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13.公爵家にて……公爵との話
しおりを挟む3人のお茶会は、今までの緊迫した雰囲気からほっとしたのか、ルーカス君が口火を切ったかのように喋りだした。
「もう、エミリーちゃん、僕怖くて涙が出そうだったよ。今日の出来事で、僕はエミリーちゃんについていくって決めたよ。
カミラ令嬢、僕は令嬢の友達だから味方だよ。カミラ令嬢の事、カミラちゃんと呼んでもいいかな?
僕の事も、エミリーちゃんみたいに、ルーカス君って呼んでね」
「ありがとう、ルーカス君。うん、私の事をカミラちゃんと呼んでね。私の味方になってくれてありがとう。
私もエミリー令嬢の事、エミリーちゃんと呼んでいいですか?」
涙ぐんた声のカミラ令嬢をみて、私は抱きしめた。
「カミラちゃん、いっぱい頑張ってたね。ルーカス君が言うように、私もカミラちゃんの味方だよ。だから、辛かったことなど吐き出して、新たなカミラちゃんになるお手伝いをするからね」
「エミリーちゃんの言う通りだよ。何でも話してね。僕も、エミリーちゃんやカミラちゃんなら何でも相談出来そうだよ」
カミラちゃんは、私達の言葉にポロポロと涙をこぼしていた。ルーカス君はすかさず、カミラちゃんにハンカチを渡していた。
「カミラちゃん、私は公爵様に、カミラちゃんを当分の間、伯爵家で過ごしても良いか聞くつもりなの。
こんな事を言うのも、カミラちゃんは、ダイエットしたほうがいいと思うの。
だから、私の家にきて、身体に良い物を食べて肌の手入れをしながら、体を動かしましょう。私も一緒にやるから、頑張ろう」
「うん、エミリーちゃん家に行ってダイエット頑張る」
「僕も行きたい。僕もお泊りしたい」
ルーカス君が僕も僕もと煩い。
「ルーカス君、遊びに来るのは構わないです。ただ、私やカミラちゃんがいるから、お泊りは、男の子の場合は少し難しいかな」
「あ、僕は男の子だもんね。そうだよね」
余りにも、ルーカス君の悲しそうな声がきになり、奥歯を噛みしめる。ルーカス君を守っている精霊がルーカス君を励ましていた。
(ルーカス、ルーちゃん、君は男の子だけど、魂は女の子だよ。悲しまないで、泣かないで欲しい)
ルーカス君は心が女の子なんだ。ルーカス君も辛かったんだろうな。うーん、ルーカス君も助けてあげたいけど、今はカミラちゃんに集中しよ。
「ルーカス君、その代わりに、毎日家に来て。私にはお兄様がいるから、何かあっても、ルーカス君がお兄様に憧れて遊びに来てると言えるから。
ルーカス君、辛かったら、私の家に逃げておいで。大丈夫だから。私はルーカス君の味方でもあるんだよ」
カミラちゃんも泣いているけど、ルーカス君まで泣き出してしまった。
「さあ、ケーキでも食べよう。カミラちゃん、私がイチゴが好きだと王宮のお茶会で話したからイチゴのお菓子にしてくれたんでしょ。ありがとうね。
いっぱい食べるね。わあ、本当に美味しい。ルーカス君も食べてみて。
私、もうそろそろ、公爵様と話をしてくるね。二人はそのまま、話してて」
私は、二人を残して侍従に案内を頼み、公爵の執務室に来た。扉の前には執事長が立っていた。私が扉の前に立つと、執事長がノックをし、私が来たことを告げた。
「やあ、エミリー令嬢、先ほどぶりだね。ソファにどうぞ」
私が席につくと、お茶が出される。執務室は人払いされ、部屋には私と公爵のみ。公爵が観察するようにじっと私を見つめる。
「エミリー令嬢の父君とは、学院の先輩後輩の仲なんだよ。今のレオンとケヴィン令息みたいな感じかな。
実は、君の父君のイーサンから連絡が来てね、カミラの事を聞いた。君の精霊の声が聞こえる話もね。
イーサンが私を信用して話してくれたのだから、私は誰にも言うつもりはない。
最初はカミラが私に似てしまったから、他の兄弟との見た目にコンプレックスを持っているんだと思っていた。
だから、メイドに怒ったとかの話を聞いても、ストレスのはけ口が無いせいだと思っていた。
カミラが怒った現場に遭遇してないからね、いつも報告ばかりだった。
イーサンから、カミラの精霊がカミラを助けて欲しいと言っていると聞いた時は正直何を言っているんだと思ったよ。
だから、陰から君達のお茶会を最初からみて聞いていたんだ。
エミリー令嬢が指摘しなければ、陰から見ていてもカミラが悪いとしか見えない状況だった。
お茶の渋みもレオンや執事長に飲ませ、カミラの現状を教えてくれた。
8歳の君に聞くのはまちがっているが、私はどう動いたら良いのかわからない。カミラを助けて欲しい。どうして、このような事になってしまったのか、分からないんだ」
余裕そうにみえた公爵も、娘のカミラちゃんの事になると、狼狽える姿に、カミラちゃん愛されているなあと感動した。
奥さん命で、娘が二の次では、カミラちゃんを助けれない。多分、公爵夫人ではなく、シェリー夫人が問題をおこしていると思う。
でもカミラちゃんの話では、公爵夫人とシェリー夫人は幼なじみだから、切り離すのは難しい。
どのように絡み合って、カミラちゃんにあのような状態にするのか調べてみなくは分からない。
「公爵閣下、現状すぐには改善は難しいと思います。でも真っ先にすることは、カミラちゃんの心のケアです。
ですから、カミラちゃんを我が家にご招待したいと思います。当分の間、そうですね短くて3ヶ月ぐらい、伯爵家で過ごして貰う予定です。
私は、このような事の原因はシェリー夫人ではないかと思います。ただ理由を探らなければなりません。
公爵閣下も執事長と協力して、探ってほしいと思ってます。
カミラちゃんに会いにがてら、そのたびに話をするのはどうでしょうか?」
公爵もすぐに問題解決にはならないと思っていたらしく、私の提案に頷いた。
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