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最終話
しおりを挟む「よし! あらかた片付いたな」
「お疲れ様です。近衛先輩」
「光琉もお疲れ様」
朝から光琉の家と宿舎を軽トラックで数度往復し、二人は光琉の荷物をすべて宿舎に運び込んだ。
近衛の隣の部屋に光琉は自室を構えることにした。だけど、その部屋にはベッドは置いていなくて。
「早く注文したダブルベット届くといいな」
「っ......!」
耳元で近衛がそう囁いて光琉は真っ赤になる。
「もう......近衛先輩!」
近衛の隣の部屋が光琉の部屋になり、その横の部屋が二人の寝室になっている。そこには二人で一緒に寝れるダブルベッドが置かれる予定だ。近衛の体が大きいので、キングサイズにしようかとギリギリまで迷っていたが「光琉と引っ付いて寝たい!」という近衛の一言であっさりとダブルベッドになった。
近衛に包まれている状態が何より大好きな光琉は、内心キングよりダブルがいいと思っていたので、近衛がそう言ってくれた時は嬉しかった。自分たちはやっぱりとても相性がいい。新しいベッドで、近衛とイチャイチャするのを想像して光琉は盛大にやける。
「そんなにやけて......光琉やーらし」
「あっ......」
すると後ろから近衛に抱きしめられ、首筋に軽く噛みつかれた。途端に甘い声が零れ落ちて光琉は慌てて口を押えた。
「やらしいことなんて考えてない! それは近衛先輩の方だろ!」
(まあ、全く考えてなかったというのは嘘だけど......)
恥ずかしくて光琉はキャンキャンと近衛に噛みつく。そんな光琉に可愛いなぁというのを隠しもせず近衛は顔をにやけさせた。
「そうだな、考えてるのは俺の方だな。光琉のこといっぱい可愛がりたいって」
すぐに近衛が光琉の言葉を受け入れる。相変わらず近衛は光琉に激甘だ。一緒に暮らすことになったら、さらに甘やかされるに違いなくて。
光琉は抱きしめる近衛の腕に手を重ねた。
「こんなに甘やかされたら俺、近衛先輩なしじゃ生きていけなくなっちゃう......」
少し拗ねるように呟いたら、近衛が嬉しそうに微笑んだ。
「何言ってんだ。一生、なんなら来世も、光琉のこと愛して愛でてやるから、安心して俺なしじゃ生きていけなくなっていいぞ」
「............」
めちゃめちゃ嬉しそうに近衛が上から光琉を覗き込む。冷静に考えたらけっこうなセリフを言っているのだが、近衛が大好きな光琉はその言葉を嬉しいと感じてしまう。
「じゃあ、責任取ってずーーっと一緒にいてね」
「おう、まかせとけ!」
ふふと同じように笑顔になる光琉に、近衛はとても幸せそうに瞳を細めた。
「将来は光琉と一緒に牧場を継いで、家族と動物たち、その周辺の住民たちの健康も全部俺が面倒見てやる。もちろん光琉のことは誰よりも大事にする!」
近衛は体を屈めると光琉にチュッとキスをした。
「近衛先輩......それ......」
光琉は瞳をぱちくりと瞬かせて。
「ん?」
「名案~~~~!!!!」
そう叫んで光琉は近衛の方に振り向く。答えるように近衛が腕を広げて、自分に向かって広げられる腕に光琉は飛び込むと、思いっきり抱きついた。
二人の顔には、とても幸せな笑顔が浮かんでいた。
オオカミさんは一生かけて、子犬を愛でたい。
ハッピーエンド♡
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