

 記憶が味覚まで引っ張られるのか、泣きながら食べてました。

「ディア、どうしました。どこか痛いのですか?」

「美味しすぎて、つい涙が、おかわりしたいので、5個ほど追加で買って下さい」

 泣いて食べる姿に、レイモンドや護衛騎士達がオロオロしてます。
 私もビックリ、焼きおにぎりを食べながら泣くなんて、食べものは偉大ですね。 

 屋台のおじさんに味噌と米を聞きましょう。でも温かいうちに、焼きおにぎりを食べないと。

 なんでこんなにもお腹が空くのかしら、5個全部食べてしまいました。旅の醍醐味、それは食べることですね。

「おじさん、この焼きおにぎりに使われている、味噌と米、どこで買えますか?」

「さっき、沢山買ってくれた、お嬢さんだね。エスポワ領から買って来てるだよ。

 エスポワ領は移民を多く受け入れてきた領地だから、移民が自分達が好む食べ物を作ってね、だから独特な調味料があるんだよ。

 お嬢さん達は外国の人かい?エスポワ領に行けばたしかに手に入るけど、定期的に、買うなら商会を通したほうが楽だと思うよ」

「商会ですか?名前はなんていう商会でしょうか?」
 
 いい事を聞きました。行かなくても、商会を通して買えばいいなんて。

「うーん、たしかタール商会だったかな。俺はエスポワ領の知り合いから買うからな。
 あんたがこのポルク領の人なら一緒に買ってあげてもいいけど、外国の人だろ。
 商会からだと少し高くなるけど、確実に商品が届いた方があんたもいいだろう」

「はい、そうですね。タール商会は、このポルク領にあるんですか?
 調味料とか商会に行けばなんでも、揃ってますか?私は隣国のシェルエント領から来たんですよ」

「多分、エスポワ領の物なら何でも揃ってるよ。もともと、エスポワ領の人がタール商会をたちあげたからね。 
 場所は、この道を、北に進んでいくと、緑の建物があるから」

「ありがとう、おじさん。焼きおにぎり、すっごく美味しかったです」

 市場は、有益の情報がいっぱいですね。

「レイ、タール商会に行きましょう。私が欲しい物がそこで揃うかも」


 ウキウキした気持ちがとまりません。味噌、お米、醬油。教えられた通りに行くと緑の建物がみえてきました。

「ディア落ち着いて下さい。建物は逃げませんから。走らないで」

 なぜそこまで、慌てるのだろう。先程食べた肉巻きおにぎりと焼きおにぎりを見つけてから、ディアの興奮度が変わった。

 たしかに美味しかったが、私的には、それだけだ。焼きおにぎりを5個もおかわりしたときは驚いた。
 食は細くないが、あそこまで食べるのは珍しい。

 今も商会の場所を聞いたら、小走りをしている。市場は足場がわるいから、転ぶんじゃないかと心配してしまう。
 建物がみえたら、走り出してしまった。

「こんにちは、商品を見たいのですが?」

「いらっしゃいませ。どのような商品をお求めですか?」

「はい、米と味噌、色々みたいのですが。私は隣国の者ですが、ものによっては定期的に品物を持ってきてもらえますか?」

「はい、隣国ですと輸送代もかかりますので、それ込みのお値段になりますが、ではそういった商品が置いてある階にご案内いたします。

 隣国でそういった商品をお求めは、めったにないのですが、もしかしてですが、シェルエント公爵家かクライブ伯爵家の方ですか?
 もしくは、使い方を聞いた家の方ですか?

 我が商会から魚醤を届けに行っているんですよ。魚醤は美味しいのですが、匂いが気になる方がおおくて、隣国でまったく売れなかったそうです。

 そのときにお嬢様みたいな方が見えて味見をされて、届けることになったと聞いているので、ついつい気になって」

「あ、それ私です。市場であった人は、タール商会の人だったのですね。もしかしてですが、クミンとかコリアンダーとかも取り扱ってますか?」

「もしかして、隣国のシェルエント公爵領の市場で全部お買い上げしていただいたお嬢様ですか? 」

「あの方もタール商会だったのですね。それも私です。では、ターメリック、クミン、コリアンダーを使った料理はエスポワ領ではどうやって食べますか?

