サラダ

貪欲ちゃん

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エビフライ

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今日は雨か。
こんな日は決まって憂鬱になる。
あの日を思い出してしまうから。
冷たい塊を抱きしめたあの日。
冷たい塊としか思えない俺は凄くクズなんだろうな。
そんな事を考えふふっと笑った。
急いで髪をセットし適当な服を着て
部屋の隅にあったカバンを引きずり出し背負った。
一歩そとに出ると思ったよりも寒くて
急いて部屋に戻り黒コートを羽織った。
正直コートを着てどうこうの問題じゃないとは思うけど着てないよりはましだろう。と思い羽織った。
階段をたったっと降りていくと
下にはまるで鏡面のような水溜りがあった。
「ちっ......」
付いてねぇなぁとは思ったが
俺の嫌いな雨の日に憂鬱なことを考えてしまうと居なくなって仕舞いたくなるから。
考えないようにした。
仕事場に着くやいなやストーブの前で手を裏打ち返した。
「サミィ」
寒さも和らいだし和らいだお陰か分からないけどやる気が出てきたのでパソコンと書類の山と向き合った。
カタカタ打ち込んでいく。
カタカタカタカタ
1人ではないが集中すると1人の世界に入り込んでしまう。
その状態に入れば俺は無敵だ。
気づいたら3時間経っていた。
朝飯もろくに食わず来たから流石に腹が減ったので周りを見渡した。
隣の同僚の弁当を見てぐぅっと腹を鳴らしているとそれに気づいた同僚が
「あっ!戸邊!
   食うか?」
と言うと彼は弁当特有の萎びた衣を纏ったエビフライを差し出した。
それを口の中にポンっと放り込むと
「ありがとう。」といった。
今日の昼飯はそれだけにした。
別に金がない訳では無い。
どちらかと言うとある。
金を使う=無駄と考えてしまうから
金を使うのは電気代水道代トイレットペーパー代ぐらいだ。
電気代と言っても主に暖房が中心だが。
ご飯という物においてはまるで無頓着である。
わざわざ高い金を出して消耗する意味がないと思ってるしなんたって俺は少食だからだ。
金を出して美味しかったねって満足して
明日にはその幸せを忘れてコンビニ飯を食い美味いと感じる。
人間は幸せだ。
人もそう。
イケメンを食ってその後そこら辺にいる男を食ってそれの積み重ね。
何も無い。
日々が消耗それだけなんだ。
そんな事を考えてるうちに思い出したくもない冷たく硬い塊のことを思い出してしまった。
仕事も終わり家に帰る頃には雨はやんでいた。
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