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15.有翼人ブルンフリート
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古城の制圧を命じてから数日後。
今日も僕は、アデルハイトの部屋で休んでいると、彼女は水晶玉を出して何かを監視していた。何だか、こうしてみるとスマートフォンで動画を見ている少女のように見えるからおもしろい。
「おはよう…何かおもしろいことはわかったかい?」
「おはようございます。実は先ほど……リットーヴィント号とロドルフォの2人が有翼人の集落に到着しまして」
「もう着いたのか……!」
水晶玉を見せてもらうと、ちょうどロドルフォから見た光景が広がっており、有翼人のリーダーと会っているようだ。
「それは……本当なのか?」
そう質問したのは、有翼人のリーダーだった。
どうやらすでに、リットーヴィント号たちとの交渉が始まっているようだ。
「ああ、有翼人たち全員が傘下に入るのなら、貴殿を古城の城主としリーダーとすることを魔王様は約束してくださった」
リットーヴィント号が言うと、有翼人のリーダーは頷いた。
「古城の奪還こそ、我ら有翼人の悲願……本当にアデルハイト殿は兵を出してくれるのか?」
その言葉を聞いたロドルフォは、少し違うと言いたそうに言葉を返す。
「アデルハイト様は王妃様の立場だ。この約束をして下さったのは……その夫にして異世界からお越しになられた新たなる王」
その言葉を聞いて、有翼人のリーダーは驚いていた。この地域では様々な情報に精通していそうな彼でさえも、まだ僕のことは知らないようである。
「異世界の!? その御方とは……いったい?」
「非業の死を遂げられた先王の遺言に従い……転移術を用いて召喚した新たなる王。それがシャリオヴァルト様である!」
ロドルフォの言葉を聞いた有翼人のリーダーは、ごくりと唾を呑む。
「先代の魔王さまの魔力を受け継いでいると……? ということはさぞかし強い御方なのでしょうな」
「シャリオヴァルト様は、見た目こそ普通の東洋人の男性だ。だが……そんな見た目などどうでもよくなるほど凄いアビリティをお持ちだ」
「そ、そのアビリティとは?」
有翼人のリーダーが聞き返すと、ロドルフォは僕の出した金貨を有翼人のリーダーに手渡した。
ちなみに彼には100枚ほど預かってもらっている。
「この金貨……不思議な力を感じますな。それに良質……!」
「シャリオヴァルト様は、金貨を生み出すアビリティをお持ちだ」
「金貨を? 珍しい能力ですな。いったい……どれくらいの数?」
「1か月で1000枚ほどだと仰っている」
「…………」
その言葉を聞いて、有翼人のリーダーは真顔になっていた。
やはり彼も普段から遣り繰りに苦労しているのだろうか。確かに有翼人の町も質素な建物が多く、生活するうえでとても大変そうに思える。
「娘と共に、直接お会いしたい」
「殿下……アデルハイト殿下。陛下は何と仰っていますか? もしご許可が頂けたのなら水晶玉を光らせて下さい」
アデルハイトは頷くと、水晶玉に手を近づけて光らせた。
「……ご許可が下りましたぞ」
「わかりました。すぐに参ります……」
有翼人のリーダーは、長弓を背中に担いだ娘と共に飛び立つと、そのまま僕の居城であるヴェルテ城へとやってきた。
僕もアデルハイトと共に着替えて玉座へと行き、待機していると兵士がやってきた。
「申し上げます。隣国の有翼人のリーダー、ブルンフリート殿が陛下への謁見を求めています」
「娘さんも一緒だよね」
そう伝えると、兵士は驚いた表情で頷く。
「よ、よくお気づきですね……」
「2人と会おう」
「は、ははっ!」
間もなくブルンフリートと娘さんがやってくると、2人は深々とお辞儀をした。