 私はその香辛料の配合で、スープの元を作って、売り出したいと思ってます。

 定期的に香辛料が手に入るなら、その事業も可能だと思ってます。

 今日は、市場で焼きおにぎりを食べたので、米とお味噌が欲しくなり来ました。
 エスポワ領に最初は行くつもりでしたが、タール商会の事を聞きまして」

「そうだったのですね。うちの物を買って下さったのがお嬢様だったとは。ありがとうございます。

 先程も言われた香辛料は、もちろんスープにも使いますが、肉を焼くときにも使います。
 スープも家それぞれで配合が違いますね。

 たしかに、最初から配合した香辛料を売ると言う発想はなかったです。今日は、商会の責任者がおりますので、呼んでまいります。

 先に商品の階に行き商品をみて頂いて、ご検討下さい。
 この階に味噌と米があります。お嬢様は魚醤をお求めでしたが、豆から作った醬油もあります。この階のフロアの担当を呼びますので、味見などして、少々お待ち下さい」

 ディアは相変わらず、食べ物の事になると、行動力が素晴らしいな。
 商売の話もし、責任者を呼びに行かせるほど発想力を持っている。
 素晴らしい人を妻に迎えたことに喜びを感じてしまう。

「ディア、カレースープを販売するのですか?」

「レイ、そうです。何でも、やってみなくてはわかりませんから。ダメなら、撤退すればいいと思ってます。応援してくれますか?」

「もちろんです。私はディアのやりたいことを応援する第一人者ですよ」

 私の話を聞いて応援してくれるレイモンドに感謝しかないです。
 ハンサムだし、優しいし、私の旦那様は最高です。

 フロアの係の人に、味噌と醬油の味見をさせてもらいました。焼きおにぎりの味噌とは違う味です。やはり、作る人が変われば、塩の塩梅も変わりますからね。

「こんにちは、お嬢様。私はポルク領のタール商会の責任者のアレックスと申します。
 先程、商品の話でとても素晴らしい話を聞きました。
 
 ぜひ、応接室で詳しく伺いたいのですが、よろしいでしょうか?」


「はい、私はフィンランディア・ルーシ・シェルエントと申します。旦那様と新婚旅行で来ています。

 米と味噌と醬油をまずは定期的に買いたいので、王都の屋敷にお願いします。

 先程のターメリック等の香辛料はシェルエント領の屋敷にお願いします。

 私としましては、この香辛料を配合して、スープの素にして売るつもりです。
 タール商会はもともと、エスポワ領の方が中心と聞きました。
 家庭でそれぞれ配合する家庭の味の他に、最初から作ってある香辛料は、とても便利だと思います。

 あと、他の領地で売るのに優れていると思いますよ。

 そこで、相談ですが、私のこのアイディアでスープの素を商品に加えませんか?
 見返りとして、シェルエント公爵家に香辛料を安価で下ろしてください」

「お嬢様達は、お隣の国の公爵家の方々ですか。スープの素、素晴らしいですね。
 単独の香辛料はどうやって使うのか、説明するのは難しいです。
 でも最初から混ぜて食べれるようにして売る。素晴らしい発想力です。
 このスープの素は、シェルエント公爵領で作るということでしょうか?」

「我が国に売りに出すものは、シェルエント公爵領で配合し、売る予定です。
 しかし、エスポワ領が中心になって香辛料を作っているなら、それぞれ美味しく感じる配合は違うはずです。

 ですから、アイディア料として香辛料を安価で買わせてもらいたいのです。
 タール商会で売るスープの素はタール商会で、売れる味に配合したほうがよろしいかと」

「なるほど、素晴らしいです。わかりました。お嬢様の案で契約しましょう。これからもよろしくお願いします」

 これで定期的に、ご飯が食べれます。食材探しはこれで終わりにして、後はレイモンドとの旅行を楽しみましょう。

「ディア、良い買い物ができたようだね。とても素敵な笑顔だ。カレースープの素の販売も上手くいったようだね」

「はい、私が食べたい食材も定期的に届きますし、スープの素もシェルエント領の収益になればと思ってます。

 私が食べたい食材探しに、レイは何も言わずに付き合ってくれて、ありがとうございます。

 後はゆっくりと新婚旅行を楽しみましょう」

 夕食をすまし、ホテルの部屋で私はレイモンドに感謝の気持ちを伝えました。
 優しく微笑むレイモンドに、抱きしめられながら、幸せな気持ちになりました。

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