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18.オリヴィアと晩酌
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初任務が無事に終わりギルド長への報告を済ませると、僕は自室へと戻った。
そこには一足先に戻ったオリヴィアがいて、縫い物をしている。
彼女は僕を見ると、嬉しそうに微笑んでくれた。
「お帰りなさい!」
「今戻ったよ」
そう言いながら椅子に腰を下ろすと、オリヴィアは縫い物を中断して僕を眺めてきた。
「ゴブリンを退治してきたんだけど……大変だったよ」
オリヴィアも共感した様子で頷いてくれた。
「そうでしょう。私も昔……ゴブリンから泣きながら逃げ回ったことがありました」
あまり聞かない方がいいかもしれないが、僕は何となくその話が気になった。
「それって……故郷にいたとき? それとも……」
「奴隷商人から逃げた直後です」
そう言うとオリヴィアは、どこか懐かしそうに笑った。
「あの時は……すごく怖かったですね。私って背も小さかったから、普通のゴブリンでもかなり大きく感じました」
そりゃ怖いだろうなと思いながら頷いた。
僕だって、ゴブリンに不意を突かれたときは背筋に寒気を感じたほどだ。1メートル近い身長差があってもこれなのだから、同じくらいの目線の相手が集団で追いかけてきたら怖いに決まっている。
「そう考えると……ゴブリン退治も冒険者にとって大事な仕事なんだね。連中をしっかりと退治すれば、子供がそういう怖い思いをしなくて済む」
そう伝えると、オリヴィアも微笑んだ。
「私もそう思います。あと……こういうのも失礼なのですが……」
「なんだい?」
「無事に戻ってきていただいてホッとしました」
やはりオリヴィアは、僕のことを心配してくれていたのか。
こうやって彼女の安心した顔を見ると、どんな厳しい冒険で疲れて帰ってきても、また明日から頑張れそうな気になってくる。
そうだ。せっかくだし、お土産でも渡そう。
「実はさ……マーフォークの村の人にお酒を貰ったんだ。一緒に呑もうよ?」
そう言いながら酒の入った小さな樽を出すと、オリヴィアは少し恥ずかしそうな顔をした。
「お酒は好きですが、酔っ払うと恥ずかしいですね……では1杯だけいただけますでしょうか?」
「もちろんだよ!」
僕はカウンターで貰ってきたつまみや軽食も出すと、オリヴィアと一緒に晩酌を楽しむことにした。
マーフォークの村長から貰った酒は、麦焼酎に近い味がしてアルコールもやや強めだった。僕は少し薄める必要があると思いながら言った。
「ちょっと、ギルド長から水を貰ってくるよ」
「何なら私が……」
「いやいや、いつもお世話になっているんだから、たまにはゆっくりしてて」
ギルドのカウンターまで行くと、ちょうどギルド長は開店準備をしていた。
さすがに邪魔をするようで気が引けたが……頼んでみることにした。
「ギルド長、お忙しいところすみません」
「いかがなさいましたか?」
「水を分けてもらえないでしょうか?」
そう伝えると、彼女はにっこりと笑ってくれた。
「少々お待ちください」
水差しに水がたっぷりと入ると、フェリシティーは丁寧に差し出してくれた。
「ごゆっくりお楽しみください」
間もなく、僕は自分たちの部屋に戻ると、オリヴィアは頬を赤らめて微笑んでいた。
オリヴィアもエルフの例外にはもれず、切れ長い目をしているので、笑っていると本当にアニメのように微笑んでいるように見えるから癒やされるものだ。
「あなた……申し訳ありませんが、もう一杯いただけますか?」
「ああ、いいよ」
そう言いながら、オリヴィアのコップに酒を注ぐと、彼女はチビチビと酒を楽しむように呑んでいる。僕も自分のコップに水差しの水を注いで薄めると、乾いた喉を潤すように飲み干した。
そして、お供のソーセージやピクルス、西洋風のお浸しなどを摘まんでから、再び酒を薄めて飲むと、久しぶりに満足いく晩酌にありつけた感じがした。
おや、オリヴィアは僕を見た。
「はい、アーンしてください」
何だか照れくさいと思ったが、見ているのはスティレットくらいだろう。遠慮なくオリヴィアの前で口を開くと、彼女は器用に食べ物を口に運んでくれた。
やがてオリヴィアは10分ほどで、コップの中のお酒を飲みほしてしまった。
「オリヴィア、もう一杯いくかい?」
僕もいい感じに酔いが回っていたので、そそのかしてみるとオリヴィアは笑いながら答えた。
「あまり飲みすぎるのも……良くないですよぉ」
「じゃあ、薄めればいいんじゃない?」
「そういうことなら……」
更に30分ほど経つと、水差しの水も用意してもらったおつまみも、だいぶ無くなっていた。
僕も酒には強いつもりでいたが、だいぶ酔いが回っている。そろそろ潮時だろうかと思ったのでオリヴィアに言った。
「これくらいにしておこうかな……これ以上はさすがに二日酔いになりそうだ」
「わかりました。素敵な晩酌をありがとうございます」
その丁寧な言葉に驚かされた。
彼女は僕と同じくらいは呑んでいるはずだし、何なら最初の1杯はアルコール度数30くらいはありそうな酒を、そのまま飲んでいるはずだ。
すでに呂律が回らなくなっていてもおかしくないところだが、オリヴィアは相当酒に強いのだろうか?