「よく来てくれたね」
「我が名はブルンフリートと申します。お目にかかれて光栄です」
【ブルンフリート ウィーフ男 39歳
農業65 商業61 野戦85 籠城83 智謀81 義理63 忠誠65 野心76
所有アビリティA:炎矢部隊編成(火矢を用いた弓部隊を編成可能)
所有アビリティB:風読み(大気の変化を敏感に感じ取り、突風による被害を受けない)
種族能力 :飛行】
「ロドルフォやリットーヴィント号からの話は聞きましたか?」
「はい。古城の城主にして頂けるという話は……?」
「確かにそう約束するよ」
「畏まりました。では、我らは陛下の参加に入る忠誠の印として、娘を人質として差し出したいと思います」
そう言われると、ブルンフリートの隣にいた娘は深々とお辞儀をした。
確かに、中世時代では当たり前のことなのかもしれないけど、そのまま人質として受け取るのも僕の信条に反する気がした。
「有翼人は飛べるのだから、このヴェルテの城下町に出稼ぎに来たい人もいると思う。彼女に大使のような仕事をしてもらいたいと思う」
その話を提案すると、ブルンフリートは表情を変えて僕を眺めていた。どうやら彼が想定していない提案をしたようだ。
「か、畏まりました……よいか? カテリーネ」
「はい。よろしくお願い致します」
【カテリーネ ウィーフ女 17歳
農業62 商業78 野戦58 籠城24 智謀61 義理87 忠誠76 野心53
所有アビリティA:風読み(大気の変化を敏感に感じ取り、突風による被害を受けない)
種族能力 :飛行
有翼人大使 :義理・商業を+10する】
ほう、娘さんも文官として有能だと思っていたら、父親のブルンフリートにも少なからず影響があったようだ。
【ブルンフリート ウィーフ男 39歳
農業65 商業61+5 野戦85 籠城83 智謀81 義理63+5 忠誠68 野心76
所有アビリティA:炎矢部隊編成(火矢を用いた弓部隊を編成可能)
所有アビリティB:風読み(大気の変化を敏感に感じ取り、突風による被害を受けない)
種族能力 :飛行】
今日も僕は、アデルハイトの部屋で休んでいると、彼女は水晶玉を出して何かを監視していた。何だか、こうしてみるとスマートフォンで動画を見ている少女のように見えるからおもしろい。
「おはよう…何かおもしろいことはわかったかい?」
「おはようございます。実は先ほど……リットーヴィント号とロドルフォの2人が有翼人の集落に到着しまして」
「もう着いたのか……!」
水晶玉を見せてもらうと、ちょうどロドルフォから見た光景が広がっており、有翼人のリーダーと会っているようだ。
「それは……本当なのか?」
そう質問したのは、有翼人のリーダーだった。
どうやらすでに、リットーヴィント号たちとの交渉が始まっているようだ。
「ああ、有翼人たち全員が傘下に入るのなら、貴殿を古城の城主としリーダーとすることを魔王様は約束してくださった」
リットーヴィント号が言うと、有翼人のリーダーは頷いた。
「古城の奪還こそ、我ら有翼人の悲願……本当にアデルハイト殿は兵を出してくれるのか?」
その言葉を聞いたロドルフォは、少し違うと言いたそうに言葉を返す。
「アデルハイト様は王妃様の立場だ。この約束をして下さったのは……その夫にして異世界からお越しになられた新たなる王」
その言葉を聞いて、有翼人のリーダーは驚いていた。この地域では様々な情報に精通していそうな彼でさえも、まだ僕のことは知らないようである。
「異世界の!? その御方とは……いったい?」
「非業の死を遂げられた先王の遺言に従い……転移術を用いて召喚した新たなる王。それがシャリオヴァルト様である!」
ロドルフォの言葉を聞いた有翼人のリーダーは、ごくりと唾を呑む。
「先代の魔王さまの魔力を受け継いでいると……? ということはさぞかし強い御方なのでしょうな」
