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縁側で
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縁側に腰かけて、小さな庭を飛ぶ黄色の蝶を目で追う。蝶は、僕が毎日水をやっている草木の間をふわふわと飛び回る。
家の廊下の方から、ぱたぱたと一人分の足音がやってきて「憐さん」と、困ったような声で呼ぶ。
「あの人は?もう、帰ったの?」
僕は膝の上で両手を強く握って、縁側の外へ投げ出した足を大きく揺らす。
「慶一なら、あの建て付けの悪い玄関扉を乱暴に閉めて帰っていきましたよ」
隆文が僕の隣に膝を折って腰掛け、僕が膝の上で握った右手を手にとった。先ほど、僕が慶一に向かってマッチ箱を投げつけたほうの手だ。
「隆文、怒ってる?」
「いいえ、まさか。怒っていませんよ」
隆文は僕の握った指をゆっくりと広げて、指をからませるように手をつなぐ。物を投げるなんて、行儀の悪いことをしたとは思ってる。
でも慶一は、休日の朝から、ずかずかと家にあがりこんできて、隆文の作った朝ごはんを食べ、その後で煙草を吸おうとして自分は椅子にふんぞり返ったまま隆文に火をつけろと命令した。
自分の煙草の火くらい自分でつければいいだけの話だし、隆文は慶一の使用人じゃない。
「憐さんこそ、怒っているんですか?」
隆文がつないだ手を揺らしながら尋ねる。
「……隆文のせいだよ。せっかく、隆文のお仕事が休みの日に」
隆文は週に五日も近くの料理屋で働いている。一日中一緒に居られるのは、お休みの日だけなのに。
「慶一とはまだ家のことで話し合わなければいけないことが沢山あるので。それに、慶一にとっては私が唯一の家族ですから……」
「家族って。あの人には下心しかないよ」
慶一が、隆文を見ているときの目を見ればわかる。そういうお店で、何年働いたと思ってるんだ。
僕の見立てのほうが正しいに決まっている。
「そうでしょうか。もう私に興味があるようには思えないのですが……。私たち二人に干渉しすぎ気はしますが」
「ほら……」
「でも慶一がどうであれ、私にはもう憐さんしか見えません」
つないでいた手を開いて、隆文が僕の手のひらに口付ける。隆文の唇が触れた肌に、じんわりと痺れるような感覚が広がる。
「それに…こんなことをしたいと思うのも、憐さんだけです」
隆文が唇を手の平から腕へと滑らせながら、僕を後ろへ押し倒す。
「隆文…っ。ちょっと……こんな明るい、とこで…っ、嫌だよ…っ」
腕から頬へと移動した唇を片手で防ぎながら僕は声を振り絞ったが隆文は首をふり、
「憐さんの泣き顔も、恥ずかしがる顔も、気持ちいい顔も、ぜんぶ見せてください」
と、言って微笑む。
隆文が買ってくれた僕のお気に入りの浴衣の襟が大きく開かれる。
隆文が僕に覆いかぶさって舌を絡めるキスをしながら、片手で乳首をつまむ。きゅ、っと一度力をこめられたあと指が離れて、指の先が乳首の周りをやさしく撫でる。
「……ぁっ、……っ」
隆文の指が乳首の先端をかすめるたびに、熱が溜まっていく。キスをしていた唇が離れて、喉を滑って鎖骨に落ちる。
円を描いていた指が止まって、今度は乳首を広げた指と指の間にはさむ。隆文は指の付け根も乳首に押し当てて、上下に擦るように手を動かす。
「ぁ…っ、ぁっ…ぁぁっ、ぁっ」
「撫でるのも擦るのも、気持ちいいですか?」
僕はこくこくと頷く。
「でも、憐さんは少し痛いほうがもっと好きですよね」
