【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました

成実

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 レイモンドが、卒業してからは、休みの日でなくても、時間を見つけては私に会いに来てくれます。今が一番幸せなのかもしれないです。

 結婚式で着る服を、レイモンドが愛用しているテーラーのショップに二人で行きました。
 服を作る時は、屋敷に来てもらい、布地を決めてお任せだったらしく、ショップに行くのが初めてで、レイモンドには新鮮にうつったようです。

 レイモンドには制服を着てもらい、この服の形をベースに、私のデッサンをみせ、あれこれアイディアをだしながら、やっとデザインが決まりました。

 結婚式で着ると話したらビックリされました。服が出来上がったら、シャーロットに刺繍をお願いするつもりです。

 結婚披露パーティーでは、ウェディングケーキでのケーキ入刀、初めての共同作業をしたいです。
 そのために、巨大なケーキを焼く型を注文してあります。前世のときから、ウェディングケーキは憧れでした。

 結婚にむけての準備を着実に進めていきます。

 この世界では、結婚式のときに、指輪交換もないようですが、やるつもりです。

 やりたいことは全てやるつもりです。

 今は、ペアの指輪を作るので、宝石店にきているのですが、大きい宝石がついたものばかり勧めてくるので、うんざりしてます。
 ずっとつけっぱなしにしたいので、邪魔にならないようシンプルな指輪が欲しいのに。そんな指輪はないといわれてしまいました。
 そのため、レイモンドが静かに怒りをあらわにしました。

「ないなら、作ればよいと思うが、作れないのか?作れないなら、他の店に行く。店長は、今日はいないのか?」

 レイモンドの怒りに店員が店長を呼びに行きました。確かに、貴族御用達の店で、私が欲しがるシンプルなデザインはないかもしれませんね。
 なければ、高級品ばかり扱っている店ではない宝石店を探したほうがいいかもしれません。

「レイ、他の店にしましょう。たしかに私が欲しい指輪はシンプルな物です。高級店にはないでしょう。
 プライドもあるでしょうし、無理に作って貰わなくても。高級品ばかり扱う店ではなく、リーズナブルな品が置いてある店の方が、作って貰えるかもしれませんし」

「ディアがそう言うなら、そうしよう」

先程の店員が上の上司を連れてきました。

「申し訳ありません。ご希望されるものがないようで、ただいま店長が留守にしておりまして」


「もう別の店に行こうと思っているので、結構だ」

 私達が街でデートを楽しもうと、高位貴族の格好ではなく、貴族だけどカジュアルな格好なのも、このような対応なのでしょう。
 例え、貴族でなくてお客様には誠意をみせて欲しかったです。
 まあ、私はそこまで貴金属が欲しいわけではないので、今後使う事はないですね。

 私達は、店を出てから、他の店に向かうことにしました。高級店が立ち並ぶ通りではなく、すこし、メインロードから外れた所に、貴金属の看板がありました。
 入ってみると、店のなかは広く、大きい宝石はありませんが、しっかりした品物ばかりです。

「いらっしゃいませ、今日はどのような品物をお探しですか?    もしかしてですが、クライブ伯爵令嬢ではないでしょうか?」

 じっと最初に見られたので、私も知り合いかとじっと見ましたが、心あたりはないですね。向こうは私の事を知っているということですね。

「はい、そうですが?私をご存知で?」

「はい、私はクライブ伯爵家の領民です。領地のお祭りでお見かけしたことがありまして。
 私達家族は、王都で生活してますが、両親がクライブ領に住んでます。
 去年は、国に、納める税金を伯爵家が立替してくださり、少しずつ返済していると聞いてます。
 今は、農作物だけではなく、他の手仕事を与えてくださり、副収入を得れるようになったと聞いてます。本当にありがとうございました」

「皆さんを助けるのは、領主としてあたり前ですから。副収入が有れば、天候にさゆうされても安心して生活ができますからね。
 今日は、指輪を見にきたのですが、ずっとつけっぱなしにしたいので、シンプルなものがほしいのですが」

「なら、こちらはどうでしょうか?小さい宝石が埋め込んであるので、つけたままでも違和感がないかと」

 何気なく入った店でしたが、うちの領民で、そして欲しかった指輪のデザインがあります。

「この指輪のデザインで宝石は変えられますか?