テーブルの食器を片付け始めると、オリヴィアも慌てて立ち上がって手を伸ばそうとした。
すると、彼女はバランスを崩して倒れそうになっている。
どうみても間に合わないので、僕はアビリティ【偽物の右手剣】を出し、形状を変化させてヒモ状にしてオリヴィアの身体を支えた。
「ケガはないかい?」
「……は、はい……ありがとうございます」
僕は彼女の側まで歩くと、慎重にお姫様抱っこをしてベッドまで案内した。
「ちょっと待っててね。僕も片づけをしたらすぐに……」
そう言いながらテーブルの上のモノを片付けていると、オリヴィアが声をかけてきた。
「そうだ、あなた」
「なんだい?」
手を動かしながら聞くと、オリヴィアは楽し気に言った。
「寝る前に……レベルチェックをしましょう」
「ああ、そうだね」
皿を重ねたり、余ったおかずを1つの更にまとめて、虫が入らないように工夫し終えると、僕はオリヴィアを見た。
すると……彼女はいつの間にか下着姿になっていた。
「オリヴィア……?」
「上着を脱いでください」
次回は、翌日の話でもするとしよう。
そこには一足先に戻ったオリヴィアがいて、縫い物をしている。
彼女は僕を見ると、嬉しそうに微笑んでくれた。
「お帰りなさい!」
「今戻ったよ」
そう言いながら椅子に腰を下ろすと、オリヴィアは縫い物を中断して僕を眺めてきた。
「ゴブリンを退治してきたんだけど……大変だったよ」
オリヴィアも共感した様子で頷いてくれた。
「そうでしょう。私も昔……ゴブリンから泣きながら逃げ回ったことがありました」
あまり聞かない方がいいかもしれないが、僕は何となくその話が気になった。
「それって……故郷にいたとき? それとも……」
「奴隷商人から逃げた直後です」
そう言うとオリヴィアは、どこか懐かしそうに笑った。
「あの時は……すごく怖かったですね。私って背も小さかったから、普通のゴブリンでもかなり大きく感じました」
そりゃ怖いだろうなと思いながら頷いた。
僕だって、ゴブリンに不意を突かれたときは背筋に寒気を感じたほどだ。1メートル近い身長差があってもこれなのだから、同じくらいの目線の相手が集団で追いかけてきたら怖いに決まっている。
「そう考えると……ゴブリン退治も冒険者にとって大事な仕事なんだね。連中をしっかりと退治すれば、子供がそういう怖い思いをしなくて済む」
そう伝えると、オリヴィアも微笑んだ。
「私もそう思います。あと……こういうのも失礼なのですが……」
「なんだい?」
「無事に戻ってきていただいてホッとしました」
やはりオリヴィアは、僕のことを心配してくれていたのか。
こうやって彼女の安心した顔を見ると、どんな厳しい冒険で疲れて帰ってきても、また明日から頑張れそうな気になってくる。
そうだ。せっかくだし、お土産でも渡そう。
「実はさ……マーフォークの村の人にお酒を貰ったんだ。一緒に呑もうよ?」
そう言いながら酒の入った小さな樽を出すと、オリヴィアは少し恥ずかしそうな顔をした。
「お酒は好きですが、酔っ払うと恥ずかしいですね……では1杯だけいただけますでしょうか?」
「もちろんだよ!」
僕はカウンターで貰ってきたつまみや軽食も出すと、オリヴィアと一緒に晩酌を楽しむことにした。
マーフォークの村長から貰った酒は、麦焼酎に近い味がしてアルコールもやや強めだった。僕は少し薄める必要があると思いながら言った。
「ちょっと、ギルド長から水を貰ってくるよ」
「何なら私が……」
「いやいや、いつもお世話になっているんだから、たまにはゆっくりしてて」
ギルドのカウンターまで行くと、ちょうどギルド長は開店準備をしていた。
