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18.急務となる戦力強化
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次鋒の2人が去ったことで、サファイアランスはより戦力不足に悩まされることとなった。
元々いた12人のギルド代表選手のうち、9人がチームを去っている状況だ。後から加わったジルーたちも、元から代表だったメンバーと比べて実力が劣るし、すぐに外部から戦力を迎え入れたい状況なのだが……
「やっぱりスポンサーも、グループBにいたときほど、予算を出してはくれないんだね」
そう聞くと、フォセットも困り顔で頷いた。
「はい。降格して見放されなかっただけ……有難いと思うべきかもしれません」
スポンサーたちは、次年度の活動費を2割カットという結論で落ち着いたようだ。これもかなり温情ある措置で、もし最終戦で1勝もできなければ、5割カットだったというから恐ろしい。
「ギルド内に、実力者とかは……いないよね?」
「はい。中層で活躍していたギルドメンバーが軒並み去ってしまいましたからね」
そうなると、やはり外部から呼ぶしか選択肢がなさそうだが、ギルド側は何か対策を考えているのだろうか。
「ギルド長やロランスさんは、何か対策を考えているのかい?」
「2人とも、知り合いを誘ったりはしてくれているようですが……難航しているようです」
「なるほど……」
ちなみにギルド長たちは、ギルドメンバーにも代表選手の勧誘への協力を働きかけており、もし主力クラスの使い手を見つけてきたら報奨金を出すと宣伝していた。
そのため、ジルーたちケモミミ3人娘や、Tランラなどは既に強い戦士に声をかけているそうだが、結果は振るわないという。まあ、主力級と言えば重戦士ムキムクラスになるので、上手く行かないのも分かる気がする。
「僕も管狐で探してみようか?」
そう提案すると、彼女は心配ないと言いたそうに微笑んだ。
「アテならあります。それよりもソラさんに、ご紹介したい場所があるんです」
「紹介したい場所?」
食事を終えてギルドの外へと出ると、フォセットは、ジルー、マーチル、ラックドナのケモミミ3人娘を連れて出てきた。これって、現在のサファイアランスの主力選手の半数以上が集結しているじゃないか。
「また……ダンジョンにでも行くのかい?」
「そういうわけではありません。ソラさんを私の故郷にご案内したのち、私たちで、知人に会う約束をしているのです」
「ああ、なるほど……」
どうやら僕に見せたいのは、ロランスやフォセットの故郷だったようだ。彼女たちの故郷ということはエルフの隠れ里だろうか。なんだか今から行くのが楽しみである。
「ちなみに、君たちの故郷に僕のような余所者が行っても問題はないのかい?」
「確かに外の世界の人は嫌がられますが、ソラさんはサファイアランスの代表選手ですから話は別です」
やはりエルフの里だけあり、多少の排他的な空気は残っているようだ。
間もなくフォセット隊は、先頭ジルー、2番手にフォセット、3番手に僕、4番手にラックドナ、最後尾マーチルという隊列で進みだした。個人的にはフォセットとラックドナは逆でもいいんじゃないかと思ったが、その意味は冒険者街の門を抜け、森の入り口まで来た時に理解できた。
「これから精霊の道を使います……皆さん、くれぐれも隊列から離れないようにお願いします」
僕たちの目の前には、無数の木々や下草が生い茂っていたが、フォセットが霊力を放出すると、木々から緑色の光のようなものが現れ、僕たちの前に空間の歪のような門が現れた。
「では、参りましょう」
精霊の道へと入ると、森の中の道という感じの場所に出たのだが、よく見ると地面はしっかりとしていた。霊力の見えない人では、普通の森の道と見分けがつかないかもしれない。
「フォセット」
「なんでしょう?」
「もし、精霊の道で君とはぐれたらどうなるんだい?」
「ケースは幾つか考えられます。一番運が良ければ出口に移動し、次に運が良ければ入り口に戻され、状況が比較的悪ければ森のどこかに取り残されます」
「最悪の場合は?」
そう聞くと、フォセットは少し意地悪な笑みを浮かべた。
「湖の上や岩の中に飛び込んだり、異界に入り込んでしまったという噂もあります……くれぐれもご注意ください」
「またまた御冗談を……と言い切れないのが、精霊の道の怖いところだよね」
ジルーの言葉を聞いて、ラックドナやマーチルも苦笑していた。
