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side レイモンド

 最近やっとフレディの緊張がとけてきて、グレイがいなくても一緒にお茶が出来るようになってきた。

 気になっていたフレディの名前が書いてある缶は、何と人参嫌いなフレディ専用クッキーだった。
 人参と聞いて、最初はウッと思った。しかし、食べると確かに人参の味はするのだが、パクパク食べれてしまう。

 すごい、野菜嫌いの私でも食べれるなんて。フレディが言うには、人参の栄養を練り込んであるので、少しずつ人参に慣れていき、最終的には人参が食べれるように舌を慣れさせていくらしい。

 もし、人参が食べれなくても、オヤツに人参クッキーを食べれば、栄養が取れるからと説明してくれた。
 他の野菜クッキーはないかと思わず聞いてしまったが、人参だけが苦手だから、その他の野菜クッキーは作ってないそうだ。

 でも、全部の野菜が嫌いだと話したら、野菜嫌いの克服のために、人参以外の野菜クッキーが作れるか聞いてくれると言っていた。イブのお菓子のシェフと仲が良いのだろう。イブで野菜クッキーは売り出さないのか聞いたら、学院の学費を稼ぐために始めたお菓子屋だから、わからないと言っといた。

 でもイブでは売らないお菓子も、今度食べさせてくれると言ってくれた。クライブ伯爵家の令嬢と仲良くなるために、グレイとフレディを同室にして正解だった。
 先輩、後輩として、こんなにも早く親しくなれたのは、グレイのおかげでもある。もっと、フレディと親しくなって令嬢の事を聞こう。

 少しぐらいなら、聞いてもいいのか?嫌やめておこう。よくグレイにせっかちだと言われているのだから、もっと心にゆとりを持って行動しよう。

 私もそうだが、令嬢も一生の事だからな。令嬢がデビューしてからの方が話を聞いてもおかしくないはずだ。

 トントンと扉をノックが聞こえたのと同時に

「レイモンド、またお菓子の事でも考えているのか?お前がその顔の時は、ほとんどクッキーとかお菓子の事ばかりだ。クッキーの為に、クライブ伯爵令嬢が気になるのは、お前ぐらいだぞ」

「殿下、また勝手に入って来ないで下さい。ノックと同時に入るのは、いかがなもんですか」

「レイモンドと私の仲に、ノックなんていらないだろ。
そんな事より、クライブ伯爵令嬢が、いよいよ社交界デビューするみたいだぞ。
 クライブ伯爵家が使っているブティックのマダムが、えらく令嬢のセンスを褒めていてな、デビュー用の白いドレスを自分でデザインしてきたらしい。
 ゆっくり構えていたら、誰かが令嬢の隣にいたりしてな。まあ、頑張れよ」

 言いたい事だけ言って帰る癖をなんとかしてほしい。社交界デビューか、どこの夜会でデビューするか、母上に聞いてみよう。
 明日くらいに、グレイを誘って外出届けをだして、屋敷に帰るのもいいかもな。ストックのクッキーがもうそろそろ無くなりそうだから。

 そうだ、フレディを誘ってみよう。母上なら、令嬢の話を振ってもあやしまれないし、我ながら良い考えだ。
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