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71.カイトとオリヴィアが見た夢
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目を覚ましたとき、そこは宿泊先の旅館だった。
どうやら、僕の魂はツーノッパのフロンティア地域に戻って来れたようだ。
隣では、まだオリヴィアが眠っており、僕に手を伸ばした状態なので甘い匂いがする。
こうして眺めていると、本当に少女という感じだけど、勇者試験の最終選考まで残っているんだよな。こう考えると、人は本当に見た目に寄らないものだ。
試しにそっと両手を伸ばして抱き寄せてみると、彼女は目を細く空けて額を摺り寄せてきた。そして、小さな声で「おはようございます」とささやいてくる。
「おはよう……」
「私も……例の天使から忠告を受けました」
その言葉を聞き、堕天使の抜かりなさに笑ってしまった。普通は1人に警告すれば十分と感じるところなのだろうが、オリヴィアにも注意喚起するとは、慎重に慎重を重ねている。
「ラスボスの名前もわかったね……ブラッドリリスだったっけ?」
「はい。私もそう聞いています」
さて、一番の問題は、名前はわかっていても、ブラッドリリスがどんな姿をしているのかがわからないということだ。リリスと聞くと人間系の女性を想像してしまうところだが、そう見せかけて……というパターンもある。
「リリスとは……そもそもどういう意味なんだい?」
「ミリズス会の教えによると、男児を害する悪霊だと伝えられています。大御神の最初の妻でありましたが……両者の仲は上手くはいかなかったようです」
「それが悪魔化したのなら……本人が魔王を名乗っていてもおかしくはないね」
「個人的な予想なのですが……ブラッドリリスは、そのリリスの子供か孫なのではないかと思います。実際にリリスは、大御神と別れてからも多くの子供を産んでいるといいます」
僕はその話を聞いて、腕を組んで考えた。
その無数にいる子供の1人が、どうして魔王軍に組して……いや、異世界の日本へ攻撃を仕掛けたがっているのだろう。魔王に気に入られてお后様になるために、手柄でも挙げたがってるのだろうか。
「…………」
「…………」
いや、それなら、スマートにこの世界の国を1つか2つ潰せば済むことだ。わざわざオリヴィアのようなヒーラーを捕まえるだけでも、かなりの労力と手間……それにお金もかかるだろう。
「もしかして……怨恨かな?」
「怨恨……ですか?」
「うん、そのブラッドリリスって女……わざわざ異世界にある僕の故郷を攻撃したがっているでしょう? 魔王軍4天王という立場から見れば、あまり理にかなわない行動に見えるんだ」
僕はゆっくりとベッドから出た。
「自分自身か、仲の良い家族の誰かが……異世界人……それも日本人にひどい目に遭わされたんじゃないかな」
「確かに……理にかなった話だと思います」
長々と話してしまったが、僕らの部屋の前を数人の人間が歩いて行ったことで、肝心なことを思い出した。そういえば、オリヴィアの最終選考は今日だった!
「あ! オリヴィア……勇者試験!」
「はっ!? そうでした……すぐに支度をしなければ……」
間もなく、僕たちはバタバタと支度を整えると、念のため護衛としてスティレットも付けて3人で試験会場へと向かった。
僕やスティレットは、すでに合格しているというのがありがたかった。これなら試験会場で怪しい動きをしている者がいたらすぐにわかる。
「どうだい、スティレット……違和感はあるかい?」
『小生もお告げは聞いていたけど……違和感はないな。ここに集まっている人間の中に不穏な気配のある人はいないよ』
さて、勇者試験の最終選考に残っているのは25名だった。
内訳はじゃんけん大会で勝ち残った10名。武術トーナメントで勝ち残った10名。そして筆記試験で勝ち残った5名だ。
僕の知り合いで残っているのは、武術トーナメントからリックとエドワード。筆記試験からオリヴィアとアリーシャの4名だ。
果たして……この中から合格者は現れるのだろうか?
