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青空の下、桜が宙を舞っている。
この春、私は市立浜北中学校に入学した。
そして。
これは、吹奏楽部に入った私の3年間の物語。
「では、1年生の楽器決めをしたいと思うから、第3希望までの楽器を紙に書き、部長のところまで持って行ってねー。」
楽器かぁ…。全部かっこいいんだけどクラは音が鳴らなかったんだよね…。やっぱり形が可愛いからホルンが第1かなあ…。そんな事を考えていると、友達の真に声をかけられる。
「かーえでっ!楽器何にするの?」
同じ1年E組の真は足が早いからてっきり陸上部に入ると思ってたんだけど、不思議と私と一緒に吹奏楽部に入ったんだよね。でも真と一緒だなんて嬉しいなぁ。
そんなことを考えながら、私は答える。
「うーん…。やっぱりフォルムといい音といいホルンが魅力的だしホルンが第1かな!あとコンバスが先輩超優しそうだしかっこいいから第2だよ!第3はトロンボーンとかかなぁ。そういう真は何にするの?」
「もっちろんトランペットー!音高いし大きいし最高じゃん!」
そう満面の笑みで返されて私は軽く苦笑いしながら言葉を返す。
「もう、真ったら。まだ決まったわけじゃないんだからさ。」
「いや、私の心が私はラッパになると叫んでる…!」
「あはは…。」
そして紙が回収され、いよいよ顧問の梅原先生から楽器が発表される。梅原先生は、国語科のちょっと怖そうに見える40代くらいの人だ。
「では、今から楽器を発表するから、発表された人は、それぞれの楽器のパート練習の部屋に行ってね。」
何人かの名前が呼ばれ、楽器が発表された後、真の名前が呼ばれ、真は無事にトランペットになった。そしてまた何人かの名前が呼ばれたあと、とうとう私の名前が呼ばれる。
「宮野楓。コントラバス担当だ。」
えっ…。ホルンじゃないの?いくら第2希望だといっても、一番なりたかったホルンになれないのはかなり悲しかった。少し落ち込みながらコントラバス、つまり低音のパート練の部屋、第1音楽室へ向かう。気持ちを切り替えて深呼吸して、ドアを開ける。
「こんにちは!コントラバスになりました宮野楓です!音楽が大好きなのでよろしくお願いします!」
いきなりすぎて引かれてないかな。…よかった。先輩たちはほがらかな笑みと優しい拍手で迎え入れてくれた。良かったー。皆優しそう。と、思っていたら、私の後ろのドアが開き、男子が入ってきた。
「チューバになった翔です。よろしくお願いします。」
うわあ、硬派そうっていうか、無愛想っぽい…。そんな事を考えていたらチューバの3年生の先輩が口を開いた。
「2人ともよろしく!先輩として歓迎するよ。俺は3年生でチューバ担当の太郎。低音のパートリーダーをしています。」
それに続いて残りの先輩達も自己紹介を始める。
「私は2年生のチューバ担当のルカ。よろしくね。」
「私は2年生でコントラバスを担当してる心です。2人とも、よろしくね。」
ルカ先輩は外国人っぽくて、綺麗な金髪と青い目をしている。心先輩は全身から善人オーラが溢れ出ている…天使か…。
「「よろしくお願いします。」」
翔と私は声をそろえ、先輩達に言葉を返した。
こうして、私の吹部としての物語が始まった。
この春、私は市立浜北中学校に入学した。
そして。
これは、吹奏楽部に入った私の3年間の物語。
「では、1年生の楽器決めをしたいと思うから、第3希望までの楽器を紙に書き、部長のところまで持って行ってねー。」
楽器かぁ…。全部かっこいいんだけどクラは音が鳴らなかったんだよね…。やっぱり形が可愛いからホルンが第1かなあ…。そんな事を考えていると、友達の真に声をかけられる。
「かーえでっ!楽器何にするの?」
同じ1年E組の真は足が早いからてっきり陸上部に入ると思ってたんだけど、不思議と私と一緒に吹奏楽部に入ったんだよね。でも真と一緒だなんて嬉しいなぁ。
そんなことを考えながら、私は答える。
「うーん…。やっぱりフォルムといい音といいホルンが魅力的だしホルンが第1かな!あとコンバスが先輩超優しそうだしかっこいいから第2だよ!第3はトロンボーンとかかなぁ。そういう真は何にするの?」
「もっちろんトランペットー!音高いし大きいし最高じゃん!」
そう満面の笑みで返されて私は軽く苦笑いしながら言葉を返す。
「もう、真ったら。まだ決まったわけじゃないんだからさ。」
「いや、私の心が私はラッパになると叫んでる…!」
「あはは…。」
そして紙が回収され、いよいよ顧問の梅原先生から楽器が発表される。梅原先生は、国語科のちょっと怖そうに見える40代くらいの人だ。
「では、今から楽器を発表するから、発表された人は、それぞれの楽器のパート練習の部屋に行ってね。」
何人かの名前が呼ばれ、楽器が発表された後、真の名前が呼ばれ、真は無事にトランペットになった。そしてまた何人かの名前が呼ばれたあと、とうとう私の名前が呼ばれる。
「宮野楓。コントラバス担当だ。」
えっ…。ホルンじゃないの?いくら第2希望だといっても、一番なりたかったホルンになれないのはかなり悲しかった。少し落ち込みながらコントラバス、つまり低音のパート練の部屋、第1音楽室へ向かう。気持ちを切り替えて深呼吸して、ドアを開ける。
「こんにちは!コントラバスになりました宮野楓です!音楽が大好きなのでよろしくお願いします!」
いきなりすぎて引かれてないかな。…よかった。先輩たちはほがらかな笑みと優しい拍手で迎え入れてくれた。良かったー。皆優しそう。と、思っていたら、私の後ろのドアが開き、男子が入ってきた。
「チューバになった翔です。よろしくお願いします。」
うわあ、硬派そうっていうか、無愛想っぽい…。そんな事を考えていたらチューバの3年生の先輩が口を開いた。
「2人ともよろしく!先輩として歓迎するよ。俺は3年生でチューバ担当の太郎。低音のパートリーダーをしています。」
それに続いて残りの先輩達も自己紹介を始める。
「私は2年生のチューバ担当のルカ。よろしくね。」
「私は2年生でコントラバスを担当してる心です。2人とも、よろしくね。」
ルカ先輩は外国人っぽくて、綺麗な金髪と青い目をしている。心先輩は全身から善人オーラが溢れ出ている…天使か…。
「「よろしくお願いします。」」
翔と私は声をそろえ、先輩達に言葉を返した。
こうして、私の吹部としての物語が始まった。
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