隆文がそう言って、散々指で弄っていたほうの乳首に唇を押し当て歯をたてる。
「ぁあっ…!」
わずかな痛みに、腰がびくんとはねる。隆文は片方の乳首を噛みながら、もう片方をまた指で弄り始める。
「あぁっ……っ、っ……」
隆文の舌の動きにあわせて、片方の指も動く。押しつぶすように転がされ、歯をたてるのと同時に爪の先でつままれる。
「やだ…、っ…も、う乳首嫌…っ」
隆文に乳首を弄られただけで、こんなに感じてしまう自分が恥ずかしい。
「そうですか。…憐さんがそう言うなら」
と、隆文は今度はさらに下へと唇をすべらせる。浴衣の帯をほどき、前をすべて開くと、乳首を弄られただけで膨らみ始めたペニスがそそり勃つ。
「ぁ……っ」
隆文がペニスの根元へキスをして、それから僕の足を大きく開かせ露わになった蕾に舌を這わせた。
「…っ、ん…っ…」
蕾を舐める、くちゅくちゅという音が響く。ぬるりと舌先が、蕾の中に挿しこまれて、開かれた両足が震える。
「ぁ…っ、あっ……」
柔らかい舌が内壁を押し開くのを感じる。口から唾液が溢れておちる。
「やだ、たかふみ……っ舐めるの……っ、やだっ……ぁっ」
「…っ、憐さん。いやいやばかりでは…っ、困りますね」
隆文が僕の太ももに唇を押し当てたあと、汗のにじんだ顔をあげる。
「だって……っ、僕ばっかり…っは、いやっ」
「本当に、嫌なんですか?」
パシン、と軽い力でお尻を叩かれる。
「あぁ……っ」
甘い声が漏れる。ほぼ触れるだけの軽い力で叩かれると、じわっと痛みが広がって身体がぞくぞくする。パンッ、ともう一度叩かれて「いやっあぁ」と声をあげる。
「叩くの、嫌ぁっ」
僕が首をふりながら言うと、隆文が「本当ですか?」と言って、手を離すかと思いきや、いきなり左手の人差し指と中指を蕾の中に突き挿れる。
「ゃっ……な、に…?」
パンッ、パンッ、と右手でまたお尻を叩かれる。
「ぁっ……っ、あっぁっっ……」
隆文がくすりと笑い声をあげた。
「憐さんの身体は正直ですね。指を締め付けているのが分かりますか」
「……っ、……隆文の、ばかぁっ……」
さらに連続して手のひらが落ちてきて、その度に隆文の指を強く感じる。
「あっぁっ……あぁぁっっ…んんんっっ」
両手で顔を覆うと、すぐに隆文の手に払われる。
「ちゃんと、私を見ていてください」
隆文がやっと左手の指を抜いて、そのままズボンのチャックを下ろした。膨らんだ、隆文のペニスが見える。
「もう…っ、挿れる…っ?」
隆文が首を振って、僕の両足をさらに上へと持ち上げ、股にペニスを押し当てた。
「擦って、気持ちよくなりましょう」
ずるずる、と股から尻の間にかけて、隆文のペニスが押し当てられたまま動かされる。
「ぁぁっ…あぁっ……」
隆文の膨らんだペニスの先端からとろとろと透明の液がながれて、濡れたペニスが僕の蕾を霞めるたびに、奥のほうがびくびくと震えてきゅっと締まる。
いつも挿入されてしまったら、頭が全部の快感に支配されてしまうが、今は腰を動かす隆文の感じている顔が、よく見える。
「あぁぁ、……っ、あぁぁっ」
「憐さん、もう…っ、もう、いいですか……っ?」
僕が頷く。擦ってさらに膨らんだ隆文のペニスが、僕の蕾に押し当てられる。
「ん、ぁっ……あっぁぁぁあんっっ」
今日の隆文はいつもよりさらに余裕なく、勢いにまかせて突き挿れた。奥深くまでぎちぎちに押し広げられて、隆文のモノを強く締め付けている。
「ああぁぁぁっ!…あぁぁんっ!…ぁぁっ…っ!」
隆文が腰をふって、さらに深く押し入ろうとする。隆文の荒い息遣いが聞こえる。
「もう…っ、もうっぁぁあ」