さすがに邪魔をするようで気が引けたが……頼んでみることにした。
「ギルド長、お忙しいところすみません」
「いかがなさいましたか?」
「水を分けてもらえないでしょうか?」
そう伝えると、彼女はにっこりと笑ってくれた。
「少々お待ちください」
水差しに水がたっぷりと入ると、フェリシティーは丁寧に差し出してくれた。
「ごゆっくりお楽しみください」
間もなく、僕は自分たちの部屋に戻ると、オリヴィアは頬を赤らめて微笑んでいた。
オリヴィアもエルフの例外にはもれず、切れ長い目をしているので、笑っていると本当にアニメのように微笑んでいるように見えるから癒やされるものだ。
「あなた……申し訳ありませんが、もう一杯いただけますか?」
「ああ、いいよ」
そう言いながら、オリヴィアのコップに酒を注ぐと、彼女はチビチビと酒を楽しむように呑んでいる。僕も自分のコップに水差しの水を注いで薄めると、乾いた喉を潤すように飲み干した。
そして、お供のソーセージやピクルス、西洋風のお浸しなどを摘まんでから、再び酒を薄めて飲むと、久しぶりに満足いく晩酌にありつけた感じがした。
おや、オリヴィアは僕を見た。
「はい、アーンしてください」
何だか照れくさいと思ったが、見ているのはスティレットくらいだろう。遠慮なくオリヴィアの前で口を開くと、彼女は器用に食べ物を口に運んでくれた。
やがてオリヴィアは10分ほどで、コップの中のお酒を飲みほしてしまった。
「オリヴィア、もう一杯いくかい?」
僕もいい感じに酔いが回っていたので、そそのかしてみるとオリヴィアは笑いながら答えた。
「あまり飲みすぎるのも……良くないですよぉ」
「じゃあ、薄めればいいんじゃない?」
「そういうことなら……」
更に30分ほど経つと、水差しの水も用意してもらったおつまみも、だいぶ無くなっていた。
僕も酒には強いつもりでいたが、だいぶ酔いが回っている。そろそろ潮時だろうかと思ったのでオリヴィアに言った。
「これくらいにしておこうかな……これ以上はさすがに二日酔いになりそうだ」
「わかりました。素敵な晩酌をありがとうございます」
その丁寧な言葉に驚かされた。
彼女は僕と同じくらいは呑んでいるはずだし、何なら最初の1杯はアルコール度数30くらいはありそうな酒を、そのまま飲んでいるはずだ。
すでに呂律が回らなくなっていてもおかしくないところだが、オリヴィアは相当酒に強いのだろうか?
テーブルの食器を片付け始めると、オリヴィアも慌てて立ち上がって手を伸ばそうとした。
すると、彼女はバランスを崩して倒れそうになっている。
どうみても間に合わないので、僕はアビリティ【偽物の右手剣】を出し、形状を変化させてヒモ状にしてオリヴィアの身体を支えた。
「ケガはないかい?」
「……は、はい……ありがとうございます」
僕は彼女の側まで歩くと、慎重にお姫様抱っこをしてベッドまで案内した。
「ちょっと待っててね。僕も片づけをしたらすぐに……」
そう言いながらテーブルの上のモノを片付けていると、オリヴィアが声をかけてきた。
「そうだ、あなた」
「なんだい?」
手を動かしながら聞くと、オリヴィアは楽し気に言った。
「寝る前に……レベルチェックをしましょう」
「ああ、そうだね」
皿を重ねたり、余ったおかずを1つの更にまとめて、虫が入らないように工夫し終えると、僕はオリヴィアを見た。
すると……彼女はいつの間にか下着姿になっていた。
「オリヴィア……?」
「上着を脱いでください」
次回は、翌日の話でもするとしよう。
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