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第一章 産声

第六話 似てるようで、似ていない。ライバル同士。

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夏休み、9月初頭。まだ暑い9月初頭。
僕ら立教大学は初めての出雲駅伝の参加資格を獲得した。と、いうのも去年の全日本大学駅伝で立教大学は11位と大学内歴代最高順位で終えたからだ。それだけでなく、今年の全日本大学駅伝の予選会も通過。立教大学の狼煙が上がるのはこれからだ。
初めての出雲に出れる立教。立教大学内ではお祭りムード真っ只中。
学生「ねぇさ、今年の出雲駅伝立教出るらしいよ!」
学生「えー!まじ!?絶対優勝してほしいなぁ。」
肝心な立教大学駅伝部はというと、重圧を正面で受けながら日々日々練習にいつまで以上に励んでいる。
野間監督「これから、5000メートル走を開始する。準備はいいかー!」
 『用意!開始!!!』
始まった。これで出雲のレギュラーが決まると言っても過言ではない。僕の最高記録は14分19秒。ここ最近で一気にペースを上げてきた。でも、史上最強の立教大学。上には上がいる。最強一年、本馬のタイムは14分15秒。しかも星野先輩は13分52秒と立教大学史上初の13分台&最高記録だ。だが、工藤の兄である3年工藤流星は13分57秒と次期部長の座を狙っている。この5000メートル走は部内リーグと言ってもいいだろう。
今回の目標は14分10秒切りだ。あばよくば、13分台…
今回は部生のみなので対桃谷戦のように変な作戦は仕掛けなくてもいい。部生を尊重するのが第一だ。
1キロ通過2分47秒。少しスロースタート。前には2年の王先輩が走っており、横には前野がピタッとついている。
2キロ通過5分37秒。まだ横には前野がいる。しかしひとつ朗報を伝えるのならばそれは本間との距離が縮まったことだ。これを機に更にギアを上げる。僕がギアを上げるごとに前野もギアを上げる。きっと相手もそう思っているのだろう。ライバル同士のテレパシーってやつかな。
3キロ通過8分25秒。本馬との距離が更に縮まっていく。ここで前野が没落していった。ライバル同士、少し悲しい念を見せたがひたすらに前を追う。先輩方も抜かしていっている横浜快斗。
4キロ通過11分12秒。目標タイムまであと2分58秒。3、4キロ台でペースを上げすぎたのであとは己の精神に身を任せ切る。これは桃谷戦と同じ。
星野先輩がゴールする。13分46秒。工藤先輩も13分50秒でゴール。本馬は14分04秒でゴール。
架空のゴールテープが見える。走る、走る。
『横浜、ゴール!』 『14分07秒!』
目標より3秒早い14分07秒。たかが3秒と思うかもしれないが、されど3秒とこの業界は考える。

野間監督「今から出雲駅伝のレギュラーを発表する!四年!星野、西、三年!工藤、二年!王、一年!本馬、横浜。以上だ。他のメンバーも全員で出雲に行く。外れたからと言って気を怠れるな!以上。」
浜田「横浜ーーー!!出雲スタメンおめでとう!!!神かよ、お前!」
「ありがとう。」
素直に言えない。前のに申し訳ないという気持ちがあったからだ。ここまでの結果も前野のおかげ。そんな前野が…
前野「横浜、おめでとよっ」
前野、お前、悔しいくせに…
「ありがとう!前野!」
馬鹿馬鹿しいように夕陽を眺めている。それは、とても美しかった。
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