ぐいっ、ぐいっ、と突かれると肌と肌がぶつかる音がする。
「無理、無理っぁぁっ…」
両目から涙が溢れる。こぼれた涙を、いきなり覆いかぶさってきた隆文が舌で舐める。
「あぁぁ、あぁぁぁっ、ぁぁああああああっ!!!!」
突き入れられたまま腰を揺らされて、僕のほうが先にイく。
真っ白になった頭で、白濁液を溢れさせるペニスがびくびくと震えるのと同時に、突っ込まれた中の隆文のペニスが震えて次に熱い液体が中にも広がったのを感じた。
「憐さん、今日は少しだけ驚かせることがあるんです」
行為のあと、いつも隆文はどこにそんな体力が残っているのかと驚いてしまうほど軽々と、僕を抱えて風呂場に連れていく。
「驚かせることって……」
風呂場の前で降ろされた僕は、訝しみながら扉をひらく。お湯のたまった木の浴槽に、ぱぁっとピンク色の花びらが広がっている。
「なんの花?」
僕が声を弾ませると、
「桃の花です」
隆文が浴槽に浮いた、花を一輪掬いとって、僕の手にのせる。
桃色の花びらは幾重にも重なって開き一輪の花になっている。
隆文に気の済むまで僕の身体を洗わせて、それから二人で一緒に桃の花の浮いたお湯につかった。
僕は隆文の胸に頭をのせて寄りかかるようにして座る。隆文の手が、僕の胸のあたりをかすめて僕の肩にゆっくりとお湯をかけた。
「隆文は、ときどき意地悪だよね」
僕がつぶやいた言葉に「そんなつもりは、ありませんよ」と、答えた隆文の声にわずかに笑いが滲んでいるのを僕は聞き逃さなかった。
「いま、嘘ついたでしょ」
指摘すると、隆文が微かに笑い声をあげる。
「私が少しだけ意地悪するとみせる、あなたの困った顔も可愛くて大好きなんです」
隆文が耳元で囁き、僕を後ろから抱きしめる。
湯船に浮かんだ桃の花が揺れ、ほんのりと優しい香りが広がった。
家の廊下の方から、ぱたぱたと一人分の足音がやってきて「憐さん」と、困ったような声で呼ぶ。
「あの人は?もう、帰ったの?」
僕は膝の上で両手を強く握って、縁側の外へ投げ出した足を大きく揺らす。
「慶一なら、あの建て付けの悪い玄関扉を乱暴に閉めて帰っていきましたよ」
隆文が僕の隣に膝を折って腰掛け、僕が膝の上で握った右手を手にとった。先ほど、僕が慶一に向かってマッチ箱を投げつけたほうの手だ。
「隆文、怒ってる?」
「いいえ、まさか。怒っていませんよ」
隆文は僕の握った指をゆっくりと広げて、指をからませるように手をつなぐ。物を投げるなんて、行儀の悪いことをしたとは思ってる。
でも慶一は、休日の朝から、ずかずかと家にあがりこんできて、隆文の作った朝ごはんを食べ、その後で煙草を吸おうとして自分は椅子にふんぞり返ったまま隆文に火をつけろと命令した。
自分の煙草の火くらい自分でつければいいだけの話だし、隆文は慶一の使用人じゃない。
「憐さんこそ、怒っているんですか?」
隆文がつないだ手を揺らしながら尋ねる。
「……隆文のせいだよ。せっかく、隆文のお仕事が休みの日に」
隆文は週に五日も近くの料理屋で働いている。一日中一緒に居られるのは、お休みの日だけなのに。
「慶一とはまだ家のことで話し合わなければいけないことが沢山あるので。それに、慶一にとっては私が唯一の家族ですから……」
「家族って。あの人には下心しかないよ」
慶一が、隆文を見ているときの目を見ればわかる。そういうお店で、何年働いたと思ってるんだ。
僕の見立てのほうが正しいに決まっている。
「そうでしょうか。もう私に興味があるようには思えないのですが……。私たち二人に干渉しすぎ気はしますが」
