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13 診断結果
しおりを挟む体調も回復し、授業に復帰していたアレッサは、魔力診断の結果を聞くため呼び出された。
そこは最高位神官であるクレメント神官の書斎だった。
正面には立派な白髭の威厳ある老紳士が座っていた。小さな丸眼鏡の奥にある瞳は、高齢で瞼が落ちているにも拘らず放たれる眼光は鋭い。そして、その鋭い眼光はアレッサ一点に注がれていた。
右横にはセドリックと検査官の男性が並び、左隣にはシェノビアの姿もある。
セドリックの姿を確認しドキリとする。思わずその唇に目が行ってしまい慌てて視線を落とした。
「アレッサ・ヴァルダーゼ、君の魔力診断の結果が出たようじゃ。検査官から説明してもらう」
クレメント神官の視線を受け、コホンと咳払いをした神経質そうな検査官が一歩前に出た。
「アレッサ嬢の魔力診断の結果です。魔法属性は攻撃魔法に特化しております。これは巫女になる者の殆どが回復魔法や防御魔法に特化していることを考えると、非常に稀な属性といえます」
検査官が手に持っていた資料をぺらりと一枚めくり、さらに続けた。
「魔力量ですが…歴代の巫女達の中でもトップレベルの多さであり、長い歴史の中でも同等の数値をたたき出した人物は過去に一人だけ。シャロン・コードー侯爵令嬢……アレッサ嬢の母君です。娘であるアレッサ嬢が、その血と共に才能を受け継ぐのは至極自然なことであり、これは予想通りの結果とも言えるでしょう。診断前に巫女に決定したのは賢明な判断でした」
クレメント神官は小さな丸眼鏡を指で押し上げ、椅子の背もたれにゆっくりと背を預けた。
「素晴らしい結果じゃが……手放しでは喜べないのぉ。君の力は強大なのに、その魔力を使いこなせる技術が備わっていない。今まで魔力を抑え続けることしかしてこなかったが故に、魔力をコントロールすることに慣れていないのじゃ。早急に、その魔力を自在にコントロールする術を学び身につけることが必要じゃ。コントロールする術を持たない者が強力な魔力を保持しているのは大変危険なことなのじゃよ」
白く長い顎髭を撫でながら続ける。
「そこで、シェノビアに君の魔力コントロール教育を担ってもらうことにした。シェノビアは巫女達の攻撃魔法の授業も受け持っているし適任であろう」
クレメント神官は、ちらりと横に並ぶシェノビアに視線を送る。
「アレッサ。これからは私の生徒となるわけですから、他の生徒同様に敬称は付けずに呼ばせていただきますね。早速、今日から放課後は必ず私の指導を受けること。いいですね、あなた自身の身の安全の為でもあるのですから真摯に取り組んでください」
シェノビアは優しく微笑んでいるが目の奥は笑っていない。
私に拒否権などあるはずもない。
「…………はい、よろしくお願いします」
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