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20.お化けユニコーン試作機
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ホタルテントウ虫は、すっかり小生のことが気に行ったらしく、身体中にしがみついていた。
それぞれの大きさが、直径15センチから20センチくらいあるため、動かれると何だかくすぐったい。頼むからじっとしていてくれ。
「このテントウムシが、小さな虫しか食べなくて助かったよ」
「そうですね。この数を退治する……なんてことにでもなれば、かなり大変な作業になるところでした」
そう言いながら中央の広場に戻ると、ちょうど父親、母親、白毛オジサンが来ていた。
3人とも小生が頑張っているか見に来たという様子だったが、どちらも小生が巨大テントウ虫を身体に付けていたので表情を変えていく。
「て、でかいテントウムシだな……そんなにたくさん、どこで拾ってきた?」
「噂の場所だよ」
そう伝えるだけで、3頭は「ああ!」と察したようだ。確かにあそこは水の気が強いので、鼻の利く彼らからすれば、すぐに察しがつくのだろう。
「しかもね!」
小生はユニコーンホーンを現してから光らせると、身体にくっ付いていたテントウムシたちも次々と尻を光らせてコミュニケーションを取りはじめた。
もちろん、こんなものを見せたら、お父さんと白毛オジサンが興味を示さないはずがない。
「これ、ホタルテントウじゃないか!」
「うお~ 何だか、クリスマスツリーみたいでおもしれーな!」
白毛オジサンはテンションが上がったらしく、自分の角を光らせた。
すると、テントウムシたちは近づくどころが、怖がって小生の身体の影に隠れてしまった。小生の時には近づいてきたんだけど、これはどういうことなのだろう。
「あれ? 何で俺様に対抗意識を燃やさないんだ?」
「白い馬体が怖いのだろうな」
そう言いながら父親も角を光らせたが、こちらもテントウムシたちは怯えて小生のお腹とか、クビの下などに隠れてしまった。
「……どうやら、お父さんやオジサンのパワーでは強すぎて怖いみたいだね」
2人がユニコーンホーンを引っ込めたところで、小生が角を光らせると、ホタルテントウも次々と対抗するようにお尻を光らせて、小生の身体は身体中がピカピカと光っている。
それをみたお母さんは、にっこりと笑った。
「どうやら、ジュニアのことをボスだと思っているようですね」
「ボスは俺様だ!」
そう言いながらオジサンが角を光らせると、ホタルテントウはピタッと光るのをやめて隠れてしまった。
「なーんで隠れる! ミンミン言いながらシャウトしろ、このホタテン虫!」
「いや、セミでは……ないんだが……」
何だか、白毛オジサンのネーミングセンスは痺れるものがある。そう思いながら眺めていると、白毛オジサンは「むむ……?」と言いながら視線を上げた。
「ユニコーン司令部に入電! ピーピピピピ……緊急事態です。ホタルテントウが、ホタルテントウが、栗毛ジュニアを乗っ取っています! もう一度繰り返します……緊急事態です。ホタルテントウたちが、栗毛ジュニアに乗っ取られ、お父さんもお母さんも泣いております」
「ワケわからないことを言ってるんじゃない!」
白毛オジサンが元に戻ったところで、小生は真面目な顔をしながら伝えた。
「とにかく、謎の光の正体はこのホタルテントウたちだよ。このことを群れのみんなにも伝えて欲しい」
「なるほど……わかったが、これほど多くの変わった虫がいるとわかれば、仔馬辺りは興味を持つかもしれんな」
「ああ、とりあえずじゃりん子よ、お父さんとお母さんを泣かせるなよ?」
「わ、わかった……泣かすのはオジサンだけにしておくよ」
そう突っかかると、オジサンはにっこりと笑って小生の頭をモショモショとくすぐってきた。これはさすがにくすぐったい。
お父さんたちと別れると、小生は夕食代わりに野草を食んだが、西の空も真っ黒になったとき、野鳥が飛んできた。
『おい栗毛のにーちゃん!』
「どうしたんだい?」
『冒険者パーティーが、野宿を始めたぜ。それも……南西部の近くで!』
小生はすぐに青毛娘と顔を見合わせた。
あそこは森の動物たちの聖域と呼ぶべき場所だ。そんなところに土足で侵入でもされたら、たまったものではない。