 私が嵌める指輪には、青色の石、例えばサファイア、彼がつける指輪には茶色、私の瞳のような石、例えばアンバーやブラウンダイヤモンドにしたいのだけど、どうですか?」

「そうですね、サファイアとブラウンダイヤモンドなら手に入りやすのですが、アンバーですと、私の店では、なかなか手に入らないです」

「では、ならべく私の瞳にちかい色でお願いします。サファイアも彼の瞳にちかい色で、もし石を買う関係で前金が必要なら言って下さい。何かありましたら、クライブ伯爵家まで連絡を」

「はい、わかりました。まずは、石が手に入りましたら、連絡いたします」

 お互いの瞳の色が入った結婚指輪。憧れでした。

「レイ、結婚したら、今から作って貰う指輪を常にしていてくれますか?ダメならネックレスにしてもいいですよ」

「ディアの瞳の色の石が、入った指輪なんて、素敵ですね。ディアの事ですから、このペアの指輪も商売にするんですか?」
 
 私の事を理解してくれてますね。その通りです。領民と聞いた瞬間に、このペアの結婚指輪をはやらせようと思いました。

「レイ、凄いです。その通りです」

 私は、この店の店長に、この結婚指輪のアイデアと売り方を話し、結婚指輪の儲けの1割をクライブ伯爵家に納めるように話しました。

 メインロードから離れた店なので、お客様が来ることが少なく、店の宣伝込みで、話が纏まりました。

「レイ、私達の結婚式は今までの式には、ないことばかりをします。
 服に、ウェディングケーキ、結婚指輪、何も言わずに、やりたいようにしていいと言ってくれて、ありがとうございます」

「ディアが楽しく準備してることに、反対なんてしません。私は結婚して一緒にいられることが幸せなんだから」

 手を繋いで、街を歩きます。いつもは馬車で通る道も、二人で歩くことによって、色んな店が見えてきます。買い物をしなくても、二人で見るだけで楽しいです。
 歩いて行くうちに、最初の宝石店の前に来ました。当然、素通りしようとした時です、店の中からお義母様が出てきました。

「レイモンドとディアちゃんじゃない。どこに行っていたの?貴方達が宝石店に行くと聞いてたから、私も来たのに。
 店長に聞いても来てないと言われたから、待ってたのよ。
 さあ、ディアちゃんには、私からもプレゼントしたいから、早く来て」

 もうこの店に来ることはないと思ったのですが、その日に来てしまいました。
 レイモンドをみると、最初に接客してくれた店員をみていました。

「ようこそいらっしゃいました。クライブ伯爵令嬢、はじめまして、気に入った物がありましたら、何でも申し付けください」

「店長、私達は先程もこの店に来ている。だか、欲しい物がなかった。だから作れないか聞いたんだか、良い返事が貰えず、他の店に行って注文してきた」

 レイモンドの無表情の顔が、より怒りを物語ってますね。

「あら、レイモンド達来てたの?店長、どういうこと?私、連絡したはずですわ。私の可愛いディアちゃんが行くからと。どんなデザインの物でも対応するようにと」

「申し訳ありません。シェルエント公爵令息がみえたら呼ぶように言ってあったのですが」

 店長が平謝りしている姿を見て、私達に対応した店員の人達の顔色が悪くなってきました。

 私的には、結婚指輪を領民の店で作れたので、結果オーライなので、いいのですが、レイモンドの怒りは結構大きかったようです。

 これからは、服装で判断せず、真摯な対応をするようにと話して店を出ました。

 お義母様に、お互いの瞳の色の石を入れた指輪を、作る話をしました。
 結婚した証を常にはめたままで、お互いが離れていても見守ってくれている指輪だと聞くと、お義母様の心に響いたようです。

 今から、自分もその店に行くと言い出しました。レイモンドが父上と一緒に選ばなければ意味がないと話、場所を教えました。

 これから、結婚する方ばかりではなく、既婚者にも売れると確信しましたよ。
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