【一方その頃の国王】
どうやら、僕の魂はツーノッパのフロンティア地域に戻って来れたようだ。
隣では、まだオリヴィアが眠っており、僕に手を伸ばした状態なので甘い匂いがする。
こうして眺めていると、本当に少女という感じだけど、勇者試験の最終選考まで残っているんだよな。こう考えると、人は本当に見た目に寄らないものだ。
試しにそっと両手を伸ばして抱き寄せてみると、彼女は目を細く空けて額を摺り寄せてきた。そして、小さな声で「おはようございます」とささやいてくる。
「おはよう……」
「私も……例の天使から忠告を受けました」
その言葉を聞き、堕天使の抜かりなさに笑ってしまった。普通は1人に警告すれば十分と感じるところなのだろうが、オリヴィアにも注意喚起するとは、慎重に慎重を重ねている。
「ラスボスの名前もわかったね……ブラッドリリスだったっけ?」
「はい。私もそう聞いています」
さて、一番の問題は、名前はわかっていても、ブラッドリリスがどんな姿をしているのかがわからないということだ。リリスと聞くと人間系の女性を想像してしまうところだが、そう見せかけて……というパターンもある。
「リリスとは……そもそもどういう意味なんだい?」
「ミリズス会の教えによると、男児を害する悪霊だと伝えられています。大御神の最初の妻でありましたが……両者の仲は上手くはいかなかったようです」
「それが悪魔化したのなら……本人が魔王を名乗っていてもおかしくはないね」
「個人的な予想なのですが……ブラッドリリスは、そのリリスの子供か孫なのではないかと思います。実際にリリスは、大御神と別れてからも多くの子供を産んでいるといいます」
僕はその話を聞いて、腕を組んで考えた。
その無数にいる子供の1人が、どうして魔王軍に組して……いや、異世界の日本へ攻撃を仕掛けたがっているのだろう。魔王に気に入られてお后様になるために、手柄でも挙げたがってるのだろうか。
「…………」
「…………」
いや、それなら、スマートにこの世界の国を1つか2つ潰せば済むことだ。わざわざオリヴィアのようなヒーラーを捕まえるだけでも、かなりの労力と手間……それにお金もかかるだろう。
「もしかして……怨恨かな?」
「怨恨……ですか?」
「うん、そのブラッドリリスって女……わざわざ異世界にある僕の故郷を攻撃したがっているでしょう? 魔王軍4天王という立場から見れば、あまり理にかなわない行動に見えるんだ」
僕はゆっくりとベッドから出た。
「自分自身か、仲の良い家族の誰かが……異世界人……それも日本人にひどい目に遭わされたんじゃないかな」
「確かに……理にかなった話だと思います」
長々と話してしまったが、僕らの部屋の前を数人の人間が歩いて行ったことで、肝心なことを思い出した。そういえば、オリヴィアの最終選考は今日だった!
「あ! オリヴィア……勇者試験!」
「はっ!? そうでした……すぐに支度をしなければ……」
間もなく、僕たちはバタバタと支度を整えると、念のため護衛としてスティレットも付けて3人で試験会場へと向かった。
僕やスティレットは、すでに合格しているというのがありがたかった。これなら試験会場で怪しい動きをしている者がいたらすぐにわかる。
「どうだい、スティレット……違和感はあるかい?」
『小生もお告げは聞いていたけど……違和感はないな。ここに集まっている人間の中に不穏な気配のある人はいないよ』
さて、勇者試験の最終選考に残っているのは25名だった。
内訳はじゃんけん大会で勝ち残った10名。武術トーナメントで勝ち残った10名。そして筆記試験で勝ち残った5名だ。
僕の知り合いで残っているのは、武術トーナメントからリックとエドワード。筆記試験からオリヴィアとアリーシャの4名だ。
果たして……この中から合格者は現れるのだろうか?
【一方その頃の国王】
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