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29.スィグワロス号の見つけた変な物
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僕がこの世界に来て半年。
今日もアデルハイトの私室で目覚めたワケだが、彼女には特に気遣いをしていた。
実はアデルは妊娠しており、最近になると妊婦らしい姿になりはじめているからである。
「どう? 動いたりしてる?」
「はい。今も……動きました」
まさか、万年フリーターで恋人のこの字も無かったような僕が妻子を持つなんて……1年前の僕が聞いても信じなかっただろうな。
『失礼します』
おや、誰かと思えばリットーヴィント号。このお腹の中の子が男の子だったら、爺や役の最有力候補がやってきたぞ。
「いい人材が見つかったかい?」
『はい。女性で興味深い者がいました』
【エメラルドソング ユニコーン牝 16歳(人間換算)
農業91 商業7 野戦74 籠城46 智謀51 義理86 忠誠71 野心45
所有アビリティA:木材錬成(落ち葉や木くずを分解し、木材や肥料として再構築する 農業+20)
所有アビリティB:治療(医療部隊が編成可能になり、同じ城内の負傷兵の回復を早め、重臣の寿命を延ばす)】
「ほうほう……これは可愛い牝馬を連れて来たもんだ。お前と同じ領内に配属な?」
『いえ……能力が能力なので積極的に活用して欲しいのですが……』
もちろん積極的な活用を考えている僕である。
まあ、リットーヴィント号とは別の意味での活用方法だが……。
『陛下~ へ・い・か~』
似た声が聞こえてくると思ったら、久しぶりのスィグワロス号の登場だ。
彼は確か、リットーヴィント城でイヴォナの補佐をしていたと思ったが、何かあたのだろうか。
「やあ! 久しぶりだね」
『どうした? 遂に使えなさ過ぎてイヴォナ殿から追い出されたか?』
『リアルでありそうなこと言うなよアニキ。それよりもさ……森を散歩していたらこんなものを見つけたんだ』
スィグワロス号の首にかかっている袋に手を伸ばしてみると、その中からは不思議な水晶玉が出てきた。
形だけ見れば普通の水晶玉なのだが、色が黄色なのである。
「これは……琥珀でできた玉?」
アデルハイトも首を傾げているなか、リットーヴィント号は鼻先を近づけてにおいを確かめていた。
『ゴブリンの臭いがする……ということは』
『多分、ゴブリンの持ち物だったんだけど、どさくさに紛れて持ち逃げしようとした個体がいたってことじゃないかな?』
つまり、それがそのまま森で放置されていたということか。
ゴブリン自身は、価値がわからなくて捨てたか、或いは力尽きたかのどちらかなのだろう。
「おもしろいものだけど、これ……どうやって使うのかな?」
そう聞くと、リットーヴィント号は少し考えてから角を光らせながら玉に近づけていく。
すると……玉が少しずつ光を放ちながら、透明になりはじめた。どうやらマジックアイテムだったようである。
『まさしく、キ○タマ』
全員がスィグワロス号を睨むと、スィグワロス号はすぐに顔を下に向けた。
『すみませんでした……』
『一応、お前が持ち主なのだし……見たいものを言ってみてはどうだ?』
『じゃあ、玉よ玉よキ○タマさま。自分は賢いと思っている、おバカな勇者様の家来にはどんな奴らがいるの?』
『我らウマ兄弟に、バカとは言われたくないだろうな』
「まあ、バカな僕にすらバカだと思われてるんだけどね、あの勇者……」
農業71 商業34 野戦92 籠城88 智謀79 魅力12+20 義理1 野心120
ああ、この能力には既視感がある。恐らくこれは勇者のデータだろう。
僕がそう思いながら頷いていると、周りにいた仲間たちも微妙な顔をしながら玉を眺めていた。
「これ……どう見ても勇者の能力だよね」
『本来なら優秀な能力も、魅力、義理、野心の3つで台無しにするスタイルだな』
『これに比べれば、俺の能力もマシ!』
一同はスィグワロス号を見たが、すぐに玉に視線を戻していた。
さて、他の家来たちのデータはいかに!?
