17 / 43
17.戦後処理と新たな仲間の噂
しおりを挟む
まもなく僕は、ブリジット小隊長と、彼女の上司である中隊長に直談判していた。
理由はもちろん、僕の撃墜数を全てイネスに譲るためだ。
話を聞いた中隊長は、とても困った顔をしている。
「長年、隊長をしているけど……こんなことを言われたのは初めてだよ……」
「あくまで、僕はオマケなんです」
「いや、でも……ペガサスたちは、君が倒したと証言しているし……」
僕は更に篤く、なぜイネスに撃墜数を譲るべきなのかを語ることにした。
今は確かに人間なのだが、戦っている時はウマである。
ウマが敵の天馬騎士を蹴り倒した時も、騎士の撃墜と判定されるのだから、僕のケースもそうすべき。
中隊長は、難しい顔をしたまま唸った。
「君の言っていることは、わかるような気もするが……人間がウマ変身した時は、例外規定が適用されるんだよ」
「では、リュド&イネスという形で公表しては?」
ブリジット小隊長が提案すると、中隊長はおっ……と言いたそうに口を開いてから、ブリジットを見た。
「その手があったね……常に一緒に行動しているのだから、今度からそうしよう!」
こうして、僕とイネスの撃墜スコアは、まとめて張り出されることになったが、個人的には名前の並び方が気に入らない。
「…………」
騎士はイネスなんだから、イネス&リュドではないだろうか。なんだかモヤモヤするが、これ以上直談判してもうるさい奴と思われるだけだろうしなぁ……
しょうがない。我慢しよう。
とにかく、イネス&リュドのペアは、敵天馬騎士3騎を撃墜し、2騎を墜落させるという、初心者にしては上出来な戦果を挙げた。
そして僕自身も、背中の数字をチェックすると、レベルも28まで上がり、ステータスもたくましくなっている。
鏡で背中を見てみると、こんな感じだった。
名前:リュドヴィック
種族:ヒューマン16歳
アビリティA:ユニコーンケンタウロス
アビリティB:メンタルタイマー
レベル 28
HP 381 / 381
LP 5 / 5
MP 114 / 251
だいぶMPも増えて融通が利くようになったと喜んでいると、ちょうどイネスもやってきた。
「お兄ちゃん、自分のステータスを見てるの?」
「ああ、自分の実力はよく理解しておかないとな」
そう伝えると、イネスも頷く。
「ちなみに、私はこんな感じだよ」
おいおい、とは思ったがここは自宅なので、まあ誰が見ているわけでもないからいいか。
彼女の背中には、こんなことが書かれていた。
名前:イネス
種族:ウィーフ15歳
アビリティA:フライング
レベル 27
HP 272 / 272
LP 4 / 4
MP 215 / 334
その数値を見て、すぐに成長率の違いがあることが理解できた。
イネスのような有翼人の場合、1レベル上がることに得られるHP増加ポイントは2。そしてMP増加ポイントは4という感じだ。
つまり、元のステータスは、HP220、MP230ということになる。
僕の1レベルのステータスが、HP300、MP170だったので、種族や性別によってだいぶ能力に違いがあることに驚かされる。
僕がそんなことを考えていたら、イネスが気になることを口にした。
「そういえば、お兄ちゃんは聞いてるかな?」
「聞いてるって……何をだい?」
「ブリジットが言っていたんだけど、私たちの部隊に新しい天馬騎士が配属されるらしいよ」
ああ、それは僕も隊長から聞いている。
「ああ、確か……南の島に住んでいたというエルフの天馬騎士だったね」
そう伝えると、イネスも頷いた。
「そうそう。前にお兄ちゃんがゲットした5頭のペガサスのうち、2頭がオスだったからね。そのうちの1頭が、その天馬騎士とペアを組むことになったみたい」
その話も隊長から聞いている。
確か5頭のうち、3頭がメスだったのだけど、本人たちが子供を産んで育てることを希望したため、内地にある繁殖用の牧場へと向かったという。
まあ、オスは仕事をしなければならないというのは僕たち人間と同じだ。
「しかし、オスもよく軍馬になることを認めたよね。野生馬として生きた方が戦場に行かずに済むのに……」
そう伝えると、イネスは苦笑しながら答えた。
「私もそう思ったんだけど、オスのペガサスの話では、普段から天馬騎士に色々な世話をしてもらえるし、中には牝天馬持ちの騎士さんもいるんだって」
なるほど。
どうやら、戦いに参加しているオス天馬は、豊かな生活と奥さんを手に入れるために戦っているということか。何だか妙に納得した。
【天馬騎士隊の中隊長】
理由はもちろん、僕の撃墜数を全てイネスに譲るためだ。
話を聞いた中隊長は、とても困った顔をしている。
「長年、隊長をしているけど……こんなことを言われたのは初めてだよ……」
「あくまで、僕はオマケなんです」
「いや、でも……ペガサスたちは、君が倒したと証言しているし……」
僕は更に篤く、なぜイネスに撃墜数を譲るべきなのかを語ることにした。