「ほら……」
「でも慶一がどうであれ、私にはもう憐さんしか見えません」
つないでいた手を開いて、隆文が僕の手のひらに口付ける。隆文の唇が触れた肌に、じんわりと痺れるような感覚が広がる。
「それに…こんなことをしたいと思うのも、憐さんだけです」
隆文が唇を手の平から腕へと滑らせながら、僕を後ろへ押し倒す。
「隆文…っ。ちょっと……こんな明るい、とこで…っ、嫌だよ…っ」
腕から頬へと移動した唇を片手で防ぎながら僕は声を振り絞ったが隆文は首をふり、
「憐さんの泣き顔も、恥ずかしがる顔も、気持ちいい顔も、ぜんぶ見せてください」
と、言って微笑む。
隆文が買ってくれた僕のお気に入りの浴衣の襟が大きく開かれる。
隆文が僕に覆いかぶさって舌を絡めるキスをしながら、片手で乳首をつまむ。きゅ、っと一度力をこめられたあと指が離れて、指の先が乳首の周りをやさしく撫でる。
「……ぁっ、……っ」
隆文の指が乳首の先端をかすめるたびに、熱が溜まっていく。キスをしていた唇が離れて、喉を滑って鎖骨に落ちる。
円を描いていた指が止まって、今度は乳首を広げた指と指の間にはさむ。隆文は指の付け根も乳首に押し当てて、上下に擦るように手を動かす。
「ぁ…っ、ぁっ…ぁぁっ、ぁっ」
「撫でるのも擦るのも、気持ちいいですか?」
僕はこくこくと頷く。
「でも、憐さんは少し痛いほうがもっと好きですよね」
隆文がそう言って、散々指で弄っていたほうの乳首に唇を押し当て歯をたてる。
「ぁあっ…!」
わずかな痛みに、腰がびくんとはねる。隆文は片方の乳首を噛みながら、もう片方をまた指で弄り始める。
「あぁっ……っ、っ……」
隆文の舌の動きにあわせて、片方の指も動く。押しつぶすように転がされ、歯をたてるのと同時に爪の先でつままれる。
「やだ…、っ…も、う乳首嫌…っ」
隆文に乳首を弄られただけで、こんなに感じてしまう自分が恥ずかしい。
「そうですか。…憐さんがそう言うなら」
と、隆文は今度はさらに下へと唇をすべらせる。浴衣の帯をほどき、前をすべて開くと、乳首を弄られただけで膨らみ始めたペニスがそそり勃つ。
「ぁ……っ」
隆文がペニスの根元へキスをして、それから僕の足を大きく開かせ露わになった蕾に舌を這わせた。
「…っ、ん…っ…」
蕾を舐める、くちゅくちゅという音が響く。ぬるりと舌先が、蕾の中に挿しこまれて、開かれた両足が震える。
「ぁ…っ、あっ……」
柔らかい舌が内壁を押し開くのを感じる。口から唾液が溢れておちる。
「やだ、たかふみ……っ舐めるの……っ、やだっ……ぁっ」
「…っ、憐さん。いやいやばかりでは…っ、困りますね」
隆文が僕の太ももに唇を押し当てたあと、汗のにじんだ顔をあげる。
「だって……っ、僕ばっかり…っは、いやっ」
「本当に、嫌なんですか?」
パシン、と軽い力でお尻を叩かれる。
「あぁ……っ」
甘い声が漏れる。ほぼ触れるだけの軽い力で叩かれると、じわっと痛みが広がって身体がぞくぞくする。パンッ、ともう一度叩かれて「いやっあぁ」と声をあげる。
「叩くの、嫌ぁっ」
僕が首をふりながら言うと、隆文が「本当ですか?」と言って、手を離すかと思いきや、いきなり左手の人差し指と中指を蕾の中に突き挿れる。
「ゃっ……な、に…?」
パンッ、パンッ、と右手でまたお尻を叩かれる。
「ぁっ……っ、あっぁっっ……」
隆文がくすりと笑い声をあげた。
「憐さんの身体は正直ですね。指を締め付けているのが分かりますか」
「……っ、……隆文の、ばかぁっ……」
さらに連続して手のひらが落ちてきて、その度に隆文の指を強く感じる。
