上 下
49 / 57

49 セドリック潤夜‐1※

しおりを挟む

セドリックは急な呼び出しにも対応できるよう城の近くにアパートの一室を借りていた。

仕事帰りの彼と待ち合わせ、地元の採れたて野菜が美味しいと評判のレストランで食事を済ませた。
料理の感想を言い合いながら手を繋いでアパートへと歩く。


「ようこそ、わが家へ。どうぞ入って」

勿論、セドリックの部屋に入るのは初めてだ。
もっと言うなら男性の部屋に入るのが初めてであり、緊張しながら足を踏み入れる。


部屋の中は綺麗に清掃がされているようだったが、とにかく書類や本が多い。
本棚に入りきれない沢山の本が床に置かれ、机の上には書類が積まれていた。
だが書類は綺麗に角を揃えて積まれており、本もジャンルごとに分けられ高さを揃えて床に置いているようだった。
大雑把であるようで、どこか文官らしい几帳面な一面も見え、彼らしい部屋だなと思えた。

「お茶でもいれようか」

キッチンに向おうとする彼のシャツを掴む。

「ううん。いらない…お茶はいらないから……ねぇ、ぎゅってして?」

手を繋いで歩いているだけで、もっと彼の温もりが欲しいという気持ちがどんどん膨らんで…もう抑えられなかった。

「はぁ――――。どうしてそんな可愛いこと言うんだ…もう、大人の余裕なんてかなぐり捨てるぞ」

緩む口元を手で覆うセドリックの様子に、自分でお願いしておきながら急に恥ずかしくなり俯く。


「おいで」

差し伸べられた手を取ると優しく引かれ、すんなりと彼の胸の中に納まる。
見上げると、額に優しくキスをくれる。
ぎゅうぅっと抱きしめられ求めていた彼の温もりを感じほっと息を吐く。

「はぁ。やっとだ……やっと君を手に入れた。もう離さないから」

耳元で熱い吐息と共に呟かれ心臓が跳ねる。

顎も持ち上げられ唇が重なると、ぬるりと押し入ってきた舌は縦横無尽に口内を動きまわり舌を絡ませ吸い上げてくる。

キスをしながら、器用な手つきでワンピースを脱がされ、あれよあれよという間に下着まで取り去らわれていた。

一糸まとわぬ姿でベッドの上に転がされる。

彼もまた同じ姿で私の上に跨り顔の両側に肘をつく。唇から頬、耳、首筋にとキスが降りて行く。

胸元で不意に動きが止まり、熱を孕んだ瞳が細められる。

「着やせするタイプ?想像以上だ…堪らないな」

彼の熱い息が胸の先端にかかるだけでぞくぞくと快感が背中を走る。

柔らかくざらついた舌が胸の先端の周りをくるりくるりと円を描くように舐めまわす。
じれったくなり身もだえると大きな手で二つのふくらみをぐいっと持ち上げ舐めやすい位置に固定されて先端を下からぺろんと舐め上げられた。

「ひっ……」

舌先でぐりぐりと敏感な先端を押し込まれると、やっと貰えた刺激に自分のものとは思えない甘い声が溢れる。

「――――あっあ…んん」

ぱくっと先端に齧り付くと強く吸い上げられ、ぴくぴくと小さく体が痙攣する。

「ひ…ぁあ‥‥やぁ」

口に含んだまま舌先で上下左右に弾かれ、もう片方の先端も指で執拗に弾かれ摘ままれる。じわじわと蓄積されていく快感に身悶えるしかない。

「胸だけで一回いっておく?」

じゅるじゅると吸われ先端を甘噛みされるとびくんと大きく腰が跳ねてしまい。その拍子にこぷりと蜜口から熱いものが溢れてしまった。

「ふふ。ちゃんといけたね。ああ、蕩けちゃってるその表情…可愛い」

硬くなり彼の唾液で濡れ、色を濃くした先端にちゅっとキスを一つ落とすと、臍までツツーッと舌先が這う。

「つっ…ひゃぁ…」

擽ったさと同時に子宮が疼く。身を捩るとその隙に私の足の間に彼の体が入り両足を閉じることも出来ない。

体を起こし膝立ちになったセドリックは私の膝裏に手を入れ両足を大きく開かせた。恥ずかしい状態のまま身動きもできず。またも彼の熱い視線に晒される。

「あっ、…やぁ…こんな…」

「アレッサは感じやすいな。もうこんなに濡らして」

指先で溢れた蜜を掬う。

「まだ痛みがあるといけない。念の為…もっと…とろとろに気持ち良くしてあげる」

にやりと口元が弧を描いた。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

魔力なしと虐げられた令嬢は孤高の騎士団総長に甘やかされる

橋本彩里(Ayari)
恋愛
五歳で魔力なしと判定され魔力があって当たり前の貴族社会では恥ずかしいことだと蔑まれ、使用人のように扱われ物置部屋で生活をしていた伯爵家長女ミザリア。 十六歳になり、魔力なしの役立たずは出て行けと屋敷から追い出された。 途中騎士に助けられ、成り行きで王都騎士団寮、しかも総長のいる黒狼寮での家政婦として雇われることになった。 それぞれ訳ありの二人、総長とミザリアは周囲の助けもあってじわじわ距離が近づいていく。 命を狙われたり互いの事情やそれにまつわる事件が重なり、気づけば総長に過保護なほど甘やかされ溺愛され……。 孤高で寡黙な総長のまっすぐな甘やかしに溺れないようにとミザリアは今日も家政婦業に励みます! ※R15については暴力や血の出る表現が少々含まれますので保険としてつけています。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

清廉潔白な神官長様は、昼も夜もけだもの。

束原ミヤコ
恋愛
ルナリア・クリーチェは、没落に片足突っ込んだ伯爵家の長女である。 伯爵家の弟妹たちのために最後のチャンスで参加した、皇帝陛下の花嫁選びに失敗するも、 皇帝陛下直々に、結婚相手を選んで貰えることになった。 ルナリアの結婚相手はレーヴェ・フィオレイス神官長。 レーヴェを一目見て恋に落ちたルナリアだけれど、フィオレイス家にはある秘密があった。 優しくて麗しくて非の打ち所のない美丈夫だけれど、レーヴェは性欲が強く、立場上押さえ込まなければいけなかったそれを、ルナリアに全てぶつける必要があるのだという。 それから、興奮すると、血に混じっている九つの尻尾のある獣の神の力があふれだして、耳と尻尾がはえるのだという。 耳と尻尾がはえてくる変態にひたすら色んな意味で可愛がられるルナリアの話です。

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

処理中です...