「シャリオヴァルト様は、見た目こそ普通の東洋人の男性だ。だが……そんな見た目などどうでもよくなるほど凄いアビリティをお持ちだ」
「そ、そのアビリティとは?」
有翼人のリーダーが聞き返すと、ロドルフォは僕の出した金貨を有翼人のリーダーに手渡した。
ちなみに彼には100枚ほど預かってもらっている。
「この金貨……不思議な力を感じますな。それに良質……!」
「シャリオヴァルト様は、金貨を生み出すアビリティをお持ちだ」
「金貨を? 珍しい能力ですな。いったい……どれくらいの数?」
「1か月で1000枚ほどだと仰っている」
「…………」
その言葉を聞いて、有翼人のリーダーは真顔になっていた。
やはり彼も普段から遣り繰りに苦労しているのだろうか。確かに有翼人の町も質素な建物が多く、生活するうえでとても大変そうに思える。
「娘と共に、直接お会いしたい」
「殿下……アデルハイト殿下。陛下は何と仰っていますか? もしご許可が頂けたのなら水晶玉を光らせて下さい」
アデルハイトは頷くと、水晶玉に手を近づけて光らせた。
「……ご許可が下りましたぞ」
「わかりました。すぐに参ります……」
有翼人のリーダーは、長弓を背中に担いだ娘と共に飛び立つと、そのまま僕の居城であるヴェルテ城へとやってきた。
僕もアデルハイトと共に着替えて玉座へと行き、待機していると兵士がやってきた。
「申し上げます。隣国の有翼人のリーダー、ブルンフリート殿が陛下への謁見を求めています」
「娘さんも一緒だよね」
そう伝えると、兵士は驚いた表情で頷く。
「よ、よくお気づきですね……」
「2人と会おう」
「は、ははっ!」
間もなくブルンフリートと娘さんがやってくると、2人は深々とお辞儀をした。
「よく来てくれたね」
「我が名はブルンフリートと申します。お目にかかれて光栄です」
【ブルンフリート ウィーフ男 39歳
農業65 商業61 野戦85 籠城83 智謀81 義理63 忠誠65 野心76
所有アビリティA:炎矢部隊編成(火矢を用いた弓部隊を編成可能)
所有アビリティB:風読み(大気の変化を敏感に感じ取り、突風による被害を受けない)
種族能力 :飛行】
「ロドルフォやリットーヴィント号からの話は聞きましたか?」
「はい。古城の城主にして頂けるという話は……?」
「確かにそう約束するよ」
「畏まりました。では、我らは陛下の参加に入る忠誠の印として、娘を人質として差し出したいと思います」
そう言われると、ブルンフリートの隣にいた娘は深々とお辞儀をした。
確かに、中世時代では当たり前のことなのかもしれないけど、そのまま人質として受け取るのも僕の信条に反する気がした。
「有翼人は飛べるのだから、このヴェルテの城下町に出稼ぎに来たい人もいると思う。彼女に大使のような仕事をしてもらいたいと思う」
その話を提案すると、ブルンフリートは表情を変えて僕を眺めていた。どうやら彼が想定していない提案をしたようだ。
「か、畏まりました……よいか? カテリーネ」
「はい。よろしくお願い致します」
【カテリーネ ウィーフ女 17歳
農業62 商業78 野戦58 籠城24 智謀61 義理87 忠誠76 野心53
所有アビリティA:風読み(大気の変化を敏感に感じ取り、突風による被害を受けない)
種族能力 :飛行
有翼人大使 :義理・商業を+10する】
ほう、娘さんも文官として有能だと思っていたら、父親のブルンフリートにも少なからず影響があったようだ。
【ブルンフリート ウィーフ男 39歳
農業65 商業61+5 野戦85 籠城83 智謀81 義理63+5 忠誠68 野心76
所有アビリティA:炎矢部隊編成(火矢を用いた弓部隊を編成可能)
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