「あっぁっ……あぁぁっっ…んんんっっ」
両手で顔を覆うと、すぐに隆文の手に払われる。
「ちゃんと、私を見ていてください」
隆文がやっと左手の指を抜いて、そのままズボンのチャックを下ろした。膨らんだ、隆文のペニスが見える。
「もう…っ、挿れる…っ?」
隆文が首を振って、僕の両足をさらに上へと持ち上げ、股にペニスを押し当てた。
「擦って、気持ちよくなりましょう」
ずるずる、と股から尻の間にかけて、隆文のペニスが押し当てられたまま動かされる。
「ぁぁっ…あぁっ……」
隆文の膨らんだペニスの先端からとろとろと透明の液がながれて、濡れたペニスが僕の蕾を霞めるたびに、奥のほうがびくびくと震えてきゅっと締まる。
いつも挿入されてしまったら、頭が全部の快感に支配されてしまうが、今は腰を動かす隆文の感じている顔が、よく見える。
「あぁぁ、……っ、あぁぁっ」
「憐さん、もう…っ、もう、いいですか……っ?」
僕が頷く。擦ってさらに膨らんだ隆文のペニスが、僕の蕾に押し当てられる。
「ん、ぁっ……あっぁぁぁあんっっ」
今日の隆文はいつもよりさらに余裕なく、勢いにまかせて突き挿れた。奥深くまでぎちぎちに押し広げられて、隆文のモノを強く締め付けている。
「ああぁぁぁっ!…あぁぁんっ!…ぁぁっ…っ!」
隆文が腰をふって、さらに深く押し入ろうとする。隆文の荒い息遣いが聞こえる。
「もう…っ、もうっぁぁあ」
ぐいっ、ぐいっ、と突かれると肌と肌がぶつかる音がする。
「無理、無理っぁぁっ…」
両目から涙が溢れる。こぼれた涙を、いきなり覆いかぶさってきた隆文が舌で舐める。
「あぁぁ、あぁぁぁっ、ぁぁああああああっ!!!!」
突き入れられたまま腰を揺らされて、僕のほうが先にイく。
真っ白になった頭で、白濁液を溢れさせるペニスがびくびくと震えるのと同時に、突っ込まれた中の隆文のペニスが震えて次に熱い液体が中にも広がったのを感じた。
「憐さん、今日は少しだけ驚かせることがあるんです」
行為のあと、いつも隆文はどこにそんな体力が残っているのかと驚いてしまうほど軽々と、僕を抱えて風呂場に連れていく。
「驚かせることって……」
風呂場の前で降ろされた僕は、訝しみながら扉をひらく。お湯のたまった木の浴槽に、ぱぁっとピンク色の花びらが広がっている。
「なんの花?」
僕が声を弾ませると、
「桃の花です」
隆文が浴槽に浮いた、花を一輪掬いとって、僕の手にのせる。
桃色の花びらは幾重にも重なって開き一輪の花になっている。
隆文に気の済むまで僕の身体を洗わせて、それから二人で一緒に桃の花の浮いたお湯につかった。
僕は隆文の胸に頭をのせて寄りかかるようにして座る。隆文の手が、僕の胸のあたりをかすめて僕の肩にゆっくりとお湯をかけた。
「隆文は、ときどき意地悪だよね」
僕がつぶやいた言葉に「そんなつもりは、ありませんよ」と、答えた隆文の声にわずかに笑いが滲んでいるのを僕は聞き逃さなかった。
「いま、嘘ついたでしょ」
指摘すると、隆文が微かに笑い声をあげる。
「私が少しだけ意地悪するとみせる、あなたの困った顔も可愛くて大好きなんです」
隆文が耳元で囁き、僕を後ろから抱きしめる。
湯船に浮かんだ桃の花が揺れ、ほんのりと優しい香りが広がった。
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こちらにもコメントありがとうございます!!
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