「……どうにかして、追い払わないといけないようだね」
「ええ、私も出来る限り協力します」
それぞれの大きさが、直径15センチから20センチくらいあるため、動かれると何だかくすぐったい。頼むからじっとしていてくれ。
「このテントウムシが、小さな虫しか食べなくて助かったよ」
「そうですね。この数を退治する……なんてことにでもなれば、かなり大変な作業になるところでした」
そう言いながら中央の広場に戻ると、ちょうど父親、母親、白毛オジサンが来ていた。
3人とも小生が頑張っているか見に来たという様子だったが、どちらも小生が巨大テントウ虫を身体に付けていたので表情を変えていく。
「て、でかいテントウムシだな……そんなにたくさん、どこで拾ってきた?」
「噂の場所だよ」
そう伝えるだけで、3頭は「ああ!」と察したようだ。確かにあそこは水の気が強いので、鼻の利く彼らからすれば、すぐに察しがつくのだろう。
「しかもね!」
小生はユニコーンホーンを現してから光らせると、身体にくっ付いていたテントウムシたちも次々と尻を光らせてコミュニケーションを取りはじめた。
もちろん、こんなものを見せたら、お父さんと白毛オジサンが興味を示さないはずがない。
「これ、ホタルテントウじゃないか!」
「うお~ 何だか、クリスマスツリーみたいでおもしれーな!」
白毛オジサンはテンションが上がったらしく、自分の角を光らせた。
すると、テントウムシたちは近づくどころが、怖がって小生の身体の影に隠れてしまった。小生の時には近づいてきたんだけど、これはどういうことなのだろう。
「あれ? 何で俺様に対抗意識を燃やさないんだ?」
「白い馬体が怖いのだろうな」
そう言いながら父親も角を光らせたが、こちらもテントウムシたちは怯えて小生のお腹とか、クビの下などに隠れてしまった。
「……どうやら、お父さんやオジサンのパワーでは強すぎて怖いみたいだね」
2人がユニコーンホーンを引っ込めたところで、小生が角を光らせると、ホタルテントウも次々と対抗するようにお尻を光らせて、小生の身体は身体中がピカピカと光っている。
それをみたお母さんは、にっこりと笑った。
「どうやら、ジュニアのことをボスだと思っているようですね」
「ボスは俺様だ!」
そう言いながらオジサンが角を光らせると、ホタルテントウはピタッと光るのをやめて隠れてしまった。
「なーんで隠れる! ミンミン言いながらシャウトしろ、このホタテン虫!」
「いや、セミでは……ないんだが……」
何だか、白毛オジサンのネーミングセンスは痺れるものがある。そう思いながら眺めていると、白毛オジサンは「むむ……?」と言いながら視線を上げた。
「ユニコーン司令部に入電! ピーピピピピ……緊急事態です。ホタルテントウが、ホタルテントウが、栗毛ジュニアを乗っ取っています! もう一度繰り返します……緊急事態です。ホタルテントウたちが、栗毛ジュニアに乗っ取られ、お父さんもお母さんも泣いております」
「ワケわからないことを言ってるんじゃない!」
白毛オジサンが元に戻ったところで、小生は真面目な顔をしながら伝えた。
「とにかく、謎の光の正体はこのホタルテントウたちだよ。このことを群れのみんなにも伝えて欲しい」
「なるほど……わかったが、これほど多くの変わった虫がいるとわかれば、仔馬辺りは興味を持つかもしれんな」
「ああ、とりあえずじゃりん子よ、お父さんとお母さんを泣かせるなよ?」
「わ、わかった……泣かすのはオジサンだけにしておくよ」
そう突っかかると、オジサンはにっこりと笑って小生の頭をモショモショとくすぐってきた。これはさすがにくすぐったい。
お父さんたちと別れると、小生は夕食代わりに野草を食んだが、西の空も真っ黒になったとき、野鳥が飛んできた。
『おい栗毛のにーちゃん!』
「どうしたんだい?」
『冒険者パーティーが、野宿を始めたぜ。それも……南西部の近くで!』
小生はすぐに青毛娘と顔を見合わせた。
あそこは森の動物たちの聖域と呼ぶべき場所だ。そんなところに土足で侵入でもされたら、たまったものではない。
「……どうにかして、追い払わないといけないようだね」
「ええ、私も出来る限り協力します」
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