今は確かに人間なのだが、戦っている時はウマである。
ウマが敵の天馬騎士を蹴り倒した時も、騎士の撃墜と判定されるのだから、僕のケースもそうすべき。
中隊長は、難しい顔をしたまま唸った。
「君の言っていることは、わかるような気もするが……人間がウマ変身した時は、例外規定が適用されるんだよ」
「では、リュド&イネスという形で公表しては?」
ブリジット小隊長が提案すると、中隊長はおっ……と言いたそうに口を開いてから、ブリジットを見た。
「その手があったね……常に一緒に行動しているのだから、今度からそうしよう!」
こうして、僕とイネスの撃墜スコアは、まとめて張り出されることになったが、個人的には名前の並び方が気に入らない。
「…………」
騎士はイネスなんだから、イネス&リュドではないだろうか。なんだかモヤモヤするが、これ以上直談判してもうるさい奴と思われるだけだろうしなぁ……
しょうがない。我慢しよう。
とにかく、イネス&リュドのペアは、敵天馬騎士3騎を撃墜し、2騎を墜落させるという、初心者にしては上出来な戦果を挙げた。
そして僕自身も、背中の数字をチェックすると、レベルも28まで上がり、ステータスもたくましくなっている。
鏡で背中を見てみると、こんな感じだった。
名前:リュドヴィック
種族:ヒューマン16歳
アビリティA:ユニコーンケンタウロス
アビリティB:メンタルタイマー
レベル 28
HP 381 / 381
LP 5 / 5
MP 114 / 251
だいぶMPも増えて融通が利くようになったと喜んでいると、ちょうどイネスもやってきた。
「お兄ちゃん、自分のステータスを見てるの?」
「ああ、自分の実力はよく理解しておかないとな」
そう伝えると、イネスも頷く。
「ちなみに、私はこんな感じだよ」
おいおい、とは思ったがここは自宅なので、まあ誰が見ているわけでもないからいいか。
彼女の背中には、こんなことが書かれていた。
名前:イネス
種族:ウィーフ15歳
アビリティA:フライング
レベル 27
HP 272 / 272
LP 4 / 4
MP 215 / 334
その数値を見て、すぐに成長率の違いがあることが理解できた。
イネスのような有翼人の場合、1レベル上がることに得られるHP増加ポイントは2。そしてMP増加ポイントは4という感じだ。
つまり、元のステータスは、HP220、MP230ということになる。
僕の1レベルのステータスが、HP300、MP170だったので、種族や性別によってだいぶ能力に違いがあることに驚かされる。
僕がそんなことを考えていたら、イネスが気になることを口にした。
「そういえば、お兄ちゃんは聞いてるかな?」
「聞いてるって……何をだい?」
「ブリジットが言っていたんだけど、私たちの部隊に新しい天馬騎士が配属されるらしいよ」
ああ、それは僕も隊長から聞いている。
「ああ、確か……南の島に住んでいたというエルフの天馬騎士だったね」
そう伝えると、イネスも頷いた。
「そうそう。前にお兄ちゃんがゲットした5頭のペガサスのうち、2頭がオスだったからね。そのうちの1頭が、その天馬騎士とペアを組むことになったみたい」
その話も隊長から聞いている。
確か5頭のうち、3頭がメスだったのだけど、本人たちが子供を産んで育てることを希望したため、内地にある繁殖用の牧場へと向かったという。
まあ、オスは仕事をしなければならないというのは僕たち人間と同じだ。
「しかし、オスもよく軍馬になることを認めたよね。野生馬として生きた方が戦場に行かずに済むのに……」
そう伝えると、イネスは苦笑しながら答えた。
「私もそう思ったんだけど、オスのペガサスの話では、普段から天馬騎士に色々な世話をしてもらえるし、中には牝天馬持ちの騎士さんもいるんだって」
なるほど。
どうやら、戦いに参加しているオス天馬は、豊かな生活と奥さんを手に入れるために戦っているということか。何だか妙に納得した。
【天馬騎士隊の中隊長】
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
何故、わたくしだけが貴方の事を特別視していると思われるのですか?
ラララキヲ
ファンタジー
王家主催の夜会で婚約者以外の令嬢をエスコートした侯爵令息は、突然自分の婚約者である伯爵令嬢に婚約破棄を宣言した。
それを受けて婚約者の伯爵令嬢は自分の婚約者に聞き返す。
「返事……ですか?わたくしは何を言えばいいのでしょうか?」
侯爵令息の胸に抱かれる子爵令嬢も一緒になって婚約破棄を告げられた令嬢を責め立てる。しかし伯爵令嬢は首を傾げて問返す。
「何故わたくしが嫉妬すると思われるのですか?」
※この世界の貴族は『完全なピラミッド型』だと思って下さい……
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる