100人の死に方

NO.1 山田太郎の物語

 僕の名前は山田 太郎 (やまだ たろう)。

どこにでもいるサラリーマンだ。

人生の夏休みとも言われる、大学を卒業した後、新卒で銀行に入社した。

最初は銀行マンになれる、金を稼げる、休みがあるなどと考えていた。

だが毎日の業務についていけず、気づけば落ちこぼれとなってしまった。

しまいには、同僚や上司からイジメられる日々。

神様がいるなら呪いたい。

最近では「死にたい」がポロポロと口から出るようになった。

どこで間違えてしまったのだろうか、、、


 今日も朝の会社に向かうためにホームで電車を待っている。

会社に行きたくないということだけが頭の中でループしている。

「死にたい。電車に轢かれれば楽になれるかな」思わず口にでてしまった言葉。

周りでは学生が遊びに行くのか楽しそうに笑っている。

ムカつく。

気づいたらそんな事を考えていた。


会社では無視や嫌がらせ。

仕事が片付きしだいそそくさと退社する。

だかそんな自分にも楽しみがある。

それは会社の後に一人で居酒屋でお酒を飲むことだ。

お酒は良い、酔っている時は全てを忘れられる。

明日も仕事があるが、今日は沢山飲もうと思う。

気づけば終電の時間まで飲み続けてしまっていた。

千鳥足の状態でホームまでなんとかたどり着くことができた。

最高に気分が良い、嫌なことも忘れられる一番好きな時間だ。

一生この時間が続けば良いと思う。

「こんなクソみたいな世界から解放されたい。」

そんな事を考えていると、自然と足はホームに向かっていた。

気づいた頃には遅く、自分の体は線路に叩きつけられていた。

信号機がカンカンと音を立てる。

そうか、僕は死ぬのか。

でもこの状態で死ねるなら幸せなのかもしれない。

電車が迫ってくる、ホームの人たちが騒いでいる。

最後に脳裏に映ったのは、イジメてきた上司や同僚の顔。

「じゃあな、クソ野郎供」

次の瞬間、僕は電車に轢かれた。

これで僕は解放されたのかな？

これで僕は自由なのかな？

それならばなんて素晴らしいことだろう。

なんて、、

「幸せなんだろう」