農業82 商業78 野戦53 籠城79 智謀63 忠誠53 義理12 野心87
優秀……なんだけど、打算的についてきているだけという感じのデータだ。これは仲間の参謀格の人物だろうか。勇者が劣勢になった途端に寝返りそうだ。
農業6 商業1 野戦92 籠城81 智謀7 忠誠61 義理21 野心82
これも……凄いな。
平和な世になってしまったら、何の使い道もなさそうなところも凄い。そして何よりこの義理と野心だ。自分が活躍したいからと勝手に内乱を画策しそうだ。
農業32 商業11 野戦53 籠城75 智謀88 忠誠21 義理1 野心92
ああ、これが参謀のようだな。
だけど……何というか一部のパラメータしか高くないせいか、頭でっかち感が否めない人物を想像してしまう。そして90を超えた野心と1という義理。これ……もし本当なら、よく勇者について行っているなぁ。
ここまでが勇者と仲間3人で、後は決戦用に配下に入れた連中のデータが見れるようだ。
さて、そのお手並みはどうなのだろう。
今日もアデルハイトの私室で目覚めたワケだが、彼女には特に気遣いをしていた。
実はアデルは妊娠しており、最近になると妊婦らしい姿になりはじめているからである。
「どう? 動いたりしてる?」
「はい。今も……動きました」
まさか、万年フリーターで恋人のこの字も無かったような僕が妻子を持つなんて……1年前の僕が聞いても信じなかっただろうな。
『失礼します』
おや、誰かと思えばリットーヴィント号。このお腹の中の子が男の子だったら、爺や役の最有力候補がやってきたぞ。
「いい人材が見つかったかい?」
『はい。女性で興味深い者がいました』
【エメラルドソング ユニコーン牝 16歳(人間換算)
農業91 商業7 野戦74 籠城46 智謀51 義理86 忠誠71 野心45
所有アビリティA:木材錬成(落ち葉や木くずを分解し、木材や肥料として再構築する 農業+20)
所有アビリティB:治療(医療部隊が編成可能になり、同じ城内の負傷兵の回復を早め、重臣の寿命を延ばす)】
「ほうほう……これは可愛い牝馬を連れて来たもんだ。お前と同じ領内に配属な?」
『いえ……能力が能力なので積極的に活用して欲しいのですが……』
もちろん積極的な活用を考えている僕である。
まあ、リットーヴィント号とは別の意味での活用方法だが……。
『陛下~ へ・い・か~』
似た声が聞こえてくると思ったら、久しぶりのスィグワロス号の登場だ。
彼は確か、リットーヴィント城でイヴォナの補佐をしていたと思ったが、何かあたのだろうか。
「やあ! 久しぶりだね」
『どうした? 遂に使えなさ過ぎてイヴォナ殿から追い出されたか?』
『リアルでありそうなこと言うなよアニキ。それよりもさ……森を散歩していたらこんなものを見つけたんだ』
スィグワロス号の首にかかっている袋に手を伸ばしてみると、その中からは不思議な水晶玉が出てきた。
形だけ見れば普通の水晶玉なのだが、色が黄色なのである。
「これは……琥珀でできた玉?」
アデルハイトも首を傾げているなか、リットーヴィント号は鼻先を近づけてにおいを確かめていた。
『ゴブリンの臭いがする……ということは』
『多分、ゴブリンの持ち物だったんだけど、どさくさに紛れて持ち逃げしようとした個体がいたってことじゃないかな?』
つまり、それがそのまま森で放置されていたということか。
ゴブリン自身は、価値がわからなくて捨てたか、或いは力尽きたかのどちらかなのだろう。
「おもしろいものだけど、これ……どうやって使うのかな?」
そう聞くと、リットーヴィント号は少し考えてから角を光らせながら玉に近づけていく。
すると……玉が少しずつ光を放ちながら、透明になりはじめた。どうやらマジックアイテムだったようである。
『まさしく、キ○タマ』
全員がスィグワロス号を睨むと、スィグワロス号はすぐに顔を下に向けた。
『すみませんでした……』
『一応、お前が持ち主なのだし……見たいものを言ってみてはどうだ?』
『じゃあ、玉よ玉よキ○タマさま。自分は賢いと思っている、おバカな勇者様の家来にはどんな奴らがいるの?』
『我らウマ兄弟に、バカとは言われたくないだろうな』
「まあ、バカな僕にすらバカだと思われてるんだけどね、あの勇者……」
農業71 商業34 野戦92 籠城88 智謀79 魅力12+20 義理1 野心120
ああ、この能力には既視感がある。恐らくこれは勇者のデータだろう。
僕がそう思いながら頷いていると、周りにいた仲間たちも微妙な顔をしながら玉を眺めていた。
「これ……どう見ても勇者の能力だよね」
『本来なら優秀な能力も、魅力、義理、野心の3つで台無しにするスタイルだな』
『これに比べれば、俺の能力もマシ!』
一同はスィグワロス号を見たが、すぐに玉に視線を戻していた。
さて、他の家来たちのデータはいかに!?
農業82 商業78 野戦53 籠城79 智謀63 忠誠53 義理12 野心87
優秀……なんだけど、打算的についてきているだけという感じのデータだ。これは仲間の参謀格の人物だろうか。勇者が劣勢になった途端に寝返りそうだ。
農業6 商業1 野戦92 籠城81 智謀7 忠誠61 義理21 野心82
これも……凄いな。
平和な世になってしまったら、何の使い道もなさそうなところも凄い。そして何よりこの義理と野心だ。自分が活躍したいからと勝手に内乱を画策しそうだ。
農業32 商業11 野戦53 籠城75 智謀88 忠誠21 義理1 野心92
ああ、これが参謀のようだな。
だけど……何というか一部のパラメータしか高くないせいか、頭でっかち感が否めない人物を想像してしまう。そして90を超えた野心と1という義理。これ……もし本当なら、よく勇者について行っているなぁ。
ここまでが勇者と仲間3人で、後は決戦用に配下に入れた連中のデータが見れるようだ。
さて、そのお手並みはどうなのだろう。
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