「とにかく、はぐれないようにすれば大丈夫!」
「わ、わかった」
【ツーノッパ地方の様子】
元々いた12人のギルド代表選手のうち、9人がチームを去っている状況だ。後から加わったジルーたちも、元から代表だったメンバーと比べて実力が劣るし、すぐに外部から戦力を迎え入れたい状況なのだが……
「やっぱりスポンサーも、グループBにいたときほど、予算を出してはくれないんだね」
そう聞くと、フォセットも困り顔で頷いた。
「はい。降格して見放されなかっただけ……有難いと思うべきかもしれません」
スポンサーたちは、次年度の活動費を2割カットという結論で落ち着いたようだ。これもかなり温情ある措置で、もし最終戦で1勝もできなければ、5割カットだったというから恐ろしい。
「ギルド内に、実力者とかは……いないよね?」
「はい。中層で活躍していたギルドメンバーが軒並み去ってしまいましたからね」
そうなると、やはり外部から呼ぶしか選択肢がなさそうだが、ギルド側は何か対策を考えているのだろうか。
「ギルド長やロランスさんは、何か対策を考えているのかい?」
「2人とも、知り合いを誘ったりはしてくれているようですが……難航しているようです」
「なるほど……」
ちなみにギルド長たちは、ギルドメンバーにも代表選手の勧誘への協力を働きかけており、もし主力クラスの使い手を見つけてきたら報奨金を出すと宣伝していた。
そのため、ジルーたちケモミミ3人娘や、Tランラなどは既に強い戦士に声をかけているそうだが、結果は振るわないという。まあ、主力級と言えば重戦士ムキムクラスになるので、上手く行かないのも分かる気がする。
「僕も管狐で探してみようか?」
そう提案すると、彼女は心配ないと言いたそうに微笑んだ。
「アテならあります。それよりもソラさんに、ご紹介したい場所があるんです」
「紹介したい場所?」
食事を終えてギルドの外へと出ると、フォセットは、ジルー、マーチル、ラックドナのケモミミ3人娘を連れて出てきた。これって、現在のサファイアランスの主力選手の半数以上が集結しているじゃないか。
「また……ダンジョンにでも行くのかい?」
「そういうわけではありません。ソラさんを私の故郷にご案内したのち、私たちで、知人に会う約束をしているのです」
「ああ、なるほど……」
どうやら僕に見せたいのは、ロランスやフォセットの故郷だったようだ。彼女たちの故郷ということはエルフの隠れ里だろうか。なんだか今から行くのが楽しみである。
「ちなみに、君たちの故郷に僕のような余所者が行っても問題はないのかい?」
「確かに外の世界の人は嫌がられますが、ソラさんはサファイアランスの代表選手ですから話は別です」
やはりエルフの里だけあり、多少の排他的な空気は残っているようだ。
間もなくフォセット隊は、先頭ジルー、2番手にフォセット、3番手に僕、4番手にラックドナ、最後尾マーチルという隊列で進みだした。個人的にはフォセットとラックドナは逆でもいいんじゃないかと思ったが、その意味は冒険者街の門を抜け、森の入り口まで来た時に理解できた。
「これから精霊の道を使います……皆さん、くれぐれも隊列から離れないようにお願いします」
僕たちの目の前には、無数の木々や下草が生い茂っていたが、フォセットが霊力を放出すると、木々から緑色の光のようなものが現れ、僕たちの前に空間の歪のような門が現れた。
「では、参りましょう」
精霊の道へと入ると、森の中の道という感じの場所に出たのだが、よく見ると地面はしっかりとしていた。霊力の見えない人では、普通の森の道と見分けがつかないかもしれない。
「フォセット」
「なんでしょう?」
「もし、精霊の道で君とはぐれたらどうなるんだい?」
「ケースは幾つか考えられます。一番運が良ければ出口に移動し、次に運が良ければ入り口に戻され、状況が比較的悪ければ森のどこかに取り残されます」
「最悪の場合は?」
そう聞くと、フォセットは少し意地悪な笑みを浮かべた。
「湖の上や岩の中に飛び込んだり、異界に入り込んでしまったという噂もあります……くれぐれもご注意ください」
「またまた御冗談を……と言い切れないのが、精霊の道の怖いところだよね」
ジルーの言葉を聞いて、ラックドナやマーチルも苦笑していた。
「とにかく、はぐれないようにすれば大丈夫!」
「わ、わかった」
【ツーノッパ地方の様子】
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