サラダ

貪欲ちゃん

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コーン

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「おはよう慎治。」
髪をとかしながら慎治に軽く挨拶をした。
サラッと流れて朝の寒さに溶けていった。
夜遅くまで起きていたのか慎治の目の下には
森の奥のような深い霞んだクマが出来ていた。
「慎治?」
サラッとした髪を傾けて慎治に言った。
その髪は太陽の光を受け神々しく痛々しく輝いていた。
「昨日レポート書いてて
   本当に疲れた......。」
目を擦りながら言う。
目を閉じれば新緑の森の中に落ちて行き
二度と会えないような気がして会話を無理に繋げた。
「今日なんかある??
   もし良ければ久し振りにレンタルじゃな
   て映画行って映画見ない??」
ちょうど感動もの(名前は忘れたけど)多分犬系がやってて中を取り持つためにソレを見に行こうとこの短い行間の中で決めた。
これと言った意思はなく風に吹かれて決めた感じ。
わかりやすく言うとサイコロ鉛筆的な感じだった。
意思がないかぁ......
特に意思もなく生きてきたしなぁ
今更意思なんて求めても......
「え!僕犬のやつ見たいと思ってたんだよ!」
目の下にあった重いものが一瞬にして拭いさり、口には軽やかな笑みと三日月形の目があった。
綺麗な瞳。
私とは違う。
何もかも。
「なら良かった。」
慎治と同じく笑う。
それが幸せなのかは置いといて。
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