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30.SPが404ポイントに
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勇者に捕虜を返還した2日後。
僕は唸っていた。
自分自身のスペシャルポイントが404まで溜まっており、今日中に使わないと溢れてしまうのである。
「やっぱり……これに使うべきかな?」
僕は分身を出すことにした。
1頭あたり100ポイントもかかるので、なかなか高額だが、オスカーのところのミニオスカーを見ている限り、便利そうな存在だと思う。
分身を出してみると、隣りにいたフリーダやカテリーナは、興味津々という様子で眺めている。
「これが、ミニコネクター号……」
「本当に仔馬みたいですね」
ミニコネクター号は、僕を眺めると言った。
「……ねえ、お父さん?」
「なにかな?」
「お父さんって、鼻の穴……大きいね」
僕は自分の顔を水鏡に映して見ると、確かに鼻の穴が大きかった。
「そう言われてみればそうだな。因みに、もっと広げることも出来るぞ?」
「それって……これくらい?」
ミニコネクター号は鼻の穴を広げて見せたが、形が小さいので限界があるようだ。
「お前こそ、鼻の周りが柔らかいんだな」
「うん、人間をモショモショするのが趣味」
なんだか、おもしろい仔馬が出てきたので、更に1頭くらい増やしてみることにした。
【SP404→204】
2頭に増えた仔馬たちは、ちょうどよい遊び相手を見つけたと言った具合で、その辺りを跳ね回りはじめた。
身体の毛並みだけではなく、模様までよく似ているので、よく見ないと区別ができないほどだ。
フリーダたちも微笑みながら見ていたが、やがて質問をしてきた。
「彼らは、ヒーリングなどは使えるのでしょうか?」
「ああ、使えるけど……身体が小さいから、出力はだいぶ限定的になる」
「なるほど……」
彼女が頷いたら、仔馬2頭はすぐにフリーダに駆け寄った。
「ねえねえ、お母さん~」
「オヤツまだ? 僕はリンゴがいいなぁ~」
どうやらフリーダは、母親役に任命されてしまったようだ。まあ、本人もまんざらではなさそうだが……。
さて、この仔馬2頭は好奇心旺盛らしく、すぐに神社を出て、ダンジョンの探検をしたがった。
フリーダのエリアも、ジルーのエリアも、統治は上手く行っているので、多少遠出をしても大丈夫だろう。
「暗くなる前に、戻ってくるんだよ」
「は~い!」
仔馬たちを見送ると、ちょうどカテリーナのハトが戻ってきた。
カテリーナはハトから話を聞き、やがてこちらを見る。
「魔王さま……冒険者街の様子を確認しましたが、とりあえずマックス勇者チームは、別の町へと旅立ったようです」
彼女の報告を受けて、僕は大きく胸を撫でおろした。
勇者一行の攻撃で、ジルー率いるアタックドッグ隊やコボルド隊は、かなりの被害を出している。フリーダが応援要員として、ウッドパペットを派遣してはいるが、前のような戦力に戻すには、あと5日くらいはかかるだろう。
「わかった。引き続き冒険者街に、新しい勇者が現れないかどうか調査を続けて欲しい」
「承知しました」
僕はしばらくの間、仔馬たちを遊ばせていたが、彼らは3時間ほどダンジョンの中を跳ねまわっていくと、やがて神社へと戻ってきた。
「ねえねえ、お父さん!」
「お父さーん!」
「ん? どうしたのかな?」
そう質問すると、仔馬たちは息を切らせながら僕の前に止まった。
「大変だよ。ダンジョンの中にダンジョンがあった!」
「え……?」
「ウソじゃないよ! もしかして、ドクリツセーリョクがあるんじゃない?」
その話を聞いていたジルーとフリーダとカテリーナは、お互いを見合った。
「……魔王さまのダンジョンに独立勢力? フリーダさま……そんなことってあるの?」
「このダンジョンが出来たばかりの頃は、そんなスペースはありませんでしたが……ダンジョンが拡張されると、そういう場所が出現することもあります」
「冒険者街もとりあえず落ち着いていますし、私が調べてみましょう」
カテリーナが申し出てくれたので、僕はすぐに頷いた。
「そうしてくれると助かるよ」
そしてカテリーナは、仔馬2頭から新たに出現したというエリアについて質問していた。
どうやら新たな区画は、ジルーの守るエリアよりも入り口側に出現しているようだ。これは……あまりよろしくない状態だ。
なぜ、よろしくないのかと言えば、ダンジョンの入り口付近に空白地や独立勢力が出来てしまうと、勇者などに平定され、僕のダンジョンを攻略する足掛かりになってしまう。
「どうだったカテリーナ?」
その言葉を聞いたカテリーナは、表情を曇らせながら答える。
「新たに出現したエリアは、川や湿地帯がメインの空間です……しかも」
「しかも……なんだい?」
そう聞き返すと、カテリーナは更に言った。
「その川や湿地帯には……マーフォークが住んでいることがわかりました」
マーフォーク……半人半魚の川の民か。
彼らは見た目は人間とあまり変わらないが、皮膚はとても固く、人間の姿をした上半身さえレザーアーマーに匹敵する防御力がある。
