【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました

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　夕方とは何時なのか、しっかり確認すれば良かったです。

　待っているのが、長く感じるのは、レイモンドにそれだけ会いたいと、思っている証拠ですね。
　私は、レイモンドが好きなんだと思いました。

　いつも、出されたお菓子をいっぱい食べる姿に、不安そうな顔、嬉しそうな笑顔、どのレイモンドを思い出しても、私の口は笑みを浮かべてしまいます。

　ただ、クッキーを取りに来るだけなのに、お祭りで買ってもらった、小鳥の髪飾りにお揃いのブレスレットをつけて、レイモンドを待ちます。
　
　馬車の停まる音が聞こえてきました。私はレイモンドを迎えにエントランスに降りました。
　馬車の扉があきレイモンドが降りてくる姿にドキッとしました。

　学院の制服だったのです。見た瞬間、カメラが欲しいと思いました。

「ディア、遅くなりすみません。きたそうそう、後5分程で帰らなくてはいけません。少しだけ話せますか？」

「はい、忙しい中ありがとうございます。ではこちらへ」

　私は、時間がないので、屋敷に入らず庭の方に歩き始めました。庭に行くのに手を繋いで歩いてます。

　「レイモンド様、会いに来てくださり、ありがとうございます。会えて嬉しいです」

「私も、ディアに会えて嬉しい。遅くなったのは、実は他の令嬢からハートクッキーが送られてきて、その対応に追われていまして」

　なんてことでしょう、ご令嬢方のハートクッキーセットがレイモンドの所に、でも皆様3～5個買われていましたから、レイモンド宛もあって当たり前ですね。

「ちなみに、レイモンド様、何個もらいましたか？」

「えっ、決して受け取ったからといって、浮気はしません。15個程です」

　15個、多分買いに来られたご令嬢の過半数ですね。さすが公爵令息で、この見た目ですからね。

　社交界デビューしてる令嬢も、してない令嬢も恋しますよね。

「ディア、誓って貴方以外見ていません。貴方が嫌ならクッキーは食べません。だから、笑った顔を見せてください」
　
　私が考え事をしていたので、レイモンドが慌てたようです。

「大丈夫ですよ。レイモンド様を信じていますから、頂いたクッキーは食べてください。

　イブのクッキーですから美味しいですよ。

　私からいうのも何ですが、令嬢方の気持ちを大切にしてあげてください。でもしっかり3月14日には、ごめんなさいしてくださいね」

「ああ、もちろんだよ。ただクローバーデーは、女性から意中の男性にクッキーを渡すと言う事は、知っている。
　だからディアからクッキーが欲しかったのだが、でも3月14日はどうすればいいんだろうか？」

「クローバーデーは2月14日です。ハッピーデーは3月14日です。ハッピーデーはお返しをする日です。

　プレゼントを貰ったら男性は気持ちの返事をするのです。

　気もちに応えられない時は、マシュマロというお菓子を返します。

　気持ちに応えるなら、アクセサリーを送ります。主にネックレスです。トンボ玉を通したネックレスです。

　恋人になれば毎年一つずつトンボ玉を増やしていくのです。長く連れ添うほど、色とりどりのトンボ玉のネックレスになります」

「そうなのですか、ステキですね。もっと貴方と居たいのですが、学院に戻らなくてはなりません」

「そうでした、肝心なハートクッキーを渡さなくては。レイモンド様、今日は会えて嬉しかったです。
　また、週末お待ちしてます」

「ディア、クッキーありがとうございました。大切に食べます」

　レイモンドが私の顔を両手で包んだと思ったら、口にチュッとレイモンドの唇が軽く触れたのです。レイモンドは私の手を握りながら

「ディア大好きです。また来週きますね。クッキーありがとうございます」

　言うだけ言ったら馬車が停車している所まで、走って行ってしまいました。

　私はその場で、馬車を見送りました。私の顔が、真っ赤でも夕日が私の頬を隠してくれてます。
　
　部屋に戻ると、さっきの出来事が思い浮かび、枕に顔をうめ、一人でキャーキャーしてしまいました。

　そういえば、お返しを考えないといけません。お互いに思い合う恋人のことしか考えていませんでした。

　お断りを伝えるお菓子を、とっさの事だったので、前世のホワイトデーのマシュマロが思い浮かびました。

　トンボ玉ネックレスとマシュマロの事を、宣伝しないといけませんね。

　次の日、ガラス工房に行くとリックさんと息子さんのニックさんがいました。

　私の名前もそうですが、親から名前をもじってつけるので、名前がこんがります。

「こんにちは、ペンダントにするトンボ玉は、どのくらい出来ましたか？」

「お嬢様、こんにちは。今もニックと話していたんだが、どうやって売ったらいいのか。

　実は昨日から数件問い合わせがあって、ひとまず、まだ販売はしていないが、３月になったらと話しときました」

「はい、ありがとうございます。ちなみにリックさんとニックさんの奥様は忙しいですか？」


「まだ、うちは子供が居ないので、内職をしてますが、割と時間に余裕があります。おふくろも、食事の準備をするぐらいで、暇してるよな」

　ニックさんの返事にリックさんが頷いてます。

「お時間があるなら、奥様方が３月１日～１４日まで、ここでトンボ玉ネックレスの販売をお願いできませんか？お給金も払いますし、どうでしょう？」

「トンボ玉が売れる様子もみれますし、多分いいと思いますが、売り方がわからないので、お嬢様か誰かに、教えて貰えれば大丈夫だと思います。

　仕事の注文も今はないので、自分達も手伝えますので」

「わかりました。アンと一緒に売り方を教えます。では、また準備をしてから、来ますので。

　問い合わせは、1日～14日期間限定で売ると話してください」

　さあ、次はハッピーデーにむけて忙しくなりそうです。頑張りますよ。