下半身の魚の部位となると、相当鋭い槍でないと貫けないという話も聞く。
僕は唸っていた。
自分自身のスペシャルポイントが404まで溜まっており、今日中に使わないと溢れてしまうのである。
「やっぱり……これに使うべきかな?」
僕は分身を出すことにした。
1頭あたり100ポイントもかかるので、なかなか高額だが、オスカーのところのミニオスカーを見ている限り、便利そうな存在だと思う。
分身を出してみると、隣りにいたフリーダやカテリーナは、興味津々という様子で眺めている。
「これが、ミニコネクター号……」
「本当に仔馬みたいですね」
ミニコネクター号は、僕を眺めると言った。
「……ねえ、お父さん?」
「なにかな?」
「お父さんって、鼻の穴……大きいね」
僕は自分の顔を水鏡に映して見ると、確かに鼻の穴が大きかった。
「そう言われてみればそうだな。因みに、もっと広げることも出来るぞ?」
「それって……これくらい?」
ミニコネクター号は鼻の穴を広げて見せたが、形が小さいので限界があるようだ。
「お前こそ、鼻の周りが柔らかいんだな」
「うん、人間をモショモショするのが趣味」
なんだか、おもしろい仔馬が出てきたので、更に1頭くらい増やしてみることにした。
【SP404→204】
2頭に増えた仔馬たちは、ちょうどよい遊び相手を見つけたと言った具合で、その辺りを跳ね回りはじめた。
身体の毛並みだけではなく、模様までよく似ているので、よく見ないと区別ができないほどだ。
フリーダたちも微笑みながら見ていたが、やがて質問をしてきた。
「彼らは、ヒーリングなどは使えるのでしょうか?」
「ああ、使えるけど……身体が小さいから、出力はだいぶ限定的になる」
「なるほど……」
彼女が頷いたら、仔馬2頭はすぐにフリーダに駆け寄った。
「ねえねえ、お母さん~」
「オヤツまだ? 僕はリンゴがいいなぁ~」
どうやらフリーダは、母親役に任命されてしまったようだ。まあ、本人もまんざらではなさそうだが……。
さて、この仔馬2頭は好奇心旺盛らしく、すぐに神社を出て、ダンジョンの探検をしたがった。
フリーダのエリアも、ジルーのエリアも、統治は上手く行っているので、多少遠出をしても大丈夫だろう。
「暗くなる前に、戻ってくるんだよ」
「は~い!」
仔馬たちを見送ると、ちょうどカテリーナのハトが戻ってきた。
カテリーナはハトから話を聞き、やがてこちらを見る。
「魔王さま……冒険者街の様子を確認しましたが、とりあえずマックス勇者チームは、別の町へと旅立ったようです」
彼女の報告を受けて、僕は大きく胸を撫でおろした。
勇者一行の攻撃で、ジルー率いるアタックドッグ隊やコボルド隊は、かなりの被害を出している。フリーダが応援要員として、ウッドパペットを派遣してはいるが、前のような戦力に戻すには、あと5日くらいはかかるだろう。
「わかった。引き続き冒険者街に、新しい勇者が現れないかどうか調査を続けて欲しい」
「承知しました」
僕はしばらくの間、仔馬たちを遊ばせていたが、彼らは3時間ほどダンジョンの中を跳ねまわっていくと、やがて神社へと戻ってきた。
「ねえねえ、お父さん!」
「お父さーん!」
「ん? どうしたのかな?」
そう質問すると、仔馬たちは息を切らせながら僕の前に止まった。
「大変だよ。ダンジョンの中にダンジョンがあった!」
「え……?」
「ウソじゃないよ! もしかして、ドクリツセーリョクがあるんじゃない?」
その話を聞いていたジルーとフリーダとカテリーナは、お互いを見合った。
「……魔王さまのダンジョンに独立勢力? フリーダさま……そんなことってあるの?」
「このダンジョンが出来たばかりの頃は、そんなスペースはありませんでしたが……ダンジョンが拡張されると、そういう場所が出現することもあります」
「冒険者街もとりあえず落ち着いていますし、私が調べてみましょう」
カテリーナが申し出てくれたので、僕はすぐに頷いた。
「そうしてくれると助かるよ」
そしてカテリーナは、仔馬2頭から新たに出現したというエリアについて質問していた。
どうやら新たな区画は、ジルーの守るエリアよりも入り口側に出現しているようだ。これは……あまりよろしくない状態だ。
なぜ、よろしくないのかと言えば、ダンジョンの入り口付近に空白地や独立勢力が出来てしまうと、勇者などに平定され、僕のダンジョンを攻略する足掛かりになってしまう。
「どうだったカテリーナ?」
その言葉を聞いたカテリーナは、表情を曇らせながら答える。
「新たに出現したエリアは、川や湿地帯がメインの空間です……しかも」
「しかも……なんだい?」
そう聞き返すと、カテリーナは更に言った。
「その川や湿地帯には……マーフォークが住んでいることがわかりました」
マーフォーク……半人半魚の川の民か。
彼らは見た目は人間とあまり変わらないが、皮膚はとても固く、人間の姿をした上半身さえレザーアーマーに匹敵する防御力がある。
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